AIが子どもの「話し相手」になりはじめた――宿題の調べものの隣で

宿題の調べものをしていたはずの子どもが、ふと画面をのぞくと、AIと雑談をしていた。そんな場面に出会う日が、これから少しずつ増えていきます。

AIは怒らず、急かさず、どんな話題にもすぐ返事をくれます。子どもにとって、これほど気楽な相手はいないのかもしれません。

数字で見る「子どもとAI」の今

NTTドコモ モバイル社会研究所が2025年11月に全国の小中学生とその親1,200組を対象に行った調査では、中学生の生成AI利用率は4割を超え、1年前の約3倍(27ポイント増)になりました。使い道の中心は「調べもの」が7割超、「宿題や課題」が半数超。ここまでは、多くの保護者が想像するとおりの姿です。

「調べもの」の隣で広がる“話し相手”利用

一方、メンタルヘルスアプリを運営する株式会社Awarefyが2025年9月に行った調査(917名を分析)では、未成年の35.6%が対話型生成AIを利用しており、ChatGPTの規約上は利用できない13歳未満でも26.0%が使っていました。目的として多いのは勉強や調べものですが、「趣味の話」や「雑談」といった話し相手としての利用も並んでいます。しかも利用者の8割以上は学校支給ではなく個人用のアカウントで使っており、半数以上が週1回以上利用しています。つまり、学校の目が届かない場所での利用が主流だということです。

米国では3人に1人が「友人との会話と同等以上」

米国はさらに先を行きます。非営利団体Common Sense Mediaが2025年に13〜17歳の1,060人を対象に行った調査では、72%が「AIコンパニオン」(会話や関係づくりを目的としたAI)を使った経験があり、3人に1人は「AIとの会話は現実の友人との会話と同じか、それ以上に満足できる」と答えました。重要な相談を人ではなくAIに話したという回答も、利用経験のある子の3人に1人にのぼります。同時に、利用経験のある子の8割は、AIより現実の友だちと過ごす時間のほうが長いと答えており、年齢が低い子ほどAIを信頼しやすい傾向も示されました。

問題は「摩擦のなさ」にある

注目すべきは、使っているかどうかではなく、どう使っているかです。AIとの会話には、人間関係につきものの摩擦がありません。意見はぶつからず、待たされず、嫌われることもない。しかし子どもは本来、意見の食い違いや気まずさ、仲直りといった摩擦の中で人との付き合い方を身につけていきます。摩擦のない会話が心地よいのは大人も同じで、これは子どもだけの話ではありません。年齢が低いほどAIを信頼しやすいという調査結果は、AIとの距離感を学ぶ機会が早い時期から必要であることを示しています。

保護者ができること

利用の8割以上が個人アカウントである以上、子どもとAIのやり取りは家庭でしか見えません。取り上げたり禁止したりすれば、利用が見えなくなるだけです。むしろ「AIとどんな話をしたの?」と聞ける関係をつくり、AIの答えを親子で一緒に眺めて「これ、本当かな」と言い合ってみてください。それだけで、AIは子どもを孤立させる相手から、親子の会話の題材に変わります。

デジタルこどもBASE(大田区)の施設では、子どもたちが友だちやスタッフと同じ画面を囲んでAIに触れています。隣に人がいる状態でAIを使うと、答えに突っ込みを入れたり、面白がって見せ合ったりする会話が自然に生まれます。「一人でAIと話す」の前に「みんなでAIに触れる」経験を、無料の体験会で用意しています。

参考資料

著者:漆谷 智行(デジタルこどもBASE理事長)