図でつかむ
この図は、式や定理を読む前に全体像をつかむための補助図です。問題を解くときも、まず同じような簡単な図を自分で描いてから条件を書き込むと、見落としが減ります。
式を求めるための情報
- y = ax + b は 2つの未知数(a と b)を持つ
- → 式を決めるためには 2つの情報が必要
- パターン1:傾き a + 1点
- パターン2:2点(2点から a を出して、1点で b を出す)
- パターン3:グラフから読み取る
- パターン4:表から読み取る
パターン1:傾き a と 1点が分かる
y = 3x + b に (2, 5) を代入
5 = 3·2 + b
5 = 6 + b → b = −1
→ y = 3x − 1
y = −2x + b に (1, 3) を代入
3 = −2 + b → b = 5
→ y = −2x + 5
y = (1/2)x + b に (4, 3) を代入
3 = 2 + b → b = 1
→ y = (1/2)x + 1
パターン2:2点が分かる
① 傾き:a = (7−3)/(3−1) = 4/2 = 2
② y = 2x + b に (1, 3) を代入:3 = 2 + b → b = 1
→ y = 2x + 1
確認:x = 3 のとき y = 7 ✓
傾き:a = (−4−2)/(2−(−1)) = −6/3 = −2
y = −2x + b に (−1, 2) 代入:2 = 2 + b → b = 0
→ y = −2x
(0, 5) を通る → 切片 b = 5(x = 0 のとき y = b)
傾き:(11 − 5)/(3 − 0) = 6/3 = 2
→ y = 2x + 5
パターン3:グラフから読み取る
① y 軸との交点から切片 b を読む
② 通る 別の点から傾き a を計算
・「右に1動くと上下にいくつ動くか」を見る
③ y = ax + b の形に書く
切片 b = −2(y 軸との交点)
傾き a = (4 − (−2))/(3 − 0) = 6/3 = 2
→ y = 2x − 2
連立方程式で求める方法
y = ax + b に (2, 7) → 7 = 2a + b …①
y = ax + b に (4, 11) → 11 = 4a + b …②
② − ①:4 = 2a → a = 2
a = 2 を①に代入:7 = 4 + b → b = 3
→ y = 2x + 3
どちらの方法でもOK。2点問題で頻出。
パターン4:表から読み取る
| x | 1 | 2 | 3 | 4 |
|---|---|---|---|---|
| y | 5 | 7 | 9 | 11 |
x が1増えると y が2増える → 傾き a = 2
(1, 5) を代入:5 = 2 + b → b = 3
→ y = 2x + 3
1点が x 軸・y 軸切片の場合
x 軸切片 (−2, 0) → y = 0 のときの x
y 軸切片 (0, b) → x = 0 のときの y = 切片 b
例:y 軸切片 (0, 3) と 別点 (2, 7) を通る
→ 切片 b = 3、傾き = (7 − 3)/2 = 2
→ y = 2x + 3
- 2点 (x₁, y₁), (x₂, y₂) の傾き = (y₂ − y₁) / (x₂ − x₁)
- 「y の差」を「x の差」で割る
- マイナスのときも符号付きで計算
- × (x₂ − x₁) / (y₂ − y₁) (分母分子を逆にしない)
- 順序:必ず後の点 − 前の点
- 切片は 数値 b(y軸上の点のy座標)
- (0, b) は座標で、b はその y 座標
- 「切片 5」と「(0, 5) を通る」は同じこと
- 傾きが分数(1/2 など)でもOK
- 2点 (0, 1) と (2, 2) → 傾き = 1/2
- 分数になることを避けず、ありのまま書く
この章でつまずきやすいところ
一次関数の式を求める単元では、a と b の2つを順番に決めていくのに、途中でどちらを先に求めるか、どこに何を代入するかが分からなくなりがちです。読みながら起きる典型的な迷いを場面ごとに整理します。
2点から傾きを求めるとき分母分子を逆にしてしまう
- つまずく場面:「2点 (1, 3) と (3, 7) を通る」と読んで a を出そうとした瞬間、「xの差ぶんのyの差」だったか「yの差ぶんのxの差」だったか分からなくなり、手が止まってしまう場面。
- 克服のコツ:見分け方は単位のイメージで決めます。傾きは「xが1増えるとyがいくつ変わるか」を表すので、変化のもとになる x が分母、結果として変わる y が分子です。式は必ず a = (yの差) ÷ (xの差) の順で覚え、後の点から前の点を引く順番もそろえます。
- ミニ例:(1, 3) と (3, 7) なら a = (7−3)/(3−1) = 4/2 = 2。逆にして 2/4 にしないよう、yを上・xを下と決めてから書く。
切片 b をいつも 0 にしてしまう
- つまずく場面:「傾き 3、(2, 5) を通る」を読んで y = 3x と書いてしまい、b を書き忘れたまま先に進む場面。比例 y = ax の形が頭に残っていて、一次関数でも切片がないと思い込んでしまう迷い。
- 克服のコツ:因果関係で整理します。一次関数は y = ax + b で a と b の2つの未知数を持つ式です。そのため情報も2つ必要で、傾きが分かっただけでは式は決まりません。必ず点の座標を代入して b を計算する一手間を入れる、と手順に組み込んでおきます。
- ミニ例:傾き 3、(2, 5) なら 5 = 3·2 + b より b = −1。答えは y = 3x ではなく y = 3x − 1。
代入のとき x と y を逆に入れてしまう
- つまずく場面:(2, 5) を y = 3x + b に代入する場面で、「2 = 3·5 + b」と書いてしまい、b の値が大きくずれて違和感を覚えるのに原因が分からない迷い。
- 克服のコツ:位置関係で覚えます。座標 (x, y) は「前が x、後が y」で、式 y = ax + b も左辺が y、右辺の x の場所が xです。代入するときは座標の左の数を式の x に、右の数を左辺の y に入れる、と毎回声に出して確認します。
- ミニ例:(2, 5) を y = 3x + b へ → 5 = 3·2 + b。「左の2はxの方」「右の5はyの方」と置き場所を確認してから等号を書く。
(0, b) と切片 b を別物だと思い込む
- つまずく場面:本文で「切片 b」「点 (0, 5)」「y軸との交点」と似た表現が次々と出てきて、「切片はただの数なのに座標で書かれていて混乱する」と感じる場面。グラフ問題で b をどこから読むか迷ってしまう。
- 克服のコツ:位置関係で結びつけます。切片 b は y 軸との交点の y 座標そのもので、その点の x は必ず 0 です。つまり 「切片 5」と「(0, 5) を通る」は同じこと。グラフでは y 軸と交わる点の高さを読めばそれがそのまま b になります。
- ミニ例:グラフが (0, −2) と (3, 4) を通るとき、y 軸との交点が (0, −2) なので b = −2。傾き a = 6/3 = 2 とあわせて y = 2x − 2。
練習問題
次の条件を満たす一次関数の式を求めよ。
- 傾き 2、点 (3, 8) を通る
- 傾き −1、点 (2, 1) を通る
- 傾き 1/3、点 (6, 5) を通る
答えを見る
(1) 8 = 2·3 + b → b = 2 → y = 2x + 2
(2) 1 = −2 + b → b = 3 → y = −x + 3
(3) 5 = 2 + b → b = 3 → y = (1/3)x + 3
- (0, 5) と (3, 11) を通る
- (1, 2) と (4, 11) を通る
- (−2, 1) と (3, 11) を通る
答えを見る
(1) 切片 5、傾き 2 → y = 2x + 5
(2) 傾き = 9/3 = 3、b = 2 − 3 = −1 → y = 3x − 1
(3) 傾き = 10/5 = 2、b = 1 + 4 = 5 → y = 2x + 5
(1, 4) と (5, 16) を通る一次関数を、連立方程式で求めよ。
答えを見る
4 = a + b、16 = 5a + b
引く:12 = 4a → a = 3、b = 1
→ y = 3x + 1
次の表に表される一次関数の式を求めよ。
x: 0, 1, 2, 3
y: 4, 1, −2, −5
答えを見る
x が1増えると y が3減る → a = −3
切片:x = 0 のとき y = 4 → b = 4
→ y = −3x + 4
まとめ
- 傾き a と1点 → b を 代入で求める。
- 2点 → 傾き a を計算 → b を代入で求める。
- 2点なら 連立方程式で a, b を同時に求めることもできる。
- グラフから:y軸切片から b、別点から a。
- 表から:x が1増えるごとの y の変化が a、x = 0 のときの y が b。
- 傾きの公式:(y の差) / (x の差)、必ず順番を揃える。
もっと知る ── 発展・実生活(出典つき)
※ 教科書の内容に、信頼できる出典をもとにした発展・実生活・時事の話題を補足しています(教科書そのものではありません)。
タクシー料金はまさに y = ax + b実生活
タクシーの距離制運賃は、最初の一定距離までの「初乗り運賃」と、そのあと一定距離ごとに増える「加算運賃」でできています。初乗り運賃が切片 b、距離あたりの加算分が傾き a にあたり、走った距離 x に対する料金 y がほぼ一次関数で決まります。だから初乗り運賃と加算のしかた(1点と傾き)がわかれば、式を求めるのと同じ要領で料金を予想できます。
摂氏と華氏の変換も一次関数実生活
アメリカなどで使う華氏(°F)と日本の摂氏(°C)は、F = 1.8 × C + 32 という式で変換できます。これは傾き 1.8、切片 32 の一次関数で、摂氏0度が華氏32度(1点)にあたることから式が決まる形になっています。一次関数の式を求める考え方が、単位の変換にもそのまま使われているのです。
山の上が寒いのも一次関数で説明できる発展
空気中では、標高が高くなるほど気温が一定の割合で下がり、平均すると100mにつきおよそ0.5〜0.65度低くなります。地表の気温を切片 b、1mあたりの下がり方を傾き a(マイナス)とみると、気温 y は標高 x の一次関数で表せます。富士山の山頂が夏でも寒い理由を、傾きが負の直線として理解できます。
データから未来を予想する「回帰直線」発展
統計では、たくさんのデータを散布図にして、その傾向を1本の直線 y = ax + b で表すことがあり、これを回帰直線といいます。たとえばマンションの床面積 x と価格 y の関係を直線の式にすると、まだ調べていない広さの価格をおおよそ予測できます。2点から式を求める学習が、世の中のデータ分析や予測につながっています。
