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単項式の乗除 ── 文字どうし・累乗の計算

単項式どうしの掛け算は、係数は係数で、文字は文字で計算するのがコツ。累乗のときに使う公式 x^a × x^b = x^(a+b) を確実に使えるようになりましょう。

単項式の乗法

公式
単項式の乗法
係数どうしを掛け、文字どうしを掛ける。同じ文字は 累乗の指数を足す。
例1:3x × 4y

係数:3 × 4 = 12

文字:x × y = xy

→ 12xy

例2:2a × 5a

係数:2 × 5 = 10

文字:a × a = a²

→ 10a²

例3:3x² × 2x

係数:3 × 2 = 6

文字:x² × x = x³(指数 2+1=3)

→ 6x³

累乗の指数のルール

公式
累乗の積
x^a × x^b = x^(a+b)(同じ文字を掛けるとき、指数は 足す)

単項式の除法

ルール
分数の形にして約分する
単項式どうしの除法は、まず 分数の形に直す。係数、同じ文字をそれぞれ約分して、残ったものを答えにする。
例4:6a² ÷ 2a

係数:6 ÷ 2 = 3

文字:a² ÷ a = a^(2−1) = a

→ 3a

例5:分数の形で書く

15x²y ÷ 3xy = 15x²y / (3xy)

= 5x(係数:15/3=5、x²/x=x、y/y=1)

例6:12a²b ÷ (−4ab)

分数にする:12a²b / (−4ab)

係数:12 ÷ (−4) = −3

文字:a²/a = a、b/b = 1

→ −3a

累乗の指数(除法)

公式
累乗の商
x^a ÷ x^b = x^(a−b)(指数は 引く)

乗法と除法が混ざるとき

例7:8a²b ÷ 2a × 3b

左から順に:(8a²b ÷ 2a) × 3b

= 4ab × 3b

= 12ab²

例8:分数1本にして計算

8a²b ÷ 2a × 3b = (8a²b × 3b) / 2a

= 24a²b² / 2a

= 12ab²

除法が混じる式では、分数の形にすると約分の見落としが減る。

つまずきポイント:左から順に計算する
  • 8a²b ÷ 2a × 3b は、8a²b ÷ (2a × 3b) ではない。
  • ÷ の後ろだけを分母に入れたいときは、かっこが必要。
  • 迷ったら、乗法と除法を左から順に、または分数1本に直して計算する。

累乗の累乗

公式
累乗の累乗
(x^a)^b = x^(ab)(指数は 掛ける)
例9:(3x²)³

= 3³ × x^(2·3) = 27x⁶

つまずきポイント:3つのルール
  • x^a × x^b = x^(a+b) ← 足す
  • x^a ÷ x^b = x^(a−b) ← 引く
  • (x^a)^b = x^(ab) ← 掛ける
  • 混同しないように!

単項式の乗除を安定させる分解

  • 係数、文字、符号を分けて計算する。
  • 同じ文字の積は指数を足す。x²×x³=x⁵。
  • 同じ文字の商は指数を引く。x⁵÷x²=x³。
  • 除法は、逆数をかける形に直すと分数や符号のミスが減る。
例:12a³b² ÷ (−3ab)

係数は 12÷(−3)=−4。文字は a³÷a=a²、b²÷b=b。

答えは −4a²b。

この章でつまずきやすいところ

単項式の乗除は、係数と文字を分けて処理し、同じ文字の指数をどう扱うかがカギです。本文を読み進めるうちに「指数は足す?掛ける?」「÷の後ろはどこまで分母?」と迷う場面がよく出てきます。途中で立ち止まりやすい瞬間を整理しておきましょう。

x×xを2xと書いてしまう

  • つまずく場面:本文の「2a × 5a = 10a²」を読んでいる途中、係数だけ見て「a × a も 2a になるのでは?」と迷う場面。a と a を足し算と掛け算で混同し、答えに 10·2a = 20a と書きそうになる。
  • 克服のコツ:見分け方は演算記号で区別すること。足し算 a+a は係数を足して 2a、掛け算 a×a は指数を足して a²。本文で「× が並んでいる」「同じ文字をかける」と読めたら、係数は掛け算、文字は指数を足すと切り替える。
  • ミニ例:3x × 2x を見たら、係数は 3×2=6、文字は x×x=x²。よって答えは 6x²。ここで 5x にしてしまうのは、×を+と読み違えて 3+2=5 と足したサイン。なお 6x にしてしまうのは指数の足し算を忘れたサインで、次項のつまずきにあたる。

同じ文字の累乗で指数を掛けてしまう

  • つまずく場面:本文の「x^a × x^b = x^(a+b)」を読んだ直後に、例題 3x² × 2x が出てきて「2と1だから x の指数は 2×1=2 では?」と迷う場面。直前で出てきた「累乗の累乗 (x^a)^b = x^(ab)」と混同してしまう。
  • 克服のコツ:式の形で見分けるのがコツ。文字と文字の間に × があれば指数は足す(同じ文字を「かける」=掛けた回数の合計だから)。一方、( )^数 の形なら指数を掛ける(累乗を「さらに累乗する」から)。式の見た目で判別を切り替える。
  • ミニ例:3x² × 2x は同じ文字 x の積なので指数を足し、2+1=3 で 6x³。一方 (3x²)³ は累乗の累乗なので指数を掛け、2×3=6 で 27x⁶。なお、係数 3×2=6 まで合っているのに文字を x のままにして 6x としてしまうのは、ここで指数を足し忘れたサイン。

÷の後ろ全部を分母に入れてしまう

  • つまずく場面:本文の「8a²b ÷ 2a × 3b」を読みながら、「÷ の後ろ 2a × 3b をまとめて分母に置けばいいのかな」と迷う場面。分数1本に直すと書いてあったので、つい (2a × 3b) を分母に書いてしまう。
  • 克服のコツ:位置関係で判断する。乗除が混ざった式は、左から順に処理するのが基本ルール。÷ の直後の項だけが分母に入り、その後ろの ×3b は分子側の掛け算として扱う。「÷の後ろ全部を分母に入れたい」ときは、本文どおりかっこが必要。
  • ミニ例:8a²b ÷ 2a × 3b は (8a²b ÷ 2a) × 3b = 4ab × 3b = 12ab²。もし 8a²b ÷ (2a × 3b) のつもりで計算すると 4a/3 となり、まったく別の値になってしまう。

負の数の累乗で符号を見失う

  • つまずく場面:練習問題の (−x²)³ や (−x)² を解く途中、「マイナスは累乗の中(x² に付いている)なのか、それとも ( ) の外にかかっているのか」で手が止まる場面。( ) の外の指数を符号にも適用すべきかどうかで迷い、なんとなく答えに「−」を付けるかどうか直感で決めてしまう。
  • 克服のコツ:( ) の外に指数があるときは、( ) の中の符号もその回数だけ掛けられると読み替える。たとえば (−x²)³ は (−x²) を3回掛けるので、マイナスも3回掛かる。掛かる回数を数えてから、奇数回なら負、偶数回なら正と判断し、その後に文字部分の指数を別に処理する。
  • ミニ例:(−x²)³ は (−x²) を3回掛けるので、(−1)³ × (x²)³ = (−1) × x⁶ = −x⁶(マイナス3回で負)。一方 (−x)² は (−x) を2回掛けるので、(−1)² × x² = 1 × x² = x²(マイナス2回で正)。同じ「マイナスが1個だけ見える式」でも、( ) の外の指数の回数で符号が変わる。

練習問題

問題1(乗法)
  1. 2x × 5y
  2. 3a × 4a
  3. 2x² × 3x³
  4. (−4a) × (5b)
答えを見る

(1) 10xy (2) 12a² (3) 6x⁵ (4) −20ab

問題2(除法)
  1. 10x² ÷ 2x
  2. 12a³ ÷ 4a
  3. 15xy ÷ 3x
  4. 18a²b ÷ (−6ab)
答えを見る

(1) 5x (2) 3a² (3) 5y (4) −3a

問題3(累乗)
  1. (2x)³
  2. (3a²)²
  3. (−x²)³
  4. 12x²y ÷ 3x × (−2y)
答えを見る

(1) 8x³ (2) 9a⁴ (3) −x⁶ (4) −8xy²

まとめ

  • 単項式の乗法:係数は係数、文字は文字で計算。
  • 同じ文字の累乗:指数を 足す(乗法)/引く(除法)。
  • 累乗の累乗:指数を 掛ける。
  • 単項式の除法:分数の形にして、係数と文字を約分する。
  • マイナスの符号にも注意。

もっと知る ── 発展・実生活(出典つき)

※ 教科書の内容に、信頼できる出典をもとにした発展・実生活・時事の話題を補足しています(教科書そのものではありません)。

大きな数も10の累乗ならかけ算が指数の足し算になる発展

光の速さ約300億cm/秒のような大きな数は、30,000,000,000=3×10¹⁰のように10の累乗で短く書けます。このとき2つの数のかけ算は10ⁿ×10ᵐ=10ⁿ⁺ᵐと指数を足すだけで進められ、単項式の x^a × x^b = x^(a+b) とまったく同じ仕組みが、高校以降の理科や数学でそのまま使われます。

出典:日本天文学会「天文学辞典・光速度」/学習院大学(田崎晴明)「10のべき乗 ── 大きい数と小さい数の表わし方」

地震のマグニチュードは2増えるとエネルギー約1000倍実生活

気象庁によると、マグニチュード(M)が1大きくなると地震のエネルギーは約32倍、2大きくなると約1000倍になります。Mが2増えてエネルギーが約32×32≒1000倍になるのは、同じ数を2回かけると指数が足し合わさる累乗の考え方そのものです。

出典:気象庁「震度・マグニチュード・地震情報について」

コンピュータの容量は2の累乗でできている実生活

コンピュータは2進数で動くため、記憶容量では1キロバイト=2¹⁰=1024バイト、1メガバイト=2²⁰、1ギガバイトは2³⁰バイトと、すべて2の累乗で数えられます。キロからメガへ進むと指数が10ずつ増えるのは、2¹⁰×2¹⁰=2²⁰のように同じ底の積で指数を足す規則が働いているからです。

出典:ウィキペディア「2進接頭辞」

酸性・アルカリ性を表すpHは10倍ごとのものさし実生活

水溶液の酸性の強さを表すpHは、水素イオン濃度を10の累乗で表したときの指数を使って決められ、pH=−log₁₀[H⁺]で定義されます。pHが1小さくなると酸の濃さは10倍になり、2小さくなると10×10=100倍になります。1目盛りで10倍も変わるのは、累乗で数を表すからこその性質です。

出典:ウィキペディア「水素イオン指数」

面積と体積の単位に隠れた指数(平方と立方)発展

1辺1mの正方形の面積はm×mでm²、1辺1mの立方体の体積はm×m×mでm³と書きます。m²やm³の右肩の数字は同じ長さを何回かけたかを表す指数そのもので、面積が2乗、体積が3乗になるのは単項式で同じ文字をかけると指数が増える計算と同じ考え方です。

出典:文部科学省「小学校学習指導要領(算数)」