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中学生の学習ノート教科書をもう一段くわしく

原子と分子 ── 物質の最小単位

この世のあらゆる物質は 原子でできています。原子がいくつか結びついて 分子を作り、分子の組み合わせで様々な物質ができる。19世紀にドルトンが提唱した「原子説」が、現代化学の基礎です。

図でつかむ

① 原子 ── 物質をつくる最小の粒 H 水素 C 炭素 N 窒素 O 酸素 Na ナトリウム Cl 塩素 ② 分子 ── 原子が結びついた粒 O 水 H₂O 化合物 O O 酸素 O₂ 単体 O O C 二酸化炭素 CO₂ 化合物 N アンモニア NH₃ 化合物 ③ 分子をつくらない物質(結晶) Na Cl Na Cl Na Cl 食塩 NaCl(Na⁺とCl⁻が交互) Cu Cu Cu Cu Cu Cu 金属 銅 Cu(原子が規則正しく)
図:原子(色分けした粒)を組み合わせると分子ができます。酸素O₂は1種類だけの単体、水H₂Oや二酸化炭素CO₂は2種類以上の化合物。食塩NaClや銅Cuは分子をつくらず規則正しく並んだ結晶です。

物質を粒のモデルで見ると、化学変化が原子の組み替えだと分かります。O₂ のように1種類だけなら単体、H₂O や CO₂ のように2種類以上が結びつくと化合物です。NaCl や金属の Cu は分子をつくらない結晶で、組成式で表します。

原子とは

用語
原子
物質を作る 最小の粒子。これ以上分けられない。

原子の3つの性質

  • ① これ以上分けられない
  • ② 化学変化で 新しく生まれたり、なくなったりしない
  • ③ 種類によって 質量と大きさが決まっている

分子とは

用語
分子
いくつかの原子が結びついた粒子。物質の 性質を決める最小単位。

主な原子と元素記号

名前記号名前記号
水素HカリウムK
ヘリウムHeカルシウムCa
炭素C鉄Fe
窒素N銅Cu
酸素O亜鉛Zn
ナトリウムNa銀Ag
マグネシウムMg金Au
アルミニウムAl水銀Hg
硫黄S鉛Pb
塩素Clヨウ素I

元素記号のルール

  • 1文字の記号:大文字のみ(H, C, N, O)
  • 2文字の記号:1文字目大文字、2文字目小文字(Na, Mg, Cu)
  • 多くの記号は 英語名やラテン語名の頭文字から(Hydrogen → H、Iron → Fe(Ferrum)など)

主な分子と化学式

よくある分子

水 H₂O:水素2個+酸素1個

酸素 O₂:酸素2個

水素 H₂:水素2個

窒素 N₂:窒素2個(空気の主成分)

二酸化炭素 CO₂:炭素1個+酸素2個

一酸化炭素 CO:炭素1個+酸素1個(有毒)

アンモニア NH₃:窒素1個+水素3個

メタン CH₄:炭素1個+水素4個(天然ガスの主成分)

単体と化合物

用語
単体・化合物

単体:1種類の元素だけからできている物質

化合物:2種類以上の元素からできている物質

例

単体:O₂, H₂, N₂, Cu, Fe, Au(金属の単体は分子を作らないものもある)

化合物:H₂O, CO₂, NaCl, NH₃, CH₄

純物質と混合物

  • 純物質:1種類の物質だけ(単体・化合物両方を含む)
  • 混合物:2種類以上の物質が混ざったもの
  • 例(純物質):水、酸素、食塩(NaCl)
  • 例(混合物):空気(窒素+酸素+他)、食塩水、海水、石油

分子を作らない物質

特殊な物質

食塩 NaCl:Na⁺ と Cl⁻ が無数に並んだ結晶。「分子」を作らない

金属:原子が規則正しく並んだ結晶。分子を作らない

→ 中学では「組成式」で表す(NaCl, Cu など)

元素周期表(参考)

  • 1869年 メンデレーエフが提唱
  • 元素を原子番号の順(=陽子の数の順)に並べると、性質の似た元素が周期的に現れる
  • 現在は約 118 種類の元素が知られている
  • 中学で覚えるのは主要な 20種類程度
つまずきポイント①:元素記号の大文字小文字
  • 1文字目は 必ず大文字。
  • 2文字目は 必ず小文字。
  • 例:Co(コバルト)と CO(一酸化炭素)は別物!
  • テストで×になりやすいポイント。
つまずきポイント②:単体と元素・化合物と分子
  • 「酸素」は文脈で意味が変わる:
  •  ・酸素という 元素(記号 O、1種類の原子)
  •  ・酸素という 物質(O₂、空気中の気体)
  • 区別して理解する。

この章でつまずきやすいところ

原子と分子の単元は、用語も記号も似たものが多く、本文を読みながら「あれ、どっちだったかな」と止まりやすい。ここでは教科書を読み進める途中で起きやすい迷いを取り上げ、見分け方の手がかりを整理する。

Co と CO を同じものと読み流してしまう

  • つまずく場面:本文で「Co(コバルト)」と「CO(一酸化炭素)」が並んで出てきたとき、どちらも C と O が入っているように見えて、何が違うのか一瞬わからなくなる。元素記号と化学式の区別がぼやけて読み進める手が止まる。
  • 克服のコツ:位置関係(大文字小文字の並び方)で見分ける。1文字目は必ず大文字、2文字目は必ず小文字、というルールに当てはめる。Co は「大文字+小文字」で1つの元素の記号、CO は「大文字+大文字」で2つの原子(炭素と酸素)が結びついた化合物の化学式、と読み替える。読むときは大文字・小文字を声に出して確認すると取り違えにくい。
  • ミニ例:Co を含む化合物(コバルト化合物)は青色の顔料などに使われる金属由来の物質で、CO は一酸化炭素という有毒な気体。両者を取り違えると「金属の話」と「気体の話」が入れ替わり、本文全体の意味が通らなくなる。

「酸素」を元素と物質のどちらの意味か決めずに読んでしまう

  • つまずく場面:本文を読んでいるとき、同じ「酸素」という言葉が、ある段落では記号 O として、別の段落では空気中の気体 O₂ として出てくる。どちらの意味で使われているのか判断がつかず、化合物の説明に入った途端に話がつながらなくなる。
  • 克服のコツ:記号→粒子→物質の階層で読み替える。O は酸素という原子の種類(元素)を表す記号、O₂ は酸素原子が2個結びついた酸素分子で、空気中にある気体としての物質(酸素)を表す。同じ「酸素」という言葉でも、元素の話か、粒子(分子)の話か、物質の話かで段が違うと意識する。
  • ミニ例:「水は水素 H と酸素 O からできている」では元素の意味。「集気びんに酸素 O₂ を集める」では気体(物質)の意味。同じ単語でも、原子の種類の話か気体の話かで読み分ける。

単体と純物質、化合物と混合物を同じ軸で並べてしまう

  • つまずく場面:本文を読んでいると、単体・化合物・純物質・混合物という4つの言葉が立て続けに出てくる。どれが対になっていて、どれが大きな分類なのかが頭の中でごちゃごちゃになり、「食塩水は化合物では?」のように迷ってしまう。
  • 克服のコツ:位置関係(分類の階層)で整理する。まず「1種類の物質か/混ざっているか」で純物質と混合物に分け、純物質の中をさらに「1種類の元素からできているか/2種類以上の元素が結びついているか」で単体と化合物に分ける、という二段構えで読む。比べる軸(元素の種類数か、混ざりものか)が違うと意識すると迷いにくい。
  • ミニ例:食塩 NaCl はナトリウムと塩素の2種類の元素が結びついた化合物で、かつ純物質。食塩水は食塩と水が混ざっているので混合物。同じ「塩」でも、溶かす前と溶かした後で位置づけが変わると押さえる。

食塩や金属も分子でできていると思い込んでしまう

  • つまずく場面:本文で「分子は物質の性質を示す最小の粒子」と読んだ直後に、NaCl や Cu の説明が出てくる。すると食塩や金属にも H₂O のような「分子」があるはず、と思って読み進めてしまい、「組成式」という言葉が出てきたところで話がつながらなくなる。
  • 克服のコツ:見分け方(構造のタイプ)で押さえる。教科書では、原子が小さなまとまりとして結びついた物質を分子をつくる物質、粒子が規則正しく無数に並んだ結晶のような物質を分子をつくらない物質として整理する。食塩や金属は後者にあたり、化学式ではなく組成式で表すと読み替える。
  • ミニ例:水 H₂O や二酸化炭素 CO₂ は分子をつくる物質。一方で食塩 NaCl はナトリウムと塩素の粒子が交互に規則正しく並んだ結晶、銅 Cu は銅原子(金属原子)が規則正しく並んだ結晶で、どちらも分子という形をとらない(タイプの違う結晶)。

練習問題

問題1(元素記号)

次の元素記号を書け。

  1. 水素
  2. 酸素
  3. 銅
  4. マグネシウム
  5. ナトリウム
  6. 窒素
  7. 鉄
  8. 硫黄
答えを見る

(1) H (2) O (3) Cu (4) Mg (5) Na (6) N (7) Fe (8) S

問題2(単体・化合物)

次は単体か化合物か。

  1. 水 H₂O
  2. 酸素 O₂
  3. 食塩 NaCl
  4. 鉄 Fe
  5. 窒素 N₂
  6. アンモニア NH₃
答えを見る

(1) 化合物 (2) 単体 (3) 化合物 (4) 単体 (5) 単体 (6) 化合物

問題3(純物質・混合物)

次は純物質か混合物か。

  1. 食塩水
  2. 水
  3. 空気
  4. 金
  5. 石油
答えを見る

(1) 混合物 (2) 純物質 (3) 混合物 (4) 純物質 (5) 混合物

まとめ

  • 原子:物質の最小単位。元素記号で表す。
  • 分子:原子が結びついたもの。化学式で表す。
  • 元素記号:1文字目大文字、2文字目小文字。
  • 単体:1種類の原子/化合物:2種類以上。
  • 純物質と混合物の区別。
  • 主要な 20種類ほどの元素記号を覚える。

もっと知る ── 発展・実生活(出典つき)

※ 教科書の内容に、信頼できる出典をもとにした発展・実生活・時事の話題を補足しています(教科書そのものではありません)。

ドルトンの原子説を支えた「倍数比例の法則」発展

イギリスのドルトンは1803年ごろ、同じ2種類の元素からできる別々の化合物では、一方の元素の一定量に結びつくもう一方の元素の質量が簡単な整数比になることを見つけました。これを倍数比例の法則といい、物質が分けられない原子という粒からできていると考えると無理なく説明できることが、原子説の有力な根拠になりました。

出典:コトバンク(日本大百科全書・世界大百科事典)「ドルトン」

メンデレーエフはまだ見ぬ元素を予言していた発展

メンデレーエフは1869年、元素を原子量の小さい順に並べると性質が周期的にくり返すことに気づき、周期表をつくりました。彼は表に空欄を残し、まだ発見されていない元素の性質まで予言し、後にガリウムやゲルマニウムが見つかってその予言がほぼ的中したことで周期表の正しさが認められました。

出典:コトバンク(日本大百科全書ほか)「メンデレーエフ」

日本生まれの元素「ニホニウム(Nh)」実生活

周期表の113番元素ニホニウム(記号Nh)は、日本の理化学研究所の研究グループが亜鉛とビスマスの原子核を衝突させてつくり出し、2016年に名前が正式に決まりました。アジアの国で初めて元素の命名権を得たもので、周期表に日本にちなんだ名前の元素が加わりました。

出典:理化学研究所「113番元素の名称・記号が正式決定」

なぜ一酸化炭素(CO)はこわいのか実生活

一酸化炭素COは炭素1個と酸素1個からできた気体で、色もにおいもないため気づきにくく、吸い込むと血液が酸素を運べなくなって命にかかわります。ストーブや発電機を閉め切った部屋で使うと不完全燃焼で発生しやすいため、換気が大切だと厚生労働省も注意をよびかけています。

出典:厚生労働省「一酸化炭素による中毒等」

空気は混合物 ── 主役は窒素実生活

わたしたちが吸っている空気は1種類の物質ではなく、体積でおよそ窒素78%、酸素21%、アルゴン約0.9%、二酸化炭素約0.04%が混ざった混合物です。教科書で窒素N₂が空気の主成分と習うのはこのためで、酸素より窒素のほうがずっと多く含まれています。

出典:コトバンク(百科事典マイペディアほか)「空気」

気象庁が見守る二酸化炭素(CO₂)の増加発展

二酸化炭素CO₂は炭素1個と酸素2個からできた分子で、地球を暖める温室効果ガスのひとつです。気象庁は大気中のCO₂濃度を観測し続けており、その値が年々増え続けていることがわかっていて、身近な分子の量が地球環境とつながっていることを示しています。

出典:気象庁「大気中二酸化炭素濃度の経年変化」