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化石と地質年代 ── 示準化石と示相化石

アンモナイトとサンゴが同じ地層から出てきたら、そこは「いつ・どんな場所」だったでしょうか。化石は、地層に閉じ込められた昔の生き物のサインです。中1で押さえるべきは、化石を 示準化石(時代を教える化石)と 示相化石(環境を教える化石)の2種類に分けて読むこと。この区別さえできれば、地層から地球の歴史が読み取れます。

化石とは

まず、化石とは何かを整理します。骨だけが化石、と思いがちですが、もっと幅広い意味があります。

用語:化石
fossil
地層に残された 昔の生き物の体や生活のあと。骨や貝がら、足跡、巣穴、葉のかたち、こはく(樹液に閉じ込められた虫)など、種類はさまざま。何万年〜何億年前のものまである。

つまり、生き物そのもの(体化石)だけでなく、足跡や巣穴のような 生活のあと(生痕化石)も化石に含まれます。葉のかたちが石に残ったもの、こはくの中の虫も化石です。

化石は2種類ある

中1理科で最もよく問われるのが、化石を「示準化石」と「示相化石」に分ける問題です。名前が似ていて混同しやすいので、何を教えてくれる化石なのかをセットで覚えます。

用語:示準化石
時代を教える化石
限られた時代にだけ生きていて、広い地域に分布していた生物の化石。進化が速い生物が多い。化石が出れば、地層の 年代 が分かる。

示準化石になるには、3つの条件がそろっている必要があります。

示準化石の3条件
  • ① その時代だけに生きていた(短い期間で絶滅した)
  • ② 広い地域に分布していた(世界中で見つかる)
  • ③ 数が多い(化石として残りやすい)

代表的な示準化石を地質年代ごとに整理します。

代表的な示準化石
  • 古生代(約5.4〜2.5億年前):サンヨウチュウ、フズリナ
  • 中生代(約2.5〜0.66億年前):アンモナイト、恐竜
  • 新生代(約0.66億年前〜現在):ビカリア(巻貝)、マンモス
用語:示相化石
環境を教える化石
限られた環境にしか住めない生物の化石。化石が出れば、その地層ができた時の 環境(あたたかい海、淡水、寒い海など)が分かる。

代表的な示相化石は、現在もその環境に住んでいる生物がほとんどです。だから、現在の生息環境を知っていれば、当時の環境も推定できます。

代表的な示相化石
  • サンゴ:あたたかく、浅く、きれいな海
  • シジミ:川や湖の河口(淡水と海水が混じる場所)
  • ホタテ:冷たい海
  • アサリ・ハマグリ:浅い海
  • ブナ・シダの葉:温暖湿潤な気候の陸地
つまずきポイント:「示準」と「示相」の混同
  • 」は基準の準 → 時代の 基準 になる化石(時代を示す)。
  • 」は様相・相貌の相 → 環境の すがた を示す化石(環境を示す)。
  • 「アンモナイト」は中生代だけに生きたので示準化石。「サンゴ」は今もあたたかい海にしかいないので示相化石。

図でくらべる:示準化石と示相化石

示準化石 = 時代を教える化石 条件: ・ 限られた時代にだけ生きた ・ 広い地域に分布した ・ 数が多く進化が速い わかること: いつの地層か(年代) 例: サンヨウチュウ → 古生代 アンモナイト → 中生代 ビカリア → 新生代 示相化石 = 環境を教える化石 条件: ・ 限られた環境にしか住めない ・ 今も同じ環境にいる種が多い ・ 環境変化に敏感 わかること: どんな環境だったか 例: サンゴ → あたたかく浅い海 シジミ → 川や湖の河口 ブナの葉 → 温暖湿潤な陸地
図1:示準化石と示相化石の役割の違い

3つの地質年代(中学レベル)

地球の歴史は、生物の大きな変化を区切りにして時代分けされています。中学では3つの地質年代を覚えれば十分です。

地質年代期間(およそ)代表的な生物
古生代5.4億〜2.5億年前サンヨウチュウ、フズリナ、シダ植物が繁栄
中生代2.5億〜0.66億年前アンモナイト、恐竜、裸子植物
新生代0.66億年前〜現在ほ乳類、被子植物、ビカリア、マンモス、ヒト

地層から示準化石が出れば、その地層が 古生代・中生代・新生代のどれにできたか が分かります。地球の46億年の歴史の中で、どのあたりの時期かを位置づけられるわけです。

過去 現在 古生代 5.4〜2.5億年前 三葉虫 フズリナ サンヨウチュウ フズリナ シダ植物 中生代 2.5〜0.66億年前 アンモナイト 恐竜 アンモナイト 恐竜・裸子植物 新生代 0.66億年前〜現在 ビカリア マンモス ビカリア・マンモス ほ乳類・被子植物 化石が出れば、地層がどの時代に作られたかが分かる
図2:古生代・中生代・新生代の代表的な示準化石

地層から読み取れる2つの情報

2種類の化石をまとめると、地層からは「いつ」と「どんな環境で」の2つの情報が読み取れます。

化石の種類わかること
示準化石いつの時代かアンモナイト → 中生代
示相化石どんな環境だったかサンゴ → あたたかく浅い海

同じ地層から両方の化石が出てきたら、「いつ・どんな環境だったか」 が一気にわかります。たとえばアンモナイト(示準化石)とサンゴ(示相化石)が一緒に出れば、「中生代の、あたたかく浅い海」だったと判定できます。

化石はどうやってできる?

そもそも、生き物が死ぬとふつうは分解されてなくなります。化石として残るのはまれな出来事です。

化石ができる流れ
  • ① 生き物が死ぬ。ふつうは細菌や動物に分解されて消える。
  • ② すばやく地層に埋もれた場合、骨や殻が分解されずに残る。
  • ③ 長い年月のうちに、骨や殻の成分が地下水にとけた鉱物に置きかわる(置換)。
  • ④ 葉や昆虫はそのまま炭化したり、こはくに閉じ込められたりして残ることもある。

つまり、化石が見つかるのは 特別な条件がそろった場合 だけです。だから、化石の発見は「たまたま」ではなく、その地域がかつて海や湖の底で、生き物がすばやく埋もれる環境だった、という証拠でもあります。

日本でも有名な化石

化石は外国の話だけではありません。日本でも、各地で重要な化石が見つかっています。

日本の主な化石産地
  • 福井県:恐竜の化石(フクイラプトルなど)── 中生代
  • 北海道:アンモナイトの化石が多数 ── 中生代
  • 岐阜県:ビカリアやサンヨウチュウ ── 新生代・古生代
  • 東京都立川市:ナウマンゾウの化石 ── 新生代

東京都内でもナウマンゾウが見つかっているのは意外でしょう。地層は私たちのすぐ足元にもあり、地球の歴史を記録しています。

練習問題

問題1(分類)
次の化石を、示準化石と示相化石に分けなさい。
サンヨウチュウ、サンゴ、アンモナイト、シジミ、ビカリア、ホタテ
答えを見る

示準化石(時代を教える):サンヨウチュウ(古生代)、アンモナイト(中生代)、ビカリア(新生代)

示相化石(環境を教える):サンゴ(あたたかく浅い海)、シジミ(川や湖の河口)、ホタテ(冷たい海)

※ 「限られた時代」か「限られた環境」かで見分ける。アンモナイトは中生代だけに生きていたから示準化石。サンゴは今もあたたかい海にしかいないから示相化石。

問題2(地層の読み取り)
ある地層から、アンモナイトとサンゴの化石が一緒に見つかった。この地層は いつどのような環境 でできたか答えなさい。
答えを見る

時代:アンモナイトは示準化石で、中生代だけに生きていたので、中生代 にできた地層。

環境:サンゴは示相化石で、あたたかく浅いきれいな海にしか住めないので、あたたかく浅い海 でできた地層。

つまり、この地層は 「中生代の、あたたかく浅い海」 でできたと判断できる。示準化石と示相化石が両方出ると、時代と環境の両方がわかる。

問題3(記述)
(1) 示準化石になるための条件を3つ書きなさい。
(2) 化石ができるまでのおおまかな流れを、簡単に説明しなさい。
答えを見る

(1) 解答例:

  • ① 限られた時代だけに生きていたこと(短い期間で絶滅した)
  • ② 広い地域に分布していたこと(世界中で見つかる)
  • ③ 数が多く、化石として残りやすいこと

(2) 解答例:生き物が死んだあと、すばやく地層に埋もれると、骨や殻が分解されずに残る。長い年月の間に、骨や殻の成分が地下水にとけた鉱物に置きかわって、硬い石のようになる。これが化石である。葉や昆虫は炭化したり、こはくに閉じ込められたりして残ることもある。

まとめ

  • 化石とは、地層に残された昔の生き物の体や生活のあと。骨や殻だけでなく、足跡・葉・こはくの中の虫も含まれる。
  • 示準化石時代 を教える化石。限られた時代に広い地域で生きた生物(サンヨウチュウ・アンモナイト・ビカリアなど)。
  • 示相化石環境 を教える化石。限られた環境にしか住めない生物(サンゴ・シジミ・ホタテなど)。
  • 地質年代は中学では3つ:古生代・中生代・新生代。それぞれの代表的な示準化石を覚える。
  • 化石ができるのは特別な条件がそろった場合だけ。日本でも福井・北海道・岐阜・東京などで重要な化石が見つかっている。