図でつかむ
この図は、式や定理を読む前に全体像をつかむための補助図です。問題を解くときも、まず同じような簡単な図を自分で描いてから条件を書き込むと、見落としが減ります。
一次関数の定義
y = ax + b の形(a ≠ 0、b は定数)。
a を 傾き(変化の割合)、b を 切片(y切片)という。
比例(中1の復習)との違い
| 比例 | 一次関数 | |
|---|---|---|
| 式 | y = ax | y = ax + b |
| グラフ | 原点を通る直線 | 直線(原点とは限らない) |
| 切片 | 0(原点) | b(任意の値) |
| x = 0 のとき | y = 0 | y = b |
| 関係 | 一次関数で b = 0 の場合 | 比例を含む広い概念 |
傾き a と切片 b の意味
傾き a:x が 1増えると y がどれだけ増えるか(負なら減る)
切片 b:x = 0 のときの y の値(y軸との交点)
対応表で見る一次関数
| x | −2 | −1 | 0 | 1 | 2 | 3 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| y | −3 | −1 | 1 | 3 | 5 | 7 |
x が 1増えるごとに y が 2増えている → 傾き 2
x = 0 のとき y = 1 → 切片 1
確認:x = −2 のとき y = 2·(−2) + 1 = −3 ✓
| x | −1 | 0 | 1 | 2 | 3 | 4 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| y | 5 | 4 | 3 | 2 | 1 | 0 |
x が 1増えるごとに y が 1減っている → 傾き −1
x = 0 のとき y = 4 → 切片 4
具体例で見る
傾き 3、切片 5
x = 0 のとき y = 5
x = 1 のとき y = 8
x = 2 のとき y = 11
x が1増えるごとに y は3ずつ増える
傾き −2、切片 4
x が増えると y は減る(右下がり)
x = 0 のとき y = 4、x = 2 のとき y = 0
傾き 1/2、切片 −1
x が2増えると y が1増える(傾きが緩やか)
x = 0 のとき y = −1、x = 2 のとき y = 0
変化の割合
一次関数 y = ax + b では、変化の割合は a で一定(どこを取っても同じ)。
x: 1 → 3(x の変化量 +2)
y: 3 → 7(y の変化量 +4)
変化の割合 = 4/2 = 2(= 傾き a)
どこを取っても変化の割合は 2 で一定 → これが一次関数の特徴
身近な一次関数の例
- タクシー料金:基本料金 b 円 + 距離 x km × 単価 a 円/km
- 例:y = 250x + 410(円、x km)
- 携帯電話の料金:基本料金 + 通話分
- 水道料金:基本料金 + 使用量に応じた料金
- 水を入れる時間と量:最初に 5L 入っている水槽に毎分 2L 入れる → y = 2x + 5
- ろうそくの長さ:燃え始めの長さ b から毎分 a cm 短くなる → y = b − ax
- a > 0:右上がりの直線(x 増 → y 増)
- a < 0:右下がりの直線(x 増 → y 減)
- |a| が大きいほど傾きが急(垂直に近い)
- |a| が小さいほど傾きが緩やか(水平に近い)
- a = 0 だと y = b(一定)になる → 水平な直線
- これは「定数関数」で、一次関数とは別物
- 定義に「a ≠ 0」と入っているのに注意
- y = 3x + 5 はそのまま読める
- 2y = 6x + 10 → y = 3x + 5(両辺÷2して標準形に)
- 3x + y = 5 → y = −3x + 5(y について解いて標準形に)
- 標準形 y = ax + b に直してから傾き・切片を読む
この章でつまずきやすいところ
一次関数 y = ax + b は、見た目は比例 y = ax にそっくりだけど、b があるだけでグラフの位置や読み方が変わる。本文を読んでいる途中で混乱しやすい3つの場面を、立ち止まり方ごと整理しよう。
一次関数も必ず原点を通ると思い込んでしまう
- つまずく場面:比例 y = ax を学んだ直後に y = ax + b を読むと、つい「直線だから原点を通るはず」と決めつけてしまう。例として y = 2x + 1 の表を見ているのに、x = 0 のとき y = 0 のはず…と頭が止まってしまう場面。
- 克服のコツ:位置関係で整理する。b は「x = 0 のときの y の値」、つまりy軸との交点の高さ。b = 0 のときだけ交点が原点に落ちて比例になる。b が 0 でなければ直線は上か下にずれる、と図でつかむと迷わない。
- ミニ例:y = 2x + 1 では x = 0 のとき y = 1。原点 (0, 0) ではなく (0, 1) を通る。b = 1 が「y軸での出発点」と覚える。
a を「x にかける数」としか覚えず、変化の割合と結びつかない
- つまずく場面:本文に「a は傾き、変化の割合」と書いてあるのに、問題で「x が 2 から 5 に変わったときの y の変化量は」と聞かれた瞬間、a がどう使えるのか分からなくなる場面。a = 4 を見て「4 をかける数」としか思い出せない。
- 克服のコツ:因果関係で整理する。a は「x が 1 増えると y がどれだけ増えるか」を表す数。だから x が 3 増えれば y は a × 3 増える。式の中の a と、表で見える増え方が同じものを指している、と意味でつなげる。
- ミニ例:y = 4x − 3 で x が 2 → 5(3 増加)なら、y は 4 × 3 = 12 増加。実際に y = 5 → 17 で、ちゃんと 12 増えている。
切片を x 軸との交点だと取り違えてしまう
- つまずく場面:「切片」という言葉を見て、x 軸を切る点なのか y 軸を切る点なのかが本文を読む途中で分からなくなる場面。グラフを見ながら「直線が軸と交わるところ」をどちらと混同してしまう。
- 克服のコツ:見分け方で整理する。中学で「切片」と言ったら原則 y 切片。判定は「x = 0 を式に代入したときの y の値」。x 軸との交点が知りたいときは逆に y = 0 を代入する、と代入の方向で区別する。
- ミニ例:y = −2x + 4 で x = 0 を入れると y = 4 → 切片は 4。y = 0 を入れると x = 2 で、これは x 軸との交点であり切片とは別。
式の形が y = ax + b になっていないのに、そのまま傾きや切片を読んでしまう
- つまずく場面:練習問題で 2y = 6x + 10 や 3x + y = 5 を見て、本文の「y = ax + b」を当てはめようとし、x の係数 6 や 3 をそのまま傾きと答えてしまいそうになる場面。
- 克服のコツ:時系列で整理する。手順は①まず y について解く(両辺を割る・移項する)→ ②そこに現れる x の係数を傾き、定数を切片として読み取る。順番を飛ばすと符号や倍率を間違える、と意識する。
- ミニ例:3x + y = 5 は y について解くと y = −3x + 5。傾きは −3、切片は 5。式の最初の 3 をそのまま傾きにしてはいけない。
練習問題
次の一次関数の傾きと切片は。
- y = 5x + 3
- y = −x + 2
- y = (1/2)x − 4
- y = −3x
答えを見る
(1) 傾き 5、切片 3
(2) 傾き −1、切片 2
(3) 傾き 1/2、切片 −4
(4) 傾き −3、切片 0(比例)
y = 3x − 2 で、次の x のときの y を求めよ。
- x = 0
- x = 2
- x = −1
- x = 1/3
答えを見る
(1) y = −2 (2) y = 4 (3) y = −5 (4) y = 1 − 2 = −1
一次関数 y = 4x − 3 で、x が 2 から 5 まで変化したとき、y の変化量は何か。
答えを見る
x = 2 のとき y = 5、x = 5 のとき y = 17
y の変化量 = 17 − 5 = 12
変化の割合 = 12 ÷ 3 = 4(= 傾き)
次を y = ax + b の形に変形して、傾きと切片を答えよ。
- 2y = 4x − 6
- 2x + y = 5
答えを見る
(1) y = 2x − 3、傾き 2、切片 −3
(2) y = −2x + 5、傾き −2、切片 5
まとめ
- 一次関数:y = ax + b(a ≠ 0)。
- a は 傾き(x 1増 → y a 増)、b は 切片(x=0 のときの y)。
- 比例 y = ax は、b = 0 の一次関数の特殊形。
- a の符号で右上がり(a>0)/右下がり(a<0)が決まる。
- 変化の割合 = 傾き a(どこを取っても一定)。
- 身近な例:タクシー料金、水道料金、水槽の水量。
もっと知る ── 発展・実生活(出典つき)
※ 教科書の内容に、信頼できる出典をもとにした発展・実生活・時事の話題を補足しています(教科書そのものではありません)。
タクシー料金は「初乗り+距離で加算」の一次関数実生活
タクシーの距離制運賃は、最初に決まった初乗運賃をはらい、初乗距離をこえると一定距離ごとに加算運賃が積み上がる仕組みです。初乗運賃が切片 b、1kmあたりの加算分が傾き a にあたり、料金 y と距離 x はまさに y = ax + b の関係になっています。
電気料金は基本料金+使用量に比例する電力量料金実生活
毎月の電気料金は、契約で固定される基本料金に、使った電力量に応じてふえる電力量料金などを足して決まります。基本料金が切片 b、1kWhあたりの単価が傾き a と考えると、料金が使用量の一次関数として近似できることがわかります。
摂氏と華氏の温度換算は一次関数そのもの発展
日本で使う摂氏温度(℃)とアメリカなどで使う華氏温度(℉)は、℉ =(℃ × 1.8)+ 32 という式で結ばれています。これは傾き 1.8、切片 32 の一次関数で、℃を1度上げるごとに℉が1.8度ずつふえる比例的な変化を表しています。
華氏とケルビンも一次式でつながっている発展
気象や科学で使う温度の単位は、たがいに一次式で変換できます。米国の気象機関の換算表でも、華氏 T_f は絶対温度ケルビン T_K を使って T_f =(9/5)×(T_K − 273.15) + 32 と表され、これも傾き 9/5 の一次関数です。単位がちがっても直線で対応する点が、一次関数の便利さです。
坂道の「勾配○%」は直線の傾きそのもの発展
道路の上り坂のきつさは縦断勾配としてパーセントで表され、これは水平に進んだ距離に対して何mのぼるか、つまり(高さの変化)÷(横の距離)で、一次関数の傾き a と同じ考え方です。国の道路構造令では、ふつうの道路で縦断勾配が5%をこえる場合などに登坂車線を設けると定めています。
