図でつかむ
同じ北海道でも、①石狩平野は稲作、②十勝平野は畑作、③根釧台地は酪農と、場所ごとに農業の顔が変わります。流氷・霧・雪の位置とあわせて、まず地図のイメージをつかんでから本文を読み進めましょう。
位置と自然
面積は日本の約 22%(最大)、人口約530万人(東京都の約4割)。
- 1道のみで構成(都道府県では特別な存在)
- 気候:冷帯(亜寒帯)、梅雨がない
- 主な山地:日高山脈・大雪山・知床半島
- 主な平野:石狩平野・十勝平野・根釧台地
- 主な河川:石狩川(最長)、十勝川
- 主な湖:洞爺湖・摩周湖・サロマ湖
気候の特徴
冬は 長く、寒い。最低気温は −20℃ 以下にもなる
夏は涼しい(最高でも30℃程度、避暑地として人気)
梅雨がない(梅雨前線が届かないため)
日本海側:冬に 雪が多い
太平洋側:夏に 霧が多い(寒流の親潮で冷やされた南東の季節風による)
オホーツク海側:冬に 流氷が押し寄せる(網走など)
農業(日本有数の農業地帯)
日本最大級の 農業地帯。都道府県別の食料自給率は全国平均を大きく上回る(数値は資料集で確認)
石狩平野:稲作(涼しい気候に強い「ななつぼし」「ゆめぴりか」などの品種)
石狩平野はもとは泥炭地で稲作に向かなかったが、ほかの土地から質のよい土を運び入れる客土で土をつくり変え、稲作ができるようになった
十勝平野:畑作(じゃがいも・小麦・大豆・てんさい・とうもろこし)
十勝平野では、じゃがいも・小麦・豆類・てんさいなどを年ごとに植えかえる輪作を行い、同じ作物を作り続けて土地がやせるのを防いでいる
根釧台地:酪農(牛乳・チーズ・バター)
大規模機械化農業:1戸あたり耕地面積が広い
てんさい・じゃがいも・小麦などは全国上位の生産量。割合は年で変わるため最新資料で確認
水産業
釧路・稚内・根室:日本有数の漁港
主な水産物:サケ・サンマ・タラ・カニ・ウニ・ホタテ・コンブ
かつて:北洋漁業(北太平洋・ベーリング海)が盛ん
1970年代以降:200海里問題で衰退
現在:「つくり育てる漁業」(養殖・栽培漁業)に転換
ホタテ・サケの栽培漁業が世界的
観光業
札幌雪まつり:冬の代表的なイベント、世界中から観光客
知床(しれとこ):世界自然遺産(2005年登録)
函館:歴史的建造物と夜景
富良野・美瑛:花畑、ラベンダー
小樽:運河と倉庫群
ニセコ:世界的に有名なスキー場、外国人観光客多い
温泉地:登別・洞爺湖・湯の川など
工業と都市
- 札幌市:政令指定都市、人口約195万人(北海道の約4割)
- 食品工業:北海道産農産物の加工
- 製紙・パルプ業:豊富な森林資源
- 苫小牧:石油化学工業、製紙工業
- 室蘭:鉄鋼業(かつて栄えた)
- 新千歳空港:国内線・国際線が発着する北海道最大の空の玄関口で、観光と物流を支える
- 苫小牧・室蘭と本州(青森・大洗など)を結ぶフェリー航路もあり、トラック輸送や観光客の移動を支える
- 北海道新幹線(2016年開通、函館まで)
アイヌ文化
独自の言語・文化を持つ。明治以降、和人との同化政策で文化が衰退。
現在は文化復興と権利尊重が進む。
- 地名:北海道・札幌・釧路・知床などはアイヌ語由来
- 札幌(サッ・ポロ・ペッ):「乾いた・大きな・川」
- 稚内(ヤム・ワッカ・ナイ):「冷たい水の沢」
- 知床(シリ・エトク):「地の先端」
- 2019年:アイヌ施策推進法(アイヌ民族を「先住民族」と明記)
- 2020年:ウポポイ(民族共生象徴空間)が白老町に開設
北海道の歴史
江戸時代までは「蝦夷地(えぞち)」
アイヌが暮らす土地
明治2年(1869):「北海道」と改称
明治政府が 開拓使を設置、開拓を推進
屯田兵制度:兵士でありながら開墾者
アメリカやヨーロッパからの技術導入(札幌農学校など)
「Boys, be ambitious!」(クラーク博士、札幌農学校)
北海道の課題
人口減少:2000年以降、急速に減少(特に地方)
高齢化:全国平均より進んでいる
過疎化:札幌一極集中、他の地域の過疎化
産業の課題:北洋漁業の衰退、農業後継者不足
気候変動:温暖化で農業や水産業に影響
- 札幌(さっぽろ)・釧路(くしろ)・稚内(わっかない)など、アイヌ語由来の地名が多い
- 知床(しれとこ)も「地の果て」を意味するアイヌ語
- 地名の由来を知ると、アイヌ文化の理解が深まる
- 石狩平野 → 稲作
- 十勝平野 → 畑作(じゃがいも・小麦)
- 根釧台地 → 酪農
- 3つを混同しないように、地域と作物をセットで覚える
- 北海道は 冷帯(亜寒帯)気候
- 梅雨がない(東日本・西日本との大きな違い)
- 夏でも涼しい(避暑地として人気)
- 冬は厳しい寒さ、雪と流氷
この章でつまずきやすいところ
北海道のページは「平野ごとの農業」「冷帯の気候」「アイヌ民族の歴史と現在」など、似た言葉が次々と出てきます。本文を読み進める途中で迷いやすい場面を、見分け方とセットで整理しましょう。
石狩・十勝・根釧をひとまとめに考えてしまう
- つまずく場面:本文で石狩平野・十勝平野・根釧台地が続けて出てくると、「広い土地で大規模農業」という共通点に引っぱられ、どこで稲作・畑作・酪農なのかが頭の中で混ざってしまう場面です。
- 克服のコツ:位置関係で整理します。西から東へ「石狩→十勝→根釧」と並ぶイメージで、石狩平野=稲作、十勝平野=畑作、根釧台地=酪農と地域と産業をセットにします。「台地」の名前がついたところは寒さが厳しく稲作に向かないので酪農、と因果でもおさえます。
- ミニ例:本文に「根釧台地」が出てきたら、まず「台地で寒く、土もやせていて稲作に不向き→牧草を育てて酪農」と頭の中で言い直してから読み進めると混同しにくくなります。
「冷帯だから農業に弱い」と読み取ってしまう
- つまずく場面:「冬は−20℃以下になる地域もある」「梅雨がなく冷涼」と書かれていると、寒くて農業に不利な土地だと思い込み、すぐ後に出てくる「日本最大級の農業地帯」という記述と矛盾して感じてしまう場面です。
- 克服のコツ:因果関係で整理します。寒さは不利な面もありますが、本文では「広い土地+冷涼な気候+大規模機械化」が結びついて強みになる、と書かれています。寒い=弱いではなく、寒さに合う作物(てんさい・じゃがいも・小麦)や酪農を選んでいる、と読み替えます。
- ミニ例:「冷帯」という語を見たら、てんさい・じゃがいも・酪農のように寒さに強い作物・畜産がセットで思い出せるかを確認しながら本文を読み進めます。
北洋漁業と「つくり育てる漁業」を同じ話と読んでしまう
- つまずく場面:水産業の段落で「北洋漁業」と「つくり育てる漁業」が続けて出てくると、両方が今も盛んな漁業だと感じてしまい、200海里問題の後で何が変わったのかがあいまいになる場面です。
- 克服のコツ:時系列で整理します。「かつて=北洋漁業が中心(北太平洋・ベーリング海まで出かける漁)」→「1970年代の200海里問題で制限」→「現在=北洋漁業は縮小し、代わりにつくり育てる漁業(養殖・栽培漁業)の比重が高まった」と矢印でつなげて読みます。ゼロイチではなく、比重の変化として整理します。
- ミニ例:ホタテやサケが本文に出てきたら、「遠くの海で獲るだけでなく、育ててから獲る方法の比重が高まった」と言い換えられるかを確かめます。
アイヌ文化を「昔のもの」として読み流してしまう
- つまずく場面:「明治以降の同化政策で文化が衰退」という記述を読むと、アイヌ文化はもう終わったものだと感じてしまい、続く「ウポポイ」「アイヌ施策推進法」が頭に入りにくくなる場面です。
- 克服のコツ:時系列で整理します。「江戸まで=蝦夷地・アイヌの土地」→「明治以降=開拓使・屯田兵で開拓、同化政策で文化衰退」→「現在=2019年アイヌ施策推進法・2020年ウポポイ開設で文化復興」と三段で押さえます。結果として、過去と現在が一本の流れでつながります。
- ミニ例:「札幌」「知床」などアイヌ語由来の地名が出てきたら、地名そのものがアイヌ民族がこの土地に暮らしてきた歴史の名残であり、それが現在の文化復興の取り組みにつながっている、と過去と現在を分けて読み直します。
練習問題
- 北海道の気候帯
- 十勝平野の農業
- 知床は何遺産か
- 北海道の先住民族
答えを見る
(1) 冷帯(亜寒帯) (2) 畑作(じゃがいも・小麦など) (3) 世界自然遺産 (4) アイヌ
次の平野・台地と農業の組み合わせを答えよ。
- 石狩平野
- 十勝平野
- 根釧台地
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(1) 稲作 (2) 畑作(じゃがいも・小麦・てんさい) (3) 酪農
「サッ・ポロ・ペッ(乾いた・大きな・川)」というアイヌ語由来の都市名は?
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札幌
北洋漁業の衰退後、北海道で発展している漁業の形態は?
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つくり育てる漁業(養殖漁業・栽培漁業)。ホタテ・サケなど。
まとめ
- 北海道:冷帯気候、広大な大地、農業大国。
- 農業:石狩平野(稲作)、十勝平野(畑作)、根釧台地(酪農)。
- 水産:「つくり育てる漁業」へ転換。
- 観光:札幌雪まつり、知床、函館、ニセコ。
- アイヌ文化が根付く独自の地方、地名にも痕跡。
- 札幌一極集中、人口減少・高齢化が課題。
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