図でつかむ
この図は、式や定理を読む前に全体像をつかむための補助図です。問題を解くときも、まず同じような簡単な図を自分で描いてから条件を書き込むと、見落としが減ります。
復習 ── 1元1次方程式
未知数 1つ(x のみ)の方程式
例:2x + 3 = 11 → x = 4
→ 答え(解)はちょうど1つ
x の値を変えると左辺の値が変わる ← 一意に決まる
2元1次方程式
ax + by = c の形(a, b, c は定数)。
例:x + y = 5、2x − y = 3、3x + 4y = 12
x + y = 5 を満たす (x, y) は…
(0, 5), (1, 4), (2, 3), (3, 2), (4, 1), (5, 0)...
x = 0.5 のとき y = 4.5
x = −1 のとき y = 6
→ 無数の組がある
グラフで見ると 直線になる(中2でこのあと学ぶ)
連立方程式
中2では「2元連立1次方程式」(未知数2つ、1次式2本)を学ぶ。
{ x + y = 5 …①
{ 2x − y = 1 …②
この2式を 同時に満たす (x, y) を求める
{ } の代わりに「・」や改行で2式を並べてもよい
連立方程式の解
① x + y = 5 を満たす:(0, 5), (1, 4), (2, 3), (3, 2)...
② 2x − y = 1 を満たす:(1, 1), (2, 3), (3, 5), (4, 7)...
両方を満たすのは → (2, 3) のみ
解:x = 2, y = 3
確認:① 2+3=5 ✓ ② 2·2−3=1 ✓
2直線の交点としての解(グラフのイメージ)
2元1次方程式 → 1本の 直線
連立方程式の解 → 2直線の 交点
→ 普通は1つの交点(一意に決まる)
→ 平行な2直線は交点なし(解なし)
→ 重なる2直線は無数の解
※グラフでの解法は3章で詳しく学ぶ
解き方の2つの方法
- 加減法:両式を 足したり引いたりして1つの未知数を消去
- ・係数を揃えて、足し引きで x または y を消す
- ・残った1元の方程式を解いて値を得る
- ・元の式に戻して、もう1つの未知数を求める
- 代入法:1つの式から x または y を求め、もう1つの式に代入
- ・「x = 〜」「y = 〜」の形にする
- ・もう1つの式に代入して1元方程式に
- ・解いて、もう1つも求める
連立方程式の意義
例1:「リンゴとミカンを合わせて10個買い、合計600円。リンゴ80円、ミカン40円のとき、それぞれ何個?」
→ x + y = 10、80x + 40y = 600 の 2元連立になる
例2:「2桁の数があり、十の位と一の位の和は10、入れ替えた数は元より36大きい。元の数は?」
→ a + b = 10、10b + a = 10a + b + 36 の連立
1元方程式では解けない問題が解ける
方程式が成り立つかの確認
解を求めたあとは、両方の式に代入して両方が成り立つかチェック
例:解 (2, 3) が連立 { x + y = 5、2x − y = 1 } の解か?
① 2 + 3 = 5 ✓
② 2·2 − 3 = 4 − 3 = 1 ✓
→ 両方OK、(2, 3) は解
片方しか成り立たない → 連立方程式の解ではない
- 連立方程式の解は (x, y) の組として答える
- 例:「x = 2, y = 3」または「(x, y) = (2, 3)」
- 「x = 2」だけ書くのは×(y も答える必要あり)
- 解を確認するには、両方の式に代入して両方とも成り立つかチェック
- 2元1次方程式 1本だけ → 解は無数
- 2元連立方程式(2本セット)→ 解は通常1組
- 2つの式が 違う情報を持つことで、答えが定まる
- 未知数2つ → 式が2本必要(連立2元)
- 未知数3つ → 式が3本必要(連立3元、高校で学ぶ)
- 式が足りないと答えが定まらない
この章でつまずきやすいところ
中1の方程式と勝手がちがう連立方程式は、本文を読んでいる途中で「式が2本もいるの?」「解は何の組?」と迷いやすい単元です。読みながら手が止まりやすい具体場面を3つに整理し、納得して読み進めるための見分け方を示します。
式が1本でも解ける気がしてしまう
- つまずく場面:本文の「x+y=5 を満たす (x,y) は (0,5),(1,4),(2,3)…」を読んでいる途中で、「あれ、これでもう解けてるのでは?」と感じ、なぜ式をもう1本足すのか理由が頭に入ってこなくなる場面。
- 克服のコツ:因果関係で読み直すのがコツ。「未知数が2つある→候補が無数に出る→もう1本の条件で1組にしぼる」という流れで本文を追うと、2本目の式が登場する理由が腑に落ちる。「式の本数=未知数の本数」をセットで覚えておくと、本文の各場面でつまずかない。
- ミニ例:x+y=5 だけなら (0,5)(1,4)(2,3)… と無数。ここに 2x−y=1 を加えて初めて (2,3) の 1組 にしぼれる。
解を x の値だけで答えてしまう
- つまずく場面:本文の「解は (x, y) の組として答える」を読んでいる途中で、中1の感覚のまま「x = 2」だけ書けばよさそうに見え、なぜ y もセットで書く必要があるのかが分からなくなる場面。
- 克服のコツ:位置関係で整理するとよい。連立方程式の解は、グラフで言えば2直線の交点という1つの「点」。点は (x座標, y座標) のペアで初めて場所が決まる、と読み替えれば「x だけ」では答えが半分しか伝わらないと納得できる。
- ミニ例:解 x=2 だけだと交点の横位置しか分からない。(x, y) = (2, 3) と書いて初めて、2直線が交わる1点を指し示せる。
片方の式に合うだけで「解」と思ってしまう
- つまずく場面:練習問題で候補 (3,4)(4,3)(5,2) のうちどれが解かを考えている途中、最初の式 x+y=7 にあてはめて「全部成り立つ」と気づき、どれを選べばよいか分からなくなる場面。
- 克服のコツ:見分け方のコツは「両方の式に代入して両方とも成り立つか」を必ず確認すること。片方しか満たさない組は連立方程式の解ではない。①式で残った候補を②式でふるいにかける、という2段チェックを習慣にすると、解と「ただ①を満たす組」を取りちがえない。
- ミニ例:{x+y=7, x−y=1} で (3,4) は①は ✓ だが②で 3−4=−1 と ✗。両方 ✓ になるのは (4,3) だけ。
練習問題
次の組のうち、連立方程式 { x + y = 7、x − y = 1 } の解はどれか。
(ア) (3, 4) (イ) (4, 3) (ウ) (5, 2)
答えを見る
(イ) (4, 3):4+3=7 ✓、4−3=1 ✓
(ア):3+4=7 ✓、3−4=−1 ✗ → ×
(ウ):5+2=7 ✓、5−2=3 ✗ → ×
「シャツとズボン合わせて4着、シャツ1着 a 円、ズボン1着 b 円で合計 c 円」を連立方程式で表せ。
答えを見る
シャツ x 着、ズボン y 着とすると:
x + y = 4、ax + by = c
連立方程式 { x + y = 8、x − y = 2 } の解を、表を作って見つけよ。
答えを見る
x + y = 8 を満たす:(0,8), (1,7), (2,6), (3,5), (4,4), (5,3)...
x − y = 2 を満たす:(2,0), (3,1), (4,2), (5,3), (6,4)...
共通:(5, 3) → 解:x = 5, y = 3
「みかんを大袋と小袋で買う。大袋は1袋500円、小袋は1袋300円、合計5袋で2100円。それぞれ何袋か」を連立方程式で表せ(解かなくてよい)。
答えを見る
大袋 x 袋、小袋 y 袋とすると:
x + y = 5、500x + 300y = 2100
まとめ
- 2元1次方程式:x と y を含む1次式。1本だけだと解は無数。
- 連立方程式:2つの方程式を 同時に満たす解を求める。
- 解は通常1組(x = ○, y = △)。
- グラフで見ると2直線の 交点。
- 解き方:加減法と 代入法の2種類。
- 解の確認は 両方の式に代入して両方成り立つか。
もっと知る ── 発展・実生活(出典つき)
※ 教科書の内容に、信頼できる出典をもとにした発展・実生活・時事の話題を補足しています(教科書そのものではありません)。
「方程式」の語源は約2000年前の中国の数学書発展
連立方程式は西暦1世紀ごろの中国の数学書『九章算術』の第8章「方程」ですでに扱われていました。そこでは2つや3つの未知数の連立方程式を、いまの加減法とほぼ同じ計算で解いており、これが「方程式」という言葉のもとになっています。
江戸時代の関孝和は西洋より早く連立方程式の一般理論を作った発展
江戸時代の数学者・関孝和は、複数の未知数を1つの式に書き表す方法(傍書法)を発明し、連立方程式の未知数を消去する計算をしやすくしました。さらに、いまの行列式にあたる計算法を西洋に先がけて考え出したと国立国会図書館は紹介しています。
カーナビやスマホの位置は連立方程式で求めている実生活
GPSは複数の衛星から電波を受け取り、それぞれの衛星までの距離を測ります。受信機の時計のずれもふくめて正確な位置を決めるため、ふつう4つの衛星のデータから連立方程式を解いて現在地を計算しています。
国の経済の波及効果も連立方程式で計算する実生活
総務省が作る「産業連関表」では、ある産業の需要が増えると他の産業の生産がどれだけ増えるかを調べます。このとき、投入係数・最終需要・生産額の関係を表す多元連立方程式を解いて、経済全体への波及効果を求めています。
未知数が増えると必要な式の数も増える発展
中2では未知数2つに式2本ですが、GPSのように未知数が3つや4つになると、必要な式(条件)も同じ数だけ必要になります。たくさんの未知数の連立方程式を効率よく解くしくみは線形代数(行列)として高校・大学で学び、コンピュータでの計算にも使われています。
