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中学生の学習ノート教科書をもう一段くわしく

運動のしくみ ── 骨・筋肉・関節

私たちの体が動くしくみは、骨格と筋肉のチームワーク。骨が関節で動き、筋肉が伸び縮みすることで運動が起こります。シンプルに見えて精密なシステムです。

図でつかむ

うでが曲がる・伸びるしくみ ── 拮抗する2つの筋肉 曲げるとき 上腕二頭筋(屈筋) = 縮んで骨を引く 上腕骨 前腕 ゆるむ 縮む 上腕三頭筋(伸筋) = ゆるむ 関節(支点) → ひじが曲がる 伸ばすとき 上腕三頭筋(伸筋) = 縮んで骨を引く 上腕骨 前腕 ゆるむ 縮む 上腕二頭筋(屈筋) = ゆるむ 関節(支点) → ひじが伸びる 筋肉の両端は「けん(腱)」で骨につき、2つで1組(拮抗筋)。片方が縮むと、もう片方はゆるむ
図:曲げるときは上腕二頭筋(屈筋)が縮み、伸ばすときは上腕三頭筋(伸筋)が縮む。筋肉は縮んで骨を引く

筋肉は「押す」ことができず、縮んで骨を引くだけです。だからひじの曲げ伸ばしには上腕二頭筋と上腕三頭筋が2つで1組(拮抗筋)になり、片方が縮むともう片方はゆるみます。関節が支点、けんが筋肉と骨をつなぐ部分です。

運動器官として見る

用語
運動器官
刺激に対して実際に反応を起こす部分。ヒトでは、骨・筋肉・関節・けんなどが関係して体を動かす。

前の単元で学んだ神経は、「命令を伝えるしくみ」です。今回の骨や筋肉は、その命令を受けて実際に動くしくみです。つまり、体の運動は 神経の信号 と 運動器官のはたらき がつながって起こります。

  • 脳・脊髄:命令を出す中枢神経
  • 運動神経:命令を筋肉へ伝える
  • 筋肉:縮んで骨を引く
  • 骨・関節:支点となり、体の部分が動く

骨格の役割

用語
骨格
体を支え、内臓を保護し、運動の支点となる 骨の集まり。
  • 体を支える:柱の役割(脊柱が中心)
  • 内臓を保護する:頭蓋骨(脳)、肋骨(心臓・肺)、骨盤(腸など)
  • 運動の支点:筋肉と一緒に体を動かす
  • 造血:骨髄で血液を作る
  • カルシウムの貯蔵

人体の主な骨

  • 頭蓋骨:脳を保護
  • 脊柱(背骨):26個の脊椎骨で構成
  • 肋骨:12対、心臓・肺を保護
  • 胸骨:胸の中央
  • 上肢の骨:肩甲骨・上腕骨・尺骨・橈骨・指の骨
  • 下肢の骨:大腿骨・脛骨・腓骨・足の骨
  • 骨盤:腰の骨
  • 人体には合計 約 206個の骨

関節

用語
関節
骨と骨が つながって動く部分。種類によって動き方が違う。
  • 球関節:あらゆる方向に動く(肩、股関節)
  • ちょうつがい関節:一方向に曲がる(ひじ、ひざ、指)
  • その他:手首・首など

関節は、骨どうしが動けるようにつながっている場所です。もし骨が1本の棒のようにつながっていて関節がなければ、腕や足を曲げることはできません。関節は、体を動かすときの 支点 になります。

筋肉

用語
筋肉
縮むことで体を動かす組織。骨に付いていない筋肉(内臓筋・心筋)もある。

腕や足を動かす筋肉は、骨に直接べったりついているのではなく、両端が けん になって骨についています。筋肉が縮むと、けんを通して骨が引っ張られ、関節を中心に骨が動きます。

対になる筋肉 ── 屈筋と伸筋

腕の例

筋肉は 2つで1組(拮抗筋)になっている

曲げるとき:

  上腕二頭筋(屈筋)が縮む

  上腕三頭筋(伸筋)が伸ばされる

伸ばすとき:

  上腕三頭筋が縮む

  上腕二頭筋が伸ばされる

動き縮む筋肉伸ばされる筋肉結果
腕を曲げる上腕二頭筋上腕三頭筋ひじが曲がる
腕を伸ばす上腕三頭筋上腕二頭筋ひじが伸びる

筋肉は「押す」のではなく、縮んで骨を 引く ことで動かします。だから、曲げるための筋肉と伸ばすための筋肉が、関節をはさんで向かい合うようについています。

筋肉と骨のつなぎ目

用語
けん(腱)
筋肉と骨をつなぐ 強い結合組織。アキレス腱が有名。

運動の動きの順序

体が動くまで

① 脳が「動かそう」と命令

② 運動神経で筋肉に命令

③ 筋肉が縮む

④ けんを通して骨が引っ張られる

⑤ 関節で骨が動く → 運動完成

観察問題で見られるポイント

  • 筋肉の両端が、けんになって骨についているか
  • けんが関節をまたいでいるか
  • 片方の筋肉を引くと、どの向きに骨が動くか
  • 曲げる動きと伸ばす動きで、縮む筋肉が入れかわるか

教科書の観察では、骨だけ、筋肉だけを見るのではなく、骨・関節・筋肉・けんの位置関係を見ます。特に「けんが関節をまたいで骨についている」ことが、筋肉の縮みを骨の動きに変える重要なポイントです。

骨の構造

  • 外側:硬い骨組織
  • 内部:海綿状の組織
  • 中心:骨髄(血液を作る)
  • 表面:骨膜(神経・血管あり)
つまずきポイント①:筋肉は「縮む」だけ
  • 筋肉は自分から 「伸びる」ことはできない。
  • 「縮む」と「もとに戻る(伸ばされる)」だけ。
  • だから 対の筋肉がある(一方が縮めば、もう一方が伸ばされる)。
つまずきポイント②:筋肉が骨を押すわけではない
  • 筋肉は縮んで骨を引っ張る。
  • 反対向きに動かすには、反対側の筋肉が縮む必要がある。
  • 「腕を伸ばすときは上腕二頭筋が伸びる」だけでは不十分。上腕三頭筋が縮むことを押さえる。
つまずきポイント③:関節の動き方
  • 球関節(肩・股):自由に回る
  • ちょうつがい関節(ひじ・ひざ):一方向のみ
  • 「ひざが横に曲がらない」のは、ちょうつがい関節だから。

この章でつまずきやすいところ

運動のしくみは、骨・筋肉・関節・けんが連動する仕組みを本文で追っていく単元です。図を見ながら読んでいる途中で「どの筋肉が縮むのか」「関節はどう動くのか」が混ざりやすいポイントを、迷いやすい場面ごとに整理します。

筋肉は自分から伸びると思い込んでしまう

  • つまずく場面:「腕を伸ばすとき上腕二頭筋はどうなるか」を本文で読んでいる途中、「伸ばす動きだから二頭筋が伸びる」と読み取りそうになる場面。筋肉が自分の力で伸びると勘違いすると、対の筋肉の役割が見えなくなります。
  • 克服のコツ:因果関係で整理します。筋肉は「縮む」か「もとに戻る(伸ばされる)」かのどちらかで、自分から伸びる力は出せません。だから腕を伸ばすときは、反対側の筋肉が縮むことで、もう一方が引っぱられて伸びる、と読み替えるのがコツです。
  • ミニ例:腕を伸ばす場面では、上腕三頭筋が縮むのが主役。上腕二頭筋はその力で伸ばされている側であって、自分から伸びているわけではありません。

筋肉が骨を押して動かすと思い込んでしまう

  • つまずく場面:図で筋肉と骨を見ているとき、「筋肉が骨を押してひじが伸びる」とイメージしてしまう場面。押すか引くかをあいまいにしたまま読み進めると、対の筋肉が必要な理由が説明できなくなります。
  • 克服のコツ:因果関係でそろえます。筋肉のはたらきは縮んで骨を引くことだけ、と決めて読みます。反対向きに動かしたいときは、必ず関節をはさんだ反対側の筋肉が縮む、という形で骨の動く向きを追うと、本文の「対になっている」という説明とぴったり合います。
  • ミニ例:ひじを曲げるときは上腕二頭筋が縮んで前腕の骨を引く。伸ばすときは反対側の上腕三頭筋が縮んで骨を引く、と引く向きで読み替えます。

けんを筋肉や関節と同じものだと思い込んでしまう

  • つまずく場面:本文に「筋肉の両端がけんになって骨についている」と出てきた場面で、けんを「筋肉の一部」や「関節と同じもの」と読み流してしまう迷い。けんを軽く扱うと、なぜ関節をまたいで骨が動くのかが説明できません。
  • 克服のコツ:位置関係で整理します。「筋肉 ─ けん ─ 骨」の順に並んでいて、けんは筋肉と骨をつなぐ強い組織です。さらに、けんは関節をまたいで反対側の骨についているので、筋肉が縮むと関節を支点に骨が動く、という橋わたしの役割を担います。
  • ミニ例:アキレス腱は、ふくらはぎの筋肉とかかとの骨をつなぎ、足首の関節をまたいでついている、と教科書では整理します。

関節はどの方向にも動くものだと思い込んでしまう

  • つまずく場面:問題で「ひざを横に曲げられないのはなぜか」を聞かれた途中、「関節だから自由に動くはず」と考えてしまう場面。すべての関節を同じものとして読み進めると、関節の種類ごとの動きの違いを取りこぼします。
  • 克服のコツ:見分け方で整理します。関節は形によって動き方が決まり、球関節はあらゆる方向、ちょうつがい関節は一方向だけ、と二つに分けて読みます。場所と動かせる方向をセットで覚えると、本文の例と問題文がそろって見えます。
  • ミニ例:肩や股関節は球関節なので回せますが、ひじ・ひざ・指はちょうつがい関節なので、横には曲がらず一方向にだけ曲がる、と教科書では整理します。

練習問題

問題1(用語)
  1. 骨と骨のつなぎ目
  2. 筋肉と骨をつなぐ強い組織
  3. 体を動かすしくみで対になる筋肉の例
答えを見る

(1) 関節 (2) けん(腱) (3) 上腕二頭筋(屈筋)と上腕三頭筋(伸筋)

問題2(骨の役割)

骨の役割を3つ挙げよ。

答えを見る

体を支える/内臓を保護する/運動の支点/血液を作る(骨髄)/カルシウムの貯蔵 から3つ

問題3(筋肉のしくみ)

腕を曲げるとき、上腕二頭筋と上腕三頭筋はそれぞれどうなるか。

答えを見る

上腕二頭筋:縮む(屈筋)/上腕三頭筋:伸びる(伸筋)

問題4(観察の説明)

筋肉の両端がけんになって骨についていることには、どんな意味があるか。

答えを見る

筋肉が縮んだ力を、けんを通して骨に伝え、関節を中心に骨を動かすため。

問題5(神経とのつながり)

手を動かそうと思ってから実際に手が動くまでの流れを、神経と筋肉を使って説明しなさい。

答えを見る

脳からの命令が運動神経を通って筋肉に伝わり、筋肉が縮む。その力がけんを通して骨に伝わり、関節を中心に骨が動く。

まとめ

  • 骨格:体を支え、内臓を保護し、運動の支点。
  • 関節:骨と骨をつなぐ可動部分。球関節とちょうつがい関節。
  • 筋肉は 対になっている(屈筋と伸筋)。
  • 筋肉は縮むだけ。伸ばされるのは別の筋肉の力。
  • けん(腱)が筋肉と骨をつなぐ。
  • 運動は、神経の命令 → 筋肉の収縮 → けんが骨を引く → 関節で骨が動く、という流れで起こる。

もっと知る ── 発展・実生活(出典つき)

※ 教科書の内容に、信頼できる出典をもとにした発展・実生活・時事の話題を補足しています(教科書そのものではありません)。

骨の中で血液がつくられる「骨髄」のはたらき実生活

教科書では骨のはたらきの一つとして「造血」が出てきますが、これは骨の内部にある骨髄でおこなわれます。骨髄では、もとになる造血幹細胞という細胞が分裂と変化をくり返し、赤血球・白血球・血小板といった血液の成分を毎日つくり続けています。

出典:国立がん研究センター がん情報サービス(骨髄)

骨はカルシウムの貯蔵庫で、つねに作りかえられている発展

骨はただの硬い棒ではなく、カルシウムが取り込まれて新しい骨が作られる一方、古い骨は壊されてカルシウムが溶け出す、という入れかえをくり返しています。このため食事のカルシウムが慢性的に不足すると骨から取り出される量が増え、骨がもろくなる骨粗しょう症になりやすくなります。

出典:e-ヘルスネット(厚生労働省)骨粗鬆症の予防のための食生活

宇宙では骨や筋肉が弱くなる ── 重力と運動器官の関係発展

地球では重力で足腰につねに負荷がかかり、意識しなくても骨や筋肉が使われています。重力がとても弱い宇宙に長く滞在すると、立つ・歩くために足を使わなくてよくなるため筋力が落ち、骨の量も減ってしまいます。

出典:JAXA 有人宇宙技術部門(宇宙でからだはどうなる?)

宇宙飛行士は毎日2時間の運動で骨と筋肉を守る実生活

国際宇宙ステーションでは、骨量や筋肉の減少を防ぐため、宇宙飛行士はトレッドミルや自転車エルゴメータ、抵抗運動器を使って毎日約2時間の運動をすると決められています。それでも約半年の滞在から帰ると体の変化が大きいため、帰還後はおよそ45日間のリハビリテーションを行います。

出典:JAXA 有人宇宙技術部門(医学運用チームの仕事)

体で最も強いけん「アキレス腱」発展

けん(腱)は筋肉と骨をつなぐ強い組織で、その代表がかかとにあるアキレス腱です。ふくらはぎの筋肉(腓腹筋・ヒラメ筋)が一つに集まってかかとの骨につき、つま先で地面をけって歩く・走る・跳ぶ動きを支える、人体で最も大きく強いけんです。

出典:社会福祉法人 恩賜財団 済生会(アキレス腱断裂)

すり減った関節を取りかえる「人工関節」実生活

ひざや股関節の軟骨がすり減ったり骨が変形したりすると、痛くて関節が動かしにくくなります。そこで傷んだ部分を取り除き、金属やセラミックでできた人工の関節に置きかえる手術があり、これによって再び支点として体を動かせるようになります。

出典:浜松医療センター 整形外科(人工股関節置換術ってどんな手術?)