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運動のしくみ ── 骨・筋肉・関節

私たちの体が動くしくみは、骨格と筋肉のチームワーク。骨が関節で動き、筋肉が伸び縮みすることで運動が起こります。シンプルに見えて精密なシステムです。

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骨格と筋肉でからだが動く 対象 はたらき 流れ 結果 筋肉は縮むことで骨を引くので、曲げる筋肉と伸ばす筋肉をペ アで見るのが大切です。
骨格と筋肉でからだが動く

筋肉は縮むことで骨を引くので、曲げる筋肉と伸ばす筋肉をペアで見るのが大切です。

運動器官として見る

用語
運動器官
刺激に対して実際に反応を起こす部分。ヒトでは、骨・筋肉・関節・けんなどが関係して体を動かす。

前の単元で学んだ神経は、「命令を伝えるしくみ」です。今回の骨や筋肉は、その命令を受けて実際に動くしくみです。つまり、体の運動は 神経の信号運動器官のはたらき がつながって起こります。

  • 脳・脊髄:命令を出す中枢神経
  • 運動神経:命令を筋肉へ伝える
  • 筋肉:縮んで骨を引く
  • 骨・関節:支点となり、体の部分が動く

骨格の役割

用語
骨格
体を支え、内臓を保護し、運動の支点となる 骨の集まり
  • 体を支える:柱の役割(脊柱が中心)
  • 内臓を保護する:頭蓋骨(脳)、肋骨(心臓・肺)、骨盤(腸など)
  • 運動の支点:筋肉と一緒に体を動かす
  • 造血:骨髄で血液を作る
  • カルシウムの貯蔵

人体の主な骨

  • 頭蓋骨:脳を保護
  • 脊柱(背骨):26個の脊椎骨で構成
  • 肋骨:12対、心臓・肺を保護
  • 胸骨:胸の中央
  • 上肢の骨:肩甲骨・上腕骨・尺骨・橈骨・指の骨
  • 下肢の骨:大腿骨・脛骨・腓骨・足の骨
  • 骨盤:腰の骨
  • 人体には合計 約 206個の骨

関節

用語
関節
骨と骨が つながって動く部分。種類によって動き方が違う。
  • 球関節:あらゆる方向に動く(肩、股関節)
  • ちょうつがい関節:一方向に曲がる(ひじ、ひざ、指)
  • その他:手首・首など

関節は、骨どうしが動けるようにつながっている場所です。もし骨が1本の棒のようにつながっていて関節がなければ、腕や足を曲げることはできません。関節は、体を動かすときの 支点 になります。

筋肉

用語
筋肉
縮むことで体を動かす組織。骨に付いていない筋肉(内臓筋・心筋)もある。

腕や足を動かす筋肉は、骨に直接べったりついているのではなく、両端が けん になって骨についています。筋肉が縮むと、けんを通して骨が引っ張られ、関節を中心に骨が動きます。

対になる筋肉 ── 屈筋と伸筋

腕の例

筋肉は 2つで1組(拮抗筋)になっている

曲げるとき

  上腕二頭筋(屈筋)が縮む

  上腕三頭筋(伸筋)が伸ばされる

伸ばすとき

  上腕三頭筋が縮む

  上腕二頭筋が伸ばされる

動き縮む筋肉伸ばされる筋肉結果
腕を曲げる上腕二頭筋上腕三頭筋ひじが曲がる
腕を伸ばす上腕三頭筋上腕二頭筋ひじが伸びる

筋肉は「押す」のではなく、縮んで骨を 引く ことで動かします。だから、曲げるための筋肉と伸ばすための筋肉が、関節をはさんで向かい合うようについています。

筋肉と骨のつなぎ目

用語
けん(腱)
筋肉と骨をつなぐ 強い結合組織。アキレス腱が有名。

運動の動きの順序

体が動くまで

① 脳が「動かそう」と命令

② 運動神経で筋肉に命令

③ 筋肉が縮む

④ けんを通して骨が引っ張られる

⑤ 関節で骨が動く → 運動完成

観察問題で見られるポイント

  • 筋肉の両端が、けんになって骨についているか
  • けんが関節をまたいでいるか
  • 片方の筋肉を引くと、どの向きに骨が動くか
  • 曲げる動きと伸ばす動きで、縮む筋肉が入れかわるか

教科書の観察では、骨だけ、筋肉だけを見るのではなく、骨・関節・筋肉・けんの位置関係を見ます。特に「けんが関節をまたいで骨についている」ことが、筋肉の縮みを骨の動きに変える重要なポイントです。

骨の構造

  • 外側:硬い骨組織
  • 内部:海綿状の組織
  • 中心:骨髄(血液を作る)
  • 表面:骨膜(神経・血管あり)
つまずきポイント①:筋肉は「縮む」だけ
  • 筋肉は自分から 「伸びる」ことはできない。
  • 「縮む」と「もとに戻る(伸ばされる)」だけ。
  • だから 対の筋肉がある(一方が縮めば、もう一方が伸ばされる)。
つまずきポイント②:筋肉が骨を押すわけではない
  • 筋肉は縮んで骨を引っ張る。
  • 反対向きに動かすには、反対側の筋肉が縮む必要がある。
  • 「腕を伸ばすときは上腕二頭筋が伸びる」だけでは不十分。上腕三頭筋が縮むことを押さえる。
つまずきポイント③:関節の動き方
  • 球関節(肩・股):自由に回る
  • ちょうつがい関節(ひじ・ひざ):一方向のみ
  • 「ひざが横に曲がらない」のは、ちょうつがい関節だから。

練習問題

問題1(用語)
  1. 骨と骨のつなぎ目
  2. 筋肉と骨をつなぐ強い組織
  3. 体を動かすしくみで対になる筋肉の例
答えを見る

(1) 関節 (2) けん(腱) (3) 上腕二頭筋(屈筋)と上腕三頭筋(伸筋)

問題2(骨の役割)

骨の役割を3つ挙げよ。

答えを見る

体を支える/内臓を保護する/運動の支点/血液を作る(骨髄)/カルシウムの貯蔵 から3つ

問題3(筋肉のしくみ)

腕を曲げるとき、上腕二頭筋と上腕三頭筋はそれぞれどうなるか。

答えを見る

上腕二頭筋:縮む(屈筋)/上腕三頭筋:伸びる(伸筋)

問題4(観察の説明)

筋肉の両端がけんになって骨についていることには、どんな意味があるか。

答えを見る

筋肉が縮んだ力を、けんを通して骨に伝え、関節を中心に骨を動かすため。

問題5(神経とのつながり)

手を動かそうと思ってから実際に手が動くまでの流れを、神経と筋肉を使って説明しなさい。

答えを見る

脳からの命令が運動神経を通って筋肉に伝わり、筋肉が縮む。その力がけんを通して骨に伝わり、関節を中心に骨が動く。

まとめ

  • 骨格:体を支え、内臓を保護し、運動の支点。
  • 関節:骨と骨をつなぐ可動部分。球関節とちょうつがい関節。
  • 筋肉は になっている(屈筋と伸筋)。
  • 筋肉は縮むだけ。伸ばされるのは別の筋肉の力。
  • けん(腱)が筋肉と骨をつなぐ。
  • 運動は、神経の命令 → 筋肉の収縮 → けんが骨を引く → 関節で骨が動く、という流れで起こる。