図でつかむ
この図は、式や定理を読む前に全体像をつかむための補助図です。問題を解くときも、まず同じような簡単な図を自分で描いてから条件を書き込むと、見落としが減ります。
一次関数のグラフは直線
2点を見つければ、その2点を結ぶことでグラフが描ける。
かき方① ── 2点プロット(最も基本)
x = 0 のとき y = 1 → 点 (0, 1)
x = 1 のとき y = 3 → 点 (1, 3)
この2点を 直線で結ぶ(定規でまっすぐに)
線は座標平面の端まで伸ばす
x = 0 にすると y = b(切片)がすぐ求まる
x = 1, 2, 3 を入れると y が 整数になりやすい
分数の傾きなら、x の分母倍を選ぶと y が整数になる
例:y = (1/3)x + 2 では x = 0, 3, 6 などを選ぶ
かき方② ── 切片から傾きで進む(時短)
① 切片 b の位置(y軸上、(0, b))に点を打つ
② 傾き a に従って、右に1進んで上下に a 動かして次の点を打つ
③ 2点を直線で結ぶ
→ 計算しなくても素早く描ける
切片 −2 → 点 (0, −2) を打つ
傾き 3 → 右に1動いて 上に3 → 点 (1, 1)
2点を結ぶ
切片 4 → 点 (0, 4)
傾き 2 → 右1・上2 → 点 (1, 6)
2点を結ぶ(右上がり)
分数の傾き
切片 1 → 点 (0, 1)
傾き 1/2 → 右に 2 動いて上に 1 → 点 (2, 2)
「右2・上1」を繰り返すとプロット点が増える:(4, 3), (6, 4)...
分数の傾き:分母 = x の増加、分子 = y の増加
切片 −1 → 点 (0, −1)
傾き 2/3 → 右3・上2 → 点 (3, 1)
2点を結ぶ
負の傾きのグラフ
切片 3 → 点 (0, 3)
傾き −1 → 右に1動いて 下に1 → 点 (1, 2)
右下がりの直線
切片 5 → 点 (0, 5)
傾き −2 → 右1・下2 → 点 (1, 3)
2点を結ぶ
x 軸切片 ── y = 0 のときの x
y = 0 を式に代入して x を求める
例:y = 2x + 4 → 0 = 2x + 4 → x = −2
→ x 軸切片は (−2, 0)
例:y = 3x − 6 → 0 = 3x − 6 → x = 2
→ x 軸切片は (2, 0)
y 軸切片と x 軸切片の2点を結ぶと、グラフが描ける
特殊な一次関数のグラフ
y = b(b は定数)→ x 軸に平行な水平線(傾き 0)
例:y = 3 → 高さ 3 の水平線
x = c(c は定数)→ y 軸に平行な垂直線(一次関数ではない)
例:x = 2 → 縦線
※ x = c は一次関数の形(y = ax + b)にはならないので、関数とは呼ばない
グラフを読み取る
① 切片(y 軸との交点)を読む → b
② 傾きを読む(右に1動くと上下に何動くか)→ a
③ y = ax + b の形に書く
例:切片 2、右1で上3進む → y = 3x + 2
- 傾き 2/3 → 「右に 3、上に 2」で次の点に
- 傾きの 分母 = x の増加、分子 = y の増加
- 整数のときも同様:傾き 5 = 5/1 = 右1・上5
- 傾きが負 → 右に動いたら 下に動く
- × y = −2x のとき右1・上2(誤)
- ○ y = −2x のとき右1・下2(正)
- 傾きの符号と進む方向を一致させる
- 直線は2点だけで止めない、端まで延ばす
- 矢印(→)は中学では普通つけない(一次関数は両方向に伸びる)
- 定規で まっすぐ引く
この章でつまずきやすいところ
一次関数y=ax+bのグラフをかいている途中、切片の位置・傾きの向き・分数の進み方で手が止まりやすい場面があります。問題を見ながらどこで迷うかを具体的に整理して、線を引く前に確認できるようにしましょう。
切片bをx軸上に取ってしまう
- つまずく場面:y=2x+4のグラフをかこうとして、まず切片の点を打つ場面。「切片4」と書いてあるのを見て、x軸の4のところに点を打ってしまい、その後の傾きの進め方も狂ってしまう。
- 克服のコツ:位置関係で覚えると迷いません。切片bは「グラフがy軸と交わる点のy座標」、つまり点(0, b)。x=0を式に代入したときのyの値なので、必ずy軸上に取ります。x軸との交点はy=0を代入して別に求めるものだと区別しましょう。
- ミニ例:y=2x+4なら切片4は点(0, 4)。y軸の4のところに打ちます。x軸との交点(−2, 0)とは別の点です。
分数の傾きで分母と分子を逆に進めてしまう
- つまずく場面:y=(2/3)x−1のグラフで、切片(0, −1)から次の点へ進む場面。「傾き2/3」を見て「右に2、上に3」と進んでしまい、教科書の図と点の位置がずれる。
- 克服のコツ:見分け方は、傾きa=yの増加量/xの増加量という定義の順序に戻ること。分母がxの増加、分子がyの増加です。だから2/3なら「右に3(分母)、上に2(分子)」。整数の傾き5も5/1と見れば「右1・上5」と同じルールで処理できます。
- ミニ例:y=(1/2)x+1なら傾き1/2は右に2、上に1。切片(0, 1)から進んで点(2, 2)、さらに(4, 3)が取れます。
負の傾きで右に進んだら上に動かしてしまう
- つまずく場面:y=−2x+5のグラフを切片(0, 5)からかき進める場面。「傾き−2」を見て、符号を忘れて「右1・上2」と進んでしまい、本当は右下がりになるはずの直線が右上がりになってしまう。
- 克服のコツ:因果関係で押さえます。傾きの符号が直線の上がり下がりを決め、負ならx軸方向に進んだときyは減るのが原因。だから右に動いたら必ず下に動かす。「右下がり=負」「右上がり=正」と直線の見た目と符号を毎回照合します。
- ミニ例:y=−x+3なら切片(0, 3)から右1・下1で(1, 2)。y=−2x+5なら(0, 5)から右1・下2で(1, 3)。どちらも右下がりです。
点を1つだけ取って直線を決めようとしてしまう
- つまずく場面:切片(0, 3)に点を打ったところで「もうかける気がする」と感じ、定規をその1点に当てて適当な角度で線を引いてしまう場面。傾きの情報を線に反映できず、答えと食い違う。
- 克服のコツ:因果関係として、直線を1本に決めるには2つの情報が必要です。だから「切片+傾き」または「2点」のどちらかをそろえてから線を引くのが鉄則。切片を打ったら、次に必ず傾きの分だけ進めてもう1点を取り、2点を結んでから座標平面の端まで伸ばすと決めましょう。
- ミニ例:y=3x−2なら切片(0, −2)を打ったあと、傾き3で右1・上3進んで(1, 1)。この2点を結んではじめて直線が決まります。
練習問題
次の直線の切片と、切片からの右1で次の点を求めよ。
- y = 2x + 3
- y = −3x + 6
- y = (1/3)x + 2
- y = −(1/2)x − 1
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(1) 切片 (0, 3)、(1, 5)
(2) 切片 (0, 6)、(1, 3)
(3) 切片 (0, 2)、(3, 3)(分数の傾きなので右3)
(4) 切片 (0, −1)、(2, −2)(傾き −1/2、右2・下1)
次の直線の x 軸との交点を求めよ。
- y = 2x − 6
- y = −x + 4
- y = 3x + 9
答えを見る
(1) (3, 0) (2) (4, 0) (3) (−3, 0)
y = (1/2)x − 1 のグラフを描くとき、整数の座標を持つ点を3つ挙げよ。
答えを見る
(0, −1)、(2, 0)、(4, 1)、(−2, −2)など。x が 2 の倍数のとき y が整数になる。
あるグラフが (0, 3) と (2, 7) を通る直線である。この一次関数の式は?
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切片 b = 3、傾き a = (7−3)/(2−0) = 4/2 = 2
式:y = 2x + 3
まとめ
- 一次関数のグラフは 直線。2点を結べばかける。
- かき方:切片 b から始め、傾き a の分だけ右1・上下a 動かす。
- 傾き a = 右1・上 a(負なら下)。
- 分数の傾き:分母が x の増加、分子が y の増加。
- x 軸切片は y = 0 のときの x。
- 負の傾き → 右下がりの直線。
もっと知る ── 発展・実生活(出典つき)
※ 教科書の内容に、信頼できる出典をもとにした発展・実生活・時事の話題を補足しています(教科書そのものではありません)。
電気料金は「切片+傾き」のかたち実生活
毎月の電気料金は、契約で決まる固定の基本料金に、使った電力量(kWh)に応じた電力量料金を足して計算します。これは「基本料金が切片b、1kWhあたりの単価が傾きa」と見ると、使用量xに対して料金がy=ax+bという一次関数で表せる例です。
タクシー運賃も直線のグラフ実生活
タクシーの距離制運賃は、最初に決まった距離まで一定の「初乗り運賃」と、その後の距離に応じて一定額ずつ増える「加算運賃」でできています。乗った距離を横軸、料金を縦軸にすると、初乗りがグラフの出発点(切片)、一定距離ごとの加算が傾きに対応した直線になります。
摂氏と華氏の換算は一次関数実生活
アメリカなどで使う温度の単位「華氏(°F)」は、日本で使う「摂氏(°C)」とF=(9/5)C+32という式で結ばれています。これは傾きが9/5、切片が32の一次関数で、摂氏が1度上がるごとに華氏は1.8度上がるという比例的な変化を表しています。
データにいちばん合う直線を引く「回帰直線」発展
身長と体重のように2つの量の関係を調べるとき、散らばった点のなるべく近くを通る直線y=a+bxを引いて傾向をつかむ方法があり、この直線を回帰直線といいます。点と直線のずれの2乗の合計が最小になるようにaとbを決める考え方が最小二乗法で、高校・大学の統計で学ぶ一次関数の発展です。
座標を考えたデカルト発展
式とグラフを結びつける「座標」の考え方は、フランスの哲学者・数学者ルネ・デカルトが1637年に『方法序説』の付録として発表した『幾何学』(La Géométrie)で示し、図形を数式で扱う解析幾何学のもとになりました。そのため平面の直交座標は「デカルト座標」とも呼ばれます。
傾きが0や負だと直線はどうなる発展
y=ax+bで傾きaが正なら右上がり、負なら右下がりの直線になり、a=0だとy=bという横軸に平行な水平線になります。電気料金やタクシー運賃のように現実の量を表すときは、単価や加算が増えるほど傾きが急になり、グラフの上がり方が速くなります。
