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力のはたらき ── 重力・摩擦力・弾性力・垂直抗力

「力」と聞くと、ボールを投げたりバットでホームランを打ったりする場面を思い浮かべるかもしれません。でも理科でいう「力」はもっと広く、机の上に置いた本にも、空中につるしたおもりにも、いつもはたらいています。今回は、力のはたらきは何かを整理し、中学で出てくる6種類の力を覚えます。さらに、中1理科で最大のひっかけポイントである 「重さ」と「質量」のちがい をきちんと区別できるようにします。

力には3つの効果がある

力は目に見えませんが、はたらいているかどうかは 物の様子の変化 でわかります。理科では、力には次の3つの効果があると整理されています。

力の3つの効果
  • ① 物体の 形を変える(バネを縮める、粘土をへこませる、ゴムを伸ばす)
  • ② 物体の 動きを変える(止まっているものを動かす、動いているものを止める、進む向きを変える)
  • ③ 物体を 支える(手で本を持つ、机が物を支える、ひもがおもりをつるす)

逆にいえば、物に力がはたらいていると見つけたら、これらの効果のどれかが起きているはずです。「動いていないから力ははたらいていない」と思いがちですが、机の上の本にも重力と垂直抗力という2つの力がはたらいています(後で説明します)。

いろいろな力(重要)

中学1年で出てくる力は次の6種類です。それぞれ「どこにはたらくか」「どんな向きか」をセットで覚えると、テストで混乱しません。

用語:①重力
地球が物体を引っ張る力
地球上のすべての物体に、つねに 下向き にはたらく力。質量に比例し、質量が大きいほど重力も大きくなる。空中のリンゴが落ちるのも、ジャンプしても地面に戻ってくるのも、この力のはたらき。
用語:②摩擦力(まさつりょく)
面との間で動きをじゃまする力
物体が動こうとするとき、面との接触部分にはたらき、動きと反対向き にはたらく力。ザラザラな面ほど大きい。動き出す前にはたらく 静止摩擦力 と、動いている間にはたらく 動摩擦力 がある。
用語:③弾性力(だんせいりょく)
変形した物が元に戻ろうとする力
バネ・ゴム・たわんだ板など、変形した物体が元に戻ろうとして発生する力。引っ張る/縮める方向と反対向き にはたらく。変形量が大きいほど弾性力も大きい(バネばかりはこの性質を利用している)。
用語:④垂直抗力(すいちょくこうりょく)
面が物を支える力
机や床などの面が、その上の物体を支える力。面に対して垂直に はたらく。机の上の本が落ちないのは、本にはたらく重力と、机からの垂直抗力が つり合っている から。
用語:⑤磁力(じりょく)
磁石にはたらく力
磁石どうしの間にはたらく力。同じ極(NとN、SとS)は反発し、ちがう極(NとS)は引き合う。鉄やニッケルなど一部の金属を引きつける力もこれにふくまれる。離れていてもはたらくのが特徴。
用語:⑥電気の力
電気を帯びた物の間にはたらく力
電気を帯びた物どうしの間にはたらく力。同じ電気は反発、ちがう電気は引き合う。ストローを服でこすったあと、紙くずを引きつけるのは、ストローが電気を帯びて紙くずに電気の力をおよぼすため。これも離れていてもはたらく。

①〜④は 触れ合っている物の間ではたらく力(重力は地球全体との間ではたらくので例外)、⑤⑥は 離れていてもはたらく力 と整理すると覚えやすくなります。

垂直抗力 (机が押し返す) 重力 (地球が引っ張る) 2つの力がつり合うので 本は静止している 6つの力の早見表 ① 重力 地球が物を下向きに引く ② 摩擦力 面との間で動きをじゃま ③ 弾性力 変形した物が元に戻る力 ④ 垂直抗力 面が物を垂直に支える ⑤ 磁力 磁石にはたらく(離れてもOK) ⑥ 電気の力 帯電した物の間(離れてもOK) 触れ合う:①〜④ 離れていてもOK:⑤⑥ ※ ①重力は地球全体との間ではたらくので例外
図1:机の上の本にはたらく2つの力と、6種類の力の早見表

重さと質量はちがう

ここからが中1理科で最大のひっかけポイントです。日常会話では「重さ」と「質量」をごちゃまぜに使いますが、理科では厳密に区別します

絶対に区別する:質量と重さ
  • 質量:物質そのものの量。場所が変わっても変わらない。単位は g・kg。電子てんびんや上皿てんびんで測る。
  • 重さ:物体にはたらく 重力の大きさ場所によって変わる(地球と月では重力がちがうから)。単位は N(ニュートン)。ばねばかりで測る。

たとえば、質量1kgの物体を月へ持っていくと、どうなるでしょうか。

例:質量1kgの物を地球と月で比べる
  • 地球:質量 1kg / 重さ 約9.8N
  • 月 :質量 1kg(変わらない!) / 重さ 約1.6N(地球の約1/6)

月では重力が地球の約6分の1なので、同じ物でも「軽く感じる」のです。でも、その物体に含まれる物質の量(=質量)は変わっていません。「重さ」と「質量」を区別するというのは、こういうことです。

力の単位 ── ニュートン(N)

力の大きさを表す単位は N(ニュートン) です。中学では、次のおおよその関係を覚えておけば計算ができます。

覚える数値
ニュートン(N)の感覚

1N ≒ 質量100g の物体にはたらく重力

つまり地球上では、質量100gの物の重さは約1N、質量1kg(=1000g)の物の重さは 約9.8N(教科書では「約10N」と扱うことが多い)。

この関係を使えば、グラム表示の質量を、ニュートン表示の重さにすばやく直せます。

例題:質量500gのリンゴの重さは何N?
  • 100g で 1N なので、500g なら 約5N
  • 計算式:500 ÷ 100 = 5 → 5N

テストでは「質量〇gの物体の重さは何Nか」と聞かれます。「g/kg と聞かれていたら質量、N と聞かれていたら重さ」 と先に問題文を読み分けるクセをつけましょう。

練習問題

問題1(種類を答える)
次の(1)〜(3)で、下線部の物にはたらく力の名前を答えなさい。
  1. 机の上に置いた が、机から押し返されている。
  2. ばねばかりに おもり をつるしたら、ばねが伸びて止まった。ばねがおもりを支えている力。
  3. 砂の上で をすべらせたら、だんだん遅くなって止まった。箱の動きをじゃました力。
答えを見る

(1) 垂直抗力(机が本を面に対して垂直に支える力)

(2) 弾性力(ばねが伸びて、元に戻ろうとする力でおもりを支えている)

(3) 摩擦力(砂と箱の間にはたらき、動きと反対向きにはたらく)

問題2(質量と重さ)
次の問いに答えなさい。ただし、地球上では質量100gの物体にはたらく重力を1Nとし、月の重力は地球の約1/6とする。
  1. 質量200gの物体の、地球での重さは何Nか。
  2. 同じ物体を月へ持っていったとき、質量は何gか。
  3. 同じ物体の月での重さは、およそ何Nか。
答えを見る

(1) 200 ÷ 100 = 2 → 2N

(2) 200g(質量は場所が変わっても変わらない!)

(3) 2N の 1/6 なので、約0.33N(または「約1/3 N」)

※ (2)で「重力が1/6だから質量も1/6」とすると間違い。質量と重さを混同していないか必ず確認しよう。

問題3(記述)
「重さ」と「質量」のちがいを、単位と「場所による変化」の2点にふれて説明しなさい。
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解答例:質量は物質そのものの量で、単位は g や kg を使う。場所が変わっても変わらない。一方、重さは物体にはたらく重力の大きさのことで、単位は N(ニュートン)を使う。重力は場所によって変わるため、地球と月では同じ物でも重さがちがう(月の重さは地球の約1/6になる)。電子てんびんで測れるのは質量、ばねばかりで測れるのは重さである。

まとめ

  • 力には 形を変える・動きを変える・支える の3つの効果がある。
  • 中1で覚える6つの力:重力・摩擦力・弾性力・垂直抗力・磁力・電気の力。①〜④は触れ合う物の間、⑤⑥は離れていてもはたらく(重力は例外)。
  • 机の上の本が静止しているのは、重力と垂直抗力がつり合っている から。
  • 質量は物質の量で場所が変わっても不変、単位は g・kg。重さは重力の大きさで場所で変わる、単位は N(ニュートン)。
  • 地球上では、質量100gの物体の重さ ≒ 1N。問題文に g とあれば質量、N とあれば重さと先に読み分ける。