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圧力 ── 面を押す力の集中度・水圧と大気圧

同じ「1Nの力」でも、針の先で押すのと、平らな板で押すのとでは結果がまるで違います。針はチクッと刺さるのに、板はビクともしない。この違いを生む正体が 圧力 です。今回は、圧力の計算式と単位の落とし穴、さらに水中で深くなるほど大きくなる 水圧 や、私たちの身のまわりにある 大気圧 までを一気に整理します。単元3「身のまわりの現象」の最終回です。

同じ力でも、面積で「押し方」が変わる

たとえば、机の上に 1N の力をかけてみます。同じ力でも、押し方によって結果はまるで違います。

  • 細い針の先でグッと押す → 先がとがっているので、軽い力でも布や紙にスッと刺さる。
  • 平らな板を当てて押す → 同じ1Nの力でも、ほとんど何も起きない。

力の大きさは同じはずなのに、起きることが違う。ということは、「力の強さ」だけでは押し方を表しきれていません。面積でわけて考える必要があるのです。これを表す量が圧力です。

圧力の計算式

圧力は、力がどのくらいの面積に集中しているかを表します。式はとてもシンプルです。

公式
圧力の計算式

圧力(Pa)= 力(N)÷ 面積(m²)

単位は Pa(パスカル)。1Pa は 1m² の面に 1N の力 がかかったときの圧力。
つまり 1Pa = 1N/m²。天気予報で出てくる hPa(ヘクトパスカル)1hPa = 100Pa

単位ぞろえの落とし穴(ここが超大事)

圧力の問題で点を落とす一番の原因が 単位ぞろえ です。問題文では cm² や g で書かれていることが多いのに、計算では m² と N に直さないと、答えが大きくズレます。

つまずきポイント:単位ぞろえ
  • 面積は で計算する。cm² で書かれていたら、必ず m² に直す。
    1m² = 10000cm²(10000倍も違う!)
    例:100cm² = 0.01m²、200cm² = 0.02m²、50cm² = 0.005m²
  • 力は N で計算する。質量 g や kg で書かれていたら、N に直す。
    100g = 約1N1kg = 約10N(地球上の重力)

3つの公式(変形のかたち)

オームの法則と同じく、圧力の式も「知りたい量を左辺に」と覚えておけば自由に変形できます。

圧力の式の3つのかたち

圧力知りたい:圧力 = 力 ÷ 面積

知りたい:力 = 圧力 × 面積

面積知りたい:面積 = 力 ÷ 圧力

具体例で慣れてみよう

例1:質量3kgの本を、底面積100cm²で机の上に置いたときの圧力は?

  • 力(重力)= 3kg × 10 = 30N
  • 面積:100cm² = 0.01m²(cm²のまま計算しない!)
  • 圧力:30 ÷ 0.01 = 3000Pa(=3kPa)

例2:同じ本を、底面積300cm²の向き(広い面)で置いたら?

  • 力は同じ:30N
  • 面積:300cm² = 0.03m²
  • 圧力:30 ÷ 0.03 = 1000Pa

面積が3倍になると、圧力は 1/3 になりました。同じ力でも、広い面で押すと圧力は小さくなるということです。スキー板や雪上車のキャタピラが広いのも、この性質を使って雪に沈まないようにする工夫です。

水圧 ── 水中に深く入るほど大きい

水中の物には、水の重さによる圧力がはたらいています。これを 水圧 といいます。水圧の特徴は2つです。

  • 深さに比例する:深い場所ほど、上に乗っている水の量が多くなるので、水圧も大きくなる。
  • あらゆる向きからはたらく:同じ深さでは、上からだけでなく横からも下からも同じ大きさで押す。

プールの底まで潜ると耳がツーンと痛くなるのは、水圧で耳のまく(鼓膜)が押されているから。深海魚が水面に上がってこないのも、彼らは深海の高い水圧の世界に体を合わせているからです。

また、水中の物体には下面と上面で水圧の差ができます。下面のほうが深くて水圧が大きいので、物体は上向きに押し返されます。これが 浮力 の正体です(次の単元で詳しく学びます)。

大気圧 ── 空気にも重さがある

空気は軽くてつかみどころがないけれど、ちゃんと 重さ があります。地球には厚さ約100kmの大気の層があり、その重さによる圧力が 大気圧 です。

  • 海面付近の大気圧:約 101300Pa(= 1013hPa = 1気圧)
  • 1m² あたり、なんと 約10トン の重さがかかっている計算。
  • それでも私たちが押しつぶされないのは、体内からも同じ大きさの圧力で押し返しているから。

身近な大気圧の現象

大気圧は目に見えませんが、身のまわりのいろいろな現象でその力を確かめることができます。

  • 吸盤がくっつく:吸盤を壁に押しつけて中の空気を押し出すと、内側の気圧が下がる。すると外の大気圧で吸盤が壁に押しつけられ、はがれなくなる。
  • ストローで飲む:口で吸うと、ストロー内の気圧が下がる。すると、コップの液面を押している大気圧が、液体をストロー内へと押し上げてくれる。「吸い上げている」のではなく「押し上げられている」のです。
  • 高い山で耳が痛い:高度が上がると、上に乗っている空気が減るので大気圧が下がる。耳の中の気圧と外の気圧の差で、まくが押されて痛くなる。
  • 山の上では水の沸点が下がる:気圧が低いと水分子が蒸発しやすくなる。富士山の山頂(約630hPa)では、水は約88℃で沸騰してしまうので、ご飯がうまく炊けない。

水圧と大気圧のちがい

名前は違いますが、しくみは似ています。並べて比べてみましょう。

  水圧 大気圧
何の重さによる? 水の重さ 空気の重さ
どの向きにはたらく? あらゆる向き あらゆる向き
何で大きさが変わる? 深さ(深いほど大) 高度(高いほど小)

共通点は、あらゆる向きから一様に押すこと。これは液体・気体に共通する大事な性質です。固体(机に乗せた本など)の圧力は下向きにしかかかりませんが、液体や気体の圧力は360度すべての方向にはたらきます。

① 同じ力でも、面積で圧力が変わる 1N 針(先がとがる) 圧力 大! → 刺さる 1N 平らな板(広い面) 圧力 小 → 何も起きない 面積 小 面積 大 圧力 = 力 ÷ 面積 ② 水圧は深さに比例 水面 浅い → 水圧 小 深い → 水圧 大! → 矢印は水圧の大きさ
図1:左=面積で圧力が変わる、右=水圧は深さに比例して大きくなる

練習問題

問題1(基本計算)
質量1kgのレンガを、底面積50cm²の向きで床に置いた。このときの圧力は何Paか。
答えを見る

力(重力)= 1kg × 10 = 10N

面積:50cm² = 0.005m²(cm² → m² に直す!)

圧力:10 ÷ 0.005 = 2000Pa(=2kPa)

問題2(面積で圧力が変わる)
質量400gの直方体の物体がある。
(1) 底面積20cm²の向きで置いたときの圧力は何Paか。
(2) 同じ物体を底面積80cm²の向きで置いたときの圧力は何Paか。
(3) (1)は(2)の何倍の圧力か。
答えを見る

力(重力)= 400g = 4N(100g=1Nなので、400g=4N)

(1) 面積:20cm² = 0.002m²。圧力:4 ÷ 0.002 = 2000Pa

(2) 面積:80cm² = 0.008m²。圧力:4 ÷ 0.008 = 500Pa

(3) 2000 ÷ 500 = 4倍

※ 面積が4倍になると、圧力は 1/4 になる。スキー板やキャタピラが広いのと同じ理屈。

問題3(記述)
次の問いに答えなさい。
(1) 水圧が水の深さに比例するのはなぜか。
(2) 吸盤が壁にくっつくしくみを、大気圧という言葉を使って説明しなさい。
答えを見る

(1) 解答例:水圧は、その場所より上にある水の重さによって生まれる圧力だから。深い場所ほど、上に乗っている水の量(重さ)が多くなるので、水圧も大きくなる。

(2) 解答例:吸盤を壁に押しつけて中の空気を押し出すと、吸盤の内側の気圧が外より低くなる。すると、外の大気圧が吸盤を壁に押しつける向きにはたらき、はがれにくくなる。

まとめ

  • 圧力 = 力 ÷ 面積。単位は Pa(パスカル)= N/m²。同じ力でも、面積が小さいほど圧力は大きい。
  • 計算前の 単位ぞろえ が最重要。cm² → m²(10000で割る)、g → N(100gで1N)。
  • 3つの変形:圧力=力÷面積、力=圧力×面積、面積=力÷圧力。
  • 水圧 は水の重さによる圧力で、深さに比例して大きくなる。あらゆる向きにはたらく。
  • 大気圧 は空気の重さによる圧力で、海面付近で約 1013hPa(1気圧)。吸盤・ストロー・耳のツーンなど身のまわりにたくさん登場する。