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多項式の加減 ── かっこを外して同類項をまとめる

多項式の足し算・引き算は、「かっこを外す」→「同類項をまとめる」の2ステップ。とくに引き算では かっこの中の符号が反転するのに要注意です。中1の文字式計算の発展形で、ここで型を体に染み込ませると以降がラクになります。

復習 ── 同類項とは

用語
同類項
文字の種類と次数が同じ項。
例:3x と 5x は同類項。3x と 5x² は 違う。3a² と −2a² は同類項。
  • 同類項は「係数だけ足し引き」してまとめられる
  • 例:3x + 5x = 8x
  • 例:7a − 4a = 3a
  • 例:2x² + 5x²= 7x²
  • 例:2x + 3y はまとめられない(文字が違う)

多項式の足し算

例1:(2x + 3y) + (4x − y)

かっこを外す:2x + 3y + 4x − y

同類項を集める:(2x + 4x) + (3y − y)

係数を計算:(2+4)x + (3−1)y

= 6x + 2y

例2:(3a² − 2a + 5) + (a² + 4a − 3)

= 3a² − 2a + 5 + a² + 4a − 3

= (3a² + a²) + (−2a + 4a) + (5 − 3)

= (3+1)a² + (−2+4)a + (5−3)

= 4a² + 2a + 2

例3:(5x − 2y + 3) + (−x + 6y − 4)

= 5x − 2y + 3 − x + 6y − 4

= (5−1)x + (−2+6)y + (3−4)

= 4x + 4y − 1

多項式の引き算 ── 符号反転に注意

ルール
引き算のかっこ外し
「− ( )」のかっこを外すと、かっこの中の符号がすべて反転する。
これは「−1 × (中身)」と考えるとわかりやすい。
例4:(5x + 2y) − (3x − 4y)

かっこを外す(後ろの符号がすべて反転):

5x + 2y − 3x + 4y

  +3x → −3x、−4y → +4y

同類項:(5−3)x + (2+4)y

= 2x + 6y

例5:(4a² − 3a + 2) − (a² + 5a − 1)

= 4a² − 3a + 2 − a² − 5a + 1

  (+a² → −a²、+5a → −5a、−1 → +1)

= (4−1)a² + (−3−5)a + (2+1)

= 3a² − 8a + 3

例6:(7x − 4) − (3x + 5)

= 7x − 4 − 3x − 5

= (7−3)x + (−4−5)

= 4x − 9

縦に並べて計算する方法

縦の計算法(足し算)

3x² − 2x + 5

+) 2x² + 5x − 3

───────────

5x² + 3x + 2

→ 各列ごとに同類項を計算(次数ごとに揃える)

→ 縦に並べる時は、項が抜けたら空白を空ける

縦の計算法(引き算)

4a² − 3a + 2

−) a² + 5a − 1

───────────

3a² − 8a + 3

→ 引き算でも、各列ごとに引いて計算

→ −3a − 5a = −8a、2 − (−1) = 2 + 1 = 3

3つ以上の多項式の加減

例7:(x + 2) + (2x − 3) − (x + 1)

= x + 2 + 2x − 3 − x − 1

= (1+2−1)x + (2−3−1)

= 2x − 2

例8:(3a − 2b) + (a + b) − (2a − 3b)

= 3a − 2b + a + b − 2a + 3b

= (3+1−2)a + (−2+1+3)b

= 2a + 2b

多項式と数の乗法・除法

ルール
分配法則で各項にかける
多項式に数をかけるときは、すべての項にその数をかける。数で割るときは、逆数をかける形に直すと計算しやすい。
例9:3(2x − 5y + 4)

3 を各項にかける:

= 3·2x + 3·(−5y) + 3·4

= 6x − 15y + 12

例10:(6a − 9b) ÷ 3

÷3 は ×1/3 と同じ:

= (1/3)(6a − 9b)

= 2a − 3b

例11:(4x − 6y) ÷ (−2)

= (−1/2)(4x − 6y)

= (−1/2)·4x + (−1/2)·(−6y)

= −2x + 3y

負の数で割ると、各項の符号が変わるところに注意。

つまずきポイント④:前の項だけにかけない
  • × 2(x + 3) = 2x + 3
  • ○ 2(x + 3) = 2x + 6
  • かっこの中が3項でも同じ。すべての項にかける。

計算ミスを減らすコツ

  • かっこ外しのとき、最初に符号をすべて確定させる(マイナスの分配を忘れずに)
  • 項を線で結ぶと同類項のグループが見えやすい
  • x の項、y の項を順番に並べ替えると計算しやすい
  • 係数の足し算は 正・負を分けて計算するとミスが減る
  • 最終的に 次数の高い順に並べると見やすい
つまずきポイント①:マイナスの分配
  • −(a − b) = −a + b(中身の符号がすべて反転)
  • × −(a − b) = −a − b(誤り、−b → +b になる)
  • −1 を中のすべての項にかける、と覚える
  • 引き算が出てきたら、まず「マイナスかける」と意識する
つまずきポイント②:同類項を間違えない
  • 3x と 5x → 同類項(OK)
  • 3x と 5x² → 違う項(NG、まとめない)
  • 2a²b と 3ab² → 違う項(NG、a と b の次数が違う)
  • 定数同士はまとめられる(4 + 2 = 6)
つまずきポイント③:1や0の係数
  • x の係数は 1(x = 1x)
  • −x の係数は −1
  • 係数が 1 のときは省略するが、計算では 1 として扱う
  • 結果が 0x になったら、その項は消える(書かない)

この章でつまずきやすいところ

多項式の加減は「かっこを外す→同類項をまとめる」の二段構え。けれど読み進める途中で、引き算のかっこ外しや同類項の見分けで手が止まりやすい。ここでは式を眺めている途中に起きる迷いを取り上げます。

引き算のかっこを「前の項だけ」符号反転だと思い込んでしまう

  • つまずく場面:(5x+2y)−(3x−4y) を見て、最初の 3x の符号は変えたものの、−4y はそのままにしてしまう。「マイナスがかかるのは先頭だけかな」と途中で迷い、ペンが止まる場面。
  • 克服のコツ:因果関係で整理する。「− ( ) は −1×(中身)」と読み替えるのがコツ。−1 を中のすべての項に配るので、かっこ内が3項でも4項でも、全部の符号が反転する。最初に符号を確定させてから同類項を集めると安定する。
  • ミニ例:(5x+2y)−(3x−4y) → かっこを外すと 5x+2y−3x+4y。−4y が +4y に変わるのを忘れない。

係数が近いと「同類項」と思い込んでしまう

  • つまずく場面:3x と 5x² を見比べて「どちらも x が入っているし係数も小さい」と感じ、つい 8x² や 8x にまとめたくなる。本文の例を読みながら「これは同類項?」と迷ってしまう場面。
  • 克服のコツ:見分け方で整理する。同類項の条件は文字の種類と次数がどちらも同じであること。係数の大小は関係ない。x と x² は次数が違うので別の項、2a²b と 3ab² も a・b の次数が逆なので別の項。文字と指数のセットが完全に一致するかだけを見る。
  • ミニ例:3x と 5x²:次数が違うのでまとめられない。2a²b と 3ab²:a の次数が 2 と 1 で違うのでまとめられない。3a² と −2a² はまとめて a²。

同類項をまとめる時に指数まで足してしまう

  • つまずく場面:2x²+5x² を計算する途中で「2+5=7、指数も 2+2=4 だから 7x⁴ かな」と迷う。加減と乗法のルールが頭の中で混ざり、本文の例と見比べて手が止まる場面。
  • 克服のコツ:見分け方で整理する。加減では指数は変わらない。動くのは係数だけ。指数が足し算で動くのは「同じ文字どうしのかけ算」のとき(次の単元)。「+ や − のときは文字部分はコピーするだけ」と決めておくとブレない。
  • ミニ例:2x²+5x² = 7x²(指数は 2 のまま)。3x+5x = 8x。7a−4a = 3a。

係数が省略された x や −x の係数を 0 と読み違えてしまう

  • つまずく場面:(2x+1)+(x−3)−(x−2) のような式で、係数の書かれていない x をどう数えるか迷う。「x は 1 と数えるんだっけ、それとも 0?」と途中で止まり、最後に x の項が消えるのか残るのか自信が持てない場面。
  • 克服のコツ:位置関係で整理する。文字の前に数字が無いときは係数 1、マイナスだけが付いているときは係数 −1として扱う(書かないだけで存在する)。計算後に係数が 0 になった項だけ消す。0x は書かない、1x は x と書く、というルールで仕上げる。
  • ミニ例:x の係数は 1、−x の係数は −1。(2x+1)+(x−3)−(x−2) では x の係数を 2+1−1=2 と計算して 2x が残る。

練習問題

問題1(足し算)
  1. (3x + 2) + (x − 4)
  2. (2a² + a − 3) + (a² − 4a + 5)
  3. (4x + 3y) + (2x − y)
答えを見る

(1) 4x − 2 (2) 3a² − 3a + 2 (3) 6x + 2y

問題2(引き算)
  1. (5x − 3) − (2x + 4)
  2. (4a² − 5a + 2) − (a² − 3a + 6)
  3. (3x + 2y) − (x − y)
  4. (7a + 3) − (2a − 5)
答えを見る

(1) 3x − 7 (2) 3a² − 2a − 4 (3) 2x + 3y (4) 5a + 8

問題3(複合計算)
  1. (2x + 1) + (x − 3) − (x − 2)
  2. (a² − a) − (2a² + a) + (a² − 1)
答えを見る

(1) 2x + 1 + x − 3 − x + 2 = 2x

(2) a² − a − 2a² − a + a² − 1 = 0a² − 2a − 1 = −2a − 1

問題4(縦の計算)

縦に並べて計算せよ。

(3x² + 2x − 5) − (x² − 4x + 2)

答えを見る

3x² + 2x − 5

−) x² − 4x + 2

──────────

2x² + 6x − 7

問題5(多項式と数)

次の計算をせよ。

  1. 2(3x − 4y + 5)
  2. (8a − 12b) ÷ 4
  3. (6x − 9y + 3) ÷ (−3)
答えを見る

(1) 6x − 8y + 10

(2) 2a − 3b

(3) −2x + 3y − 1

まとめ

  • 加減の基本:かっこを外す → 同類項をまとめる。
  • 足し算:そのままかっこを外す。
  • 引き算:かっこの中の符号がすべて反転。
  • 縦に並べる計算も使える(次数ごとに揃える)。
  • 多項式と数の乗除:分配法則で各項にかける。除法は逆数をかける。
  • 同類項:文字と次数が同じ項のみまとめる。
  • −(a − b) = −a + b(マイナスを分配)。

もっと知る ── 発展・実生活(出典つき)

※ 教科書の内容に、信頼できる出典をもとにした発展・実生活・時事の話題を補足しています(教科書そのものではありません)。

「代数(algebra)」の語源は“同類項の整理”だった発展

9世紀バグダードで活躍したアル・フワーリズミーの数学書の原題には、移項を意味する「アル・ジャブル(al-jabr)」という語が含まれ、これが英語のalgebra(代数)の語源になりました。この本は復元(移項)と同類項の整理を扱う内容で、みなさんが今学んでいる「かっこを外して同類項をまとめる」作業は、千年以上前から数学の中心だったのです。

出典:コトバンク(平凡社・世界大百科事典ほか「フワーリズミー」)

QRコードが汚れても読めるのは多項式のおかげ実生活

QRコードは一部が汚れたり欠けたりしても、コード自身がデータを復元できる「リード・ソロモン符号」という誤り訂正の仕組みを持っています。この方法は音楽CDにも使われ、データを多項式として表して計算することで誤りを直しています。多項式は、文字を使った式の計算が情報技術を支えている身近な例です。

出典:株式会社デンソーウェーブ QRコードドットコム(誤り訂正機能について)

なめらかな曲線も多項式で描かれている発展

パソコンやスマホのフォント、イラストソフトのなめらかな曲線の多くは「ベジェ曲線」で作られています。ベジェ曲線はバーンシュタイン多項式という多項式で表される曲線で、いくつかの点を指定するだけで自由な形を計算します。文字を含む式が、文字のデザインやコンピュータグラフィックスを支えているのです。

出典:ウィキペディア日本語版(ベジェ曲線)

文字式は“いつでも成り立つこと”を表す道具実生活

中学校学習指導要領では、数量の関係や法則を文字を用いた式に表し、それを読み取ることが学習の目標とされています。数を一つひとつ当てはめるかわりに文字でまとめておけば、どんな数でも成り立つ規則を一つの式で言い表せます。式をきれいにまとめる多項式の計算は、そのための基本の技術です。

出典:文部科学省 中学校学習指導要領 第2章第3節 数学

数学は日常生活や社会で使ってこそ価値がある実生活

学習指導要領では「日常生活や社会で数学を利用する活動」が数学的活動として位置づけられ、学んだことを実際の場面に活用する力が重視されています。多項式の加減も、ただ計算するだけでなく、図形の長さや面積、料金の合計などを文字でまとめて考えるときに役立ちます。身のまわりを式で表す習慣が大切です。

出典:文部科学省 中学校学習指導要領 第2章第3節 数学