ローカルバックアップ「3-2-1ルール」

PCが壊れる、SSDが突然使えなくなる、ファイルを誤って消す。データを失う原因はいくらでもあります。IT業界では「3-2-1ルール」という、データを守る基本的な考え方が使われてきました。今からでも今日から実践できる、シンプルなバックアップ戦略です。

3-2-1ルールとは

3-2-1ルールは、米国の写真家ピーター・クログが提唱し、米国国土安全保障省(CISA)も推奨している、データバックアップの基本則です。具体的には次の3つを満たすこと。

3-2-1ルールを満たす構成と「全滅する」失敗例 同じファイルが3か所・2種類のメディア・1つは家の外 ○ 守られている:写真.jpg の例 PC 本体SSD ① 内蔵SSD 作業中の本体 外付け HDD ② 外付けHDD 家の机の引き出し Cloud OneDrive ③ クラウド 遠隔地サーバー ▶ 3コピー、2種類(SSD/HDD vs クラウド) ▶ 1つは家の外(クラウド) × よくある失敗:全滅する例 同じPC内の「バックアップ」フォルダ SSDが壊れると本体ごと消える → コピー1個扱い 外付けHDDだけ・常時接続 ランサムウェア感染で外付けも暗号化される クラウドだけに保存(本体に残さない) アカウント停止・ネット遮断で全データ不通 家のNAS+家の外付け(同じ家) 火事・地震・盗難で全滅 → 「別の場所」要件×
図1:3-2-1ルールを満たす構成と、よくある「全滅する」失敗パターンの比較

3つのコピーを持つ:本体+バックアップ2つ。1つだと壊れたら終わり、2つでも同時に壊れる事故があります。3つあればデータを失うリスクをかなり下げられます。

2種類のメディアに保存する:内蔵SSDだけ・外付けHDDだけ、と同じ種類だと、似た故障で全部やられることがあります。SSDと外付けHDD、PCとクラウド、というように種類を分けます。

1つは別の場所に置く:すべて同じ家にあると、火事・地震・盗難・ランサムウェア感染で全滅します。クラウドや実家など、物理的に離れた場所に1つ置くのが鉄則です。

具体的な構成例

子どもが使えるバックアップ手段の比較 2026年の一般的な相場(容量と月額の目安) 手段 容量目安 費用目安 自動化 3-2-1で担う役割 外付けSSD(USB接続) 1〜2 TB 1万〜2万円買い切り 手動or自動 家の中の2つ目コピー 外付けHDD 2〜4 TB 8千〜1.5万円買い切り 手動寄り 大容量・長期保管向き OneDrive(Microsoft 365) 1 TB 月額1,490円〜 完全自動 家の外(別の場所) iCloud+(Apple) 200 GB / 2 TB 月額400 / 1,500円 完全自動 家の外(別の場所) Google ドライブ 15 GB無料 / 100 GB〜 月額250円〜 完全自動 家の外(別の場所) Time Machine(Mac標準) 外付けディスク次第 外付けの値段のみ 完全自動 家の中の2つ目コピー 推奨:本体SSD + 外付けSSD(家の中・自動)+ クラウド(家の外・自動)の3層
図2:バックアップ手段の容量・費用・自動化の比較。家の中の手段と家の外の手段を必ず1つずつ持つ

おすすめの組み合わせ例は、①本体SSD(作業中のデータ)→ ②外付けSSDかTime Machine(家で自動)→ ③OneDriveやGoogle Driveなどのクラウドです。これで3コピー・2種類・1つは別の場所、の条件を満たしやすくなります。

何をバックアップするべき?

すべてのファイルを同じ重さで守る必要はありません。優先順位をつけましょう。最優先は、二度と作れない写真や動画、学校の提出物、自分で書いたコード、作品データです。逆に、再ダウンロードできるアプリ、ゲーム本体、配布資料などは優先度を下げられます。

バックアップ対象を絞ると、容量も費用も抑えられます。「デスクトップ」「ドキュメント」「写真」「プロジェクト」など、保存場所を決めておくと自動化しやすくなります。

自動化が肝心

「手動でコピーする」だと続きません。WindowsならOneDrive+ファイル履歴、MacならiCloud+Time Machineのように、標準機能を組み合わせると自動化しやすくなります。最初に1回設定すれば、あとは差分だけが自動で同期されます。ただし、同期が止まっていないか、容量が足りているかは定期的に確認しましょう。

気をつけたい落とし穴

バックアップで失敗しやすい3つ
  • 「同じPC内の別フォルダに保存」はバックアップではない。SSDが壊れると全滅
  • 外付けHDDをずっと挿しっぱなし。ランサムウェア感染時に外付けも暗号化される
  • 「いつか復元できるはず」と試したことがない。年に1回はテスト復元する

将来どう役立つ?

企業ITでは、バックアップ設計はサーバー運用の基本です。情報処理の試験でもバックアップや冗長化はよく出るテーマです。今のうちに自分のデータで実践しておくと、進学・就職後に「大事なデータをどう守るか」を具体的に説明できるようになります。

今日からできること

3ステップで始めよう
  1. OneDrive または iCloud Drive を有効にして、デスクトップとドキュメントを自動同期する(コピー2つめ完成)
  2. 外付けSSDか外付けHDDを買って、ファイル履歴 or Time Machineを設定する(コピー3つめ完成)
  3. 3か月に1回、外付けから1ファイルだけ復元してみて、ちゃんと動くか確認する

まとめ

3-2-1ルールは、3つのコピー・2種類のメディア・1つは別の場所、というシンプルな考え方です。まずは「PC本体+外付け+クラウド」の組み合わせが取り入れやすいです。自動化して、たまに復元テストをすれば、写真・課題・作品を守りやすくなります。

確認 3-2-1ルールは?