図でつかむ
この図は、式や定理を読む前に全体像をつかむための補助図です。問題を解くときも、まず同じような簡単な図を自分で描いてから条件を書き込むと、見落としが減ります。
合同の意味
記号 ≡(読み:「合同」)。
例:△ABC ≡ △DEF
合同:形も大きさも完全に同じ(コピー)
相似:形は同じだが大きさが違う(拡大/縮小、中3で学ぶ)
合同 → 「対応する辺の長さも角の大きさもすべて等しい」
三角形の合同条件 ── 3つだけ確認すればOK
① 3組の辺がそれぞれ等しい(3辺)
② 2組の辺とその間の角がそれぞれ等しい(2辺挟角)
③ 1組の辺とその両端の角がそれぞれ等しい(1辺両端角)
この3条件のいずれか1つを示せばよい。
① 3辺がそれぞれ等しい(SSS)
2三角形で、3組の辺の長さがそれぞれ等しい
例:△ABC で AB=5, BC=7, CA=6
△DEF で DE=5, EF=7, FD=6
→ 3辺すべて等しい → △ABC ≡ △DEF
直感:3辺の長さが決まれば、三角形の形は一意に決まる
② 2辺とその間の角(SAS、2辺挟角)
2組の辺と、その 間の角(はさむ角)が等しい
例:AB=5, BC=7, ∠B=60°
DE=5, EF=7, ∠E=60°
→ 「2辺挟角」が等しい → 合同
注意:はさむ角でないとダメ(2辺の外の角ではNG)
③ 1辺とその両端の角(ASA、1辺両端角)
1組の辺と、その辺の 両端の角が等しい
例:AB=5, ∠A=60°, ∠B=70°
DE=5, ∠D=60°, ∠E=70°
→ 「1辺両端角」が等しい → 合同
残りの角は 180−60−70 = 50° で自動的に決まる
合同条件と「使えない条件」
3組の角が等しい(AAA)→ 形は同じ(相似)だが大きさが違う可能性あり → 合同とは限らない
2辺と1辺の外の角(SSA)→ 2つの三角形が描けるパターンがあり、合同とは限らない
→ 中2では SSS、SAS、ASA の3つを使う
合同の証明の書き方
△ABC と △DEF において、
① (等しい辺や角の根拠1) → AB = DE (等しい)
② (等しい辺や角の根拠2) → BC = EF (等しい)
③ (等しい辺や角の根拠3) → ∠B = ∠E (等しい)
①、②、③より、2組の辺とその間の角がそれぞれ等しい
よって △ABC ≡ △DEF (証明終)
対応する辺・角は等しい
△ABC ≡ △DEF が分かれば、対応する すべての辺・角が等しいと言える
→ AB = DE、BC = EF、CA = FD(辺)
→ ∠A = ∠D、∠B = ∠E、∠C = ∠F(角)
合同を証明 → 必要な辺・角の関係をすべて引き出せる
頂点の対応の書き方
合同を書くときは 対応する頂点の順に並べる
○ △ABC ≡ △DEF(A↔D, B↔E, C↔F)
× △ABC ≡ △EFD(順序が違うので対応不明)
対応関係を明確にするため、頂点の順序は重要
実例 ── 仮定から合同を示す
AB = AC の二等辺三角形 ABC で、A から BC に垂線を下ろし足を H とする
△ABH と △ACH を比較
① AB = AC(仮定)
② AH 共通
③ ∠AHB = ∠AHC = 90°(垂線)
→ 直角三角形の合同条件「斜辺と他の1辺」(このあと詳しく扱う)
または、別の方法で証明
- 挟む角:2辺の 共通の頂点の角
- 両端の角:1辺の 両端の角
- 図に書き込んで確認
- 2辺+外の角は合同を保証しない(SSAは使えない)
- 3組の角が等しい → 相似(形が同じ)であって 合同ではない
- 大きさが違う可能性がある
- 合同には 必ず辺の情報が1つ以上必要
- △ABC ≡ △DEF の書き方は 対応する頂点の順
- 意味:A → D、B → E、C → F
- AB の対応辺は DE(A→D、B→E の組み合わせ)
- 順序を間違えると証明が無意味になる
この章でつまずきやすいところ
三角形の合同条件は文字だけ見るとどれも似ていて、本文を読みながらでも「どの角が挟まれているのか」「2辺だけで足りるのか」と迷いやすい場面が出てきます。読みつまずきやすい3つのポイントを取り上げます。
「2辺と1角」ならいつでも合同と思い込んでしまう
- つまずく場面:本文の「2組の辺とその間の角」を読みながら、「結局2辺と1つの角ね」とまとめてしまい、AB=DE・BC=EFと∠Aが等しい場合でも合同と言えそうな気がしてくる、という途中の迷い。
- 克服のコツ:位置関係で見分けます。等しい2辺の共通の頂点にある角だけが「間の角」で、そこから外れた角は合同を保証しません。図に2辺をなぞって、その2辺がぶつかる点にある角が選ばれているか必ず確認しましょう。
- ミニ例:AB=5、BC=7、∠B=60°なら、∠Bは辺ABと辺BCの共通の頂点Bにあるので「2辺挟角」。一方∠Aだと辺BCから外れるため、同じ「2辺と1角」でも合同とは言えません。
3つの角が等しければ合同になると勘違いしてしまう
- つまずく場面:練習問題で「3つの角がそれぞれ60°,70°,50°」という条件を見て、6つの要素のうち3つ分かったから合同条件①〜③のどれかに当てはまるはず、と当てはめ先を探してしまう途中の迷い。
- 克服のコツ:因果関係で整理します。角だけが等しいと形はそろいますが大きさは決まりません。合同は「形+大きさ」が一致する関係なので、辺の情報が最低1つ必要です。3角だけの一致は相似(中3で学習)にとどまります。
- ミニ例:角が60°,70°,50°の三角形は、辺の長さを2倍にしても3倍にしても角はそのまま。教科書では「3角が等しいだけでは合同とは限らない」と整理します。
△ABC≡△DEFの頂点の順番を入れ替えても同じだと思ってしまう
- つまずく場面:証明の途中で「△ABC≡△DEF」と書くべきところを、勢いで「△ABC≡△EFD」と書いてしまい、対応する辺をAB=DEとしていいのかAB=EFなのか分からなくなる、という書きながらの迷い。
- 克服のコツ:位置関係で対応を決めます。合同の記号≡の左右は、頂点を書いた順番がそのまま対応の組です。A↔D、B↔E、C↔Fのように左から順にペアを作るルールを守れば、対応する辺・角は自動で決まります。
- ミニ例:△ABC≡△DEFと書けば、辺ABの相手はDE(A→D、B→E)。もし△ABC≡△EFDと書くと、Aの相手がEになり、本来の対応とずれてしまいます。
「両端の角」と「挟む角」を同じ意味だと取り違えてしまう
- つまずく場面:本文で②「2組の辺とその間の角」と③「1組の辺とその両端の角」が続けて出てきて、「両端」も「間」も真ん中あたりという印象でまざってしまい、どちらの図を思い浮かべればよいか分からなくなる場面。
- 克服のコツ:位置関係で区別します。「挟む角」は2本の辺の真ん中にある1つの角、「両端の角」は1本の辺の左右の端にある2つの角です。主役が「辺2本+角1つ」なのか「辺1本+角2つ」なのかで読み分けましょう。
- ミニ例:AB=5、∠A=60°、∠B=70°は辺ABの両端A・Bに角がある形で「1辺両端角」。AB=5、BC=7、∠B=60°は2辺の間に角がある形で「2辺挟角」。役割が逆になっています。
練習問題
次の条件で2三角形が合同になるか、なる場合はどの条件か答えよ。
- 3辺がそれぞれ 3, 4, 5
- 1辺 = 5、両端の角が 40° と 60°
- 2辺がそれぞれ 6, 8、挟む角 50°
- 3つの角がそれぞれ 60°, 70°, 50°
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(1) 合同(3辺)
(2) 合同(1辺両端角)
(3) 合同(2辺挟角)
(4) 合同とは限らない(3角だけでは大きさが決まらない)
△ABC ≡ △DEF のとき、対応する辺と角をすべて答えよ。
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辺:AB = DE、BC = EF、CA = FD
角:∠A = ∠D、∠B = ∠E、∠C = ∠F
線分 AB と CD が点 O で交わり、AO = OB、CO = OD のとき、△AOC ≡ △BOD を示せ。
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△AOC と △BOD において、
① AO = OB(仮定)
② CO = OD(仮定)
③ ∠AOC = ∠BOD(対頂角)
①、②、③より、2組の辺とその間の角がそれぞれ等しい
よって △AOC ≡ △BOD
2つの三角形が「2辺と1角が等しい」だけで合同と言えるか。
答えを見る
その角が 挟む角(2辺の間の角)なら合同(SAS)。
2辺の 外の角だと合同とは限らない(SSA、2つの形が可能)。
まとめ
- 合同:2図形が ぴったり重なる。記号 ≡。
- 三角形の合同条件3つ:
- ① 3辺がそれぞれ等しい
- ② 2辺と挟む角がそれぞれ等しい
- ③ 1辺と両端の角がそれぞれ等しい
- 3角だけでは合同にならない。
- 頂点の順序:対応する順に △ABC ≡ △DEF。
- 合同が示せれば、対応する全ての辺・角が等しい。
もっと知る ── 発展・実生活(出典つき)
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出典:国土地理院「三角点とは」
