図でつかむ
アンモニアはそのまま出るのではなく、まず肝臓で無害な尿素に変えられてから腎臓へ運ばれ、尿として出ます。二酸化炭素は肺、余分な水分・塩分は汗と、不要物ごとに担当する器官と出口が決まっている点をつかみましょう。
肺の構造
- 肺胞の数:左右合わせて約 3億〜6億個
- 表面積を広げると:テニスコート1面分(約 70m²)
- 肺胞のまわりを毛細血管が取り囲む
- 薄い壁を通して酸素と二酸化炭素を交換
呼吸のしくみ
息を吸う:横隔膜が下がる、ろっ骨が上がる → 胸郭が広がる → 肺がふくらむ
息を吐く:横隔膜が上がる、ろっ骨が下がる → 胸郭が縮まる → 肺が縮む
→ 圧力差で空気が出入りする
外呼吸と内呼吸
- 外呼吸(肺呼吸):肺で O₂ を取り込み、CO₂ を出す
- 内呼吸(細胞呼吸):全身の細胞で O₂ を使ってエネルギーを取り出す
呼気に二酸化炭素が多いことを確かめる
目的:吸う空気と吐く息で、二酸化炭素の量が違うかを調べる。
手順:石灰水に空気を通した場合と、吐く息を通した場合の白くにごる速さを比べる。
観察事実:吐く息を通した石灰水のほうが早く白くにごる。
考察:吐く息には二酸化炭素が多く含まれる。細胞呼吸でできた二酸化炭素が血液で肺まで運ばれ、息として出たためである。
- 石灰水を吸い込まないよう、息を吹き込む向きと器具の扱いを確認する。
- 結果は「呼気に二酸化炭素が多い」ことを示すが、酸素がゼロになったという意味ではない。
糖(ブドウ糖)+ O₂ → CO₂ + 水 + エネルギー
→ このエネルギーで体を動かし、体温を保つ
腎臓のしくみ
血液 → 腎臓のろ過装置(糸球体)でろ過 → 必要なもの(水・養分)を再吸収
→ 残った老廃物が尿に
→ 輸尿管 → ぼうこう → 尿道 → 排出
尿素とアンモニア
タンパク質を体内で分解 → アンモニア(有害)ができる
肝臓で 尿素(無害)に変換
血液で腎臓に運ばれる
腎臓で尿に → 排出
肝臓の役割
- 解毒:アルコール・アンモニア・薬物を無害化
- 養分の貯蔵:ブドウ糖をグリコーゲンとして蓄える
- 胆汁の生成:脂肪の消化を助ける
- 体温保持:化学反応で熱を生む
- 古い赤血球の処理
汗と皮膚からの排出
- 体温調節:汗が蒸発して熱を奪う
- 少量の老廃物(塩分・尿素)も汗に含まれる
- 主な排出経路:尿(最大)、便、汗、呼吸(CO₂)
肺の保護
- 鼻:空気を温め、加湿、ホコリをろ過
- 気管:粘膜と繊毛でゴミを除去
- たばこの煙:肺胞を傷つける
- 大気汚染:呼吸器の病気の原因
- 「呼吸」=肺で空気を吸う(外呼吸)だけでなく、各細胞でも酸素を使う(内呼吸/細胞呼吸)。
- 細胞呼吸でできた CO₂ が血液で肺に運ばれて、息として出る。
- 体内でできるのは アンモニア(有害)。
- 肝臓で 尿素に変換(無害化)。
- 尿として排出するのは尿素。
- 順番:アンモニア → 肝臓で尿素 → 腎臓 → 尿。
この章でつまずきやすいところ
排出は、体の中でできた不要物を体外に出すしくみを学ぶ単元です。本文を読み進める途中、「肝臓と腎臓の役割分担」「原尿と尿のちがい」「汗や呼気も排出に含まれること」を見落としやすい箇所があります。どの臓器が何を担当し、どの順番で不要物が体外へ出ていくのかを意識して読み直してみましょう。
アンモニアがそのまま尿になると思い込んでしまう
- つまずく場面:「タンパク質を分解するとアンモニアができる」と読んだ直後に「腎臓で尿になる」と書かれているため、アンモニアがそのまま尿として出ていくように読めてしまい、肝臓の役割を読み飛ばす場面。
- 克服のコツ:時系列で並べるのがコツです。アンモニアは体に有害なので、肝臓で害の少ない尿素に変えられ、血液で腎臓へ運ばれてこし出されて尿となる、という順番で読み直します。肝臓と腎臓が別の仕事を順番に行っている点を押さえると、出口の取り違えを防げます。
- ミニ例:教科書では、肝臓のはたらきとしてアンモニアを害の少ない尿素に変えること、腎臓のはたらきとして血液から尿素などをこし出して尿をつくることを整理する。
原尿と尿を同じものと思い込んでしまう
- つまずく場面:本文で「腎臓でろ過されて尿ができる」と書かれているのを読んで、ろ過された液がそのまま尿として出ていくように感じてしまい、後に出てくる「再吸収」の説明とつながらなくなる場面。
- 克服のコツ:二段階で整理するのがコツです。まず血液が腎臓でろ過されてできるのが原尿。その後、体に必要な水分や養分が再吸収されて血液にもどり、残った液が尿になります。1日につくられる原尿は約150L、最終的な尿は約1.5Lと、量の差で再吸収の大きさを実感できます。
- ミニ例:教科書では、原尿には水・塩分・ブドウ糖・尿素などが含まれ、再吸収を経て尿素などの不要物だけが濃く残ったものが尿になると説明される。
排出は尿だけだと思い込んでしまう
- つまずく場面:「排出」という言葉から尿を真っ先に思い浮かべてしまい、本文で出てくる汗や呼気も排出のはたらきだという説明を読み飛ばしてしまう場面。
- 克服のコツ:不要物ごとに出口を結びつけるのがコツです。尿素などは腎臓→尿、水分や塩分の一部は汗腺→汗、二酸化炭素は肺→呼気として体外に出されます。排出は腎臓だけの仕事ではなく、複数の器官が分担していると整理すると、本文の流れがつながります。
- ミニ例:教科書では、汗は体温調節と同時に水分や塩分の排出にもはたらき、呼気では細胞呼吸でできたCO₂が体外へ出されると整理する。
腎臓とぼうこうの役割を混同してしまう
- つまずく場面:腎臓・輸尿管・ぼうこうが図でまとめて示されていると、どこで尿がつくられ、どこに尿がためられるのかが分からなくなり、「ぼうこうで尿ができる」と読み違えてしまう場面。
- 克服のコツ:つくる場所とためる場所を分けるのがコツです。尿をつくるのは腎臓、できた尿が通るのが輸尿管、いったんためられるのがぼうこう、と役割を分けて整理します。図を見るときは、血液が入ってくる腎臓と、尿だけが通る輸尿管・ぼうこうを別の段に並べて読むと混同しにくくなります。
- ミニ例:教科書では、腎臓でつくられた尿は輸尿管を通ってぼうこうにためられ、ある程度たまると体外へ出されると説明される。
練習問題
次の器官の主な役割は。
- 肺
- 腎臓
- 肝臓
答えを見る
(1) 酸素と二酸化炭素の交換(呼吸)
(2) 老廃物のろ過、尿の生成
(3) 解毒・養分貯蔵・胆汁生成
体内でアンモニアが尿として排出されるまでの流れを書け。
答えを見る
体内でアンモニア発生 → 肝臓で尿素に変換 → 血液で腎臓へ → 腎臓でろ過 → 尿として排出
細胞呼吸で何ができるか、化学反応式風に書け。
答えを見る
糖(ブドウ糖)+ 酸素 → 二酸化炭素 + 水 + エネルギー
まとめ
- 肺:肺胞で O₂ と CO₂ を交換(外呼吸)。
- 細胞呼吸(内呼吸):細胞で糖を酸素で分解しエネルギーを得る。
- 腎臓:血液をろ過 → 尿。
- 肝臓:解毒・養分貯蔵・胆汁生成。
- アンモニア → 尿素(肝臓)→ 排出(腎臓)。
もっと知る ── 発展・実生活(出典つき)
※ 教科書の内容に、信頼できる出典をもとにした発展・実生活・時事の話題を補足しています(教科書そのものではありません)。
腎臓のはたらきを機械で代わりに行う「人工透析」実生活
腎臓の機能が大きく低下すると、血液中の老廃物や余分な水分を尿として出せなくなります。そこで血液を体外の装置(ダイアライザー)に通し、半透膜を使って老廃物を取り除いてきれいにしてから体に戻すのが血液透析で、腎臓のろ過のはたらきを機械が代わりに行っています。
透析で使う「半透膜」と拡散のしくみ発展
血液透析では、小さな物質だけを通す半透膜をはさんで、血液と透析液を流します。膜の両側で濃さに差があると、濃いほうから薄いほうへ物質が移動する「拡散」が起こり、尿素やカリウムなどの老廃物だけが透析液側へ抜けていきます。
お酒のアルコールも肝臓で無害化される実生活
教科書ではアンモニアを尿素に変えると学びますが、肝臓はアルコールの分解も行います。お酒のエタノールはまず有害なアセトアルデヒドになり、さらに酵素のはたらきで無害な酢酸へと分解され、最後は汗・尿・呼気として体の外へ出されます。アセトアルデヒドが残ると頭痛や吐き気の原因になります。
汗による体温調節と熱中症実生活
汗は塩分や尿素を少し含む排出経路であると同時に、蒸発するときに体から熱をうばって体温を下げる役割もあります。気温や湿度が高い環境ではこの体温調節がうまく働かず、体に熱がこもって熱中症になるため、水分補給やエアコンの利用が予防に大切です。
腎臓を取りもどす「腎移植」と臓器提供発展
腎臓の機能が回復しない場合、透析のほかに、提供された健康な腎臓を移植する腎移植という治療もあります。日本では亡くなった人から提供される腎臓は不足していて、待機期間が長くなっており、臓器を提供する意思を示す登録のしくみが整えられています。
