力には3つの効果がある
力は目に見えませんが、はたらいているかどうかは 物の様子の変化 でわかります。理科では、力には次の3つの効果があると整理されています。
- ① 物体の 形を変える(バネを縮める、粘土をへこませる、ゴムを伸ばす)
- ② 物体の 動きを変える(止まっているものを動かす、動いているものを止める、進む向きを変える)
- ③ 物体を 支える(手で本を持つ、机が物を支える、ひもがおもりをつるす)
逆にいえば、物に力がはたらいていると見つけたら、これらの効果のどれかが起きているはずです。「動いていないから力ははたらいていない」と思いがちですが、机の上の本にも重力と垂直抗力という2つの力がはたらいています(後で説明します)。
いろいろな力(重要)
中学1年で出てくる力は次の6種類です。それぞれ「どこにはたらくか」「どんな向きか」をセットで覚えると、テストで混乱しません。
①〜③は 触れ合っている物の間ではたらく力(接触力)、④〜⑥は 離れていてもはたらく力(非接触力) と整理すると覚えやすくなります。重力は「地球全体との間」ではたらく力なので、磁力・電気の力と同じ非接触力のなかまです。
重さと質量はちがう
ここからが中1理科で最大のひっかけポイントです。日常会話では「重さ」と「質量」をごちゃまぜに使いますが、理科では厳密に区別します。
- 質量:物質そのものの量。場所が変わっても変わらない。単位は g・kg。電子てんびんや上皿てんびんで測る。
- 重さ:物体にはたらく 重力の大きさ。場所によって変わる(地球と月では重力がちがうから)。単位は N(ニュートン)。ばねばかりで測る。
たとえば、質量1kgの物体を月へ持っていくと、どうなるでしょうか。
- 地球:質量 1kg / 重さ 約9.8N
- 月 :質量 1kg(変わらない!) / 重さ 約1.6N(地球の約1/6)
月では重力が地球の約6分の1なので、同じ物でも「軽く感じる」のです。でも、その物体に含まれる物質の量(=質量)は変わっていません。「重さ」と「質量」を区別するというのは、こういうことです。
力の単位 ── ニュートン(N)
力の大きさを表す単位は N(ニュートン) です。中学では、次のおおよその関係を覚えておけば計算ができます。
1N ≒ 質量100g の物体にはたらく重力
つまり地球上では、質量100gの物の重さは約1N、質量1kg(=1000g)の物の重さは 約9.8N(教科書では「約10N」と扱うことが多い)。
この関係を使えば、グラム表示の質量を、ニュートン表示の重さにすばやく直せます。
- 100g で 1N なので、500g なら 約5N。
- 計算式:500 ÷ 100 = 5 → 5N
テストでは「質量〇gの物体の重さは何Nか」と聞かれます。「g/kg と聞かれていたら質量、N と聞かれていたら重さ」 と先に問題文を読み分けるクセをつけましょう。
この章でつまずきやすいところ
「力のはたらき」では、力の名前は覚えたつもりでも、本文を読み進めるうちに『動いていないのに力がはたらく?』『質量と重さって何がちがう?』と頭がこんがらがる場面が多い章です。よくある迷いを場面ごとに整理します。
止まっている物には力がはたらいていないと思い込んでしまう
- つまずく場面:本文の『机の上の本にも力がはたらく』を読んだとき、『動いていないなら力ゼロなのでは?』と混乱する。問題で『本にはたらく力をすべて書け』と聞かれて、何も書けず手が止まってしまう場面。
- 克服のコツ:因果関係で整理する。動いていない=力がない、ではなく『力がつり合っているから動かない』と読み替える。下向きの重力と上向きの垂直抗力、この2つがセットで打ち消し合っているから静止している、という順で考えるとつまずかない。
- ミニ例:机の上の本には、地球が引く重力(下向き)と、机が押し返す垂直抗力(上向き)の2つがはたらき、つり合って静止している。
摩擦力はいつも決まった向きにはたらくと思い込んでしまう
- つまずく場面:本文の『摩擦力は動きと反対向き』を読んだあと、問題で箱を右に動かしたり左に動かしたりするパターンが出てきて、『摩擦力は左向き』『摩擦力は下向き』と固定の方向で覚えてしまい、向きをまちがえる場面。
- 克服のコツ:見分け方は『相手の動く向きを先に決める』こと。摩擦力の向きは絶対的に決まっているのではなく、物体が動く向きの逆に向く。だから箱を右に動かせば摩擦力は左、左に動かせば右、と毎回向きを書き直す。
- ミニ例:砂の上で箱を右にすべらせたとき、箱と砂の間にはたらく摩擦力は左向き。箱を左にすべらせれば、同じ場所でも摩擦力は右向きに切り替わる。
重力ははたらく物とはたらかない物があると思い込んでしまう
- つまずく場面:本文の『重力も磁力・電気の力と同じ、離れていてもはたらく力』を読んだあと、『軽い紙には重力がない』『風船は浮くから重力なし』のように、軽い物や浮く物に重力がはたらかないと勘違いしてしまう場面。
- 克服のコツ:位置関係で整理する。地球上にあるなら、すべての物体に下向きの重力がはたらく。浮いて見えるのは重力がないのではなく、別の力(浮力など)が重力を上向きに打ち消しているから。『軽い=重力ゼロ』ではなく『軽い=重力が小さい』と読み替える。
- ミニ例:ヘリウム風船にも下向きの重力ははたらいている。浮いて見えるのは、空気が風船を上向きに押し返す浮力が重力よりわずかに大きいからで、重力そのものが消えているわけではない。
質量と重さを同じものとして読み進めてしまう
- つまずく場面:本文の『質量1kgを月に持っていくと…』を読んでいる途中で、『地球で1kgなら月でも1kg、当然じゃない?』と読み飛ばしてしまい、問題文の『質量何g』『重さ何N』の聞き分けでパニックになる場面。
- 克服のコツ:見分け方を単位で固定する。単位が g・kg なら質量(物質の量・場所で不変)、単位が N なら重さ(重力の大きさ・場所で変わる)。問題文を読む前に単位だけ丸で囲んでから式を立てると、質量と重さを取りちがえずに済む。
- ミニ例:質量200gの物体は、月へ持っていっても質量は200gのまま。一方、重さ(=重力の大きさ)は月では重力が約1/6になるので、地球で約2Nだったものが月では約3分の1Nに変わる。
練習問題
- 机の上に置いた 本 が、机から押し返されている。
- ばねばかりに おもり をつるしたら、ばねが伸びて止まった。ばねがおもりを支えている力。
- 砂の上で 箱 をすべらせたら、だんだん遅くなって止まった。箱の動きをじゃました力。
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(1) 垂直抗力(机が本を面に対して垂直に支える力)
(2) 弾性力(ばねが伸びて、元に戻ろうとする力でおもりを支えている)
(3) 摩擦力(砂と箱の間にはたらき、動きと反対向きにはたらく)
- 質量200gの物体の、地球での重さは何Nか。
- 同じ物体を月へ持っていったとき、質量は何gか。
- 同じ物体の月での重さは、およそ何Nか。
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(1) 200 ÷ 100 = 2 → 2N
(2) 200g(質量は場所が変わっても変わらない!)
(3) 2N の 1/6 なので、約0.33N(または「約1/3 N」)
※ (2)で「重力が1/6だから質量も1/6」とすると間違い。質量と重さを混同していないか必ず確認しよう。
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解答例:質量は物質そのものの量で、単位は g や kg を使う。場所が変わっても変わらない。一方、重さは物体にはたらく重力の大きさのことで、単位は N(ニュートン)を使う。重力は場所によって変わるため、地球と月では同じ物でも重さがちがう(月の重さは地球の約1/6になる)。電子てんびんで測れるのは質量、ばねばかりで測れるのは重さである。
まとめ
- 力には 形を変える・動きを変える・支える の3つの効果がある。
- 中1で覚える6つの力:摩擦力・弾性力・垂直抗力・重力・磁力・電気の力。摩擦力・弾性力・垂直抗力は接触力(触れ合う物の間)、重力・磁力・電気の力は非接触力(離れていてもはたらく)。
- 机の上の本が静止しているのは、重力と垂直抗力がつり合っている から。
- 質量は物質の量で場所が変わっても不変、単位は g・kg。重さは重力の大きさで場所で変わる、単位は N(ニュートン)。
- 地球上では、質量100gの物体の重さ ≒ 1N。問題文に g とあれば質量、N とあれば重さと先に読み分ける。
もっと知る ── 発展・実生活(出典つき)
※ 教科書の内容に、信頼できる出典をもとにした発展・実生活・時事の話題を補足しています(教科書そのものではありません)。
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ガソリンスタンドの静電気除去シート実生活
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