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三角形の合同条件 ── 3つの条件

2つの三角形が ぴったり重なることを「合同」と言います。3つの辺と3つの角、合計6つの要素のうち、3つだけ等しいと分かれば合同が証明できます。中2数学の幾何証明の出発点。

図でつかむ

ABC DEF 対応する辺・角が同じなら重なる
図1:合同条件は「辺と角の対応」を図で確認する

この図は、式や定理を読む前に全体像をつかむための補助図です。問題を解くときも、まず同じような簡単な図を自分で描いてから条件を書き込むと、見落としが減ります。

合同の意味

用語
合同
2つの図形が、ずらしたり回転させたり裏返したりすると ぴったり重なる関係。
記号 ≡(読み:「合同」)。
例:△ABC ≡ △DEF
合同 vs 相似

合同:形も大きさも完全に同じ(コピー)

相似:形は同じだが大きさが違う(拡大/縮小、中3で学ぶ)

合同 → 「対応する辺の長さも角の大きさもすべて等しい」

三角形の合同条件 ── 3つだけ確認すればOK

公式
三角形の合同条件

① 3組の辺がそれぞれ等しい(3辺)

② 2組の辺とその間の角がそれぞれ等しい(2辺挟角)

③ 1組の辺とその両端の角がそれぞれ等しい(1辺両端角)

この3条件のいずれか1つを示せばよい。

① 3辺がそれぞれ等しい(SSS)

条件

2三角形で、3組の辺の長さがそれぞれ等しい

例:△ABC で AB=5, BC=7, CA=6

  △DEF で DE=5, EF=7, FD=6

→ 3辺すべて等しい → △ABC ≡ △DEF

直感:3辺の長さが決まれば、三角形の形は一意に決まる

② 2辺とその間の角(SAS、2辺挟角)

条件

2組の辺と、その 間の角(はさむ角)が等しい

例:AB=5, BC=7, ∠B=60°

  DE=5, EF=7, ∠E=60°

→ 「2辺挟角」が等しい → 合同

注意:はさむ角でないとダメ(2辺の外の角ではNG)

③ 1辺とその両端の角(ASA、1辺両端角)

条件

1組の辺と、その辺の 両端の角が等しい

例:AB=5, ∠A=60°, ∠B=70°

  DE=5, ∠D=60°, ∠E=70°

→ 「1辺両端角」が等しい → 合同

残りの角は 180−60−70 = 50° で自動的に決まる

合同条件と「使えない条件」

使えない例(AAA、SSA など)

3組の角が等しい(AAA)→ 形は同じ(相似)だが大きさが違う可能性あり → 合同とは限らない

2辺と1辺の外の角(SSA)→ 2つの三角形が描けるパターンがあり、合同とは限らない

→ 中2では SSS、SAS、ASA の3つを使う

合同の証明の書き方

標準フォーマット

△ABC と △DEF において、

① (等しい辺や角の根拠1) → AB = DE (等しい)

② (等しい辺や角の根拠2) → BC = EF (等しい)

③ (等しい辺や角の根拠3) → ∠B = ∠E (等しい)

①、②、③より、2組の辺とその間の角がそれぞれ等しい

よって △ABC ≡ △DEF (証明終)

対応する辺・角は等しい

合同の利用

△ABC ≡ △DEF が分かれば、対応する すべての辺・角が等しいと言える

→ AB = DE、BC = EF、CA = FD(辺)

→ ∠A = ∠D、∠B = ∠E、∠C = ∠F(角)

合同を証明 → 必要な辺・角の関係をすべて引き出せる

頂点の対応の書き方

対応の順序

合同を書くときは 対応する頂点の順に並べる

○ △ABC ≡ △DEF(A↔D, B↔E, C↔F)

× △ABC ≡ △EFD(順序が違うので対応不明)

対応関係を明確にするため、頂点の順序は重要

実例 ── 仮定から合同を示す

例:二等辺三角形

AB = AC の二等辺三角形 ABC で、A から BC に垂線を下ろし足を H とする

△ABH と △ACH を比較

① AB = AC(仮定)

② AH 共通

③ ∠AHB = ∠AHC = 90°(垂線)

→ 直角三角形の合同条件「斜辺と他の1辺」(このあと詳しく扱う)

または、別の方法で証明

つまずきポイント①:「挟む角」「両端の角」
  • 挟む角:2辺の 共通の頂点の角
  • 両端の角:1辺の 両端の角
  • 図に書き込んで確認
  • 2辺+外の角は合同を保証しない(SSAは使えない)
つまずきポイント②:3角だけでは合同にならない
  • 3組の角が等しい → 相似(形が同じ)であって 合同ではない
  • 大きさが違う可能性がある
  • 合同には 必ず辺の情報が1つ以上必要
つまずきポイント③:対応する順序
  • △ABC ≡ △DEF の書き方は 対応する頂点の順
  • 意味:A → D、B → E、C → F
  • AB の対応辺は DE(A→D、B→E の組み合わせ)
  • 順序を間違えると証明が無意味になる

この章でつまずきやすいところ

三角形の合同条件は文字だけ見るとどれも似ていて、本文を読みながらでも「どの角が挟まれているのか」「2辺だけで足りるのか」と迷いやすい場面が出てきます。読みつまずきやすい3つのポイントを取り上げます。

「2辺と1角」ならいつでも合同と思い込んでしまう

  • つまずく場面:本文の「2組の辺とその間の角」を読みながら、「結局2辺と1つの角ね」とまとめてしまい、AB=DE・BC=EFと∠Aが等しい場合でも合同と言えそうな気がしてくる、という途中の迷い。
  • 克服のコツ:位置関係で見分けます。等しい2辺の共通の頂点にある角だけが「間の角」で、そこから外れた角は合同を保証しません。図に2辺をなぞって、その2辺がぶつかる点にある角が選ばれているか必ず確認しましょう。
  • ミニ例:AB=5、BC=7、∠B=60°なら、∠Bは辺ABと辺BCの共通の頂点Bにあるので「2辺挟角」。一方∠Aだと辺BCから外れるため、同じ「2辺と1角」でも合同とは言えません。

3つの角が等しければ合同になると勘違いしてしまう

  • つまずく場面:練習問題で「3つの角がそれぞれ60°,70°,50°」という条件を見て、6つの要素のうち3つ分かったから合同条件①〜③のどれかに当てはまるはず、と当てはめ先を探してしまう途中の迷い。
  • 克服のコツ:因果関係で整理します。角だけが等しいと形はそろいますが大きさは決まりません。合同は「形+大きさ」が一致する関係なので、辺の情報が最低1つ必要です。3角だけの一致は相似(中3で学習)にとどまります。
  • ミニ例:角が60°,70°,50°の三角形は、辺の長さを2倍にしても3倍にしても角はそのまま。教科書では「3角が等しいだけでは合同とは限らない」と整理します。

△ABC≡△DEFの頂点の順番を入れ替えても同じだと思ってしまう

  • つまずく場面:証明の途中で「△ABC≡△DEF」と書くべきところを、勢いで「△ABC≡△EFD」と書いてしまい、対応する辺をAB=DEとしていいのかAB=EFなのか分からなくなる、という書きながらの迷い。
  • 克服のコツ:位置関係で対応を決めます。合同の記号≡の左右は、頂点を書いた順番がそのまま対応の組です。A↔D、B↔E、C↔Fのように左から順にペアを作るルールを守れば、対応する辺・角は自動で決まります。
  • ミニ例:△ABC≡△DEFと書けば、辺ABの相手はDE(A→D、B→E)。もし△ABC≡△EFDと書くと、Aの相手がEになり、本来の対応とずれてしまいます。

「両端の角」と「挟む角」を同じ意味だと取り違えてしまう

  • つまずく場面:本文で②「2組の辺とその間の角」と③「1組の辺とその両端の角」が続けて出てきて、「両端」も「間」も真ん中あたりという印象でまざってしまい、どちらの図を思い浮かべればよいか分からなくなる場面。
  • 克服のコツ:位置関係で区別します。「挟む角」は2本の辺の真ん中にある1つの角、「両端の角」は1本の辺の左右の端にある2つの角です。主役が「辺2本+角1つ」なのか「辺1本+角2つ」なのかで読み分けましょう。
  • ミニ例:AB=5、∠A=60°、∠B=70°は辺ABの両端A・Bに角がある形で「1辺両端角」。AB=5、BC=7、∠B=60°は2辺の間に角がある形で「2辺挟角」。役割が逆になっています。

練習問題

問題1(合同条件の判別)

次の条件で2三角形が合同になるか、なる場合はどの条件か答えよ。

  1. 3辺がそれぞれ 3, 4, 5
  2. 1辺 = 5、両端の角が 40° と 60°
  3. 2辺がそれぞれ 6, 8、挟む角 50°
  4. 3つの角がそれぞれ 60°, 70°, 50°
答えを見る

(1) 合同(3辺)

(2) 合同(1辺両端角)

(3) 合同(2辺挟角)

(4) 合同とは限らない(3角だけでは大きさが決まらない)

問題2(対応する辺・角)

△ABC ≡ △DEF のとき、対応する辺と角をすべて答えよ。

答えを見る

辺:AB = DE、BC = EF、CA = FD

角:∠A = ∠D、∠B = ∠E、∠C = ∠F

問題3(合同の証明)

線分 AB と CD が点 O で交わり、AO = OB、CO = OD のとき、△AOC ≡ △BOD を示せ。

答えを見る

△AOC と △BOD において、

① AO = OB(仮定)

② CO = OD(仮定)

③ ∠AOC = ∠BOD(対頂角)

①、②、③より、2組の辺とその間の角がそれぞれ等しい

よって △AOC ≡ △BOD

問題4(条件の応用)

2つの三角形が「2辺と1角が等しい」だけで合同と言えるか。

答えを見る

その角が 挟む角(2辺の間の角)なら合同(SAS)。

2辺の 外の角だと合同とは限らない(SSA、2つの形が可能)。

まとめ

  • 合同:2図形が ぴったり重なる。記号 ≡。
  • 三角形の合同条件3つ:
  •  ① 3辺がそれぞれ等しい
  •  ② 2辺と挟む角がそれぞれ等しい
  •  ③ 1辺と両端の角がそれぞれ等しい
  • 3角だけでは合同にならない。
  • 頂点の順序:対応する順に △ABC ≡ △DEF。
  • 合同が示せれば、対応する全ての辺・角が等しい。

もっと知る ── 発展・実生活(出典つき)

※ 教科書の内容に、信頼できる出典をもとにした発展・実生活・時事の話題を補足しています(教科書そのものではありません)。

地図は三角形で測る——三角測量の原理実生活

国土地理院は、地上の2点間の距離(1辺)とその両端の角を測り、三角形の形と大きさを計算で求める「三角測量」で地図の基準点を決めてきました。これは合同条件の「1辺と両端の角(ASA)」で三角形が一つに定まる考え方と同じで、教科書の合同条件が現実の測量を支えています。

出典:国土地理院「三角点の測量方法」

スマホやカーナビの位置も三角形から実生活

GPSや日本の衛星「みちびき」は、複数の人工衛星からの距離をもとに受信機の位置を割り出します。複数の点からの距離で位置を一つに決める仕組みは、3辺が決まれば三角形が一意に定まる合同条件(SSS)の発想とつながっています。

出典:JAXA サテライトナビゲーター「みちびき(準天頂衛星システム)」

なぜ橋やタワーは三角形だらけ?発展

東京タワーや鉄橋に使われる「トラス構造」は、三角形を基本単位として組まれています。四角形は力を受けると平行四辺形のように変形しますが、3辺が決まると形が一つに定まる三角形はつぶれにくく、合同条件の「3辺がそれぞれ等しい」が構造の強さの理由になっています。

出典:秋田大学 構造力学(基礎)講義資料「トラス」

合同な図形で床をしきつめる——平面充填発展

歩道やタイル張りのように、すき間も重なりもなく平面をうめつくすことを「平面充填(敷き詰め)」と言います。同じ大きさ・形=合同な図形を回したり裏返したりして並べる工夫が必要で、合同の「ずらす・回す・裏返すと重なる」という性質が身近な模様づくりに生きています。

出典:数理女子(東京大学関係者運営の数学普及サイト)「敷き詰めの探究」

全国の地図づくりを支えた「三角点」発展

山頂や見晴らしのよい場所には、緯度・経度が正確に求められた「三角点」が置かれています。明治時代に全国の地図作成のため設置され、三角測量で次々と位置を決めていきました。1辺と角から三角形を確定する合同の考え方が、日本中の地図の土台になっています。

出典:国土地理院「三角点とは」