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確率の計算 ── くじ・カード・サイコロ

確率の基本ルールを応用して、いろいろな問題が解けるようになります。くじ引き・カード・サイコロの組合せ・余事象まで、頻出パターンを押さえましょう。中2数学の確率分野のメインステージ。

くじ引きの確率

例1:当たり3本・はずれ7本

確率 = 当たりの数 / 全体の数

P(当たり) = 3/10

P(はずれ) = 7/10

合計:3/10 + 7/10 = 1(事象すべての和は1)

例2:当たり1等1本、2等2本、3等3本、はずれ4本

全体 10本

1等:1/10、2等:2/10 = 1/5、3等:3/10、はずれ:4/10 = 2/5

合計:1 + 2 + 3 + 4 = 10、確率の合計:1

カードの確率

例3:トランプ52枚からエースを引く

エース:4枚(スペード、ハート、ダイヤ、クラブ)

確率 = 4/52 = 1/13

例4:トランプから絵札(J, Q, K)を引く

絵札:4種類 × 3枚 = 12枚

確率 = 12/52 = 3/13

2回操作の確率

例5:サイコロ2個の和が偶数

全場合:36通り

和が偶数になるのは:(奇,奇) と (偶,偶)

奇の数 3(1,3,5)、偶の数 3(2,4,6)

(奇,奇):3×3 = 9通り、(偶,偶):3×3 = 9通り

合計 18通り → 確率 = 18/36 = 1/2

サイコロ2個の目の和が偶数になる確率 2個目 → 1個目 ↓ 1 2 3 4 5 6 1 2 3 4 5 6 2 3 4 5 6 7 3 4 5 6 7 8 4 5 6 7 8 9 5 6 7 8 9 10 6 7 8 9 10 11 7 8 9 10 11 12 6×6 = 36通り 和が偶数のマス(色つき) (奇,奇)=3×3=9 (偶,偶)=3×3=9 合計 18通り 確率 = 18/36 = 1/2
図:サイコロ2個の全36通り(6×6)を表にし、和が偶数になる18マスを色分け。確率は18/36=1/2です。
例6:サイコロ2個の積が偶数

積が偶数 = 少なくとも1個が偶数

余事象「両方奇」を考える:3×3/36 = 9/36 = 1/4

→ P(積が偶数) = 1 − 1/4 = 3/4

余事象を使う ── 強力なテクニック

用語
余事象
「その事象が起こらない場合」のこと。
P(余事象) = 1 − P(その事象)
「少なくとも〜」「〜以外」のとき威力を発揮。
例7:3個のサイコロで少なくとも1個が1

「少なくとも1個が1」は直接計算が面倒

→ 「すべて1以外」の余事象を使う

P(すべて1以外) = (5/6)³ = 125/216

P(少なくとも1個が1) = 1 − 125/216 = 91/216

玉を取り出す問題

例8:袋に赤4個・白3個。1個取り出して赤

全 7個、赤 4個 → 確率 4/7

例9:赤2個・白3個、2個続けて取り出す(戻さない)

2個とも赤の確率を求める

1回目に赤:2/5

2回目も赤(1回目の赤を取った後の状態):1/4(残り4個の中に赤1個)

→ 確率 = (2/5) × (1/4) = 2/20 = 1/10

例10:袋に赤4・白3・青2、続けて2個

合計9個、戻さない

1回目に赤、2回目に白:(4/9) × (3/8) = 12/72 = 1/6

1回目に白、2回目に赤:(3/9) × (4/8) = 12/72 = 1/6

→ 順番関係なく赤と白:1/6 + 1/6 = 1/3

順列を使う確率

例11:A, B, C, D の4人を1列に並べる

全並べ方:4! = 24通り(4!=4×3×2×1。「階乗」といい高校で学ぶ記法)

A が一番前:1×3×2×1 = 6通り

確率:6/24 = 1/4

例12:5人から3人を並べる

全:5×4×3 = 60通り

A が最初:1×4×3 = 12通り

確率:12/60 = 1/5

「戻す」と「戻さない」

違いに注意

戻す(独立試行):1回目と2回目が独立

 例:袋に赤2白3、1個取って色を見て戻し、再度取る

 2回とも赤:(2/5) × (2/5) = 4/25

戻さない:2回目は1回目の結果に依存(全体数が減る)

 例:袋に赤2白3、1個取って戻さず、再度取る

 2回とも赤:(2/5) × (1/4) = 1/10

同時に取り出す

例13:袋から2個を同時に取り出す

「同時に2個」は「戻さずに2個続けて」と同じ

袋に赤2・白3 → 5個から2個同時に取り出す

場合の数(順序不問):5C2 = 10通り(高校で学ぶ・参考)または順列で計算

2個とも赤:1通り(赤の組合せは1通り)

確率:1/10

つまずきポイント①:戻すか戻さないか
  • 戻す(独立試行):1回目と2回目が独立、確率はそのまま
  • 戻さない:2回目は1回目の結果に依存(全体数が減る)
  • 問題文を 必ず確認「戻して」「戻さずに」
つまずきポイント②:「少なくとも」は余事象
  • 「少なくとも1個 〜」「最低1個 〜」 → 余事象を使う
  • 余事象:「1個も 〜 でない」
  • 余事象の確率の補集合(1 から引く)
  • 計算が大幅に簡単になる
つまずきポイント③:場合の数を漏らさない
  • 樹形図や表で 全部列挙
  • 確率の式:分子・分母とも 同じ数え方で揃える
  • 順序を区別するなら、両方とも区別する

確率で説明する ── 「公平か」を判断する

確率は計算するだけでなく、その結果を使って説明したり判断したりすることも大切です。「どちらが当たりやすいか」「このゲームは公平か」を、確率の値を根拠にして言葉で説明できるようにしましょう。

例14:くじA・くじBのどちらが当たりやすいか説明する

くじA:当たり3本・全体10本 → P(A) = 3/10 = 0.3

くじB:当たり5本・全体16本 → P(B) = 5/16 = 0.3125

0.3 < 0.3125 なので、くじBの方が当たりやすいと説明できる。

(本数だけを見て「当たりが5本もあるBの方が当たりやすい」と言うのは誤り。全体の本数が違うので、必ず確率で比べる)

例15:ゲームが公平かどうかを確率で判断する

2個のサイコロを振り、和が奇数ならAさんの勝ち、和が偶数ならBさんの勝ちとするゲーム。

P(和が奇数) = 18/36 = 1/2、P(和が偶数) = 18/36 = 1/2

2人が勝つ確率がどちらも 1/2 なので、このゲームは公平と判断できる。

もし「3の倍数ならA、それ以外ならB」のようにルールを変えると、2人の勝つ確率が異なるので公平ではないゲームになる。

このように、確率は数字を出すだけでなく、その数字を比べて「どちらが有利か」「ルールは公平か」を根拠つきで説明するための道具として使う。

この章でつまずきやすいところ

確率の問題を読んでいると、「これ戻すんだっけ?」「2個のサイコロで全部で何通り?」と途中で手が止まることがあります。ここでは、解き始めてから迷いやすい4つの場面を取り上げて、見分け方を整理します。

「戻す」か「戻さない」かを読み飛ばしてしまう

  • つまずく場面:「袋に赤2・白3。1個取って、次にまた1個取る」と書かれていて、すぐに分母を5のまま計算し始めてしまう。1回目に取った玉を戻すかどうかが書いてあるはずなのに、そこを確認せずに式を立ててしまう場面。
  • 克服のコツ:条件の見分け方として、問題文の最初に「戻して」「戻さずに」が書いてあるかをチェックします。戻すなら2回目も分母は同じ、戻さないなら2回目の分母は1減ります。「同時に2個」と書かれていたら、戻さない場合と同じ扱いになります。
  • ミニ例:赤2・白3で2回とも赤。戻すなら2/5×2/5=4/25。戻さないなら2/5×1/4=1/10。分母が4に減るかどうかで答えが大きく変わります。

サイコロ2個の全体を「12通り」と思い込んでしまう

  • つまずく場面:「サイコロ2個の目の和が偶数になる確率」を読んで、サイコロ1個が6通りだから2個なら6+6=12通り、と分母を書いてしまう。表で並べる前に、つい足し算で全体数を出してしまう場面。
  • 克服のコツ:位置関係で見分けると分かりやすいです。1個目の目を縦、2個目の目を横にして表を書くと、マスは6×6=36通りになります。「2個を区別して数える」のが基本ルール。分子も同じく、1個目と2個目を区別したまま数えます。
  • ミニ例:和が偶数 → (奇,奇)=3×3=9通り、(偶,偶)=3×3=9通り、合わせて18通り。確率は18/36=1/2。分母を12にすると答えが合わなくなります。

「少なくとも1個」を足し算で押し通そうとしてしまう

  • つまずく場面:「サイコロ3個で少なくとも1個が1の目」と読んで、1個目が1の確率+2個目が1の確率+3個目が1の確率、と素直に足してしまう。重なりに気づかず、1/6+1/6+1/6=1/2と書いてしまう場面。
  • 克服のコツ:因果関係で整理します。「少なくとも1個起こる」の反対は「1個も起こらない」。両者を足すと必ず1になるので、1から余事象を引くと楽です。「少なくとも」「〜以外」「最低1つ」を見たら余事象を疑う合図にします。
  • ミニ例:3個のサイコロで全部1以外=(5/6)³=125/216。よって少なくとも1個が1の確率は1-125/216=91/216。足し算だと重複してしまうので使えません。

分子と分母で数え方を変えてしまう

  • つまずく場面:「赤2・白3から2個同時に取り出して2個とも赤になる確率」を解いている途中、分母は順序を区別して20通りにしたのに、分子は「赤2個の組」=1通りと、順序を無視して数えてしまう。式の形は合っているのに答えが合わない場面。
  • 克服のコツ:見分け方として、分子と分母は必ず同じ数え方で揃えます。順序を区別するなら両方とも区別、組合せで数えるなら両方とも組合せ。樹形図や表で全部書き出すと、ズレを目で確認できます。
  • ミニ例:赤2・白3から2個。順序を区別すると分母5×4=20、赤→赤は2×1=2通りで2/20=1/10。組合せなら分母10、赤の組1通りで1/10。揃えれば答えは一致します。

練習問題

問題1(くじ)

当たり5本・はずれ15本のくじから1本引いて当たる確率は。

答えを見る

5/20 = 1/4

問題2(サイコロ)

2個のサイコロで目の積が偶数になる確率は。

答えを見る

余事象「両方奇」の確率:(3×3)/36 = 9/36 = 1/4

偶数:1 − 1/4 = 3/4

問題3(袋)

袋に赤3個、白2個が入っている。2個続けて取り出す(戻さない)。2個とも赤になる確率は。

答えを見る

1回目赤:3/5、2回目赤:2/4 = 1/2

確率 = (3/5) × (1/2) = 3/10

問題4(カード)

52枚のトランプから1枚引く。スペードまたはハートになる確率は。

答えを見る

スペード 13枚 + ハート 13枚 = 26枚

確率 = 26/52 = 1/2

まとめ

  • 確率 = 求める場合 / 全場合。
  • 2回操作:樹形図・表で数える。
  • 独立な事象:確率の 掛け算。
  • 余事象:「起こらない」 + 「起こる」 = 1。
  • 「少なくとも」は余事象を使うとラク。
  • 玉や球:戻すか戻さないか要確認。
  • 「同時に」≒「戻さずに連続で」。

もっと知る ── 発展・実生活(出典つき)

※ 教科書の内容に、信頼できる出典をもとにした発展・実生活・時事の話題を補足しています(教科書そのものではありません)。

天気予報の「降水確率」も確率の考え方実生活

降水確率60%とは、その予報を100回出したとき、約60回は対象の時間内に1mm以上の雨や雪が降る、という意味です。雨の降る面積や時間の長さではなく、くじやサイコロと同じ「起こりやすさの割合」を表しています。

出典:気象庁「降水確率予報との比較」

ジャンボ宝くじの1等が当たる確率実生活

年末ジャンボ宝くじは1ユニット2000万枚のうち1等が1枚なので、1等の当たる確率は2000万分の1(0.000005%)です。これは、くじ引きで学んだ「当たりの数÷全体の数」をそのまま大きな数にあてはめたものです。

出典:みずほ銀行「宝くじ」公式案内

「少なくとも」で威力を出す ── 誕生日のパラドックス発展

ある集団で誕生日が同じ人がいる確率は、わずか23人で約50.7%と、半数を超えます。「誰かが一致する」を直接数えるのは大変なので、「全員の誕生日が異なる確率」を求めて1から引く、つまり余事象を使うのがコツです。

出典:ウィキペディア「誕生日のパラドックス」

「次こそ当たる」は思いこみ ── ギャンブラーの誤謬発展

コインで表が5回続けて出ても、6回目に表が出る確率はやはり2分の1のままです。前の結果が次の結果に影響しない試行を独立試行といい、「そろそろ裏が出るはず」と考えるのはギャンブラーの誤謬と呼ばれる誤りです。

出典:ウィキペディア「ギャンブラーの誤謬」

降水確率はどう計算しているのか発展

降水確率は、数値予報(コンピュータによる大気のシミュレーション)の結果をもとに、過去の統計を使った計算で求める「ガイダンス」という方法で算出されています。数値予報で直接は計算しない降水確率を、統計的な処理によって割合として求めているのです。これは、起こった場合の数を全体の場合の数で割って確率を出す、教科書の考え方と通じる発想です。

出典:気象庁「天気予報ガイダンス」