評論文とは
「自分はこう考える、その理由はこうだ」を組み立てている。
評論文の特徴
- テーマについて筆者の 意見・主張を述べる
- 論理的な構成:問題提起 → 論証 → 結論
- 具体例で抽象的な主張を支える
- 接続詞・指示語が多用される
- 「対比」「比較」が頻出
- 抽象的な概念を扱うことが多い
評論文の典型的な構造
① 序論:話題の提示、問題提起
「現代社会では〜が問題となっている」
② 本論:論証、具体例、対比、反論への対応
「ここで重要なのは〜。たとえば〜。一方で〜」
③ 結論:筆者の主張のまとめ
「結局、〜が大切だ」「以上のことから〜である」
読解のコツ ── 手順
① 話題(テーマ)を最初の段落で特定
② 筆者の主張を見つける(多くは結論部、または最後の段落)
③ 論理展開を追う(主張 → 根拠 → 例)
④ 具体例と 一般論(主張)を区別
⑤ 対比(A と B の比較)に注意
接続語の役割(最重要)
論理の 流れを表す道しるべ。テストで頻出。
| 接続語 | 役割 | 後ろに来る内容 |
|---|---|---|
| だから、したがって、ゆえに | 順接 | 結論 |
| しかし、だが、けれども | 逆接(最重要!) | 前と反対の内容(筆者の主張) |
| また、さらに、しかも | 並列・追加 | 同じ方向の追加情報 |
| たとえば、いわば | 例示 | 具体例 |
| つまり、要するに、すなわち | 要約・言いかえ | 前文の要点 |
| ところで、さて | 転換 | 話題の変更 |
| なぜなら、というのは | 理由 | 根拠の説明 |
| あるいは、または | 選択 | 選択肢 |
「しかし」が重要な理由
「しかし」「だが」の後ろは、筆者の主張が来ることが多い
例:「一見、〜と思われる。しかし、実は〜である」
→ 「しかし」以降に注目!
→ 評論文では「しかし」を見つけたら波線
テストでも「しかし」の後を聞かれることが多い
指示語の処理
指示語(これ・それ・あれ・このような・そういう)が出てきたら、指す内容を特定
多くは 直前の段落・文の中にある(前を見る)
「これとは何か」「これが指すものは」の問題で頻出
→ 指示語を その指す言葉に置き換えて読み直す
段落の役割を見抜く
- 導入段落:話題の提示
- 具体例の段落:抽象的主張を例で示す
- 主張の段落:筆者の意見・結論
- 反論への対応段落:「確かに〜だが、〜」
- 要約段落:まとめ
- 各段落の 役割を意識して読む
具体例の見分け方
具体例:個別の事実(「Aさんは〜した」「ある国では〜だ」)
主張:抽象的な意見(「〜が重要だ」「〜であるべきだ」)
「たとえば」「具体的には」の後ろは具体例
「つまり」「要するに」の後ろは主張
→ 「筆者の言いたいこと」を聞かれたら 抽象的な主張を答える
対比構造を見抜く
「A と B」を比べる文章はとても多い
例:日本人と西洋人、昔と今、男と女
対比の言葉:「一方」「他方」「逆に」「これに対して」
→ 2つを表で整理すると分かりやすい
→ 筆者がどちらに肯定的かを見る
「だが」前のフェイント
評論文では「一般的にはこう考えられる」と書き、その後「しかし」で反論する構造が多い
× 最初の段落の主張をそのまま「筆者の主張」と思い込む
○ 「しかし」の後、最終段落をよく読む
→ 逆接の後に筆者の本当の主張がある
- 主張:抽象的・一般的
- 具体例:個別の事実
- 「筆者の言いたいこと」は 抽象的な主張
- 具体例だけ抜き出しても点にならない
- 「しかし」「だが」「けれども」の後ろは 筆者の主張になりやすい
- 逆接が出てきたら波線を引く
- 「一見〜だ。しかし、実は〜」のパターンに注意
- 「これ」「それ」を 指している内容に置き換えて読み直す
- 多くは直前にある(前を見る)
- 段落をまたぐこともあるので、文脈を確認
教科書で確認した評論読解の軸
- 評論は、筆者の主張とそれを支える理由・具体例で組み立てられる。
- 接続語は段落の関係を示す標識。「しかし」「つまり」「たとえば」は特に重要。
- 指示語は、直前だけでなく段落全体を受けることがある。
- 具体例は、筆者の考えをわかりやすくする材料。
- 要約では、例を削り、抽象的な主張を残す。
この章でつまずきやすいところ
評論文を読み進めている途中で、つい具体例を主張と取り違えたり、「しかし」を読み飛ばしたりして迷子になることがあります。本文を読んでいるその瞬間に起きやすい迷いを整理しました。
具体例を筆者の主張と思い込んでしまう
- つまずく場面:本文を読み進めていて「Aさんは月に5冊の本を読み、語彙が増えた」のような一文に出会うと、ここが筆者の言いたいことに見え、傍線部の答えにそのまま使ってしまいそうになる迷いの場面。
- 克服のコツ:位置関係で見分ける。「たとえば」「具体的には」の直後は具体例、「つまり」「要するに」の直後は主張。具体例の段落の前か後ろに、それを一般化した一文が必ずあるので、その抽象的な文を主張として拾う。
- ミニ例:「Aさんは本を読んで語彙が増えた」が具体例なら、その近くに「読書は人を成長させる」のような一般化された文があり、教科書ではこちらを主張として整理する。
「しかし」の前を筆者の意見だと読んでしまう
- つまずく場面:「一見、便利に思える。しかし、実は問題もある」という段落を読んでいる途中、最初の「便利に思える」が強く印象に残り、ここが筆者の意見だと感じて、そのまま読み進めてしまう迷いの場面。
- 克服のコツ:時系列(前後関係)で整理する。逆接の「しかし」「だが」「けれども」の前は一般論や反対意見、後ろが筆者の本当の主張になりやすい。「しかし」を見つけたら波線を引き、必ずその後ろを読み直してから先に進む。
- ミニ例:「確かにAは便利だ。しかし、Aには問題もある」では、教科書では「Aには問題もある」の側を筆者の主張として整理する。
指示語「これ」を直前の単語だけに置き換えてしまう
- つまずく場面:「現代社会ではデジタル機器が普及している。これは便利な一方で…」を読んでいる途中、「これ」を直前の「デジタル機器」という一語だけに置き換えてしまい、文全体が不自然になる迷いの場面。
- 克服のコツ:位置関係で確かめる。指示語は直前の一語ではなく、直前の文や段落の内容全体を受けることが多い。仮に置き換えてみて、文意が自然につながるかを音読で確認する。段落をまたぐ場合もあるので、戻る範囲を広めに取る。
- ミニ例:上の例では「これ」を「デジタル機器が普及していること」と置き換えると文意が通る。教科書では指示語は事柄全体を受けるものとして整理する。
最後の段落だけ読めば主張がわかると思い込む
- つまずく場面:時間が無いとき、評論文の最終段落だけを読んで筆者の主張をつかもうとし、序論で提示された話題や本論の対比を素通りしてしまい、結論の意味が薄く感じられる迷いの場面。
- 克服のコツ:因果関係で読む。結論は序論の問題提起と本論の根拠・対比を受けて出てくるため、最終段落だけでは「なぜそう言えるか」が欠ける。序論で話題を、本論で「A対B」の対比を押さえ、最後に結論へつなげて読むと主張が安定する。
- ミニ例:序論で「現代社会の問題提起」、本論で「昔と今の対比」を踏まえると、結論の「〜が大切だ」という主張がなぜ導かれるかが見えてくる。
練習問題
次の接続語の役割を答えよ。
- しかし
- たとえば
- つまり
- だから
- また
答えを見る
(1) 逆接 (2) 例示 (3) 要約・言いかえ (4) 順接 (5) 並列・追加
次のうち、具体例にあたるものはどれか。
- 「読書は心を豊かにする」
- 「私の友人 A さんは月に5冊の本を読み、語彙が増えたと言っていた」
- 「人は本を読むことで成長する」
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(2) が具体例(個別の事実)
(1)(3) は主張(一般的な意見)
「現代社会ではデジタル機器が普及している。これは便利な一方で、人々の集中力低下も招いている」の「これ」は何を指すか。
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「デジタル機器の普及」「デジタル機器が普及していること」
「確かに、A は便利だ。しかし、A には問題もある」の文で、筆者の主張に近いのはどちらか。
答えを見る
「A には問題もある」(しかしの後ろが筆者の主張)
まとめ
- 評論文:筆者の主張+根拠+例。
- 3段構成:序論(問題提起)→ 本論(論証)→ 結論(主張)。
- 接続語で論理の流れを追う(特に「しかし」に注目)。
- 指示語は直前にある内容を指す。
- 「主張」(抽象的)と「具体例」(個別事実)を区別。
- 対比構造に注意(A vs B)。
- 「しかし」「だが」の後に筆者の本当の主張がある。
もっと知る ── 発展・実生活(出典つき)
※ 教科書の内容に、信頼できる出典をもとにした発展・実生活・時事の話題を補足しています(教科書そのものではありません)。
日本の中高生の読解力は世界トップ級実生活
OECDが約3年ごとに行う学習到達度調査(PISA)の2022年結果で、日本の読解力は参加81か国・地域中3位、OECD加盟国中2位でした。平均得点は516点でOECD平均476点を大きく上回っており、評論文を正確に読み取る力は将来世界で通用する力につながります。
偽情報を見抜くにも「主張と根拠」を分ける力発展
総務省が2025年に公表したICTリテラシー実態調査では、偽・誤情報に接触した人の約25%が何らかの形でそれを拡散していました。評論読解で学ぶ「筆者の主張」と「根拠」を区別する習慣は、ネット上の情報が本当に根拠をもつかを見極める力にそのままつながります。
接続詞は文章を論理的に読む「道しるべ」発展
国立国語研究所では、石黒圭教授らが「だから」「しかし」などの接続詞が文章の論理関係を示す働きを研究しています。接続詞は文と文の関係を表す記号であり、評論文ではこれを手がかりにすると、どこが理由でどこが結論かを見分けやすくなります。
国語の「ことばの感覚」は国の調査でも変化が追われている実生活
文化庁は1995年度から毎年「国語に関する世論調査」を行い、言葉の使い方や意味の受け取り方が時代とともにどう変わるかを調べています。評論文では同じ言葉でも文脈で意味が変わるため、こうした言葉への感覚を磨くことが正確な読解につながります。
子どもの頃の読書が「考える力」を育てる発展
国立青少年教育振興機構の2021年の調査研究では、子どもの頃に多く読書をしてきた人ほど、自己理解力・批判的思考力・自律的に行動する力といった力が高い傾向が示されました。評論文を読む経験は、筆者の考えを吟味して自分で判断する力を育てます。
