等式の変形とは
※ 元の等式と 意味は同じ。形を変えるだけ。
使う性質(中1の方程式の復習)
- ① 両辺に同じ数を足してもよい(A = B なら A+c = B+c)
- ② 両辺から同じ数を引いてもよい(A−c = B−c)
- ③ 両辺に同じ数を掛けてもよい(cA = cB)
- ④ 両辺を同じ 0でない数で割ってもよい(A/c = B/c)
- これら4つの性質で式を変形しても 等号は保たれる
「移項」のおさらい
項を反対側に移すとき 符号を反転させる操作
A + B = C → A = C − B(+B が −B に)
A − B = C → A = C + B(−B が +B に)
A × B = C → A = C ÷ B(×B が ÷B に、両辺を B で割る)
A ÷ B = C → A = C × B(÷B が ×B に、両辺に B を掛ける)
x について解く
目標:x = 〜 の形にする
まず +5 を移項:y − 5 = 3x
両辺を3で割る:(y − 5) / 3 = x
→ x = (y − 5) / 3
3y を右辺に移項:2x = 12 − 3y
両辺を2で割る:x = (12 − 3y) / 2
展開してもよい:x = 6 − (3/2)y
−5y と +8 を右辺に移項:4x = 5y − 8
両辺を4で割る:x = (5y − 8) / 4
y について解く
2x を右辺に移項:3y = 12 − 2x
両辺を3で割る:y = (12 − 2x) / 3
展開してもよい:y = 4 − (2/3)x
→ 何も変形不要
これを x について解いた結果が例1
分数や複雑な式
両辺に2を掛ける:2S = (a + b)h
両辺を (a + b) で割る:
h = 2S / (a + b)
両辺に2を掛ける:2S = (a + b)h
両辺を h で割る:2S / h = a + b
b を移項:a = 2S/h − b
身近な公式の変形
距離 = 速さ × 時間(s = vt)
速さ = 距離 ÷ 時間(v = s/t)
時間 = 距離 ÷ 速さ(t = s/v)
→ 同じ等式を 解く文字を変えると3つの式に
→ 「みはじ」と覚えなくても、等式変形で導ける
長方形の周 ℓ = 2(a + b)
→ a について解く:a = (ℓ − 2b) / 2 = ℓ/2 − b
三角形の面積 S = bh/2
→ h について解く:h = 2S/b
→ b について解く:b = 2S/h
直方体の体積 V = abh
→ h について解く:h = V/(ab)
解くときの流れ(手順)
- 解きたい文字を含む項を 左辺に、それ以外を右辺に移項
- 解きたい文字の 係数を見つける
- 係数で両辺を 割る(あるいは分数なら掛ける)
- 必要に応じて 分母の払い・展開・約分を行う
- 「x = 〜」「y = 〜」の形で完成
- 移項:符号を反転して反対側に移す
- 両辺を同じ数で割る/掛ける。一方だけはNG
- × 2x + 3y = 6 を「x + 3y = 3」(左辺だけ÷2)にする
- ○ 両辺÷2 → x + (3/2)y = 3、あるいは 2x = 6 − 3y → x = (6 − 3y)/2
- 分母が邪魔なときは、両辺に分母を掛けて分母を払う
- S = bh/2 → 両辺に2を掛けて 2S = bh とすると以降がラク
- 分数やかっこは、式を整理してから最後に処理するとミスが減る
- x の係数が負の場合、最後に両辺の符号を反転させる
- 例:−2x = 4 − y → x = (y − 4)/2
- 両辺を−2で割ると、符号が一斉に反転する
この章でつまずきやすいところ
等式の変形は、両辺を同時に動かして指定の文字を左辺だけに残す操作です。本文を追っていると、片側だけ動かしそうになったり、移項と割り算がごちゃ混ぜになる場面が出てきます。途中で迷う典型を3つ整理します。
移項を「片辺だけ動かす操作」と思い込んでしまう
- つまずく場面:本文の「2x + 3y = 12 を x について解く」を読み、3y を右辺へ移すところで、左辺の 2x はそのままで右辺だけ符号を変える…と感じてしまう場面。
- 克服のコツ:因果関係で整理する。移項は「両辺から同じ項を引いた/足した結果」として起こる現象。3y を右辺へ動かすのは、両辺から 3y を引いたから符号が反転して見えるだけ。「片辺だけの操作」ではなく、必ず両辺セットで動くと押さえる。
- ミニ例:2x + 3y = 12 で 両辺から 3y を引くと、左辺は 2x、右辺は 12 − 3y。結果として「3y が右辺に符号を変えて移った」ように見える。
係数で割る前に「もう解けた」と思い込んでしまう
- つまずく場面:本文の「4x − 5y + 8 = 0 を x について解く」で、−5y と +8 を右辺に移して 4x = 5y − 8 を作った瞬間、x が左辺に出たから完成、と感じてしまう場面。
- 克服のコツ:見分け方で整理する。左辺が「x」単独になっているかを最後に必ず確認する。係数(ここでは 4)が残っているうちは「x について解けた」とは言わない。教科書では「x = 〜 の形になって初めて完了」と整理する。
- ミニ例:4x = 5y − 8 のままでは未完成。両辺を 4 で割って x = (5y − 8) / 4 まで進めて、はじめて「x について解けた」になる。
分数のある式で、分母を払う前から移項を始めてしまう
- つまずく場面:本文の「S = (a + b)h / 2 を h について解く」を読み、まず (a + b) を移そうか、それとも 2 をどうしようか…と、分母を残したまま項を動かす順番で迷う場面。
- 克服のコツ:時系列で整理する。分母があるときは、最初に両辺へ分母の数を掛けて分母を払う。順序は「①分母を払う → ②目的の文字を含む項を集める → ③係数で割る」。先に移項を始めると、分数のまま符号管理が増えてミスが起こりやすい。
- ミニ例:S = (a + b)h / 2 では、まず両辺に 2 を掛けて 2S = (a + b)h。そのあと両辺を (a + b) で割って h = 2S / (a + b) と進める。
係数が負のとき、符号反転を一部の項だけに適用してしまう
- つまずく場面:本文の「係数のマイナス」を読み、−2x = 4 − y を x について解くところで、両辺を −2 で割るときに左辺だけ符号を変え、右辺は 4 − y のままにしてしまう場面。
- 克服のコツ:位置関係で整理する。両辺を負の数で割ると、右辺の各項すべての符号が一斉に反転する。右辺の一部だけ反転させるのは誤り。割り算の前に「右辺は1つのカタマリ」と意識し、カタマリ全体に同じ操作をすると考える。
- ミニ例:−2x = 4 − y で両辺を −2 で割ると、右辺は (4 − y) ÷ (−2) = (y − 4) / 2。つまり x = (y − 4) / 2。4 と −y の両方の符号が反転する。
練習問題
- y = 2x + 3
- 3x − y = 6
- 5x + 4y = 20
- 2x − 3y + 6 = 0
答えを見る
(1) x = (y − 3)/2
(2) x = (y + 6)/3
(3) x = (20 − 4y)/5
(4) x = (3y − 6)/2
- 2x + y = 5
- 3x − 4y = 12
答えを見る
(1) y = 5 − 2x(または y = −2x + 5)
(2) y = (3x − 12)/4
- S = bh/2 を h について解け
- ℓ = 2(a + b) を b について解け(長方形の周)
- V = πr²h を h について解け(円柱の体積)
答えを見る
(1) h = 2S/b
(2) b = (ℓ − 2a)/2 = ℓ/2 − a
(3) h = V / (πr²)
速さの公式 s = vt(s = 距離、v = 速さ、t = 時間)を、t について解け。
答えを見る
両辺を v で割る:s/v = t、つまり t = s/v
まとめ
- 等式の変形:解きたい文字を 左辺だけに。
- 使う操作:移項、両辺に同じ数を掛ける/割る。
- 4つの性質:足す・引く・掛ける・割る(0以外で)。
- 公式の変形:同じ等式から複数の式が得られる(速さの3式など)。
- 分数やかっこは、両辺に同じ操作をして整理する。
- 係数がマイナスなら最後に符号反転。
もっと知る ── 発展・実生活(出典つき)
※ 教科書の内容に、信頼できる出典をもとにした発展・実生活・時事の話題を補足しています(教科書そのものではありません)。
BMI(体格指数)の式も「ある文字について解く」実生活
健康診断などで使うBMIは、体重(kg)÷(身長(m)の2乗)で求められる体格の指標です。この等式を体重について解けば「体重 = BMI ×(身長の2乗)」となり、目標とするBMIから理想体重を逆算できます。日本肥満学会の基準ではBMI25以上が肥満、18.5未満が低体重とされています。
摂氏と華氏の換算は同じ等式を解き直すこと発展
温度の単位には日本で使う摂氏(℃)と、アメリカなどで使う華氏(℉)があります。国立天文台の理科年表では換算式が「(華氏)=1.8×(摂氏)+32」と示されており、これを摂氏について解くと「摂氏 =(華氏 − 32)×5÷9」になります。1つの等式を解く文字を変えるだけで、行き帰り両方向の変換ができます。
理科のオームの法則も等式の変形でつながる発展
電気の世界では、電圧V・電流I・抵抗Rの関係が V = R × I(オームの法則)で表されます。これを変形すれば、電流を求める I = V ÷ R、抵抗を求める R = V ÷ I が同じ等式から導けます。速さの公式と同じく、1つの関係式を解く文字によって複数の式に直せるのです。
熱中症予防の暑さ指数(WBGT)も重み付きの等式実生活
夏の熱中症対策で使われる暑さ指数WBGTは、屋外では WBGT = 0.7×湿球温度 + 0.2×黒球温度 + 0.1×乾球温度 という式で計算されます(屋内では黒球温度の重みが0.3になります)。係数のついた何種類もの温度を組み合わせる式で、環境省が全国の予測値を公開しています。
目標BMIから理想体重を逆算する厚労省ツール実生活
厚生労働省のe-ヘルスネットには、身長と体重を入力するとBMIが出るチェックツールがあります。BMIの式を体重について解いておけば、ツールを使わなくても「ねらいたいBMI×身長(m)の2乗」で目標体重を自分で計算できます。等式を解く向きを変えると、計算したいものに合わせて式を作り直せます。
