図でつかむ
等積変形では「形が同じ」ではなく「底辺と高さが同じ」を見ます。頂点を平行線上で動かしても、高さが変わらないことを図で確認してから使うと安全です。
三角形の面積の復習
底辺と高さが同じ → 面積も同じ。形が違っていてもよい。
平行線と等しい面積(核心)
底辺は共通の AB(線 ℓ 上)
高さは2本の平行線の間隔(=どこでも一定)
→ 面積 = (1/2) × AB × 高さ = 一定
頂点 P を m 上のどこに動かしても、面積は同じ
→ △PAB の面積は P がどこにあっても等しい(m 上を動く限り)
イメージ ── 三角形がどう変わっても
底辺 AB が x 軸上にあり、頂点 P が y = 5 の直線(ℓ に平行)上にある
P が (0, 5) でも (10, 5) でも (−3, 5) でも、面積は同じ
→ 高さは「y = 5 − 0 = 5」で一定
→ 三角形の形は変わるが、底辺と高さは変わらない
等積変形 ── 中2の重要テクニック
複雑な多角形を三角形に変えて面積を求めるときに使う。
等積変形の使い方
四角形 ABCD の面積を求めたい
① 対角線 AC を引いて △ABC と △ACD に分ける
② △ACD で、頂点 D を移動させて等積変形(D の通る線を AC に平行に引く)
③ 形を整理して大きな三角形にする
→ 1つの三角形として面積計算できる
四角形 ABCD で、頂点 D を通り対角線 AC に平行な直線 ℓ を引く
ℓ が辺 BC の延長と交わる点を E とする
→ △ACD と △ACE は底辺 AC 共通、高さ同じ(ℓ ∥ AC)
→ 面積等しい
→ 四角形 ABCD と △ABE は面積が同じ
→ 三角形1つに変形できた!
等積変形の使い道
- 難しい形を 計算しやすい形に変換
- 図形問題で 等しい面積を示す
- 多角形を三角形に変形して面積を求める
- 2つの図形が等しい面積かどうか調べる
- 「面積を二等分する直線」を見つける
典型問題:面積を二等分する直線
三角形 ABC の頂点 A を通り、面積を二等分する直線を引け
[考え方] BC の中点 M を取ると、AM が △ABC の面積を二等分する
なぜなら:△ABM と △ACM は底辺 BM = MC(中点)、高さ共通 → 面積等しい
平行四辺形を二等分する直線
平行四辺形 ABCD の面積を二等分する直線
→ 対角線の交点を通るすべての直線が、平行四辺形の面積を二等分する
理由:平行四辺形の中心点を通る直線で2分される領域は、回転対称により面積等しい
→ 対角線を引けば二等分は確実
応用 ── 平行な底辺・高さの組み合わせ
△ABC で、BC の中点 M を取り、AM を結ぶ
→ △ABM と △ACM は面積等しい(中線で二等分)
底辺 BM = MC(同じ長さ)、高さ A から BC への垂線(共通)
→ 面積等しい
- 三角形の高さ = 底辺に 垂直な距離
- 2本の平行線に挟まれた高さは、どこでも同じ
- 頂点を平行線に沿ってずらしても、高さは変わらない
- → だから面積も変わらない
- 「底辺が同じ」「高さが同じ」かどうかを必ず確認
- 底辺が違えば、面積も違う可能性あり
- 図に印をつけて、何が等しいかを確認
- 等積変形には 平行線の補助線を引くのが定石
- 「ある頂点を通る、ある辺に平行な線」を引く
- 引く線によって変形のしかたが変わる
この章でつまずきやすいところ
平行線と面積の単元は、本文の図と公式が結びつかないまま読み進めて迷子になりがちです。等積変形の補助線や「高さ」のとらえ方など、読みながらつまずく場面をほどいて、安全な見方を整理します。
斜めの辺の長さを高さと思い込んでしまう
- つまずく場面:本文で「三角形の面積 = (1/2) × 底辺 × 高さ」を読んだ直後、図の中で底辺 AB に対する高さを探すとき、ついAから出ている斜めの辺の長さを高さだと読み取ってしまい、面積が一致しないと混乱する場面。
- 克服のコツ:位置関係で見分けます。高さは「底辺に垂直な距離」であって、頂点から底辺へ直角に下ろした線の長さです。斜辺は底辺と直角ではないので高さにはなりません。図では底辺に小さな直角マークを書き込み、垂直線で結べる長さだけを高さとして読み取りましょう。
- ミニ例:底辺 AB に対し頂点 P を平行線 m 上に取ると、高さは ℓ と m の間隔です。AP の長さがいくら長く見えても、高さはこの間隔のままで変わりません。
頂点が動いたら面積も変わると思い込んでしまう
- つまずく場面:本文で「頂点 P を m 上のどこに動かしても △PAB の面積は等しい」と読んだとき、頂点が左右に動けば三角形の形は確かに変わるので、面積も変わるはずだと感じて、結論を受け入れられなくなる場面。
- 克服のコツ:因果関係で押さえます。面積は「底辺 × 高さ」だけで決まるので、底辺 AB が共通で、高さ(=平行線の間隔)が一定であれば、形がどれだけ細長くなっても面積は変わりません。動いているのは「形」で、面積を決める2つの量は動いていない、と分けて考えるのがコツです。
- ミニ例:底辺 AB を x 軸上に置き、頂点 P を直線 y=5 上で (0,5)、(10,5)、(−3,5) と動かしても、高さは常に 5 で同じです。形は変わっても、底辺と高さは変わりません。
等積変形の補助線をどこに引けばよいか迷ってしまう
- つまずく場面:四角形 ABCD を三角形に直す例を読んでいる途中、「頂点 D を通り対角線 AC に平行な直線を引く」と書かれていても、どの頂点を動かしてどの辺に平行な線を引くのかが整理できず、図を見ながら手が止まってしまう場面。
- 克服のコツ:見分け方として、まず「共通の底辺にしたい線(ここでは AC)」を決め、次に「動かしたい頂点(ここでは D)」を決めます。そのうえで、動かしたい頂点を通り、共通の底辺と平行な直線を引きます。平行線上で頂点を動かす限り、共通底辺に対する高さは変わらないので面積も変わりません。
- ミニ例:四角形 ABCD で AC を共通底辺と決め、D を通り AC に平行な線が BC の延長と交わる点を E とすると、△ACD と △ACE は底辺と高さが等しく面積が同じになります。
「同じ高さ」だけで面積が等しいと早合点してしまう
- つまずく場面:本文の「同じ高さなら面積比は底辺比」を読んだあと、平行線にはさまれた図で高さが等しい2つの三角形を見つけ、底辺の長さを確かめないまま「高さが同じだから面積も同じだ」と結論を急いでしまう場面。
- 克服のコツ:見分け方として、面積が等しいと言うには「底辺が同じ」かつ「高さが同じ」の両方が必要です。高さだけ同じで底辺が違うときは、面積は等しくならず、面積比が底辺比になります。図にはまず共通の底辺に印を付け、底辺が同じかどうかを最初に確認しましょう。
- ミニ例:△ABM と △ACM では、A から BC への垂線が共通の高さで、底辺 BM = MC(中点)なので面積が等しくなります。中点でなければ、面積比は BM : MC の底辺比になります。
練習問題
2直線 ℓ ∥ m。ℓ 上に AB、m 上に P, Q, R がある。△PAB, △QAB, △RAB の面積関係は?
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すべて等しい(底辺 AB 共通、高さも ℓ と m の間隔で同じ)。形は違っても面積は同じ。
三角形 ABC で BC の中点を M とする。△ABM と △ACM の面積は等しいか。
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等しい。BM = MC(中点)、高さ(A から BC への垂線)が共通だから。
四角形 ABCD の頂点 D を通り、対角線 AC に平行な直線が BC の延長と交わる点を E とする。四角形 ABCD と △ABE の面積関係は?
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等しい。△ACD と △ACE は底辺 AC、高さ同じ(DE ∥ AC)で面積等しいから、四角形 ABCD = △ABC + △ACD = △ABC + △ACE = △ABE。
平行四辺形の面積を二等分する直線はどのように引けるか。
答えを見る
対角線の交点(中心)を通る直線なら、どんな方向でも面積を二等分する。
まとめ
- 平行線間の三角形:底辺共通なら 面積は等しい。
- 三角形の面積 = (1/2) × 底辺 × 高さ。
- 等積変形:平行線で頂点をずらして形を変える。
- 応用:四角形を三角形に変形して面積計算。
- 三角形の中線は面積を二等分。
- 平行四辺形の中心を通る直線は面積を二等分。
もっと知る ── 発展・実生活(出典つき)
※ 教科書の内容に、信頼できる出典をもとにした発展・実生活・時事の話題を補足しています(教科書そのものではありません)。
等積変形は約2300年前のユークリッドが証明していた発展
古代ギリシャの数学書『原論』第1巻の命題37には、同じ底辺の上にあり、かつ同じ平行線の間にある三角形は互いに等しい、と書かれています。みなさんが学ぶ等積変形は、約2300年前にすでに厳密に証明されていた由緒ある性質なのです。
土地の面積を測る「三斜法」実生活
土地の面積を求める伝統的な方法に三斜法があります。多角形の土地を三角形に分割し、それぞれを (1/2)×底辺×高さ で計算して合計する方法で、まさに授業で学ぶ三角形の面積公式の応用です。
3DCGは三角形の集まりでできている実生活
ゲームやアニメの3D映像は、物体の表面を「ポリゴンメッシュ」という多角形の集まりで表現します。中でも三角形は計算がしやすいため基本単位として使われ、複雑な形も無数の三角形に分割して扱います。多角形を三角形に分けるという発想は、授業の四角形を三角形に変える等積変形と同じ考え方です。
中線は面積をぴったり二等分する発展
三角形の頂点と対辺の中点を結んだ線を中線といい、中線は三角形の面積を等しく二等分します。これは底辺が等しく高さが共通だからで、授業の中点を使った面積二等分の性質そのものです。3本の中線は1点(重心)で交わり、その点は中線を2対1の比に分けます。
面積を変えずに土地の境界をまっすぐにする実生活
となり合う土地のギザギザした境界線を、面積を変えずにまっすぐな1本の線に引き直したいことがあります。このとき使われるのが等積変形で、ある点を通り境界線に平行な直線を引いて頂点を移し替えます。授業で習う「平行線で頂点をずらしても面積は変わらない」という性質が役立っています。
