クレジットカードの明細を見て、見覚えのない月額課金が連なっていた──そんな経験を、子どもに端末を持たせている家庭から聞くようになりました。本人に聞いても「ゲームの中で押しただけ」「無料って書いてあった」と言うばかり。気づいた時には半年分、数万円が引き落とされていた、ということもあります。
子どもとお金の問題は、現金やお小遣いの話だけで済まなくなりました。クリック1回で課金が完了する仕組みの中で、お金の感覚をどう育てるか。これは家庭でしか始められない教育です。
・小中高生の「オンラインゲーム」に関する相談は2022年度に4,024件、平均契約購入金額は約33万円(国民生活センター・2024年3月発表)
・2023年度にすでに支払われていた金額の平均は、小学生10万5,741円・中学生19万3,366円(国民生活センター・2025年3月発表)
・課金経路は、家族が登録済みのクレジットカードや、キャリア決済(携帯料金との合算)が多く、子ども本人が金額を実感しにくい構造です。
「無料」と「課金」の境界が見えにくい
多くのスマートフォン向けゲーム・アプリは「基本プレイ無料」をうたっています。実際にダウンロードと最初の数時間は無料で楽しめますが、その後ゲームを有利に進めたり、特別なアイテムを得たりするためには、アプリ内課金(IAP)が必要になります。
子どもの目線では、「無料って書いてあったゲームの中で、いつもと同じようにボタンを押した」だけです。決済の確認画面はあっても、認証パスワードが家族の端末に保存されたままなら、ワンタップで通過します。請求が届くのは月末で、何にいくら使ったかを子ども自身が把握する仕組みは、ほとんど用意されていません。
家庭で先に決めておく、3つの仕掛け
子どもが課金トラブルに巻き込まれないために、家庭で先に整えておきたい仕掛けは大きく3つあります。
第一に、端末側の決済制限を必ず設定する。iOSなら「スクリーンタイム」、Androidなら「ファミリーリンク」で、アプリ内課金を保護者の承認制にできます。家族のクレジットカードを子どものアカウントに残しっぱなしにしないこと。これだけで、衝動的な課金の大半は防げます。
第二に、子ども専用の「使えるお金の上限」を作る。プリペイドカードやコンビニで買えるギフトコードを、月ごとに金額を決めて渡す方式は有効です。「自分の手の中にあるお金の範囲で何に使うか」を考える経験が、デジタル上の金銭感覚を育てます。クレジットカードに直結したアカウントを子どもに渡すのは、まだ早い段階での「無制限ライセンス」を渡すことに近いと考えています。
第三に、「使った後に振り返る」習慣を作る。月末に明細を一緒に見て、何にいくら使ったかを確認する。怒るためではなく、振り返るためです。子どもが自分で「これは買わなくてもよかったな」と気づける機会を、家庭で意図的に作ることが、長期的に効きます。
トラブルが起きてしまったときは
すでに高額の請求が発生してしまった場合、未成年者の契約は「未成年者取消権」によって、一定の条件下で取り消せる可能性があります。消費者ホットライン(局番なしの188)に相談すれば、地域の消費生活センターにつながり、具体的な対応を案内してもらえます。「子どもに非がある」と諦める前に、まず公的な相談窓口に当たってください。
お金もデジタルも、家庭で先に話しておく
サブスク・課金は、これからますます子どもの生活に入り込みます。「失敗してから学ぶ」のは健全な学習プロセスですが、失敗の規模が数十万円になると、健全とは言えなくなります。
デジタルこどもBASEでは、子ども向けのお金とデジタルの講座も検討しています。家庭でのデジタル消費のご相談も、お気軽にどうぞ。
