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中学生の学習ノート教科書をもう一段くわしく

音の性質 ── 振動・速さ・大きさと高さ

「音」は耳で聞くものだから、物理の現象として説明しろと言われると急にむずかしく感じます。でも音の正体は 物の振動。それが空気を伝わって耳まで届いているだけです。今回は、音がどうやって生まれて、どう伝わって、何で 大きさ・高さ・音色 が決まるのか、波の形で見分ける方法までまとめます。

音は何でできているか

音の正体はとてもシンプルで、物体の振動 です。何かが小刻みにふるえると、その動きが空気を押したり引いたりして、まわりに広がっていきます。これが音です。

音を出している物のことを 音源(または発音体)と言います。音源を観察すると、必ずどこかが振動しています。

用語:音源(発音体)
音を出しているもの
音を出している物体。必ず振動している のが特徴。
例:太鼓 → 太鼓の革がふるえている/声 → のどの中の声帯がふるえている/ギター → 弦がふるえている。さわって確かめると、本当にビリビリしている。

音は何を通って伝わる?

音源がふるえているだけでは、まわりに音は届きません。間に 空気・水・金属など、何かの物質 がないと音は伝わらないのです。物質の中の小さな粒(分子)が、振動をバケツリレーのように次々と運んでいます。

真空では音は伝わらない
  • 宇宙空間は空気がほぼゼロ(真空)なので、いくら大きな爆発が起きても音としては聞こえない。映画の宇宙シーンの「ドカーン」は演出。
  • 理科室の実験:ビン(鐘の入った容器)から空気を抜いていくと、中で鳴っている鐘の音がだんだん小さくなっていく。

そして、音が伝わる速さは 通る物質によって違います。物質が密で硬いほど、粒子どうしがぎっしりつまっていて振動を伝えやすいので、音は速く進みます。

音が伝わる速さの目安
物質ごとの音速
  • 空気中(気温15℃):約 340 m/秒 ← まずこの数字を覚える
  • 水中:約 1500 m/秒(空気の約4.4倍)
  • 鉄の中:約 5000 m/秒(空気の約15倍)
気体 < 液体 < 固体 の順に速くなる。粒子のつまり方が密になるほど振動が伝わりやすい。

音の速さの計算

音速がわかると、距離と時間が計算できます。中1で習う基本の式と同じです。

公式
速さ・距離・時間の関係

距離 = 速さ × 時間

速さ = 距離 ÷ 時間

例題:花火が見えてから「ドーン」と聞こえるまで5秒かかった。花火までの距離は?

距離 = 340 × 5 = 1700m(およそ1.7km)

雷も同じ原理で測れます。光は1秒間に約30万kmと速すぎてほぼ瞬時に届きますが、音は340m/秒なので遅れて届きます。光ってから音が聞こえるまでの秒数 × 340で、雷までのおおよその距離が分かります。

音の3つの要素

音にはどんな音にも3つの特徴(要素)があります。大きさ・高さ・音色 の3つです。それぞれ「波のどこ」で決まるのかをセットで覚えるのがコツです。

①音の大きさ(強さ)
振幅で決まる
振幅(しんぷく)とは、振動の揺れ幅のこと。振幅が大きい → 大きな音、振幅が小さい → 小さな音。
例:太鼓を強くたたくと革が大きくふるえて大きな音、弱くたたくと小さくふるえて小さな音。振幅の単位は長さ(cmやmなど)。よく聞く dB(デシベル)は音の大きさを表す別の単位で、振幅そのものの単位ではない。
②音の高さ
振動数で決まる
振動数(しんどうすう)とは、1秒間に振動する回数。単位は Hz(ヘルツ)。振動数が多い → 高い音、少ない → 低い音。
弦楽器は、弦を 短く・細く・強く張る と振動数が増えて高い音になる。
この関係は、弦の長さ・太さ・張りの強さを自由に変えられる実験器具「モノコード」を使って確かめることができる。
人間が聞こえる範囲(可聴範囲)は 約20Hz〜20000Hz(20kHz)。これより高い音は超音波。
③音色(ねいろ)
波の形で決まる
同じ高さ・同じ大きさの音でも、楽器ごとにちがって聞こえる理由。これは音の 波の形(波形) がちがうから。
例:ピアノの「ド」とバイオリンの「ド」は、振動数(高さ)も大きさも同じくらいに合わせても、音色がちがうから区別できる。

オシロスコープで見る音の波

音を オシロスコープ という装置で見ると、波の形として表示できます。横軸は時間、縦軸は振幅です。3つの要素は、それぞれ波形のどこに表れるかを見ると、目で区別できます。

音の3要素は波形のどこに表れる? A:大きい音 (振幅が大きい) ↑振幅大 B:小さい音 (振幅が小さい) ↓振幅小 C:高い音 (振動数が多い) →1秒に多く D:低い音 (振動数が少ない) →1秒に少なく E:音色のちがい (波の形がちがう) →ギザギザ 読み方 縦が大きい → 大きな音   振幅で決まる 横の波が細かい → 高い音   振動数(Hz)で決まる 波の形がギザギザ → 音色がちがう   楽器の種類で決まる 同じ高さ・同じ大きさでも、 波の形がちがえば別の音色。 人の耳は一瞬でこの3つを 同時に聞き分けている。 → 大きさ・高さ・音色の3要素
図1:音の3要素は、波形のどこを見ると分かるか

つまり、波形を1枚見るだけで「縦は大きさ、横の細かさは高さ、形は音色」と3つの情報が一度に読み取れます。これがオシロスコープを使う意味です。

練習問題

この章でつまずきやすいところ

音の単元は「振幅・振動数・波形」など似たカタカナ用語が並び、本文を読み進めるうちに「どれが大きさで、どれが高さ?」と頭が混乱しがちです。読みながら起きやすい4つの迷いを、見分け方・因果関係の形で整理します。

大きい音と高い音を同じ意味だと思い込んでしまう

  • つまずく場面:「強くたたくと大きな音」「弦を短くおさえると高い音」と本文を読み進めるうちに、大きい音=高い音と感じてしまい、振幅と振動数のどちらの話をしているのか分からなくなってしまう場面。
  • 克服のコツ:見分け方は「縦か横か」で覚えるのが安全。波形の縦の揺れ幅=振幅=大きさ、波形の横の細かさ=振動数=高さと整理する。太鼓を強くたたく話は縦(大きさ)、弦を短くおさえたり強く張ったりする話は横(高さ)、と読みながら振り分けると混乱しない。
  • ミニ例:太鼓を強くたたくと革が大きくふるえる→振幅が大きい→大きな音。弦を短くおさえる、または強く張ると速くふるえる→振動数が多い→高い音。

音は空気そのものが飛んでくると思い込んでしまう

  • つまずく場面:「音は空気を伝わる」という一文を読んだとき、空気のかたまりが耳まで飛んでくるイメージを持ってしまい、なぜ真空では伝わらないのか、なぜ水や鉄でも伝わるのかが結びつかなくなる場面。
  • 克服のコツ:因果関係でとらえる。音源の振動→まわりの空気のつぶが次々にゆれを伝える(バケツリレー)→耳に届く、という順序。だから空気のつぶがぎっしりつまっている物質ほど速く伝わり、つぶのない真空では伝わらない、と読み替えるとつながる。
  • ミニ例:鐘の入った容器から空気を抜いていくと、鐘の音がだんだん小さくなる。ゆれを運ぶ空気のつぶが減ってしまうからで、空気自体が飛んでいるわけではない。

音はどこを通っても同じ速さで進むと思い込んでしまう

  • つまずく場面:「空気中で約340m/秒」をまず覚えるよう本文で言われるため、これを音の固定値だと思い込み、水中や鉄の中で出てくる数字を見たとき「どれが正解?」と迷ってしまう場面。
  • 克服のコツ:覚えるべきは空気中で約340m/秒と、気体<液体<固体の順に速くなる、ということ。物質のつぶのつまり方が密になるほどゆれを渡しやすい、という因果でつながっている。問題文に「空気中」「水中」「鉄の中」のどれが書いてあるかを先に確認してから速さを比べる。
  • ミニ例:空気中は約340m/秒。水中はおよそ1500m/秒、鉄の中はおよそ5000m/秒と紹介されることがあるが、まず押さえるのは「気体<液体<固体の順に速い」という大小関係。

光と音は同時に届くと思い込んでしまう

  • つまずく場面:雷や花火の問題で「光ってから音が聞こえるまで○秒」と書かれているのを読んだとき、なぜ時間差が生まれるのか分からず、距離=340×時間の式を「光の時間」に当てはめてしまいそうになる場面。
  • 克服のコツ:時系列で整理する。光は音にくらべてはるかに速く、ほぼ一瞬で届く→だからまず見える。音は340m/秒と遅い→だから遅れて聞こえる。式に入れる時間は「光ってから音が聞こえるまでの遅れの秒数」で、距離=340×その秒数、と覚える。
  • ミニ例:花火が見えてから5秒後にドーンと聞こえたら、距離=340×5=1700m。光の時間ではなく、遅れの時間を使うのが教科書での整理。
問題1(用語)
次の問いに答えなさい。
  1. 音を出している物体のことを何というか。
  2. 音の大きさは波の何で決まるか。
  3. 音の高さの単位は何か。記号も書きなさい。
  4. 人間が聞こえる音の振動数のおおよその範囲を答えなさい。
答えを見る

(1) 音源(発音体)

(2) 振幅(しんぷく)

(3) ヘルツ(Hz)

(4) 約20Hz〜20000Hz(20kHz)。これを可聴範囲という。

問題2(計算)
空気中の音速を340m/秒として、次の問いに答えなさい。
  1. 花火が見えてから音が聞こえるまで3秒かかった。花火までの距離は何mか。
  2. 1700m先で雷が落ちた。光ってから音が聞こえるまで何秒かかるか。
  3. 音は水の中では約1500m/秒で進む。空気中の何倍速いか(小数第1位まで)。
答えを見る

(1) 距離 = 340 × 3 = 1020m

(2) 時間 = 距離 ÷ 速さ = 1700 ÷ 340 = 5秒

(3) 1500 ÷ 340 ≒ 4.4倍

問題3(記述)
次の問いに答えなさい。
  1. ギターの弦を強くはじくと、何が変わって音がどう変わるか。
  2. ギターの弦を細いものに張りかえると、何が変わって音がどう変わるか。
  3. ピアノとバイオリンで同じ高さの「ド」をひいても、ちがう音に聞こえるのはなぜか。
答えを見る

(1) 振幅が大きくなり、音が大きくなる。強くはじくと弦が大きくふるえるため。

(2) 振動数が多くなり、音が高くなる。細い弦のほうが速くふるえるため。

(3) 楽器によって 音の波の形(音色)がちがう から。同じ高さ・同じ大きさでも、波形がちがえば別の音に聞こえる。

まとめ

  • 音の正体は 物体の振動。音を出すものを 音源 といい、必ずどこかがふるえている。
  • 音は空気・水・金属など 物質を通って伝わる。真空では伝わらない。空気中で約 340m/秒、水で約1500m/秒、鉄で約5000m/秒。
  • 音の大きさは 振幅、高さは 振動数(Hz)、音色は 波の形 で決まる。これが音の3要素。
  • 波形を見れば「縦=大きさ、横の細かさ=高さ、形=音色」と一目で読み取れる。
  • 距離 = 速さ × 時間。光ってから音が遅れて届く時間で、花火や雷までの距離が計算できる。

もっと知る ── 発展・実生活(出典つき)

※ 教科書の内容に、信頼できる出典をもとにした発展・実生活・時事の話題を補足しています(教科書そのものではありません)。

病院の「エコー検査」は音の反射を画像にしている実生活

おなかなどに当てる超音波(エコー)検査は、人の耳には聞こえないほど振動数の高い音を体に送り、内臓ではね返ってきた反射音を画像にする仕組みです。授業で学ぶ「音は物質を伝わり、境目で反射する」性質をそのまま使っており、放射線を使わないので体への負担が少ない検査です。

出典:国立がん研究センター がん情報サービス(超音波(エコー)検査とは)

コウモリは超音波で暗闇を「見て」いる発展

コウモリは口や鼻から人に聞こえない超音波を出し、まわりの物にぶつかってはね返ってくる反響音を耳で聞き取って、障害物や獲物の位置を知ります。これをエコーロケーション(反響定位)といい、音が反射して伝わる性質を利用して暗闇でも飛び回れます。

出典:東邦大学 プレスリリース(コウモリ類の喉頭エコーロケーションの起源に関する新知見)

イルカも超音波で海の中をさぐっている発展

イルカは「クリック音」と呼ばれる高い音(超音波)を出し、はね返ってくる反射音を聞いて、にごった海の中でも魚や障害物の形や位置を知ることができます。水中は空気より音が速く伝わるため、イルカは音を使った探知や仲間との通信が得意です。

出典:夢ナビ(大学教授による講義紹介・イルカには音の世界が広がっている)

音の大きさ「デシベル」と暮らしの目安実生活

音の大きさを表すデシベル(dB)は、数字が大きいほど大きな音を意味し、静かな図書館が約40〜45dB、普通の会話が約60dBほどです。環境省は住宅地などで快適に暮らせるよう騒音の環境基準を定めており、大きすぎる音は睡眠や健康に影響するため対策が必要とされています。

出典:環境省(騒音に係る環境基準について)

楽器の「ラ」の高さは世界共通で決められている発展

音の高さは振動数(Hz)で決まり、世界中の楽器をそろえやすいよう、基準となる「ラ(A)」の音を1秒間に440回振動する440Hzとする国際基準が決められています。1オクターブ上のラは2倍の880Hz、1オクターブ下のラは半分の220Hzになり、振動数が高いほど音も高くなることがわかります。

出典:広島大学 公開講座テキスト『音の波と三角関数』(小林亮)