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文字式の利用 ── 整数の性質を文字で説明

「2つの偶数の和は偶数になる」「連続する3つの整数の和は3の倍数」── 当たり前のような事実を 文字を使って一般的に証明するのが、中2数学の重要テーマです。具体例で確かめるだけでは「すべての場合」を証明できません。文字を使うと一気に強力になります。

なぜ文字を使って証明するのか

具体例 vs 文字式の違い

「偶数 + 偶数 = 偶数」を確かめる

  例:2 + 4 = 6(偶数) ○

  例:6 + 8 = 14(偶数) ○

→ いくつ例を挙げても「すべての場合」は確かめられない

→ 文字を使うと すべての偶数を一度に表せる

  → 「2m + 2n = 2(m+n)」で証明完了

整数の表し方(重要)

整数の種類文字式
整数n(n は整数)
偶数2n
奇数2n + 1(または 2n − 1)
3の倍数3n
5の倍数5n
連続する2整数n, n+1
連続する3整数n−1, n, n+1(または n, n+1, n+2)
連続する2つの偶数2n, 2n+2
連続する2つの奇数2n−1, 2n+1
2桁の整数10a + b(十の位 a, 一の位 b)
3桁の整数100a + 10b + c

例1:2つの偶数の和は偶数

証明

2つの偶数を 2m, 2n と表す(m, n は整数)

和:2m + 2n = 2(m + n)

m + n は整数なので、2(m + n) は 2 × 整数の形 → 偶数

よって、2つの偶数の和は偶数。 (証明終)

例2:偶数と奇数の和は奇数

証明

偶数を 2m、奇数を 2n+1 とする(m, n は整数)

和:2m + (2n+1) = 2m + 2n + 1 = 2(m+n) + 1

m + n は整数なので、2(m+n) + 1 は 2 × 整数 + 1 の形 → 奇数

よって、偶数と奇数の和は奇数。

例3:連続する3つの整数の和は3の倍数

証明

連続する3整数を n−1, n, n+1 と置く(中央を n に)

和:(n−1) + n + (n+1) = 3n

n は整数なので、3n は 3 × 整数 → 3の倍数

よって、連続する3整数の和は3の倍数。

確認:1+2+3=6(3の倍数)、2+3+4=9(3の倍数)、5+6+7=18(3の倍数)○

例4:連続する2つの奇数の和は4の倍数

証明

連続する2奇数を 2n−1, 2n+1 と置く

和:(2n−1) + (2n+1) = 4n

n は整数なので、4n は 4の倍数

確認:1+3=4、3+5=8、5+7=12、7+9=16(全部4の倍数)○

2桁の数の表現

2桁の数 = 10a + b

十の位 a、一の位 b の2桁の数は 10a + b

例:43 = 10·4 + 3 = 40 + 3 ✓

例:72 = 10·7 + 2 = 70 + 2 ✓

十の位と一の位を入れ替えた数:10b + a

例:43 を入れ替えると 34 = 10·3 + 4 ✓

例5:2桁の数とそれを入れ替えた数の和は11の倍数

証明

元の数:10a + b、入れ替えた数:10b + a

和:(10a + b) + (10b + a) = 11a + 11b = 11(a + b)

a + b は整数なので、11(a+b) は 11 × 整数 → 11の倍数

確認:43 + 34 = 77 = 11·7 ✓、72 + 27 = 99 = 11·9 ✓

例6:2桁の数とそれを入れ替えた数の差は9の倍数

証明

元 − 入れ替え:(10a + b) − (10b + a) = 9a − 9b = 9(a − b)

a − b は整数なので、9(a−b) は 9の倍数

確認:43 − 34 = 9 ✓、72 − 27 = 45 = 9·5 ✓

証明の書き方の手順

  1. 仮定(出発点)を文字で表す(例:偶数を 2n)
  2. 結論(言いたいこと)を式変形で導く
  3. 「2 × 整数」「3 × 整数」など 形を明示して結論
  4. 「m + n は整数だから」「k は整数だから」と 根拠を述べる
  5. 最後に「よって〜である」と結論

証明の答案例(テスト向け書き方)

「3つの連続する偶数の和は6の倍数である」

3つの連続する偶数のうち、もっとも小さい数を 2n とおく(n は整数)。

3つの数は 2n, 2n+2, 2n+4 と表される。

和は、2n + (2n+2) + (2n+4)

= 6n + 6

= 6(n+1)

n+1 は整数なので、6(n+1) は 6の倍数である。

よって、3つの連続する偶数の和は6の倍数である。

中央の数を使う別解

真ん中の偶数を 2n とおくと、3つの数は 2n−2, 2n, 2n+2。

和:(2n−2) + 2n + (2n+2) = 6n

6n は6の倍数。中央を文字にすると、左右の −2 と +2 が消えて計算が短くなる。

つまずきポイント④:成り立たない予想は証明できない
  • 文字式で説明する前に、まず具体例を2〜3個試すとよい。
  • 反例が1つでもあれば、「いつでも成り立つ」とはいえない。
  • 例:「連続する2整数の積に1を足すと平方数」は、2·3+1=7 なので成り立たない。
つまずきポイント①:文字を分けて使う
  • 2つの 異なる偶数を表すときは 異なる文字(例:2m と 2n)
  • 同じ文字 2n を2回使うと「同じ偶数」になってしまう
  • 2n + 2n = 4n だけど、これは「同じ偶数の2倍」の意味
  • × 偶数を 2n とおき、もう1つの偶数を 2n とする…
  • ○ 偶数を 2m、もう1つの偶数を 2n とする…
つまずきポイント②:連続する数の置き方
  • 連続する2整数:n と n+1(n−1 と n でもOK)
  • 連続する3整数:n−1, n, n+1 と 中央を n にすると計算がラク
  • 連続する偶数:差が 2 → 2n, 2n+2
  • 連続する奇数:差が 2 → 2n−1, 2n+1
つまずきポイント③:「3の倍数」の表し方
  • 3 × 整数 の形になれば3の倍数
  • 3n は確かに3の倍数だが、「3(n+2)」「3(2n−1)」も3の倍数
  • 結論で「これは 3 × (整数) なので3の倍数」と明示する
  • n + 2 が整数であることもひと言添えると親切

この章でつまずきやすいところ

文字式で整数の性質を説明する単元は、本文を追っているうちに「どの文字を使うんだっけ」「これで証明になっているの」と迷いやすい。読み進める途中で立ち止まりがちな具体場面を整理する。

2つの偶数を同じ文字 2n で置いてしまう

  • つまずく場面:本文の「2つの偶数の和は偶数」を読みながら、自分でも書いてみようとしたとき、つい両方とも 2n と置いて 2n+2n=4n としてしまい、「これで証明できた気がする」と止まってしまう場面。
  • 克服のコツ:見分け方は「同じ数」か「別の数」かを仮定に戻って確認すること。2つの偶数は別々に動く数なので、異なる文字 m と n を使って 2m と 2n と置く。同じ 2n を2回使うと、たまたま等しい偶数の場合しか示せていない。
  • ミニ例:× 偶数を 2n、もう1つも 2n とする → 2n+2n=4n。
    ○ 偶数を 2m、もう1つを 2n とする → 2m+2n=2(m+n)。

連続する3整数を n, 2n, 3n と置いてしまう

  • つまずく場面:「連続する3整数の和は3の倍数」を読みながら、3の倍数だから 3n が出るはずと先回りして、3つの数自体を n, 2n, 3n と置いてしまう場面。書いた瞬間「あれ、これは連続じゃない」と気付かず先へ進みかける。
  • 克服のコツ:見分け方は「連続」と「倍数」を混同しないこと。連続する整数は差がちょうど1ずつ増える数なので、n, n+1, n+2 か、中央を n にして n−1, n, n+1 と置く。3の倍数の形 3n は、計算した結果として出てくる目標。
  • ミニ例:連続する3整数を n−1, n, n+1 と置くと、和は (n−1)+n+(n+1)=3n。中央を n にすると ±1 が消えて計算がラクになる。

式を変形しただけで証明が終わったと思ってしまう

  • つまずく場面:2m+2n を計算して 2(m+n) まで変形できたところで、「式が出たからこれで終わり」と感じて止まってしまう場面。なぜそれが偶数だと言えるのか、言葉で書く部分を抜かしてしまう。
  • 克服のコツ:因果関係は「式の形」→「整数である根拠」→「結論」の順で書く。2(m+n) の形が出たら、「m+n は整数」とひと言添えてから、「2×整数の形だから偶数」と結論を言葉で述べる。形を出すだけでは証明は閉じない。
  • ミニ例:2m+2n=2(m+n)。m+n は整数だから、2(m+n) は 2×整数 → 偶数。よって2つの偶数の和は偶数である。

2桁の数 43 を a+b や 4a+3b と書いてしまう

  • つまずく場面:「十の位 a、一の位 b の2桁の数を文字で表す」と本文にあり、自分で 43 を書こうとして、a+b にしたり 4a+3b にしてしまう場面。位の意味を式に乗せられず、入れ替えた数も書けなくなる。
  • 克服のコツ:位置関係を整理する。十の位は10倍、一の位はそのまま足す約束なので、2桁の数は 10a+b。入れ替えた数は十の位が b、一の位が a になるから 10b+a。位の重みを書き忘れると、和が11の倍数になる仕組みも見えなくなる。
  • ミニ例:43=10·4+3=40+3。入れ替えると 34=10·3+4。和は 43+34=77=11·7、ちゃんと11の倍数。

練習問題

問題1(表し方)
  1. 奇数を文字で表せ
  2. 5の倍数を文字で表せ
  3. 連続する2つの偶数を文字で表せ
  4. 3桁の整数を文字で表せ(百a、十b、一c)
答えを見る

(1) 2n+1(または 2n−1) (2) 5n (3) 2n, 2n+2 (4) 100a + 10b + c

問題2(証明)

「連続する2つの奇数の和は4の倍数である」ことを証明せよ。

答えを見る

連続する2奇数を 2n−1, 2n+1 とする。

和:(2n−1) + (2n+1) = 4n

n は整数なので 4n は 4 × 整数 → 4の倍数。よって、連続する2奇数の和は4の倍数。

問題3(証明)

「2桁の数とその十の位と一の位を入れ替えた数との差は9の倍数」を証明せよ。

答えを見る

元の数を 10a + b、入れ替えを 10b + a とする。

差:(10a + b) − (10b + a) = 9a − 9b = 9(a − b)

a − b は整数なので 9(a−b) は 9 × 整数 → 9の倍数。

問題4(応用)

「3つの連続する偶数の和は6の倍数」を証明せよ。

答えを見る

3つの連続する偶数を 2n, 2n+2, 2n+4 とする。

和:2n + (2n+2) + (2n+4) = 6n + 6 = 6(n+1)

n+1 は整数なので 6(n+1) は 6 × 整数 → 6の倍数。

まとめ

  • 整数の表現:n、2n(偶数)、2n+1(奇数)、3n(3の倍数)。
  • 連続する整数:n と n+1、n−1・n・n+1。
  • 2桁の数:10a + b。入れ替え:10b + a。
  • 証明:仮定を文字で表す → 計算 → 形を明示 → 結論。
  • 2つの異なる数には 違う文字を使う。
  • 結論で「k × 整数」の形を強調する。

もっと知る ── 発展・実生活(出典つき)

※ 教科書の内容に、信頼できる出典をもとにした発展・実生活・時事の話題を補足しています(教科書そのものではありません)。

3の倍数・9の倍数は「各位の数の和」で見分けられる発展

ある整数が3や9の倍数かは、各位の数字を足した和が3や9の倍数かどうかで判定できます。これは2桁や3桁の数を 10a+b や 100a+10b+c と文字で表し、10=9+1、100=99+1 を使って「9×整数+各位の和」の形に変形すると説明できます。文字式で整数の性質を証明する考え方が、便利な判定法に直結している例です。

出典:啓林館(新興出版社啓林館)算数・数学Q&A「主な倍数の見分け方」

商品バーコードの最後の1桁は誤り検出のための数実生活

JANコード(商品のバーコード)の右端の1桁はチェックデジットと呼ばれ、読み取り誤りを自動でチェックするための数字です。各位の数字に決まった重み(モジュラス10ウェイト3・1)を掛けて足し合わせる計算で求められ、文字式や倍数・余りの考え方が実際のレジの仕組みに使われています。

出典:日本出版インフラセンター 雑誌コード管理センター「チェックデジットの計算方法」

マイナンバーの12桁目は入力ミスを見つける検査用数字実生活

マイナンバー(個人番号)は11桁の番号と1桁の検査用数字で構成されています。この検査用数字は、各桁に決められた係数を掛けて合計し11で割った余りから計算され、入力間違いを機械的に検出するために使われます。整数を11で割った余りという文字式・整数の性質の考え方が身近な制度を支えています。

出典:地方公共団体情報システム機構(J-LIS)「個人番号に関するQ&A」

うるう年は「割り切れる」を使って決めている実生活

うるう年は、西暦が4で割り切れる年とし、ただし100で割り切れる年は平年、400で割り切れる年はうるう年とする、というルールで決まります。これは地球が太陽を一周するのに約365.24219日かかるずれを調整するためで、倍数・約数の考え方がカレンダーづくりに使われている例です。

出典:国立天文台(NAOJ)「どの年がうるう年になるの?」

ガウス少年が見つけた「連続する整数の和」の工夫発展

数学者ガウスは少年のころ、1から100までの和を求める問題を、1+100、2+99…と組にすると全て101になることに気づき、101×50=5050と一瞬で計算したと伝えられます。連続する整数を文字で組にして対称性を使う発想は、この単元の「連続する整数の和」を文字式で扱う考え方とつながっています。

出典:ウィキペディア「カール・フリードリヒ・ガウス」