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質量保存の法則は「どこまでを全体として測るか」がかぎです。密閉容器の中では、発生した二酸化炭素も外へ出られないので質量は変わりません。ふたを開けて軽くなるのは、物質が消えたのではなく CO₂ が容器の外へ移動しただけです。
質量保存の法則
1789年 フランスの化学者 ラボアジエが発見。
なぜ変わらない?
化学変化では 原子の組み合わせが変わるだけ
原子そのものは 消えたり生まれない
→ 反応前後で各原子の数は同じ
→ 全体の質量は変わらない
密閉容器での実験
プラスチック容器に、塩酸と炭酸水素ナトリウムを入れる(互いに触れないように分けて)
容器全体の質量を測る
容器を傾けて反応させる(CO₂ が発生して泡が出る)
再度質量を測る → 変わらない
→ 質量保存の法則を確認
目的:気体が発生する化学変化でも、容器全体の質量が保存されるかを確かめる。
観察事実:泡が出て二酸化炭素が発生しても、密閉した容器全体の質量はほぼ変わらない。
考察:発生した二酸化炭素も容器の中に残っているため、反応前後で物質全体の質量は変わらない。
誤差の見方:測定値が少しずれる場合は、容器の水滴、ふたのゆるみ、電子てんびんの読み取りなどを疑う。
気体が出る場合の注意
同じ実験で蓋を開ける
→ CO₂ が容器の外へ逃げる
→ 容器の質量が 減ったように見える
→ 実際は、CO₂ の質量分が外に出ただけ。物質は消えていない。
気体を吸収する反応
3Fe + 2O₂ → Fe₃O₄
空気中で燃やすと、酸素が結びついて質量が 増える
増えた質量=結びついた酸素の質量
密閉容器(中に空気を入れた状態)で燃やせば、全体の質量は不変
銅の酸化と質量の関係
2Cu + O₂ → 2CuO
銅:酸素:酸化銅 = 4:1:5(質量比)
例:銅 4g + 酸素 1g → 酸化銅 5g
この比は 常に一定(定比例の法則)
同様に、マグネシウムと酸素は 3:2:5(質量比)で結びつく(2Mg + O₂ → 2MgO)。マグネシウム 3g を完全に酸化させると、酸化マグネシウムは 5g できる。
定比例の法則
例:水 H:O = 1:8(質量比)。常に同じ。
計算問題のコツ
銅 8g を完全に酸化させると、酸化銅は何 g できるか?
銅:酸化銅 = 4:5 → 8:x = 4:5 → x = 10
→ 酸化銅 10g
結びついた酸素:10 − 8 = 2g
ラボアジエの貢献
- 1789年「化学原論」で質量保存の法則を発表
- 近代化学の父と呼ばれる
- 燃焼の正体(酸素と結びつくこと)を明らかに
- フランス革命で処刑されたが、業績は不朽
- 気体が外に出ると、見かけ上質量は減る。
- 本当に物質が消えたわけではなく、容器の外に 移動しただけ。
- 密閉容器で実験すれば、本当の質量保存が確認できる。
- 銅:酸素:酸化銅 = 4:1:5 は 覚える。
- 銅 4g + 酸素 1g = 酸化銅 5g という関係。
- 比の問題は、与えられた量を上の比に当てはめて解く。
この章でつまずきやすいところ
質量保存の法則は「全体で見れば変わらない」のがポイントですが、本文や実験結果を読んでいる途中で「気体が出たら減るのでは?」「燃やすと増えるのでは?」と迷いがちです。場面ごとの迷いどころと立て直し方を整理します。
気体が発生したら質量は減ると思い込んでしまう
- つまずく場面:炭酸水素ナトリウムと塩酸の実験を読んでいて、泡(二酸化炭素)が出る場面で「気体が出ていったぶんだけ軽くなるはず」と感じ、密閉した容器の質量がほぼ変わらないという結果に納得できなくなる。
- 克服のコツ:「どこまでを全体として測っているか」を位置関係で確認するのがコツ。ふたを閉じた容器の中にいる原子は外に出られないので、気体になっても容器内にとどまり、質量は保たれる。逃げ場があるかどうかで結果が変わると整理する。
- ミニ例:プラスチック容器の中で塩酸と炭酸水素ナトリウムが反応し、CO₂の泡が出ても、ふたを閉じたままなら容器全体の質量はほぼ変化しない。
ふたを開けたら物質が消えたと思い込んでしまう
- つまずく場面:同じ反応でふたを開けた場合の結果を読んでいて、容器の質量が減ったと書かれているのを見て「やっぱり物質は消えるんだ」と感じ、密閉のときの結論とどちらが正しいのか分からなくなる。
- 克服のコツ:因果関係で整理する。質量が減ったのは消えたからではなく、CO₂が容器の外へ移動したから。「見かけの変化」と「実際の変化」を分けて考え、外に出た気体まで含めれば全体の質量は変わっていない、と読み直すとよい。
- ミニ例:ふたを開けた容器では、発生したCO₂が空気中へ逃げるため見かけ上質量が減るが、逃げた気体の質量を足せば反応前と同じになる。
スチールウールを燃やすと質量が増えるので法則が成り立たないと思い込んでしまう
- つまずく場面:スチールウールを空気中で燃やすと質量が増えるという記述を読み、直前で学んだ「化学変化の前後で質量は変わらない」という法則とぶつかって、どちらが本当なのか迷う。
- 克服のコツ:「何と何を合わせて反応前と呼ぶか」を見分けるのがコツ。空気中で燃やすときの増加分は、結びついた酸素の質量。スチールウールだけでなく、結びつく前の酸素まで含めて全体と考えれば、反応前後の質量は等しい。
- ミニ例:鉄 + 酸素 → 酸化鉄 という反応で、結びついた酸素の質量分だけ固体は重くなるが、密閉容器の中で燃やせば容器全体の質量は変わらない。
質量比4:1:5をその場の数値そのままだと思い込んでしまう
- つまずく場面:銅:酸素:酸化銅 = 4:1:5 という比を読んでいる途中で、例題に銅8gが出てきた瞬間に「比の数字と数値が違う」と混乱し、4gや1gという数値そのものを使おうとしてしまう。
- 克服のコツ:比はそのままの数値ではなく割合。与えられた量を比の同じ位置に当てはめ、比例式で求めるという順番で処理する。
- ミニ例:銅8gのとき、銅:酸化銅 = 4:5 に当てはめて 8:x = 4:5 → x = 10g。酸素は 10 − 8 = 2g と求められる。
練習問題
- 質量保存の法則を発見した人
- 何年に発表されたか
- なぜ質量が保存されるか
答えを見る
(1) ラボアジエ (2) 1789年 (3) 化学変化では原子の組み合わせが変わるだけで、原子は消えたり生まれたりしないから
銅と酸素は質量比 4:1 で結びつく。次を求めよ。
- 銅 12g と結びつく酸素の質量
- 銅 8g からできる酸化銅の質量
- 酸化銅 25g に含まれる銅の質量
答えを見る
(1) 12 × 1/4 = 3g (2) 銅:酸化銅 = 4:5、8:x = 4:5 → 10g (3) 酸化銅:銅 = 5:4、25 × 4/5 = 20g
スチールウールを空気中で燃やすと質量はどう変化するか。また、密閉容器内で燃やした場合は。
答えを見る
空気中:酸素と結びつくので質量が 増える
密閉容器:容器全体の質量は 変わらない(質量保存)
まとめ
- 質量保存の法則:化学変化前後で 質量は変わらない。
- 理由:原子は消えたり生まれない。
- 気体が出る場合は 密閉容器で確認する。
- 定比例の法則:化合物の元素質量比は一定。
- 銅:酸素:酸化銅 = 4:1:5 は要暗記。
もっと知る ── 発展・実生活(出典つき)
※ 教科書の内容に、信頼できる出典をもとにした発展・実生活・時事の話題を補足しています(教科書そのものではありません)。
ラボアジエはなぜ「質量は変わらない」と確かめられたのか発展
ラボアジエは、密閉した容器の中で物質を反応させ、反応の前後の質量を精密なてんびんで測る定量実験をくり返しました。1789年の著書『化学原論』で、化学変化が起きても全体の質量は変わらないことを明確に示し、近代化学の出発点になりました。「測って比べる」という考え方が、法則を発見するうえで決め手だったのです。
「燃えると軽くなる」という昔の考えは間違いだった発展
ラボアジエより前の時代には、物が燃えると「フロギストン(燃素)」が逃げて軽くなる、という説が信じられていました。しかしラボアジエは金属を燃やすと逆に重くなることを実験で確かめ、燃焼とは物質が酸素と結びつくことだと示しました。結びついた酸素の分だけ重くなるので、密閉容器で全体を見れば質量保存の法則と矛盾しません。
使い捨てカイロが温かくなるのも鉄と酸素の反応実生活
使い捨てカイロは、中の鉄粉が空気中の酸素と結びついて酸化鉄(さび)になるときに熱を出すしくみです。鉄を細かい粉にして塩や水を加え、さびる反応を速めることで、短時間でしっかり温かくなります。教科書のスチールウールを燃やす実験と同じ「鉄+酸素」の酸化が、身近な暖房に使われているのです。
パンやお菓子がふくらむのは二酸化炭素のはたらき実生活
重曹(炭酸水素ナトリウム)を生地に入れて加熱すると、炭酸ナトリウム・水・二酸化炭素に分解され、発生した二酸化炭素のあわが生地を内側から押し広げてふくらませます。教科書で学ぶ炭酸水素ナトリウムの分解と同じ反応が、料理の現場で使われているのです。逃げていく二酸化炭素にも質量があるので、ふたをしない調理では全体の重さは減ります。
気体にも質量がある──だから「消えた」わけではない発展
炭酸水素ナトリウムと塩酸を反応させると二酸化炭素が発生しますが、ふたを閉じた容器では全体の質量は変わりません。これは発生した気体も容器の中に残り、その分の質量がきちんと保たれているからです。ふたを開けると気体が外へ出て質量が減ったように見えますが、物質が消えたのではなく、二酸化炭素の質量分が外に移動しただけです。
植物の光合成も原子のつくりかえで成り立つ発展
植物は気孔から取り入れた二酸化炭素と根から吸い上げた水を材料に、光のエネルギーを使ってデンプンと酸素をつくります。これも炭素・酸素・水素などの原子が消えたり生まれたりせず、組み合わせを変えているだけなので、質量保存の考え方が当てはまります。化学変化の前後で原子の数は変わらない、という見方は生き物の中でも成り立つのです。
