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歴史は、背景、できごと、社会の変化、後の時代への影響を順に並べると因果関係が見えます。
江戸時代後半の問題
- 幕府財政の悪化:金銀の産出減・贅沢な暮らし・大火事・天災での出費
- 飢饉:18世紀以降、寒冷化で凶作・飢饉が頻発(享保の大飢饉・天明の大飢饉・天保の大飢饉)
- 農民反乱:百姓一揆・打ちこわしが多発
- 武士の困窮:物価上昇に対し、米で給料をもらう武士の生活は苦しい
① 享保の改革(1716〜1745年)── 8代吉宗
人物
徳川吉宗(とくがわよしむね、8代将軍)
紀州藩主から将軍に。「暴れん坊将軍」のモデル。倹約と農業重視で幕府財政を立て直そうとした。
- 倹約令:贅沢を禁じ、質素を奨励。
- 新田開発:年貢収入を増やすために新しい田を開く。
- 上米の制(あげまいのせい):大名から米を上納させる代わりに、参勤交代を緩和。
- 公事方御定書(くじかたおさだめがき):刑罰・裁判の法律集。
- 目安箱:庶民の意見を聞くための投書箱。江戸城に設置。
- 定免法(じょうめんほう):年貢率を一定に固定し、安定した税収を目指す。
吉宗の改革は 一定の成功を収め、幕府財政は持ち直しました。
田沼時代(1772〜1786年)── 田沼意次(おきつぐ)
- 10代将軍家治のもと、老中 田沼意次が政治を主導。
- 農業中心の従来政策と違い、商業を重視。
- 株仲間を公認し、税(運上金・冥加金)を取る。
- 蝦夷地開発を計画。
- 長崎貿易を拡大し、銅を輸出。
- しかし、賄賂・腐敗が広まり、天明の大飢饉(1782〜87)が起きて批判が集中。
- 1786年に田沼は失脚。
② 寛政の改革(1787〜1793年)── 松平定信
人物
松平定信(まつだいらさだのぶ)
白河藩主から老中に。吉宗の孫。田沼の腐敗・大飢饉のあとを受けて、厳格な引き締め政策を行った。
- 倹約令:徹底した質素・倹約。
- 囲い米(かこいまい):飢饉に備えて各藩に米を蓄えさせる。
- 棄捐令(きえんれい):旗本・御家人の借金を帳消し。
- 寛政異学の禁:朱子学以外の儒学を禁止。学問の統制。
- 出版統制:洒落本・黄表紙などの娯楽文学を禁止。
- あまりに厳しく、庶民の反発も招いた:
「白河の清きに魚も棲みかねて もとの濁りの田沼恋しき」(厳しすぎる定信よりも、緩い田沼のほうがよかった)
大塩平八郎の乱(1837年)
大塩平八郎の乱
背景天保の大飢饉(1833〜37)。大坂で米価が高騰、餓死者続出。
行動大坂町奉行所の元与力 大塩平八郎が、「救民」の旗を掲げて1837年に挙兵。
結果半日で鎮圧されたが、幕府の役人が反乱を起こしたこと自体が衝撃。幕府の威信が大きく揺らいだ。
③ 天保の改革(1841〜1843年)── 水野忠邦
人物
水野忠邦(みずのただくに)
12代将軍家慶のもとの老中。大塩平八郎の乱・外圧(モリソン号事件・アヘン戦争)への危機感から、強硬な改革を実施。
- 倹約令:贅沢の徹底禁止。歌舞伎・寄席も統制。
- 株仲間の解散:物価が上がるのは株仲間が独占しているから、と判断。
- 人返しの法:江戸に流入した農民を強制的に農村に戻す。
- 上知令(あげちれい):江戸・大坂周辺の大名・旗本の領地を幕府直轄に。
→ 大名・旗本の猛反発で 2年で挫折。
水野忠邦の改革は失敗に終わり、彼自身が 1843年に失脚。これ以降、幕府は本格的な改革ができなくなり、内憂外患のなか 幕末へと進みます。
三大改革の比較
| 改革 | 年 | 人物 | 成果 |
|---|---|---|---|
| 享保 | 1716-45 | 徳川吉宗 | 財政立て直しに成功 |
| 寛政 | 1787-93 | 松平定信 | 厳しすぎて反発 |
| 天保 | 1841-43 | 水野忠邦 | 失敗、忠邦失脚 |
練習問題
問題1(享保の改革)
享保の改革を行った将軍は誰か。江戸城に設置された「庶民の声を聞く投書箱」を何というか。
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将軍:徳川吉宗(8代)
投書箱:目安箱
問題2(田沼)
田沼意次の政治の特徴を、吉宗・定信と比べて答えなさい。
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吉宗・定信が 農業重視・倹約だったのに対し、田沼は 商業重視。株仲間を公認して税を取り、蝦夷地開発・長崎貿易の拡大などを進めた。しかし賄賂・腐敗が広がり、天明の大飢饉で批判を浴び失脚。
問題3(寛政の改革)
松平定信が行った政策を3つ挙げなさい。
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倹約令/囲い米/棄捐令/寛政異学の禁/出版統制 から3つ。
問題4(大塩平八郎)
大塩平八郎の乱はいつ、どこで起きたか。なぜ衝撃的だったか。
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年:1837年
場所:大坂(大阪)
衝撃:大坂町奉行所の元与力という幕府の役人が、反乱を起こしたこと。幕府の威信を大きく揺るがした。
まとめ
- 江戸の三大改革:享保(吉宗)・寛政(松平定信)・天保(水野忠邦)。
- 吉宗:倹約・新田開発・目安箱・公事方御定書。財政立て直しに成功。
- 間の 田沼意次は商業重視。株仲間公認も、賄賂と飢饉で失脚。
- 松平定信:寛政の改革。厳格すぎて庶民の反発を招く。
- 水野忠邦:天保の改革。株仲間解散・上知令で大名反発、2年で失敗。
- 三大改革の失敗で、江戸幕府は揺らぎ 幕末へ。