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水溶液 ── 質量パーセント濃度の計算

「5%の食塩水100gの中に、食塩は何g入っている?」── この問題でつまずく一番の原因は、計算の難しさではなく 用語の混乱 です。溶質・溶媒・溶液の区別、そして「溶液 = 溶質 + 溶媒」という足し算。ここを押さえてしまえば、濃度の計算はただの割り算と掛け算になります。今回は3つの公式を使い分けるコツと、テストでよく出るひっかけパターンを徹底的に整理します。

水溶液とは ── 3つの言葉を区別する

濃度の計算が苦手な人のほとんどは、計算より先に 「どれが何のことか」 でつまずいています。まずは用語をハッキリ分けます。

用語:溶質(ようしつ)
溶けている物質
食塩水なら 食塩、砂糖水なら 砂糖。固体だけでなく、気体(炭酸水の二酸化炭素)や液体(消毒用エタノール)も溶質になります。
用語:溶媒(ようばい)
溶かしている液体
食塩水なら 。溶媒が のときの溶液を、特別に 水溶液と呼びます。
用語:溶液(ようえき)
溶質と溶媒が混じった液体
食塩水=食塩(溶質)+水(溶媒)でできた液体ぜんたい。溶液 = 溶質 + 溶媒 の足し算が、濃度計算の土台になります。
用語:水溶液
溶媒が水の溶液
中学で出てくる「〇〇水溶液」はすべて、水に何かを溶かしたもの。砂糖水・食塩水・塩酸(塩化水素の水溶液)・アンモニア水などはみな水溶液です。
例:砂糖水で確かめる
  • 溶質 = 砂糖
  • 溶媒 =
  • 溶液 = 砂糖水(砂糖+水)
  • 溶媒が水なので、これは 水溶液でもある。

水溶液の3つの特徴

水溶液は、ただ「混ざっている」のではありません。次の3つを満たしてはじめて水溶液と呼びます。

水溶液の特徴

透明である(色がついていてもよい)。例:硫酸銅水溶液は青色だが、向こう側が透けて見える。

均一である。どこをとっても同じ濃さで、どんなに長く置いても下に溜まったり上に浮いたりしない。

溶質の粒子が、水の粒のすき間に バラバラに散っている。だから濾紙でこしても分けられない。

水溶液ではないものの例
  • 牛乳:白くて向こうが透けない(不透明)→ 水溶液ではない(乳濁液)。
  • 墨汁:黒くて不透明、放っておくと底に沈む → 水溶液ではない。
  • 泥水:にごっていて、しばらく置くと泥が下に溜まる → 水溶液ではない(懸濁液)。
にごっている・分離する液は水溶液ではありません。

質量パーセント濃度

水溶液の「濃さ」を数字で表すのが 質量パーセント濃度 です。中1理科で出る濃度の表し方は、これ1種類だけです。

公式
質量パーセント濃度

濃度(%)= 溶質の質量(g)÷ 溶液の質量(g)× 100

ここで 溶液 = 溶質 + 溶媒(足し算)。割り算する相手は 溶液であって、溶媒(水)ではありません。

いちばん基本の例
  • 水95gに食塩5gを溶かした。
  • 溶液の質量 = 95 + 5 = 100g
  • 濃度 = 5 ÷ 100 × 100 = 5%
水の95gではなく、溶液の100gで割るのがポイント。

3つの公式の使い分け

濃度の式は1本ですが、何を求めるかによって式の形が変わります。「知りたい量を左辺に」と覚えれば自由に変形できます。

質量パーセント濃度の3つのかたち

濃度知りたい:濃度 = 溶質 ÷ 溶液 × 100

溶質知りたい:溶質 = 溶液 × 濃度 ÷ 100

溶液知りたい:溶液 = 溶質 ÷ 濃度 × 100

水(溶媒) 95g H₂O 食塩(溶質) 5g NaCl 食塩水(溶液) 100g 95+5=100 濃度の計算 濃度 = 5 ÷ 100 × 100 = 5% (水の95gで割らない!   溶液の100gで割る) 溶液 = 溶質 + 溶媒 この足し算が出発点
図1:水95g+食塩5g=食塩水100g。割る相手は「溶液」であって「水」ではない

ひっかけパターン:水と溶液を混ぜない

テストでもっとも多い間違いは、「水の質量」と「溶液の質量」をごちゃまぜに使ってしまうことです。問題文の書き方は2パターンあるので、見分けられるようにしておきます。

問題文の2パターンを見抜く
  • パターンA:「〇gに食塩〇gを溶かす」と書かれている → 〇gは 溶媒の質量。溶液の質量を出すには 足し算が必要。
  • パターンB:「〇%の食塩水〇g」と書かれている → 〇gはすでに 溶液の質量。そのまま割り算に使える。
パターンAなのにそのまま水の質量で割ると、答えが少しずれます。「水〇gに溶かした」と出てきたら、まず 溶液 = 溶質 + 溶媒 を計算するクセをつけましょう。

例題1:水95gに食塩5gを溶かしたとき、濃度は何%?

溶液 = 95 + 5 = 100g。濃度 = 5 ÷ 100 × 100 = 5%

例題2:5%の食塩水200gに含まれる食塩は何g?

「5%の食塩水200g」は 溶液の質量。溶質 = 溶液 × 濃度 ÷ 100 = 200 × 5 ÷ 100 = 10g

例題3:10%の食塩水を100g作りたい。水と食塩は何gずつ必要?

食塩(溶質)= 100 × 10 ÷ 100 = 10g。水(溶媒)= 100 − 10 = 90g
ここでも 溶液 = 溶質 + 溶媒 の式から、水の量を逆算します。

混合の計算(少し応用)

濃さの違う水溶液を混ぜたときの濃度は、「溶質の合計」を「溶液の合計」で割るだけです。

:5%の食塩水100gと、10%の食塩水200gを混ぜたときの濃度は?

  • 5%食塩水100gの中の食塩 = 100 × 5 ÷ 100 = 5g
  • 10%食塩水200gの中の食塩 = 200 × 10 ÷ 100 = 20g
  • 食塩の合計 = 5 + 20 = 25g
  • 溶液の合計 = 100 + 200 = 300g
  • 混ぜたあとの濃度 = 25 ÷ 300 × 100 = 約8.3%

「5%と10%だから真ん中の7.5%」とはなりません。溶液の量が違うから、濃いほうに引っぱられるのです。ここでも考え方の出発点は 溶液 = 溶質 + 溶媒、そして「溶質の合計/溶液の合計」です。

練習問題

問題1(基本)
次の値を求めなさい。割り切れないときは小数第1位まで。
  1. 水120gに砂糖30gを溶かした砂糖水の質量パーセント濃度は何%か。
  2. 15%の食塩水400gに含まれる食塩は何gか。
  3. 砂糖12gを溶かして6%の砂糖水を作るとき、必要な砂糖水の質量は何gか。
答えを見る

(1) 溶液 = 120 + 30 = 150g。濃度 = 30 ÷ 150 × 100 = 20%

(2) 溶質 = 溶液 × 濃度 ÷ 100 = 400 × 15 ÷ 100 = 60g

(3) 溶液 = 溶質 ÷ 濃度 × 100 = 12 ÷ 6 × 100 = 200g

※ (1)で「30 ÷ 120 × 100 = 25%」とすると 水で割っているので不正解。溶液(150g)で割る。

問題2(応用)
次の問いに答えなさい。
  1. 8%の食塩水500gに含まれる食塩は何gか。
  2. 150gの水に何gの砂糖を溶かすと、20%の砂糖水になるか。
答えを見る

(1) 溶質 = 500 × 8 ÷ 100 = 40g

(2) 砂糖の質量を x g とおく。
溶液 = 150 + x、濃度 20% より
x ÷ (150 + x) × 100 = 20
x = (150 + x) × 0.2
x = 30 + 0.2x → 0.8x = 30 → x37.5g

※ (2)は「150 × 20 ÷ 100 = 30g」と答えやすいひっかけ。これは 水の質量で計算してしまうミス。150gは水(溶媒)であって溶液ではないので、そのままは使えない。

問題3(混合)
5%の食塩水100gと、15%の食塩水100gを混ぜた。混ぜたあとの食塩水の質量パーセント濃度は何%か。
答えを見る

5%食塩水100gの中の食塩 = 100 × 5 ÷ 100 = 5g

15%食塩水100gの中の食塩 = 100 × 15 ÷ 100 = 15g

食塩の合計 = 5 + 15 = 20g

溶液の合計 = 100 + 100 = 200g

濃度 = 20 ÷ 200 × 100 = 10%

※ 同じ量どうしを混ぜたときに限り、ちょうど真ん中の濃度(5%と15%の中間で10%)になる。量がちがう場合は真ん中にならない。

まとめ

  • 溶質・溶媒・溶液を区別する。溶媒が水のときの溶液が 水溶液
  • 水溶液の特徴は 透明・均一・粒子がバラバラに散る。にごる液(牛乳・墨汁・泥水)は水溶液ではない。
  • 濃度の出発点はいつも 溶液 = 溶質 + 溶媒。割る相手は溶液であって、水ではない。
  • 公式は3つ:濃度=溶質÷溶液×100/溶質=溶液×濃度÷100/溶液=溶質÷濃度×100。知りたい量を左辺に
  • 「水〇gに食塩〇g」と「〇%の食塩水〇g」では、その〇gの意味がちがう。問題文を読むときに 溶液か溶媒かを確認してから計算する。