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デジタル好きな子を伸ばす親、つぶす親の違い

子どもがゲームやプログラミング、動画編集に夢中になっている姿を見ると、保護者の気持ちは揺れます。

楽しそうでうれしい一方で、「見せすぎではないか」「将来の役に立つのか」「もっと外で遊んでほしい」と不安になることもあります。その不安自体は、とても自然なものです。

ただ、その不安にどう向き合うかで、子どものデジタルへの興味は大きく変わります。

一方的に止めるのか、関心の中身を一緒に見てみるのか。そこに、デジタルに興味を持つ子どもを「伸ばす親」と「つぶす親」の分岐点があります。

つぶす親の三つのパターン

第一は、一方的な制限です。「1日1時間まで」「夜8時以降は禁止」──スクリーンタイムを管理すること自体は間違いではありません。しかし、子どもと話し合わずに制限を課すと、デジタルへの関心そのものを「禁じられたもの」として歪める危険があります。デジタルが好きな子どもにとって、これは読書好きな子の本を取り上げるのと同じ意味を持ちます。東北大学加齢医学研究所の研究でも、スクリーンタイムそのものより「質」と「文脈」が脳への影響を左右すると報告されており、時間だけを根拠にした制限は再考が必要です。

第二は、成果を急ぐことです。「プログラミングを習ったら成績は上がった?」「それ、将来の仕事に役立つの?」──親が期待する「成果」を早期に求めると、子どもは「好き」という純粋な動機を失います。教育心理学では、外部の評価や報酬で動かされる外発的動機は、長期的な学習継続力を低下させることが知られています。内発的動機──純粋に「面白い」「もっと知りたい」という感覚──こそが、深いスキルへとつながる燃料です。

第三は、無関心または強制です。子どもの関心を「ゲームは遊びでしょ」と切り捨てるか、反対に「プログラミング教室に行きなさい」と本人の意欲と関係なく強制するか──どちらも内発的動機を損ないます。

伸ばす親がやっていること

オリコン顧客満足度調査(2024年)によると、プログラミング教室に通わせている理由の第1位は「子どもが通いたいと言ったから」(45.5%)でした。伸ばす親は「子どもがやりたがっている」という事実を起点に動きます。具体的には、次の三つの行動に集約されます。

①環境を提供する──パソコン、インターネット環境、時間。デジタルに夢中な子どもが「今すぐやりたい」と思ったとき、それを実現できる環境があるかどうかが才能の芽を左右します。

②プロセスを言語化して認める──「うまくできたね」より「どうやって考えたの?」と問いかけることで、子どもは自分の思考プロセスを言語化し、自己効力感を高めます。

③子どもの「わかった!」を一緒に喜ぶ──親自身がデジタルに詳しくなくて構いません。「それすごいね、どういう仕組みなの?」と純粋に興味を示すだけで、子どもは「自分のやっていることに価値がある」と感じます。

ニューズウィーク日本版が報告した研究によると、「ギフテッド」と呼ばれる才能豊かな子どもたちの親に共通するのは「勉強しなさい」と言わなかったことであり、子どもが「学びたい」と感じたとき、その情報へアクセスする方法を教えていたという点です。伸ばす親の本質は、知識の量より「扉の開け方」を知っていることにあります。

最初の一歩は「環境」にある

どれほど才能の芽があっても、自宅にパソコンがなければ、その芽を育てる場所がありません。デジタルこどもBASEでは、パソコンを持てない子どもへの無償提供と、プログラミング・AI・動画編集を自由に試せる場の提供を続けています。「伸ばす親」になるための最初のステップは、まず「環境を整えること」です。それができないご家庭に対して、私たちは隣にいたいと考えています。

参考資料