詩の分類
① 音数(決まりの有無):定型詩 vs 自由詩
② 言葉の種類:口語詩 vs 文語詩
| 分類 | 説明 | 例 |
|---|---|---|
| 定型詩 | 音数(音節数)が決まっている | 俳句 5・7・5、短歌 5・7・5・7・7 |
| 自由詩 | 音数の決まりがない | 近現代の詩の多く |
| 口語詩 | 話し言葉で書かれた | 北原白秋、宮沢賢治の詩 |
| 文語詩 | 古い書き言葉で書かれた | 島崎藤村「初恋」 |
4つの組み合わせ
- 口語自由詩:現代の詩で最も多い形式
- 文語定型詩:俳句・短歌の伝統形式
- 口語定型詩:現代の童謡など
- 文語自由詩:北原白秋初期など
有名な童謡
| 童謡 | 作詞者 | テーマ |
|---|---|---|
| 赤とんぼ | 三木露風 | 夕焼け、子守の思い出 |
| ふるさと | 高野辰之 | 故郷への愛着 |
| 春の小川 | 高野辰之 | 春の自然 |
| もみじ | 高野辰之 | 秋の山 |
| 七つの子 | 野口雨情 | カラスの子 |
| 椰子の実 | 島崎藤村 | 故郷への思い、旅 |
| からたちの花 | 北原白秋 | 少年期の思い出 |
近代の代表的な詩人
| 詩人 | 時代 | 代表作 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 島崎藤村 | 明治 | 『若菜集』『落梅集』 | 近代浪漫主義の祖、文語定型詩 |
| 北原白秋 | 明治〜昭和 | 『邪宗門』、童謡多数 | 豊かな感性、童謡作詞の王 |
| 高村光太郎 | 明治〜昭和 | 『智恵子抄』『道程』 | 口語自由詩、彫刻家でもあった |
| 萩原朔太郎 | 大正 | 『月に吠える』『青猫』 | 近代詩の確立、口語自由詩 |
| 宮沢賢治 | 大正〜昭和 | 『春と修羅』 | 独特な世界観、童話作家でもある |
| 金子みすゞ | 大正〜昭和 | 「私と小鳥と鈴と」 | 童謡的な優しい詩 |
| 中原中也 | 昭和 | 『山羊の歌』 | 孤独・憂愁の詩 |
表現技法(最重要)
比喩(直喩):「〜のような」「〜のごとく」を使う
例:「雲のような髪」
比喩(隠喩):「のような」を使わない直接のたとえ
例:「彼女は太陽だ」
擬人法:人でないものを人のように表す
例:「風が歌う」「花が笑う」
反復:同じ表現を繰り返す
例:「赤い赤い夕日」
対句:似た構造の句を並べる
例:「山は青く、海は深い」
体言止め:名詞で文を終える
例:「美しき秋の夕暮れ」
倒置:語順を入れ替える
例:「美しいね、空が」
省略:あえて省く
詩の鑑賞のポイント
① 声に出して読み、リズムを感じる
② 表現技法を見つける
③ キーワード(繰り返される言葉、印象的な言葉)に注目
④ 作者が何を 伝えたいかを考える(テーマ)
⑤ 情景を想像する(季節・時間・場所)
童謡の特徴
子どもに歌われることを意識して作られた歌
大正時代に、北原白秋・野口雨情・西条八十らが芸術的な童謡運動を起こす
それまでの「お説教くさい唱歌」を超えて、子どもの心に寄り添う詩
山田耕筰・中山晋平らの作曲家とのコラボレーション
日本人の心の故郷となる作品が多く生まれた
「赤とんぼ」(三木露風)の世界
「夕焼小焼の 赤とんぼ/負われて見たのは いつの日か」
→ 幼児期に子守りの背中で見た光景の 追想
「山の畑の 桑の実を/小篭に摘んだは まぼろしか」
→ 記憶の中の故郷の風景
郷愁・追憶という日本の心が凝縮されている
- 声に出して読み、リズムを感じる
- 表現技法を見つける
- 作者が何を伝えたいかを考える
- 情景(時・場所・季節)を想像する
- 直喩:「〜のような」「〜みたいに」がある
- 隠喩:「〜のような」を使わず直接たとえる
- 例:「雪のような肌」(直喩)/「彼女は雪だ」(隠喩)
- テストで頻出、区別を意識
- 定型詩:音数のルールあり(俳句5・7・5、短歌5・7・5・7・7)
- 自由詩:音数のルールなし(自由に長さを変えられる)
- 近現代の詩は自由詩が多い
教科書で確認した詩の読み方
- 詩は、語句の意味だけでなく、音数・反復・リズムを声に出して確かめる。
- 童謡は覚えやすい調子を持つ一方、短い言葉に情景や心情が込められている。
- 表現技法は、何を強調するために使われているかまで読む。
- 直喩・隠喩・擬人法・反復を見つけたら、読者にどんな印象を与えるかを書く。
- 詩の問題では「どの言葉からそう考えたか」を本文に戻って説明する。
この章でつまずきやすいところ
詩や童謡を読んでいる途中、「言葉の意味は分かるのに、何を答えればいいか迷う」場面が出てきます。ここでは、本文を読み進める途中で中学生がつまずきやすい瞬間を取り上げ、立ち止まり方のコツを示します。
比喩を字面どおりに受け取ってしまう
- つまずく場面:「海のように広い心」「雲のような髪」のような一行に出会ったとき、本当に海や雲の話だと思ってしまい、何のたとえなのか・どんな共通点があるのかを止まって考えられないまま読み進めてしまう場面。
- 克服のコツ:比喩に出会ったら、まず「のような・みたいに」があるかで直喩か隠喩かを見分けます。次に「たとえられるもの(被喩辞)=何を」と「たとえているもの(喩辞)=何に」の2語を本文から抜き出します(順番に注意:たとえられる側が主役で、それを何にたとえているかを後ろに置く)。最後に共通点(明るさ・やわらかさ・遠さなど)を1語で言い当てると、字面に引きずられません。
- ミニ例:「雲のような髪」では、たとえられているもの(被喩辞)=髪、たとえているもの(喩辞)=雲、共通点はふんわりした感じ。「海のように広い心」も同じ手順で、たとえられているもの=心、たとえているもの=海、共通点は広さと読み取ります。
反復をただの言い直しと受け取ってしまう
- つまずく場面:「夕焼小焼の赤とんぼ」のように同じ言葉や同じ調子の行が続く一節を読みながら、「同じことを2回言っているだけだ」と感じて、なぜくり返されているのかを考えずに次の行へ進んでしまう場面。
- 克服のコツ:反復を見つけたら、「強調」と「リズム」の2つの働きを分けて確認します。手順は、①くり返されている語句をマークする、②その語句が表す感情や情景(明るさ・寂しさ・勢いなど)を一語でメモする、③声に出して読み、音の調子がどんな印象を作るかを書き添える、の順です。
- ミニ例:三好達治『雪』の「太郎を眠らせ、太郎の屋根に雪ふりつむ。/次郎を眠らせ、次郎の屋根に雪ふりつむ。」では、同じ形の行を重ねることで静かに降り積もる雪の情景を強調し、ゆったりした音の調子が夜の静けさを生みます。技法名だけで終わらせず、印象まで書くのがコツです。
定型詩か自由詩かを行の見た目で決めつけてしまう
- つまずく場面:詩を読みながら「行が短いから定型」「長くて改行が多いから自由」と、見た目だけで分類してしまい、音数を数えずに答えを選んでしまう場面。近現代の詩で迷いが起きやすい。
- 克服のコツ:分類は「音数の決まりがあるかどうか」で決まります。手順は、①一行ずつ音数(拍)を仮名で数える(例:ふしぎ=3音)、②俳句なら5・7・5、短歌なら5・7・5・7・7にそろっているかを見る、③そろっていなければ自由詩と判定する、の3ステップで進めます。なお、促音・撥音・長音は1音と数える(例:きっぷ=3音、おかあさん=5音)ことに注意します。
- ミニ例:「柿くへば鐘が鳴るなり法隆寺」は5・7・5にそろっているので定型詩(俳句)。一方、宮沢賢治『雨ニモマケズ』のように行ごとに音数が違う詩は、見た目に関係なく自由詩と整理します。
童謡を「子ども向けで内容が浅い」と思い込んでしまう
- つまずく場面:「赤とんぼ」「ふるさと」「七つの子」のような童謡を読みながら、「歌詞が短くて簡単」と感じて、追想や郷愁といった言葉の奥にある情景を読みとろうとしないまま読み流してしまう場面。なお、こうした童謡の多くは「赤い鳥」など大正期の童謡運動を背景に持つ作品である。
- 克服のコツ:童謡は「短い言葉に情景や心情を込める表現」だと位置づけ直します。手順は、①場面の時・場所(夕方・故郷・背中の上など)を本文の語句から拾う、②誰の視点かを確かめる、③その語句が今のことか・思い出か(時系列)を区別する、の順で読みます。
- ミニ例:「夕焼小焼の赤とんぼ/負われて見たのは いつの日か」では、まず「負われて」=背負われての意で、子守などに背負われていた幼い頃の情景を示すと解釈されます。さらに「いつの日か」から今ではなく過去の追想だと分かります。多くの教科書ではこの詩を追想・郷愁の童謡として扱います。
練習問題
- 音数の決まりがない詩
- 話し言葉で書かれた詩
- 人でないものを人のように表す技法
- 名詞で文を終える技法
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(1) 自由詩 (2) 口語詩 (3) 擬人法 (4) 体言止め
- 『智恵子抄』の作者
- 『春と修羅』の作者
- 童謡「七つの子」の作詞者
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(1) 高村光太郎 (2) 宮沢賢治 (3) 野口雨情
次の表現に使われている技法を答えよ。
- 「風が歌っている」
- 「あなたは星だ」
- 「赤い赤い夕日」
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(1) 擬人法 (2) 隠喩 (3) 反復
次の比喩のうち、直喩はどれか。
- 君は花だ
- 君は花のようだ
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(2) 直喩(「のような」を使っている)
(1) は隠喩
まとめ
- 詩の分類:定型/自由、口語/文語。
- 表現技法:比喩(直喩・隠喩)・擬人法・反復・対句・体言止め・倒置。
- 近代の詩人:島崎藤村・北原白秋・高村光太郎・宮沢賢治・金子みすゞ など。
- 童謡:大正期に芸術運動として生まれる。
- 鑑賞:声に出す・技法を見つける・情景を想像する。
もっと知る ── 発展・実生活(出典つき)
※ 教科書の内容に、信頼できる出典をもとにした発展・実生活・時事の話題を補足しています(教科書そのものではありません)。
童謡は大正時代に雑誌『赤い鳥』から生まれた発展
童謡という芸術運動は、大正7年(1918年)に鈴木三重吉が創刊した児童雑誌『赤い鳥』から始まりました。三重吉は明治以来の教訓的なお伽噺を「読み物ではあっても文学ではない」と批判し、子どもの純真さを育てるために一流の文学者が書くべきだと考えたのです。教科書で童謡が「お説教くさい唱歌を超えた表現」とされる背景には、この運動があります。
北原白秋は『赤い鳥』創刊号から童謡を書いた発展
北原白秋(1885〜1942年)は『赤い鳥』の創刊号から数々の童謡を寄稿し、子どもの自由詩の選者も務めました。彼は英米の童謡研究にも力を注ぎ、言葉の響きや工夫を大切にしました。教科書で白秋が童謡を代表する作詞家として扱われるのは、この中心的な役割によります。
「赤とんぼ」は今も歌い継がれる代表的な童謡実生活
童謡「赤とんぼ」は、三木露風が大正10年(1921年)に作詞し、昭和2年(1927年)に山田耕筰が曲をつけました。夕焼けの中、幼い日に背負われて見た赤とんぼを思い出すという、故郷への郷愁をうたった詩で、2007年には文化庁などの「日本の歌百選」に選ばれています。教科書の本文に出てくる詩が、今も多くの人に親しまれている例です。
金子みすゞ──没後に再発見された童謡詩人発展
金子みすゞ(1903〜1930年)は26年の短い生涯で約512編の詩を残しましたが、没後はほとんど忘れられていました。研究者の矢崎節夫が16年かけて遺稿の手帳を探し当て、1984年に全集が出版されたことで、その優しいまなざしの詩が広く知られるようになりました。代表作「私と小鳥と鈴と」は、今では小学校の国語教科書にも載っています。
島崎藤村「初恋」は七五調の文語定型詩発展
島崎藤村の詩集『若菜集』は明治30年(1897年)に刊行され、日本のロマン主義文学を代表する詩集です。その中の「初恋」は七五調を基調とした文語定型詩で、教科書でいう「音数の決まりがある定型詩」「古い書き言葉で書かれた文語詩」の両方の特徴をあわせ持っています。近現代の自由詩と読み比べると、形式のちがいがよく分かります。
