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連立方程式の文章題 ── 個数・速さ・割合

連立方程式の 本領発揮がこの文章題。「個数と代金」「速さ」「割合・濃度」── どんな問題でも、2つの未知数 + 2つの式のパターンで解けるようになります。中2数学のヤマ場の1つ。

図でつかむ

品物 単価 個数 代金 りんご 100円 x 100x みかん 50円 y 50y 個数の式:x + y = 8 代金の式:100x + 50y = 600
文章題は、条件を表にしてから「個数の式」「合計の式」を作ると立式しやすくなります。

文章のまま式を作ろうとすると、何を足すのかがあいまいになりがちです。未知数・単位・合計を表に分けて整理すると、2つの条件が見える形になります。

文章題を解く手順

  1. 求めるものを x, y で表す(何を未知数にするか決める)
  2. 問題の条件から 2つの式を作る(個数の式、合計の式など)
  3. 連立方程式を 解く
  4. 解が問題に合うか 吟味する(正の数か、整数か等)
  5. 答えを書く(単位もつけて)

個数と代金の問題

例1:リンゴとミカン

リンゴ1個 100円、ミカン1個 50円。合わせて 8個 買い、合計 600円。それぞれ何個?

リンゴ x 個、ミカン y 個とすると:

{ x + y = 8 …①(個数の式)

{ 100x + 50y = 600 …②(代金の式)

②÷50:2x + y = 12 …②'

②' − ①:x = 4、y = 8 − 4 = 4

→ リンゴ 4個、ミカン 4個

確認:4 + 4 = 8 ✓、100·4 + 50·4 = 600 ✓

例2:ノートと鉛筆

ノート 120円、鉛筆 50円。合わせて10本買って 920円。それぞれ何本?

ノート x 冊、鉛筆 y 本

{ x + y = 10、120x + 50y = 920 }

2式÷10:12x + 5y = 92

1式×5:5x + 5y = 50、引く:7x = 42 → x = 6、y = 4

→ ノート 6冊、鉛筆 4本

速さの問題

例3:往復の問題(道のり・時間・速さ)

A町からB町まで、行きは時速4km、帰りは時速6kmで往復し、合計5時間。片道は何 km?

片道を x km とする(行きと帰り同じ道)

時間 = 距離 ÷ 速さ より、

行きの時間:x/4 帰りの時間:x/6

合計5時間:x/4 + x/6 = 5

両辺×12:3x + 2x = 60 → 5x = 60 → x = 12

→ 片道 12 km

例4:歩いたり走ったり(連立で)

家から学校まで一部は歩き(時速4km)、一部は走り(時速8km)で計1時間で着いた。総距離は5km。歩いた時間・走った時間は?

歩いた時間を x 時間、走った時間を y 時間とすると:

{ x + y = 1(合計時間)

{ 4x + 8y = 5(合計距離)

代入:x = 1 − y、4(1−y) + 8y = 5 → 4 + 4y = 5 → y = 1/4

x = 3/4

→ 歩き 3/4 時間(45分)、走り 1/4 時間(15分)

割合・濃度の問題

例5:食塩水の濃度

8%の食塩水と3%の食塩水を混ぜて、6%の食塩水を500g作る。それぞれ何 g?

8%を x g、3%を y g とすると:

{ x + y = 500(合計の式)

{ 0.08x + 0.03y = 0.06·500 = 30(食塩の量の式)

2式×100:8x + 3y = 3000

1式×3:3x + 3y = 1500、引く:5x = 1500 → x = 300、y = 200

→ 8% 300 g、3% 200 g

確認:8·300 + 3·200 = 2400 + 600 = 3000、3000/500 = 6% ✓

例6:割合の問題

中学生 x 人と高校生 y 人がいた。中学生の 30% と高校生の 20% を合わせると 30人になり、合計人数は 120人。それぞれ何人?

{ x + y = 120、0.3x + 0.2y = 30 }

2式×10:3x + 2y = 300、1式×2:2x + 2y = 240、引く:x = 60、y = 60

→ 中学生 60人、高校生 60人

年齢の問題

例7:父と子の年齢

現在、父は子の3倍の年齢。10年後、父は子の2倍の年齢。今の年齢は?

父 x 歳、子 y 歳:

{ x = 3y(現在)

{ x + 10 = 2(y + 10)(10年後)

2式を整理:x + 10 = 2y + 20 → x = 2y + 10

代入:3y = 2y + 10 → y = 10、x = 30

→ 父 30歳、子 10歳

確認:現在 30 = 3·10 ✓、10年後 40 = 2·20 ✓

整数の問題(2桁の数)

例8:2桁の数

2桁の整数があり、十の位と一の位の数の和は12。十の位と一の位を入れ替えると、もとの数より36大きくなる。もとの数は?

十の位を a、一の位を b とすると:

もとの数:10a + b、入れ替え:10b + a

{ a + b = 12、(10b + a) − (10a + b) = 36 → 9b − 9a = 36 → b − a = 4 }

足す:2b = 16 → b = 8、a = 4

→ もとの数 48

文章題の式の作り方のコツ

  • 「合わせて X 個」「合計 Y 円」など、2つのキーワードから2つの式を作る
  • 速さは「距離・時間・速さ」の3つ。2つわかれば残り1つが計算できる
  • 濃度は「含まれる量 = 濃度 × 全体量」
  • 表に整理すると見やすい
  • 単位を統一する(時速と分は揃える)
つまずきポイント①:解の吟味
  • 個数・年齢 → 正の整数のはず
  • 長さ・時間 → 正の数のはず
  • 「解が分数になった」「マイナスになった」 → 計算ミスか問題設定の確認
  • 「個数 = 1.5個」は不自然 → 式の作り方を再検討
つまずきポイント②:単位の統一
  • 「時速」と「分」が混在 → どちらかに揃える
  • 1時間 = 60分、1km = 1000m
  • 距離が km なら時間も h、速さも km/h
  • そろえないと計算が合わない
つまずきポイント③:「もとの数 = 10a + b」
  • 2桁の数は「a + b」ではなく「10a + b」
  • × 48 = 4 + 8 = 12(位の数の和になる)
  • ○ 48 = 10·4 + 8(位を考えた式)
  • 3桁なら 100a + 10b + c

この章でつまずきやすいところ

文章題は読みながら「何をx,yにすればいいの?」「式が1本しか思いつかない…」と手が止まりがち。ここでは問題文を追っている途中で起きる迷いを取り上げ、抜け道になる読み方のコツを整理します。

%をそのまま式に入れてしまう(8%→8)

  • つまずく場面:「8%の食塩水x g と3%の食塩水y g を混ぜて6%500g」の例を読んでいる途中、食塩の量の式を立てる場面で8x + 3y = 6×500と書きたくなる。「左の8xはg?右の6×500はg?%のまま掛けていいの?」と単位がそろっているか分からなくなる。
  • 克服のコツ:単位変換で押さえる。「%」は全体に対する割合を表す記号で、そのままでは量にならない。式に入れる前に必ず0.08や3/100のような小数・分数に直してから掛ける。%記号を見たら「100で割る」とセットで反応する習慣をつけると、単位崩れが起きない。
  • ミニ例:8%の食塩水x g に含まれる食塩は0.08x g。「30%の30人」の意味なら0.3x人。%は量に直してから式に入れる。

2桁の数を「a+b」と書いてしまう

  • つまずく場面:「十の位a、一の位bで和は12、入れ替えると36大きい」の例題を読みながら、「もとの数」を式にする場面でa+bと書きたくなる。「48なら4+8=12だしこれでいいのでは?」と一瞬納得しかけて手が止まる。
  • 克服のコツ:位取りで整理する。十の位は10倍の重みを持つので、もとの数は10a+b。a+bは「位の数の和」で別物。「位=重み」と覚え、十の位なら×10、百の位なら×100を必ず付けると決めておく。入れ替えた数は10b+a になる点もセットで押さえる。
  • ミニ例:48は10×4+8。十の位と一の位を入れ替えた数は10×8+4=84。3桁なら100a+10b+cの形。

時速と分が混ざったまま立式してしまう

  • つまずく場面:「時速4kmで歩き、時速8kmで走って合計1時間、進んだ距離は5km」を読んでいる途中、「歩いた時間をx時間、走った時間をy分」と別単位で置きたくなる。「でも速さは時速のままだから…」と気づいて、式の途中で単位が合わなくなる。
  • 克服のコツ:単位を揃える。速さの単位(時速か分速か)に時間の単位を合わせる、と決め打ちする。時速km/hを使うなら時間はh(時間)に統一。45分は45/60=3/4時間に直してから式に入れる。立式の前に表の上で単位だけ先に揃えると、計算が崩れにくい。
  • ミニ例:時速4kmで45分歩いたら距離は4×(3/4)=3km。45のまま掛けて180kmとはしない。

x,yを置いたあと答えの単位を取り違える

  • つまずく場面:「リンゴx個、ミカンy個」と置いたのに、解いていく途中で「x=4は…円のことだっけ?」と分からなくなる。代金の式100x+50y=600を見ているうちに、xが金額のように見えてきて、最後の答えに単位を付ける段階で迷う。
  • 克服のコツ:変数の意味をメモする。x,yを置いた瞬間に「x=リンゴの個数(個)」「y=ミカンの個数(個)」とノートに単位つきで書き残す。100xは「単価×個数=代金」と読めるので、xはあくまで個数のまま。答えを書くときも、置いた単位をそのまま使えば取り違えが起きない。
  • ミニ例:x=4が出たら「リンゴ4個」と書く。「リンゴ4円」と書きたくなったら、最初に置いた単位に戻って確認する。
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練習問題

問題1(個数)

大小2種類の箱があり、大が x 個、小が y 個ある。合わせて20個。大1個 = 500円、小1個 = 200円で合計 7000円。x と y を求めよ。

答えを見る

{ x + y = 20、500x + 200y = 7000 }

2式÷100:5x + 2y = 70、1式×2:2x + 2y = 40、引く:3x = 30 → x = 10、y = 10

問題2(速さ)

A町からB町まで12km。時速4kmで歩くと何時間、時速12kmで自転車だと何時間?両方答えよ。

答えを見る

歩き:12 ÷ 4 = 3時間

自転車:12 ÷ 12 = 1時間

問題3(濃度)

10% の食塩水と 4% の食塩水を混ぜて、7% の食塩水 300 g を作りたい。それぞれ何 g 必要か。

答えを見る

10% を x g、4% を y g とすると:

{ x + y = 300、0.10x + 0.04y = 0.07·300 = 21 }

2式×100:10x + 4y = 2100、1式×4:4x + 4y = 1200、引く:6x = 900 → x = 150、y = 150

→ 10% 150 g、4% 150 g

問題4(年齢)

現在、母は娘の4倍の年齢。20年後、母は娘の2倍の年齢。現在の年齢は?

答えを見る

母 x 歳、娘 y 歳。x = 4y、x + 20 = 2(y + 20)。

4y + 20 = 2y + 40 → 2y = 20 → y = 10、x = 40

→ 母 40歳、娘 10歳。確認:20年後 60歳 と 30歳で、母は娘の2倍。

まとめ

  • 文章題:x, y を置く → 2式作る → 解く → 吟味。
  • 個数:個数の式 + 金額の式 など。
  • 速さ:距離 = 速さ × 時間、時間 = 距離 ÷ 速さ。
  • 濃度:濃度 × 全体量 = 含まれる量。
  • 年齢:「今」「○年後」「○年前」を式に。
  • 2桁の数:10a + b の形。
  • 必ず 解の吟味(正の整数?範囲内?)。

もっと知る ── 発展・実生活(出典つき)

※ 教科書の内容に、信頼できる出典をもとにした発展・実生活・時事の話題を補足しています(教科書そのものではありません)。

連立方程式は約2000年前の中国生まれ発展

連立方程式は、紀元前1世紀から紀元後2世紀ごろに成立した中国の数学書『九章算術』の第8章「方程」で、すでに二元・三元の問題として解かれていました。文章題を式に直して解く今の学び方は、2000年以上前の人々の工夫を受け継いだものなのです。

出典:Wikipedia「九章算術」

「方程式」という言葉の由来発展

「方程式」の「方程」は、中国の『九章算術』の章の名前が起源で、計算盤の上に数を四角(方)に並べて割り当てる(程)という意味でした。明治時代に英語のequationの訳語として日本でも使われ、今の「連立方程式」という言葉につながっています。

出典:国立国会図書館 レファレンス協同データベース

加減法は「ガウスの消去法」の入口発展

連立方程式を、式どうしを足し引きして文字を1つ消していく加減法は、数学では「ガウスの消去法」と呼ばれる方法の基本形です。『九章算術』の方程章では、この消去の途中で正負の数を扱う計算も行われており、これは正負の数を使った世界最古の例とされています。

出典:Wikipedia「九章算術」

食塩水の濃度計算は減塩につながる実生活

「濃度×全体量=含まれる食塩の量」という濃度の式は、健康のための減塩でも役立ちます。厚生労働省によると、日本人の食塩摂取量は1日あたり約10gで、世界保健機関(WHO)がすすめる1日5g未満のおよそ2倍にもなっています。

出典:厚生労働省 健康的で持続可能な食環境戦略イニシアチブ「食塩のとりすぎ問題」

食品ラベルのナトリウムを食塩の量に換算実生活

食品の栄養成分表示では、塩分はナトリウムではなく「食塩相当量」で表示するよう定められています。換算には「食塩相当量(g)=ナトリウム(g)×2.54」という決まった式を使い、これは食塩(NaCl)の分子量58.5をナトリウムの原子量23で割った値(約2.54)からきています。

出典:東京都保健医療局「栄養成分表示(表示方法)」