水に溶ける量には限界がある
食塩を水にスプーン1杯ずつ入れていくと、最初はすぐ溶けます。でも何杯も入れると、ある量を超えたところで 溶けきれなくなり、底に白くたまっていきます。この単元で扱う固体の溶質では、水に溶ける量に限界があります。
- 溶解度はいつも「水100g」あたりで考える。水が200gなら、溶ける量も2倍になる。
- 「水溶液100g」ではなく 「水(だけ)100g」 が基準。問題文をよく読む。
溶解度は温度で変わる
ここがこの単元の主役です。固体の物質は、温度が上がるほど溶ける量が増える ものが多いです。砂糖、ホウ酸、硝酸カリウムなどが代表例。
- ほとんどの固体:温度が上がるほど溶解度が大きくなる(硝酸カリウム、ホウ酸、砂糖など)。
- 例外:食塩(塩化ナトリウム)は、温度を上げてもほとんど変わらない。20℃で約36g、80℃で約38g。
逆に 気体 は温度が上がると 溶けにくく なります。炭酸飲料を温めるとあわが出てくるのは、温度が上がって二酸化炭素が水から逃げるから。冷蔵庫で冷やした炭酸の方が「シュワッ」と感じるのも同じ理由です。
溶解度曲線(グラフ)の読み方
横軸に温度(℃)、縦軸に水100gに溶ける質量(g)をとり、物質ごとに線で結んだグラフを 溶解度曲線 といいます。
このグラフから、たとえば 硝酸カリウム の溶解度は、20℃で約32g、60℃で約109g、80℃で約169g とわかります。温度で4倍以上違うのです。一方、食塩 の線はほぼ水平で、20℃でも80℃でもおよそ36〜38gの間。これがあとで効いてきます。
再結晶 ── もう一度結晶として取り出す
温度を上げると溶解度が大きくなる物質は、熱い水にたくさん溶かしておいて、冷やすと溶けきれずに固体として出てくる という性質があります。これを 再結晶 といいます。
水100gに溶けていた量から、冷やした後の温度で溶ける量を引けば、残りは結晶として現れる。
この計算は、高温で飽和水溶液になっている、または問題文で「その量がすべて溶けている」と示されているときに使います。水の量が100gでないときは、溶解度も水の量に合わせて比例計算します。
例題:80℃の水100gに硝酸カリウムを 160g 溶かして、これを20℃まで冷やす。出てくる結晶は何g?
①20℃での硝酸カリウムの溶解度は 約32g。
②つまり20℃の水100gには32gまでしか溶けない。
③もともと160g溶けていたので、160 − 32 = 128g が結晶として出てくる。
- 食塩は温度を変えても溶解度がほとんど変わらない(20℃でも80℃でも36〜38g)。冷やしても 差がほぼゼロ なので、結晶として出てくる量も少ない。
- 食塩を取り出すには、水を蒸発させて 水の量自体を減らす方法が使われる(海水から塩を作るのと同じ)。
結晶の形
結晶になると、物質ごとに 決まった形 をとります。これは粒子のならび方が物質ごとに決まっているからです。
- 食塩(塩化ナトリウム):立方体(さいころのような四角い形)
- ミョウバン:正八面体(ピラミッドが2つ底でくっついた形)
- 硫酸銅:青い斜方晶(ななめにかしいだ柱状)
理科室で結晶を作る実験をすると、ルーペで見たときに教科書通りの形が観察できます。結晶の形を見れば、何の物質かを見分ける手がかりになる のです。
再結晶の使いみち
再結晶は、ただ結晶を作る遊びではなく、物質を純粋にする(混ざり物を取り除く) ための大切な技術です。
- ① 高温の水にすべて溶かす。両方とも溶ける。
- ② ゆっくり冷やす。硝酸カリウムは溶解度が大きく下がるので、たくさん結晶として出てくる。
- ③ 食塩は溶解度がほぼ変わらないので、水溶液に溶けたまま残る。
- ④ 結晶をろ過して取り出すと、ほぼ純粋な硝酸カリウムが得られる。
このように、溶解度の温度変化のちがい を利用すれば、混ざり合った物質を分けることができます。工場で薬品や砂糖を精製するときにも使われている方法です。
練習問題
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20℃の水100gには32gまでしか溶けないので、溶けきれない分が結晶として出る。
109 − 32 = 77g
答え:77g
- 水に溶かしたあと、冷やしても結晶があまり出てこない物質は、ホウ酸と食塩のどちらか。
- 再結晶という方法で純粋にしにくい物質はどちらか。
- その物質を水溶液から取り出すには、どんな方法を使えばよいか。
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(1) 食塩(温度を変えても溶解度がほとんど変わらないため)
(2) 食塩(同じ理由)
(3) 水を蒸発させる(加熱して水を減らす)方法
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解答例:食塩の溶解度は温度を変えてもほとんど変化しないため、水溶液を冷やしても結晶として取り出せる量がほとんどない。そこで、水自体を蒸発させて減らすことで、溶けきれなくなった食塩を結晶として取り出す方法が用いられる。
まとめ
- 溶解度は、水100gに溶ける最大の質量(g)。物質ごと・温度ごとに決まっている。
- ほとんどの固体は 温度が上がると溶解度が大きくなる。例外は食塩で、ほぼ変化しない。
- 再結晶は、熱い水に溶かして冷やし、溶解度の差の分だけ結晶を取り出す方法。
- 出てくる結晶の質量 = 高温の溶解度 − 低温の溶解度(水100gあたり)。
- 食塩は再結晶にむかないので、水を蒸発させて 取り出す。