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観察道具の使い方 ── ルーペ・双眼実体顕微鏡・顕微鏡

中学校の理科は「観察」から始まります。校庭の花をスケッチしたり、池の水の中の小さな生き物を見つけたり。でも、見たい対象によって 使う道具がちがう のを知っていますか。今回はルーペ・双眼実体顕微鏡・顕微鏡の3つを取り上げ、倍率の違い、正しい使い方、そして「なぜその手順なのか」を整理します。テストでも頻出のポイントです。

観察に使う3つの道具

「拡大して見る」道具と一口に言っても、見たい大きさや対象によって使い分けます。倍率が高ければ良いというわけではなく、倍率が高くなるほど視野は狭く、扱いも難しくなる ためです。

3つの道具の使い分け ルーペ 5〜10倍 屋外で動かして使う 手軽・片目で見る 花・葉・昆虫 双眼実体顕微鏡 10〜40倍 立体的に見える 両目で見る 小さな虫・水中生物 顕微鏡 40〜600倍 プレパラートを作る 平面の像 細胞・微生物
図1:観察道具は倍率と対象でえらぶ
用語:ルーペ
倍率5〜10倍
虫めがねよりも倍率が高い拡大鏡。持ち運べて屋外で使える のが強み。花のおしべ・めしべや葉のすじを観察するときに使います。
用語:双眼実体顕微鏡
倍率10〜40倍
レンズが2つあり、両目で見ることで 立体的 に観察できます。プレパラートを作らずにそのまま置けるので、ダンゴムシや水中の小さな生物にも便利。
用語:顕微鏡(光学顕微鏡)
倍率40〜600倍
いちばん高い倍率で見られるけれど、プレパラートを作って光を透かして見る ため、観察できるのは「ごく薄いもの・透明なもの」に限られます。細胞や微生物の観察に使います。

ルーペの使い方

ルーペは小学校でも使ったかもしれませんが、中学では「持ち方」と「ピントの合わせ方」がテストに出ます。コツは1つ。ルーペは目に近づけて持つ こと。

ルーペの正しい使い方
  • ルーペは 目にできるだけ近づけて持つ。離して持つのは×。
  • 観察するものが 動かせるときは、ルーペは目に近づけたまま、観察物のほうを前後に動かしてピントを合わせる
  • 木の幹のようにものが 動かせないときは、ルーペを目につけたまま、自分のほうが前後に動いて ピントを合わせる。
絶対にやってはいけないこと
  • ルーペで太陽を見てはいけません。ルーペは光を1点に集めるので、目の中の網膜が焼けて、最悪の場合は失明します。「ものを焼く実験」で黒い紙が燃える、あの集光が目の中で起きると考えてください。

双眼実体顕微鏡の使い方

双眼実体顕微鏡は、両目で見ることで立体的にとらえる道具です。「左右の像が二重に見える」とよく言われますが、これは 接眼レンズの幅が自分の目の幅に合っていない サインです。最初に必ず幅を合わせます。

双眼実体顕微鏡の手順(6ステップ)
  • 接眼レンズの幅を、左右の目の幅に合わせる(両目で見たときに像が1つに重なるように)。
  • ② 鏡筒を上げて、視野が明るくなるよう光の向きを調整する。
  • 粗動ねじを回して、対象に対物レンズを近づけ、だいたいのピントを合わせる。
  • 右目だけで見ながら、微動ねじでピントを合わせる。
  • 左目だけで見ながら、視度調節リングでピントを合わせる(左右の目の視力差を吸収するため)。
  • ⑥ プレパラートは 不要。対象をそのままステージに置いてOK。

④と⑤で合わせるねじが違うのは、人によって左右の目の視力がちがう から。右目で先に合わせ、左目で「ずれ」だけを補正するイメージです。

顕微鏡の使い方(重要)

3つの道具のうち、もっとも手順が複雑で、もっともテストに出やすいのが顕微鏡です。まず各部の名前を押さえます。

顕微鏡の各部の名称 ×10 ×40 接眼レンズ のぞき込む方 対物レンズ 対象に近い方(複数) ステージ プレパラートを置く台 しぼり 光の量を調節 反射鏡 光を取りこむ鏡 調節ねじ ピントを合わせる 倍率= 接眼×対物
図2:顕微鏡の各部の名称
公式
顕微鏡の倍率

倍率 = 接眼レンズの倍率 × 対物レンズの倍率

例:接眼10倍 × 対物40倍 = 400倍

使うときは、必ず 低倍率から始める のがルールです。倍率が高いほど視野が狭く暗くなるので、まず低倍率で対象を視野の中央にとらえてから、徐々に倍率を上げます。

顕微鏡の使い方の順序(5ステップ)
  • 水平で直射日光のあたらない場所に置く。
  • ② 一番 低倍率の対物レンズ を選び、接眼レンズをのぞきながら反射鏡としぼりで明るさを調節する。
  • プレパラートをステージにのせ、クリップでとめる。
  • 横から見ながら、調節ねじを回して対物レンズをプレパラートに できるだけ近づける
  • 接眼レンズをのぞきながら、調節ねじを回して対物レンズを 遠ざける向きでピントを合わせる。
つまずきポイント:なぜ④と⑤の手順なのか
  • のぞきながら近づけると、行きすぎたときに 対物レンズがプレパラートに当たって割れる 危険があるから。
  • 横から見て近づけ、のぞきながら遠ざけるなら、像が見えた瞬間にねじを止めればぶつかりません。「近づけるときは横から、合わせるときは離す向き」と覚えます。
  • 直射日光が当たる場所で反射鏡を太陽に向けると、ルーペと同じく失明の危険があるので絶対に避けます。

視野の像は上下左右が逆になる

顕微鏡をのぞくと、見えている像は 実物と上下左右が反対 になっています。これは、対物レンズが作る像の性質です。

動かす方向も逆になる
  • 視野の に見えるものを中央に持ってきたいとき → プレパラートは に動かす(像は左に動く)。
  • 視野の に見えるものを中央に持ってきたいとき → プレパラートは に動かす(像は上に動く)。
  • つまり、動かしたい向きと同じ向きにプレパラートを動かせばOK。「像は逆だが、動きは同じ向き」と覚えると間違えません。

練習問題

問題1(用語・計算)
次の問いに答えなさい。
  1. 顕微鏡で、目をあてる方のレンズを何というか。
  2. 顕微鏡で、観察するものに近い方のレンズを何というか。
  3. 光の量を調節する部分を何というか。
  4. 接眼レンズが10倍、対物レンズが40倍のとき、顕微鏡の倍率は何倍か。
答えを見る

(1) 接眼レンズ

(2) 対物レンズ

(3) しぼり

(4) 10 × 40 = 400倍

問題2(並べ替え)
次のア〜オは顕微鏡の使い方の手順である。正しい順序に並べなさい。
  1. 接眼レンズをのぞきながら、対物レンズを遠ざけてピントを合わせる。
  2. 横から見ながら、対物レンズをプレパラートに近づける。
  3. プレパラートをステージにのせ、クリップでとめる。
  4. 水平で直射日光のあたらない場所に顕微鏡を置く。
  5. 低倍率の対物レンズを選び、反射鏡としぼりで明るさを調節する。
答えを見る

エ → オ → ウ → イ → ア

ポイントは「明るさ調節 → プレパラート設置 → 横から近づける → のぞきながら遠ざける」の順。先に 横から近づけてから、のぞきながら遠ざける 理由は、対物レンズとプレパラートがぶつかって割れるのを防ぐためです。

問題3(記述)
次の問いに、理由をふくめて答えなさい。
  1. ルーペで太陽を絶対に見てはいけないのはなぜか。
  2. 顕微鏡で対物レンズをプレパラートに近づけるとき、接眼レンズをのぞかずに横から見るのはなぜか。
答えを見る

(1) 解答例:ルーペは光を1点に集めるはたらきがあり、太陽の強い光が目の中の網膜に集まると、網膜が焼けてしまい、最悪の場合は失明するから。

(2) 解答例:のぞきながら近づけると、対物レンズがプレパラートに当たっていることに気づきにくく、レンズやプレパラートのガラスが割れる危険があるから。横から見ていれば、ぶつかる前に止められる。

まとめ

  • 観察道具は対象によって使い分ける。ルーペ(5〜10倍)/双眼実体顕微鏡(10〜40倍・立体)/顕微鏡(40〜600倍・平面)
  • ルーペは 目に近づけて持ち、観察物または自分が動いてピントを合わせる。太陽を見ないこと
  • 双眼実体顕微鏡は、最初に 接眼レンズの幅を目の幅に合わせ、右目→左目の順でピントを合わせる。
  • 顕微鏡の倍率=接眼×対物。低倍率から始め、横から近づけ、のぞきながら離す
  • 視野の像は 上下左右が逆。動かしたい向きと同じ向きにプレパラートを動かせばよい。