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発熱反応と吸熱反応 ── 熱を出す/吸う化学変化

化学変化には、熱を出すもの熱を吸うものがあります。使い捨てカイロは発熱反応、冷却パックは吸熱反応。身近な現象の裏にある化学の世界を見ていきます。

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発熱反応と吸熱反応の違い 反応前 条件 粒子変化 反応後 温度変化は、物質そのものだけでなく周囲との熱の出入りとし て見ると理解しやすくなります。
発熱反応と吸熱反応の違い

温度変化は、物質そのものだけでなく周囲との熱の出入りとして見ると理解しやすくなります。

発熱反応

用語
発熱反応
化学変化のとき 熱を出す反応。周囲の温度が上がる。
「反応物のもつエネルギー > 生成物のもつエネルギー」で、差の分が熱として放出される。

吸熱反応

用語
吸熱反応
化学変化のとき 熱を吸う反応。周囲の温度が下がる。
反応するためにエネルギーが必要で、それを熱として吸収する。

発熱反応の例

  • 燃焼:木・紙・ガスが燃える → 炎・熱・光
  • 使い捨てカイロ:鉄粉の酸化で発熱
  • 中和反応:酸とアルカリ → 温度上昇
  • マグネシウムと希塩酸:Mg + 2HCl → MgCl₂ + H₂(発熱)
  • 水と酸化カルシウム(生石灰):温泉卵を作る加熱に使われる
  • 呼吸:糖を分解してエネルギーを得る(体温の維持)

吸熱反応の例

  • 瞬間冷却パック:硝酸アンモニウム+水で温度低下
  • クエン酸+重曹:温度が下がる
  • 炭酸水素ナトリウムの熱分解:熱を加える=吸熱
  • 光合成:光のエネルギーを使って糖を作る
  • 水酸化バリウム+塩化アンモニウム:劇的に温度が下がる実験

カイロの仕組み(詳細)

使い捨てカイロ

中身:鉄粉、活性炭、塩水、保水材

袋を開ける → 空気(酸素)が入る

鉄粉 + 酸素 → 酸化鉄 + 熱

化学反応式:4Fe + 3O₂ → 2Fe₂O₃ + 熱

活性炭:酸素を吸着して反応を助ける

塩水:反応を促進

→ 数時間にわたって暖かさが持続

冷却パックの仕組み

瞬間冷却パック

袋の中に水と硝酸アンモニウム(NH₄NO₃)が別々に入っている

袋を押して中の仕切りを破る

→ 硝酸アンモニウムが水に溶けるとき 熱を吸う

→ 温度が急激に下がる

→ スポーツの応急処置などに使う

反応のエネルギー

  • 反応物生成物はそれぞれエネルギーを持つ
  • 反応物の化学エネルギーのほうが大きい → 余った分が熱として出る → 発熱反応
  • 生成物をつくるのに周囲から熱を取り込む → 吸熱反応
  • このエネルギーを「化学エネルギー」という

温度変化を調べる実験

観察の流れ

目的:反応前後の温度を比べ、熱を出す反応か、熱を吸う反応かを判断する。

手順:反応前の温度を測る → 物質を混ぜる → かき混ぜながら最高または最低温度を記録する。

観察事実:温度が上がれば周囲へ熱が出た、温度が下がれば周囲から熱が奪われたと考える。

考察:温度計が示すのは「反応そのものの温度」ではなく、反応が起きたまわりの水溶液や容器の温度変化である。

安全メモ:強い吸熱・発熱反応を家庭で試さない
  • 生石灰と水、水酸化バリウムと塩化アンモニウムなどは、強い発熱・吸熱や有害性を伴うことがある。
  • 教科書実験は先生の指示、保護具、少量の薬品、換気のもとで行う。
  • 温度変化だけを確かめたいときは、市販品を分解せず、外側から温度を測る程度にとどめる。

身近な発熱・吸熱の活用

  • 発熱:暖房・調理・お風呂を沸かす
  • 吸熱:冷却・冷蔵・凍結
  • 食品の保存:吸熱で温度を下げて細菌の繁殖を抑える
  • 植物の光合成:吸熱反応で太陽エネルギーを糖(化学エネルギー)に変える
つまずきポイント①:温度変化の方向
  • 発熱反応:反応物 → 生成物 + 熱(周りが熱くなる)
  • 吸熱反応:反応物 + 熱 → 生成物(周りが冷たくなる)
  • 「発」=出す、「吸」=取り込む、と覚える。
つまずきポイント②:エネルギー保存
  • 発熱反応:化学エネルギーが熱エネルギーに変わる
  • 吸熱反応:熱エネルギーが化学エネルギーに変わる
  • エネルギー全体は 保存される(熱力学第1法則)。

練習問題

問題1(発熱・吸熱の判別)

次は発熱反応か吸熱反応か。

  1. 使い捨てカイロ
  2. 瞬間冷却パック
  3. 木が燃える
  4. 植物の光合成
  5. 呼吸
  6. 中和反応
答えを見る

(1) 発熱 (2) 吸熱 (3) 発熱(燃焼) (4) 吸熱 (5) 発熱 (6) 発熱

問題2(カイロの原理)

使い捨てカイロが温かくなる理由を、化学反応式を使って説明せよ。

答えを見る

袋を開けると空気中の酸素が入り、鉄粉が酸化される。この酸化反応 4Fe + 3O₂ → 2Fe₂O₃ は発熱反応で、熱を放出するため温かくなる。

問題3(吸熱反応)

吸熱反応では周りの温度はどうなるか。なぜか。

答えを見る

下がる。化学変化で熱を吸収するため、周囲から熱を奪う。

まとめ

  • 発熱反応:熱を出す(燃焼・カイロ・中和)。周囲が暖かくなる。
  • 吸熱反応:熱を吸う(冷却パック・光合成)。周囲が冷たくなる。
  • 身近な現象は 化学変化+エネルギーのやり取りで説明できる。
  • エネルギー全体は保存される。