ネットワークエンジニアになるには

スマホで動画を見る・LINEを送る・オンラインゲームをする。これら全ての裏側で動いているのがネットワークです。ネットワークエンジニアは、その通信路を設計・構築・運用する仕事。地味だけど、社会インフラを支える重要な役割です。

ネットワークエンジニアの仕事

ネットワークエンジニアは、企業や施設のインターネット環境を作る仕事です。具体的には、ルーター・スイッチ・ファイアウォールといった通信機器の設定、回線の選定、トラブル発生時の復旧などを担当します。クラウド時代になっても、データセンター・5G基地局・社内LAN・在宅ワーク用VPNなど、ネットワークを設計できる人材は依然として不足しています。

身近な例で言うと、学校のタブレットが一斉にインターネットへつながる、会社の社員だけが社内システムへ入れる、病院の端末が安全に情報をやり取りできる、といった環境を支えます。通信が止まると授業、仕事、予約、決済まで止まることがあるため、ネットワークエンジニアは「つながって当たり前」を裏側で守る仕事です。

仕事の流れ

4段階キャリア:経験年数・年収中央値・主な仕事 出典:dodaエンジニアIT・レバテック等の業界平均より編集部集計(2025年時点) 0年 3年 5年 10年 15年 ④ 運用保守 トラブル対応・監視・障害復旧 中央値450万 ③ 構築 機器設置・設定投入・初期検証 中央値550万 ② 設計 機器・配線・IPアドレス設計 中央値700万 ① 要件定義 中央値900万 顧客折衝・予算・要件整理 ★ 新人は④運用保守からスタート。経験10年で①要件定義(年収900万)が見える ※ 横軸=経験年数、横棒の長さ=そのフェーズの平均的な年数幅
図1:新人は④運用保守(450万)から始まり、構築→設計→要件定義と進む。経験10年で年収900万が見える

新人エンジニアはまず④の運用保守から始まることが多いです。トラブル対応をしながら現場の機器構成に詳しくなり、3〜5年で③の構築、5〜10年で②の設計、その先で①の要件定義(顧客との折衝)に進む形が一般的なキャリアパスです。

必要なスキル

8スキル別の重要度と中高生からの学習可否 出典:CCNA/CCNP/ネットワークスペシャリスト試験のシラバスより編集部整理 スキル 重要度 中高生で着手 学習方法・環境 TCP/IP(土台) 基本情報技術者・教科書・3分動画 ルーティング(OSPF/BGP) Packet Tracer・CCNA入門書 スイッチング(VLAN) Packet Tracer(無料シミュ) Cisco機器(業界標準) Cisco Networking Academy(無料) Linux(サーバ・ログ) Ubuntu仮想マシン(無料) セキュリティ(FW・VPN) 家のWi-Fi設定画面・VPN試用 クラウド(AWS VPC) AWS無料枠(要クレカ登録) 自動化(Python/Ansible) Progate・paiza(無料) ★ 中高生は「TCP/IP・Linux」を◎レベルで開始。Packet Tracerで仮想ネットワークも組める
図2:8スキルのうちTCP/IP・Linuxは中高生から本格学習可。Packet Tracerで仮想Cisco機器も触れる

業界の代表的な資格は、シスコシステムズ社のCCNA(中級)とCCNP(上級)です。日本国内では国家資格の「ネットワークスペシャリスト試験」も評価されます。中高生のうちは、まず基本情報技術者試験の中のネットワーク分野を理解し、CCNAに進むのがおすすめです。

中高生におすすめの取り組み方

家にWi-Fiルーターがあれば、それが最初の教材になります。設定画面(http://192.168.1.1 など)にログインしてSSID・暗号化方式を確認する、家族のスマホがどう繋がっているか調べる。これだけでもネットワークの感覚は身につきます。次に、シスコ社の無料学習サイト「Cisco Networking Academy」や「Packet Tracer」というシミュレータで仮想ネットワークを組む練習に進みましょう。

もう一つ効果的なのは、家の中のネットワーク図を紙に描くことです。光回線の終端装置、Wi-Fiルーター、スマホ、ゲーム機、プリンター、テレビを線で結び、「有線」「無線」「インターネット側」「家の中側」に分けてみます。専門的な設定を変えなくても、どこを通って通信しているのかを見える化するだけで、ネットワークの考え方がかなりつかめます。

気をつけたい落とし穴

ネットワーク志望が陥りやすい3つ
  • カフェのWi-Fiや学校のネットワークで「ポートスキャン」など試す。不正アクセス禁止法違反です
  • クラウド時代だから古いと決めつける。AWSもAzureも内部はネットワーク技術で動いている
  • 夜勤・休日対応が多い職種。働き方は事前にしっかり確認

将来どう役立つ?

ネットワークは「どんな会社でも使う」インフラです。年収や働き方は会社、地域、担当範囲によって大きく変わりますが、運用、構築、設計、セキュリティ、クラウドへと経験を広げやすい職種です。データセンター、5G、IoT、工場のネットワーク、学校や自治体のシステムなど、通信を必要とする場所は多く、基礎を積むほど応用先が増えていきます。

今日からできること

3ステップで始めよう
  1. 家のWi-Fiルーター設定画面にログインして、繋がっている機器の一覧を見てみる
  2. 「Packet Tracer」と検索して、Cisco社の無料ネットワークシミュレータをダウンロード
  3. 「CCNA 入門書」を本屋で立ち読みして、目次を眺める

まとめ

ネットワークエンジニアは、社会インフラを支える地味だが息の長いキャリアです。仕事は要件定義・設計・構築・運用の4段階。必要スキルはTCP/IP・ルーティング・スイッチング・Cisco機器・セキュリティなど。中高生のうちは家のWi-Fiを観察し、Packet Tracerで遊ぶところから始めれば、CCNAへの道が見えてきます。