音は何でできているか
音の正体はとてもシンプルで、物体の振動 です。何かが小刻みにふるえると、その動きが空気を押したり引いたりして、まわりに広がっていきます。これが音です。
音を出している物のことを 音源(または発音体)と言います。音源を観察すると、必ずどこかが振動しています。
例:太鼓 → 太鼓の革がふるえている/声 → のどの中の声帯がふるえている/ギター → 弦がふるえている。さわって確かめると、本当にビリビリしている。
音は何を通って伝わる?
音源がふるえているだけでは、まわりに音は届きません。間に 空気・水・金属など、何かの物質 がないと音は伝わらないのです。物質の中の小さな粒(分子)が、振動をバケツリレーのように次々と運んでいます。
- 宇宙空間は空気がほぼゼロ(真空)なので、いくら大きな爆発が起きても音としては聞こえない。映画の宇宙シーンの「ドカーン」は演出。
- 理科室の実験:ビン(鐘の入った容器)から空気を抜いていくと、中で鳴っている鐘の音がだんだん小さくなっていく。
そして、音が伝わる速さは 通る物質によって違います。物質が密で硬いほど、粒子どうしがぎっしりつまっていて振動を伝えやすいので、音は速く進みます。
- 空気中(気温15℃):約 340 m/秒 ← まずこの数字を覚える
- 水中:約 1500 m/秒(空気の約4.4倍)
- 鉄の中:約 5000 m/秒(空気の約15倍)
音の速さの計算
音速がわかると、距離と時間が計算できます。中1で習う基本の式と同じです。
距離 = 速さ × 時間
速さ = 距離 ÷ 時間
例題:花火が見えてから「ドーン」と聞こえるまで5秒かかった。花火までの距離は?
距離 = 340 × 5 = 1700m(およそ1.7km)
雷も同じ原理で測れます。光は1秒間に約30万kmと速すぎてほぼ瞬時に届きますが、音は340m/秒なので遅れて届きます。光ってから音が聞こえるまでの秒数 × 340で、雷までのおおよその距離が分かります。
音の3つの要素
音にはどんな音にも3つの特徴(要素)があります。大きさ・高さ・音色 の3つです。それぞれ「波のどこ」で決まるのかをセットで覚えるのがコツです。
例:太鼓を強くたたくと革が大きくふるえて大きな音、弱くたたくと小さくふるえて小さな音。振幅の単位は長さ(cmやmなど)。よく聞く dB(デシベル)は音の大きさを表す別の単位で、振幅そのものの単位ではない。
弦楽器は、弦を 短く・細く・強く張る と振動数が増えて高い音になる。
この関係は、弦の長さ・太さ・張りの強さを自由に変えられる実験器具「モノコード」を使って確かめることができる。
人間が聞こえる範囲(可聴範囲)は 約20Hz〜20000Hz(20kHz)。これより高い音は超音波。
例:ピアノの「ド」とバイオリンの「ド」は、振動数(高さ)も大きさも同じくらいに合わせても、音色がちがうから区別できる。
オシロスコープで見る音の波
音を オシロスコープ という装置で見ると、波の形として表示できます。横軸は時間、縦軸は振幅です。3つの要素は、それぞれ波形のどこに表れるかを見ると、目で区別できます。
つまり、波形を1枚見るだけで「縦は大きさ、横の細かさは高さ、形は音色」と3つの情報が一度に読み取れます。これがオシロスコープを使う意味です。
練習問題
この章でつまずきやすいところ
音の単元は「振幅・振動数・波形」など似たカタカナ用語が並び、本文を読み進めるうちに「どれが大きさで、どれが高さ?」と頭が混乱しがちです。読みながら起きやすい4つの迷いを、見分け方・因果関係の形で整理します。
大きい音と高い音を同じ意味だと思い込んでしまう
- つまずく場面:「強くたたくと大きな音」「弦を短くおさえると高い音」と本文を読み進めるうちに、大きい音=高い音と感じてしまい、振幅と振動数のどちらの話をしているのか分からなくなってしまう場面。
- 克服のコツ:見分け方は「縦か横か」で覚えるのが安全。波形の縦の揺れ幅=振幅=大きさ、波形の横の細かさ=振動数=高さと整理する。太鼓を強くたたく話は縦(大きさ)、弦を短くおさえたり強く張ったりする話は横(高さ)、と読みながら振り分けると混乱しない。
- ミニ例:太鼓を強くたたくと革が大きくふるえる→振幅が大きい→大きな音。弦を短くおさえる、または強く張ると速くふるえる→振動数が多い→高い音。
音は空気そのものが飛んでくると思い込んでしまう
- つまずく場面:「音は空気を伝わる」という一文を読んだとき、空気のかたまりが耳まで飛んでくるイメージを持ってしまい、なぜ真空では伝わらないのか、なぜ水や鉄でも伝わるのかが結びつかなくなる場面。
- 克服のコツ:因果関係でとらえる。音源の振動→まわりの空気のつぶが次々にゆれを伝える(バケツリレー)→耳に届く、という順序。だから空気のつぶがぎっしりつまっている物質ほど速く伝わり、つぶのない真空では伝わらない、と読み替えるとつながる。
- ミニ例:鐘の入った容器から空気を抜いていくと、鐘の音がだんだん小さくなる。ゆれを運ぶ空気のつぶが減ってしまうからで、空気自体が飛んでいるわけではない。
音はどこを通っても同じ速さで進むと思い込んでしまう
- つまずく場面:「空気中で約340m/秒」をまず覚えるよう本文で言われるため、これを音の固定値だと思い込み、水中や鉄の中で出てくる数字を見たとき「どれが正解?」と迷ってしまう場面。
- 克服のコツ:覚えるべきは空気中で約340m/秒と、気体<液体<固体の順に速くなる、ということ。物質のつぶのつまり方が密になるほどゆれを渡しやすい、という因果でつながっている。問題文に「空気中」「水中」「鉄の中」のどれが書いてあるかを先に確認してから速さを比べる。
- ミニ例:空気中は約340m/秒。水中はおよそ1500m/秒、鉄の中はおよそ5000m/秒と紹介されることがあるが、まず押さえるのは「気体<液体<固体の順に速い」という大小関係。
光と音は同時に届くと思い込んでしまう
- つまずく場面:雷や花火の問題で「光ってから音が聞こえるまで○秒」と書かれているのを読んだとき、なぜ時間差が生まれるのか分からず、距離=340×時間の式を「光の時間」に当てはめてしまいそうになる場面。
- 克服のコツ:時系列で整理する。光は音にくらべてはるかに速く、ほぼ一瞬で届く→だからまず見える。音は340m/秒と遅い→だから遅れて聞こえる。式に入れる時間は「光ってから音が聞こえるまでの遅れの秒数」で、距離=340×その秒数、と覚える。
- ミニ例:花火が見えてから5秒後にドーンと聞こえたら、距離=340×5=1700m。光の時間ではなく、遅れの時間を使うのが教科書での整理。
- 音を出している物体のことを何というか。
- 音の大きさは波の何で決まるか。
- 音の高さの単位は何か。記号も書きなさい。
- 人間が聞こえる音の振動数のおおよその範囲を答えなさい。
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(1) 音源(発音体)
(2) 振幅(しんぷく)
(3) ヘルツ(Hz)
(4) 約20Hz〜20000Hz(20kHz)。これを可聴範囲という。
- 花火が見えてから音が聞こえるまで3秒かかった。花火までの距離は何mか。
- 1700m先で雷が落ちた。光ってから音が聞こえるまで何秒かかるか。
- 音は水の中では約1500m/秒で進む。空気中の何倍速いか(小数第1位まで)。
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(1) 距離 = 340 × 3 = 1020m
(2) 時間 = 距離 ÷ 速さ = 1700 ÷ 340 = 5秒
(3) 1500 ÷ 340 ≒ 4.4倍
- ギターの弦を強くはじくと、何が変わって音がどう変わるか。
- ギターの弦を細いものに張りかえると、何が変わって音がどう変わるか。
- ピアノとバイオリンで同じ高さの「ド」をひいても、ちがう音に聞こえるのはなぜか。
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(1) 振幅が大きくなり、音が大きくなる。強くはじくと弦が大きくふるえるため。
(2) 振動数が多くなり、音が高くなる。細い弦のほうが速くふるえるため。
(3) 楽器によって 音の波の形(音色)がちがう から。同じ高さ・同じ大きさでも、波形がちがえば別の音に聞こえる。
まとめ
- 音の正体は 物体の振動。音を出すものを 音源 といい、必ずどこかがふるえている。
- 音は空気・水・金属など 物質を通って伝わる。真空では伝わらない。空気中で約 340m/秒、水で約1500m/秒、鉄で約5000m/秒。
- 音の大きさは 振幅、高さは 振動数(Hz)、音色は 波の形 で決まる。これが音の3要素。
- 波形を見れば「縦=大きさ、横の細かさ=高さ、形=音色」と一目で読み取れる。
- 距離 = 速さ × 時間。光ってから音が遅れて届く時間で、花火や雷までの距離が計算できる。
