解き方の基本流れ
- かっこがあれば 分配法則で外す
- 分数があれば 分母の最小公倍数を両辺に掛けて整数化
- 小数があれば10倍・100倍で整数化
- 整理して ax + by = c の形に
- 加減法または代入法で解く
かっこを含む式
①のかっこを外す:2x − 2 + y = 5
→ 2x + y = 7 …①'
普通の連立に:{ 2x + y = 7、x + 3y = 8 }
①'×3:6x + 3y = 21、②:x + 3y = 8
引く:5x = 13 → x = 13/5
y = 7 − 2·(13/5) = 7 − 26/5 = 9/5
→ (13/5, 9/5)
①を整理:3x + 3y = 12 → x + y = 4 …①'
{ x + y = 4、x − 2y = 0 }
①' − ②:3y = 4 → y = 4/3
x = 4 − 4/3 = 8/3
→ (8/3, 4/3)
分数を含む式 ── 分母を払う
①の両辺に 6(分母 2 と 3 の最小公倍数)を掛ける:
6·(x/2) + 6·(y/3) = 6·4
3x + 2y = 24 …①'
{ 3x + 2y = 24、x + y = 7 }
②×2:2x + 2y = 14、①'から引く:x = 10
y = 7 − 10 = −3
→ (10, −3)
①×6:2x + 3y = 18
{ 2x + 3y = 18、x + y = 7 }
②×2:2x + 2y = 14、①' から引く:y = 4
x = 7 − 4 = 3
→ (3, 4)
小数を含む式 ── 10倍・100倍
①に10を掛ける:3x + 2y = 14 …①'
{ 3x + 2y = 14、x + y = 5 }
②×2:2x + 2y = 10、①'から引く:x = 4
y = 5 − 4 = 1
→ (4, 1)
{ 0.05x − 0.02y = 0.06、x + y = 10 }
1式×100:5x − 2y = 6
{ 5x − 2y = 6、x + y = 10 }
2式×2:2x + 2y = 20、足す:7x = 26 → x = 26/7
y = 10 − 26/7 = 44/7
分数と小数の混在
1式に20を掛ける(小数は10倍、分数は4倍 → 最小公倍数20):
20·0.2x + 20·(y/4) = 20·1
4x + 5y = 20
{ 4x + 5y = 20、x − y = 3 }
代入法:x = y + 3、4(y+3) + 5y = 20
9y + 12 = 20 → y = 8/9、x = 8/9 + 3 = 35/9
A = B = C の形
3つの等号を 2つの式に分ける:
最も自然なのは「= 5」で両側を切る:
{ x + y = 5、2x − y = 5 }
足す:3x = 10 → x = 10/3
y = 5 − 10/3 = 5/3
→ (10/3, 5/3)
他の分け方も可:{ x + y = 2x − y、2x − y = 5 } など
連立方程式の解の判定
ふつうは解が1組だが、稀にこんなことが起きる
① 2x + 4y = 6 と x + 2y = 3 → 2倍すれば同じ式 → 解は無数(同じ直線)
② 2x + 4y = 6 と x + 2y = 4 → 平行な直線 → 解なし
中2レベルではあまり出ないが、知っておくと安心
- 分母を払うとき、すべての項に同じ数を掛ける
- 右辺の定数項にも掛けるのを忘れない
- 例:x/2 + y/3 = 4 → 両辺×6 → 3x + 2y = 24(4 → 24)
- × 3x + 2y = 4(右辺を6倍するの忘れ)
- 2(x − 1) → 2x − 2(分配OK)
- −(x − 1) → −x + 1(マイナスを分配)
- −2(x + 3) → −2x − 6(両方マイナス)
- 0.3x なら 10倍で 3x
- 0.05x なら 100倍で 5x
- 小数点以下の最大の位に合わせて 10、100、1000... 倍
- 分数が混じる場合は、分母の倍数も考慮
この章でつまずきやすいところ
かっこ・分数・小数が入った連立方程式は、解く前の「整理」で迷いやすい。両辺への操作を全項にそろえる意識と、整理後に普通の連立に戻す感覚が大切。途中で手が止まる場面を整理しよう。
分母の最小公倍数を片辺だけに掛けてしまう
- つまずく場面:x/2 + y/3 = 4 を見て、左辺だけに 6 を掛けて 3x + 2y = 4 と書いてしまう。右辺の定数項にも同じ操作が必要なのに、分母を消すことに気を取られて忘れる瞬間。
- 克服のコツ:見分け方は「両辺への操作は全項に等しく掛ける」という因果関係で覚える。等式は左辺=右辺の天秤だから、片方だけ重さを変えれば崩れる。分母を払う前に、右辺の数にも同じ倍率を掛ける場所をペン先で確認してから書くと迷いが消える。
- ミニ例:x/2 + y/3 = 4 の両辺に 6 を掛ける。左辺は 3x + 2y、右辺は 4×6 = 24。結果は 3x + 2y = 24 で、右辺を 24 にし忘れないこと。
小数の倍率を一部の項だけに掛けてしまう
- つまずく場面:0.05x − 0.02y = 0.06 を整数化しようとして、0.05x だけ 100 倍して 5x − 0.02y = 0.06 と書いてしまう。小数点を「消したい項」だけ動かす感覚で、他の項を置き去りにする迷い。
- 克服のコツ:見分け方は小数点以下の最大の位に合わせて 10・100・1000 倍を決め、その倍率を式全体にそろえること。小数2位までなら 100 倍、混在しても一番細かい位で決める。倍率を式の頭にメモしてから、全項に同じ数を掛けると統一できる。
- ミニ例:0.05x − 0.02y = 0.06 は最大が 100 分の 1 の位なので両辺×100。5x − 2y = 6 と、定数項 0.06 も 6 に直す。
かっこの前のマイナスを分配し忘れる
- つまずく場面:2(x − 1) + y = 5 なら 2x − 2 + y = 5 とできても、もし式が −2(x + 3) や −(x − 1) の形で出てくると、マイナスを後ろの項まで届かせるのを忘れて −2x + 6 や −x − 1 と書いてしまう瞬間。
- 克服のコツ:見分け方はかっこの前の符号を一つの掛け算と見ること。−2(x + 3) は「−2 を x にも 3 にも掛ける」と声に出すと迷いが減る。展開直後に元のかっこと符号を見比べ、項の数とプラスマイナスが対応しているか確認する習慣をつけよう。
- ミニ例:−2(x + 3) = −2x − 6、−(x − 1) = −x + 1。前の符号が中の項すべてに届くと意識する。
A = B = C を一本の式のまま扱おうとする
- つまずく場面:x + y = 2x − y = 5 を見て、等号が二つ並ぶ式をどう扱えばよいか手が止まる場面。連立方程式の形に直さないまま代入しようとして、変数が消えずに式が回り続けてしまう迷い。
- 克服のコツ:見分け方は等号の位置で2本の式に切るという位置関係の整理。A = B = C は A = C と B = C(または A = B と B = C)の組に書き換えれば、いつもの連立方程式になる。切り分けた瞬間に、加減法か代入法かを選べる形にそろう。
- ミニ例:x + y = 2x − y = 5 は x + y = 5 と 2x − y = 5 の連立に分けて解ける。
練習問題
{ 2(x + y) = 10、x − y = 4 } を解け。
答えを見る
1式整理:x + y = 5
{ x + y = 5、x − y = 4 }、足す:2x = 9 → x = 9/2、y = 1/2
{ x/3 + y/2 = 3、x + y = 7 } を解け。
答えを見る
1式×6:2x + 3y = 18。連立。2式×2:2x + 2y = 14。引く:y = 4、x = 3
{ 0.5x + 0.3y = 1.4、x − y = 1 } を解け。
答えを見る
1式×10:5x + 3y = 14、2式:x − y = 1
x = y + 1、5(y+1) + 3y = 14 → 8y = 9 → y = 9/8、x = 17/8
x + 2y = 3x − y = 7 を解け。
答えを見る
{ x + 2y = 7、3x − y = 7 }
2式×2:6x − 2y = 14、足す:7x = 21 → x = 3、y = 2
まとめ
- かっこ:分配法則で外す。
- 分数:両辺に 分母の最小公倍数を掛けて整数化。
- 小数:両辺を10倍・100倍で整数化。
- 分数+小数:最小公倍数を考えて掛ける。
- A = B = C:2つの等式に分けて連立に。
- 「整理 → 解く」の2段階で攻略。
もっと知る ── 発展・実生活(出典つき)
※ 教科書の内容に、信頼できる出典をもとにした発展・実生活・時事の話題を補足しています(教科書そのものではありません)。
連立方程式は約2000年前の中国にもあった発展
紀元前1世紀から紀元後2世紀ごろに成立した中国の数学書『九章算術』の第8章「方程」では、すでに2つや3つの未知数を持つ連立一次方程式が扱われていました。係数を整理して文字を1つずつ消していく考え方は、私たちが習う「整理してから加減法で解く」やり方とよく似ています。
負の数は連立方程式を解くために生まれた発展
『九章算術』の「方程」の章では、連立一次方程式を解く途中で引き算がマイナスになる場面に対応するため、負の数とその計算ルールが導入されました。これは世界でもっとも古い正負の数の扱いの一つとされ、係数を整理して消去していく計算には負の数が欠かせないことが分かります。
高校・大学では「行列」で連立方程式を解く発展
未知数が3つ4つと増えると手計算は大変ですが、係数だけを並べた「行列」を使う『ガウスの消去法(掃き出し法)』という方法があります。これは中学で習う加減法を行列の形で表したもので、コンピュータが連立一次方程式をすばやく解くときにも使われています。
モノの値段は連立方程式で決まる(均衡価格)実生活
経済学では、買いたい量を表す需要の式と、売りたい量を表す供給の式を連立方程式として解くことで、売れ残りも品不足も起きない「均衡価格」と取引量を求めます。たとえば需要D=200−p、供給S=−40+pをD=Sとして解くと、ちょうどよい価格が計算できます。
文章題は「何をx・yにするか」で決まる実生活
NHKの講座でも、連立方程式の利用では「何をxとyにするのか」「加減法と代入法のどちらを使うのか」を順序立てて考えることが大切だと説明されています。かっこ・分数・小数の式でも、まず整理して標準形にしてから解く手順は同じで、現実の問題を式に直す力につながります。
