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不登校×パソコン学習が新しい選択肢になる理由

学校に行けない日があっても、学びたい気持ちまでなくなるわけではありません。

教室に入ることが難しい子でも、家や安心できる場所なら集中できることがあります。人間関係の負担が少ない環境であれば、自分のペースで力を出せる子どももいます。

文部科学省の2024年度調査によると、小中学生の不登校者数は35万3,970人となり、過去最多を更新しました。これは12年連続の増加であり、小学校全体では27人に1人が不登校に該当する計算です。

もはや「特殊なケース」とは言えない規模であり、社会全体の課題として受け止める必要があります。

こうした現実を受け、文部科学省は支援の方針を大きく転換しつつあります。「学校に戻ること」を唯一のゴールとする従来の支援から、子どもが自分に合った方法で学びを継続できる環境の整備へ。その中核となるのが、ICT(情報通信技術)を活用した学習の制度化です。文科省は2026年度中に、不登校の希望者全員へオンライン授業を提供することを目標として掲げています。

ICT出席認定制度が変えるもの

現行の制度では、不登校の子どもが自宅でICTを活用した学習活動を行った場合、一定の要件を満たせば「出席扱い」とすることができます。これは文科省の通達に基づく制度であり、学校の指導要録に正式な出席として記録されます。「学校に行けていないから、何も積み上がっていない」という子どもと保護者の焦りを軽減するうえで、大きな意味を持ちます。

ICT出席認定の対象となる学習活動には、オンライン教材・動画受講に加え、プログラミングやデジタル制作活動も含まれ得ます。必要なのはパソコンとインターネット環境のみ。学校に行かなくても、自宅から学びを積み上げる道が、制度として整備されつつあります。

なぜパソコン学習が不登校の子どもに向くのか

集団のペースに合わせることが難しい子どもにとって、自己ペースで進められる学習環境は大きな意味を持ちます。パソコンを使ったプログラミングや動画編集は、その点で優れた特性を持っています。

特に注目されるのは「即時フィードバック」の効果です。コードを1行書けば画面が動く、パラメータを変えれば音が変わる──「試したら即座に結果が返ってくる」体験は、多くの学習活動には見られない特性です。失敗してもなぜ失敗したかがすぐにわかり、改善できる。この「小さな成功の積み重ね」が自己効力感を回復させ、「自分にも何かができる」という感覚を取り戻す力になります。

不登校の子どもを支援する教育機関からも、パソコン学習を通じた事例報告が相次いでいます。Scratchで迷路ゲームを作り学校の発表会で披露した中学生、Pythonで家計管理ツールを作り家族から感謝された高校生──「作る体験」が、止まっていた時間を再び動かすきっかけになっています。

「学校復帰」だけがゴールではない

不登校支援の議論でしばしば見落とされるのは、「学校に戻ること」を唯一のゴールとする発想の限界です。子どもによっては、学校という環境が合わないまま成長し、そのまま社会に出ていくケースもあります。その場合、学校の外で積み上げた本物のスキルが将来への橋渡しになります。

プログラミング・AIの活用・動画編集・デジタルデザイン──これらは今の労働市場で確実に需要があるスキルです。不登校の期間を「空白」ではなく「成長」の時間に変える可能性が、パソコン学習にはあります。学校の成績表には現れないが、社会では明確に評価される力を、子どもは着実に育てることができます。

デジタルこどもBASEでは、不登校の子どもを含むすべての子どもに開かれた放課後スペースを提供しています。家庭にパソコンのない子どもへの無償提供も行っており、「学校に行けなくても、ここに来れば何かできる」という場所であり続けたいと考えています。

参考資料