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樹形図と表 ── 場合の数の数え方

複数の操作(コイン2回投げる、サイコロ2個振る)の場合の数を数えるには、樹形図や 表を使うと便利。これで確率が正確に計算できます。中2数学の確率では必須スキル。

図でつかむ

表 裏 表表 表裏 裏表 裏裏 1回目 2回目 結果
樹形図は、分かれ道を順番に伸ばして全ての場合を漏れなく数える図です。

枝の先を数えれば全体の場合の数になります。途中で順番を変えたり、同じ段に違う操作を混ぜたりしないことが、数え漏れを防ぐコツです。

樹形図とは

用語
樹形図
場合分けを 枝分かれで表した図。
すべての場合を 漏れなく重なりなく数えるためのツール。

樹形図の例

例1:コインを2回投げる

1回目:表(H) か 裏(T)の 2通り

2回目:それぞれの場合に、表か裏

 1回目 H → HH、HT

 1回目 T → TH、TT

→ 全 4通り(= 2 × 2)

例2:コインを3回投げる

1回目:H/T(2通り)

2回目:それぞれに H/T → 4通り

3回目:それぞれに H/T → 8通り

全 8通り(= 2³)

HHH、HHT、HTH、HTT、THH、THT、TTH、TTT

表を使う方法 ── 2要素のとき便利

例3:2個のサイコロを振る

縦に1個目(1〜6)、横に2個目(1〜6)の表を作る

→ 6 × 6 = 36通り

36個のマスの中から、目的の場合をマークして数える

和が7になる場合:(1,6), (2,5), (3,4), (4,3), (5,2), (6,1) → 6通り

確率 = 6 / 36 = 1/6

例4:2個のサイコロで和が偶数

和が偶数 = (偶,偶) または (奇,奇)

(偶,偶):3 × 3 = 9通り

(奇,奇):3 × 3 = 9通り

合計 18通り → 確率 18/36 = 1/2

例5:2人でじゃんけんを1回する

縦にAさんの手(グー・チョキ・パー)、横にBさんの手(グー・チョキ・パー)の表を作る

→ 3 × 3 = 9通り

あいこ(2人が同じ手)になる場合:(グー,グー), (チョキ,チョキ), (パー,パー) → 3通り

確率 = 3 / 9 = 1/3

場合の数の「掛け算」

公式
場合の数の積の法則
独立した2つの操作で、それぞれ a 通り、b 通りなら、
合計の場合の数 = a × b 通り。
例:洋服の組み合わせ

シャツ 3種類、ズボン 4種類 → 3 × 4 = 12 通りのコーディネート

シャツ 3、ズボン 4、靴 2 → 3 × 4 × 2 = 24 通り

順列の考え方(並べる)

用語
順列
並べる順番が 区別される場合の数え方。
n 個から k 個を順番に選ぶ:n × (n−1) × ... × (n−k+1) 通り。
例:3人を1列に並べる

1番目:3通り(A, B, C のどれか)

2番目:残り2通り

3番目:残り1通り

→ 3 × 2 × 1 = 6通り

ABC, ACB, BAC, BCA, CAB, CBA

例:5人から3人選んで並べる

1番目:5通り、2番目:4通り、3番目:3通り

→ 5 × 4 × 3 = 60通り

場合の数の応用 ── 確率計算

例:コイン3回投げて表が2回

全場合:2³ = 8通り

表が2回:(表表裏), (表裏表), (裏表表) → 3通り

確率 = 3/8

例:A、B、C、D の4人から2人選んで並べる

場合の数:4 × 3 = 12通り

A が最初にくる場合:A__、残り3人から1人 → 3通り

確率:3/12 = 1/4

カードを引く問題

例:1〜5 のカードから2枚を引いて並べる

場合の数:5 × 4 = 20通り(1枚目 5通り、2枚目 4通り)

2桁の偶数になる場合:1の位が偶数(2か4)

→ 1の位は 2通り、10の位は残り 4通り = 8通り

確率:8/20 = 2/5

「順番なし」の組合せ(参考)

組合せ(高校で学ぶ・参考)

並べる順番を区別しない

例:5人から3人を 選ぶ(順番なし)

→ 5C3 = 10通り(高校で学ぶ・参考)

中2では「並べる」のほうを中心に

つまずきポイント①:「順番あり」「順番なし」
  • 「A→B」と「B→A」を 別物とみなす → 順列(並べる)
  • 「A, B」と「B, A」を 同じとみなす → 組合せ(選ぶ、高校で学ぶ・参考)
  • 問題文をよく読み、どちらかを判定
  • 「並べる」「左から」「順番に」 → 順列
  • 「選ぶ」「組」 → 組合せ
つまずきポイント②:樹形図を全部描く
  • 樹形図は すべての場合を描く
  • 「他は同じ」と省略しない(途中で誤りやすい)
  • 大きな数になる場合は表や掛け算で求める
つまずきポイント③:同じものを区別するか
  • 2枚のコインを区別する場合:HH、HT、TH、TT の4通り
  • 区別しない場合:HH、HT(=TH)、TT の3通り
  • 確率の計算では 区別するのが普通(同様に確からしいため)

この章でつまずきやすいところ

樹形図と表は、場合の数をもれなく重なりなく数えるための道具です。けれど中学生が本文を読んでいる途中や問題を解いている途中には、「順番を区別するの?」「同じものを使えるの?」と手が止まりがち。ここでは数えている途中に起こる迷いに絞って整理します。

「A→B」と「B→A」を同じものと思い込んでしまう

  • つまずく場面:「A, B, C の3人を1列に並べる」という問題を読んでいる途中、樹形図を書き始める前に「ABとBAって同じだよね」と感じて枝を減らしてしまう場面。順番を区別するかどうかを決めないまま、なんとなく数え始めて迷子になる。
  • 克服のコツ:見分け方で整理します。問題文に「並べる」「左から」「順番に」が出てきたら順序を区別するので AB と BA は別物。「選ぶ」「組」と書かれていたら順序を区別しないので AB と BA は同じ。樹形図を書く前に、まずここを確認してから枝を伸ばすと数え漏れが減ります。
  • ミニ例:「A, B, C を1列に並べる」は順序を区別するので 3×2×1=6通り。一方「A, B, C から2人を選んで組にする」は順序を区別しないので AB と BA が同じになり、樹形図の途中で重複を消す必要が出てきます。

樹形図の途中で「あとは同じ」と省略してしまう

  • つまずく場面:コインを3回投げる問題で樹形図を書いている途中、1回目が表(H)の枝を書き終えたところで「裏(T)のときも同じだから省略していいや」と思ってしまう場面。実際に書かないと、全体で何通りあるのか頭の中だけでは追いきれなくなる。
  • 克服のコツ:位置関係で整理します。樹形図はすべての場合を描ききることが原則。1回目の枝を H と T の2本に分け、それぞれの先にまた H と T の2本を伸ばす――この「枝の位置」が全部そろってはじめて全体の場合の数になります。途中で省略したくなったら、枝の本数を掛け算(2×2×2)で確認するのも有効です。
  • ミニ例:コインを3回投げる場合、全部の枝を描くと HHH, HHT, HTH, HTT, THH, THT, TTH, TTT の8通り。途中で省略すると「表が2回」の場合が3通りあること(HHT, HTH, THH)を見落としやすくなります。

「同じものを2回使えるか」を考えずに枝を伸ばしてしまう

  • つまずく場面:「1〜5のカードから2枚を引いて並べる」という問題で樹形図を書いている途中、1枚目に1を選んだ後、2枚目にもう一度1を伸ばしてしまう場面。「カードを戻すのか戻さないのか」を確認せず、サイコロの感覚のまま枝を増やしてしまう。
  • 克服のコツ:因果関係で整理します。「カードを引く」「人を選ぶ」のように同じものを2回使えない場合は、2枚目の枝から1枚目で使ったものを除く。「サイコロを2回振る」「コインを2回投げる」のように毎回独立な場合は、同じ目や同じ面が出てもよいので枝を減らさない。この区別を最初にメモしてから樹形図に入ると安全です。
  • ミニ例:1〜5のカードから2枚引いて並べる場合は 5×4=20通り(1枚目5通り、2枚目は残り4通り)。一方サイコロを2回振る場合は 6×6=36通りで、(1,1) や (3,3) のようなゾロ目も含まれます。

表を書く途中で行と列を取り違えてしまう

  • つまずく場面:「2個のサイコロを振って和が7になる確率」を求めている途中、6×6の表を書き始めたものの、行が1個目なのか2個目なのかが途中で曖昧になり、(1,6) と (6,1) を同じマスに書いてしまう場面。表の意味があいまいなまま数え始めて混乱する。
  • 克服のコツ:位置関係で整理します。表を書くときは縦が1個目、横が2個目のように軸の意味を最初に決めて書き込むのが鉄則。確率の計算では2個のサイコロを区別するのが普通なので、(1,6) と (6,1) は別のマスとして扱います。表の左上に「縦=1個目」「横=2個目」とメモしておくと、途中で迷ってもすぐ戻れます。
  • ミニ例:和が7になるのは (1,6), (2,5), (3,4), (4,3), (5,2), (6,1) の6通り。(1,6) と (6,1) を同じマスにまとめてしまうと3通りに減ってしまい、確率が 6/36=1/6 ではなくなってしまいます。

練習問題

問題1(樹形図)

3人 A, B, C を1列に並べる並べ方は何通り?

答えを見る

3 × 2 × 1 = 6通り

ABC, ACB, BAC, BCA, CAB, CBA

問題2(表)

2個のサイコロの目の和が10以上になる確率を求めよ。

答えを見る

和10:(4,6),(5,5),(6,4) 和11:(5,6),(6,5) 和12:(6,6)

合計 6通り。確率 = 6/36 = 1/6

問題3(コイン)

コインを4回投げる。表がちょうど3回出る確率は?

答えを見る

全場合:2⁴ = 16通り

表が3回(=裏が1回):裏の位置が4通り → HHTH、HHHT、HTHH、THHH

確率 = 4/16 = 1/4

問題4(カード)

1〜5のカードから2枚を引いて並べ、2桁の数を作る。3の倍数になる確率は?

答えを見る

全:5×4 = 20通り

3の倍数:12, 15, 21, 24, 42, 45, 51, 54 など、和が3の倍数になる組

(1,2),(1,5),(2,1),(2,4),(4,2),(4,5),(5,1),(5,4) → 8通り

確率 = 8/20 = 2/5

まとめ

  • 樹形図:枝分かれで 漏れなく数える。
  • 表:2要素の組合せに便利(縦×横)。
  • 独立な操作の場合の数:掛け算(a × b)。
  • 順列:n × (n−1) × … で順番を区別する数え方。
  • 「順番あり」と「順番なし」の区別が大切。
  • 確率 = 場合の数 / 全体の場合の数。

もっと知る ── 発展・実生活(出典つき)

※ 教科書の内容に、信頼できる出典をもとにした発展・実生活・時事の話題を補足しています(教科書そのものではありません)。

天気予報の「降水確率」は場合の数で考える実生活

気象庁の降水確率は、過去に似た気象状況だった多くの事例のうち、1mm以上の雨が降った割合を統計で求めた値です。たとえば「60%」は、同じ予報を100回出すと約60回は雨が降ったという意味で、全体の場合と条件に合う場合を数える確率の考え方そのものです。

出典:気象庁 降水確率予報との比較

パスワードの強さは「場合の数」で決まる実生活

数字4桁の暗証番号は0000から9999までの10×10×10×10=1万通りしかなく、機械で全部試す「総当たり攻撃」で簡単に破られてしまいます。桁を増やしたり数字以外の文字を混ぜたりすると場合の数が一気に増えて安全になるため、総務省は推測しにくい長いパスワードをすすめています。

出典:総務省 国民のためのサイバーセキュリティサイト

宝くじ「ロト6」の当たりにくさを数える実生活

ロト6は1〜43の数字から異なる6個を選ぶくじで、その組み合わせは全部で6,096,454通りあります。だから1等が当たる確率は約610万分の1で、樹形図や組み合わせの数え方を使うと「めったに当たらない」ことが数で実感できます。

出典:みずほ銀行 ロト6

QRコードは「場合の数」で汚れに強い発展

QRコードは日本のデンソーウェーブが開発した二次元コードで、リード・ソロモン符号という方法で誤りを直す仕組みを持っています。たくさんの白黒マスの並び方(場合の数)の中に余分な情報をあらかじめ加えておくため、一部が汚れたり欠けても最大で約30%まで元のデータを復元できます。

出典:デンソーウェーブ QRコードドットコム 誤り訂正機能について

パスカルの三角形に組み合わせが現れる発展

1を頂点に置き、すぐ上の左右2つの数の和を並べていくと「パスカルの三角形」ができます。この各段の数は、n個からいくつか選ぶ組み合わせの数(二項係数)とちょうど一致し、場合の数を表や図で一気に求められる便利な道具になっています。

出典:パスカルの三角形(ウィキペディア)