図でつかむ
天気図の1地点分の記号には、天気(雲量)・風向・風力の3つの情報がつまっています。矢羽根のついた側が「風の吹いてくる方角」で、例の記号なら北西の風・風力3・晴れと読めます。
気象要素 ── 天気を決める4つの量
- 気温:℃(セ氏度)。地上 1.5m の高さで、直射日光を避けて測る
- 湿度:%。空気中の水蒸気の割合
- 気圧:hPa(ヘクトパスカル)。空気の重さによる圧力
- 風向:風が吹いてくる方角(16方位)
- 風速:m/s(メートル毎秒)または風力(0〜12)
- 雲量:空全体を10とした時、雲が占める割合(0〜10)
- 降水量:mm(雨や雪が積もる深さ)
気温の測り方
地上から 1.5m の高さで測る(人の顔の高さ)
直射日光を避ける → 百葉箱(白色・通気性あり)
アスファルトの上は実際より高くなるので避ける
1日の最高気温:午後2時頃/最低気温:夜明け前
日本の四季の気温変化が大きい:冬 -5〜10℃/夏 25〜35℃
気圧 ── 空気の重さによる力
高気圧:周りより気圧が高い → 空気が 下降 → 雲ができにくい → 晴れ
低気圧:周りより気圧が低い → 空気が 上昇 → 雲ができやすい → くもりや雨
高さ100m上がると気圧は約 12 hPa 下がる
山に登るとお菓子の袋がパンパンになる ← まわりの気圧が低くなったから
古い単位:mb(ミリバール)、現在の単位:hPa(ヘクトパスカル)
1 hPa = 1 mb なので数字は同じ
1013 hPa = 1013 mb = 1気圧 = 760 mmHg(水銀柱の高さ)
湿度 ── 空気中の水蒸気
飽和水蒸気量:その温度で空気が含むことのできる水蒸気の最大量。
気温が高いほど、空気はたくさんの水蒸気を含める
気温 10℃ → 飽和水蒸気量 約 9.4 g/m³
気温 20℃ → 飽和水蒸気量 約 17.3 g/m³
気温 30℃ → 飽和水蒸気量 約 30.4 g/m³
→ 夏のほうがジメジメするのは飽和水蒸気量が大きいから
気温 20℃、空気 1m³ に水蒸気が 12g 含まれている
飽和水蒸気量 17.3 g/m³ なので
湿度 = 12 / 17.3 × 100 ≒ 69 %
湿度の測り方 ── 乾湿計
2本の温度計を並べる
→ 乾球:そのまま気温を測る
→ 湿球:水でぬれたガーゼで包む
湿球の方が低い(気化熱で冷える)
2つの差から「湿度表」を見て湿度を読む
空気が乾燥しているほど差が大きい
風 ── 向きと速さ
風力:0〜12の階級(ビューフォート風力階級)。風速 m/s で表すことも。
| 風力 | 風速 m/s | 名称 | 様子 |
|---|---|---|---|
| 0 | 0〜0.3 | 静穏 | 煙がまっすぐ上がる |
| 3 | 3.4〜5.4 | 軟風 | 木の葉が揺れる |
| 6 | 10.8〜13.8 | 雄風 | 傘がさしにくい |
| 9 | 20.8〜24.4 | 大強風 | 屋根瓦が飛ぶ |
| 12 | 32.7〜 | 颶風(ぐふう) | 家屋に甚大な被害 |
天気図の記号
| 天気 | 記号 |
|---|---|
| 快晴 | ○(白丸、雲量 0〜1) |
| 晴れ | ○の中に縦線(雲量 2〜8) |
| くもり | ◎(中黒丸、雲量 9〜10) |
| 雨 | ●(黒丸) |
| 雪 | ※(アスタリスク) |
| 霧 | 三本の横線 |
| 雷 | 稲妻のマーク |
天気の記号に 矢を付ける(矢羽根のついた線)
矢の向き:風が吹いてくる方向
矢羽根の数:風力
例:北西の風、風力3 → 記号から北西の方向に線を引き、矢羽根を3つ付ける
天気図の読み方
気圧が同じ地点を結んだ線(4 hPa ごとが基本)
→ 等圧線の間隔がせまい:気圧の変化が大きい → 風が強い
→ 等圧線の間隔が広い:気圧の変化が小さい → 風がおだやか
H:高気圧の中心 L:低気圧の中心
高気圧 → 時計回りに風が吹き出す
低気圧 → 反時計回りに風が吹き込む
- 「北風」とは 北から吹いてくる風(風が向かう先は南)
- 矢の向きは「吹いてくる方向」を示す
- 矢印を「風が向かう先」と読まないよう注意
- 湿度が同じ 60%でも、気温が違えば実際の水蒸気量は違う
- 気温30℃で湿度60% → 18g/m³
- 気温10℃で湿度60% → 5.6g/m³
- 夏のほうがずっとジメジメ感じる理由
- 「高気圧 = 気圧が高い」ではなく、まわりより高いこと
- 標高が高いと気圧は低くなるが、それは「高気圧」ではない
- 同じ高度で比べて高い・低いを判断する
この章でつまずきやすいところ
気象観測の本文を読むと、矢印の向きや気圧の高低、湿度の意味でつい立ち止まってしまう場面があります。ここでは、本文や問題を読んでいる途中で中学生がよく迷う「具体的な瞬間」を取り上げ、その場で立て直すコツを整理します。
「北風」の矢印を風が向かう先と読んでしまう
- つまずく場面:天気図記号の説明で「矢の向きは風が吹いてくる方向」と書かれているのを読み流し、問題で「北風」と出てきたとき、北に向かって吹く風と思い込んで南北を逆に取ってしまう場面。
- 克服のコツ:位置関係で整理する。風向は必ず「吹いてくる側」を起点に読む。「北風=北から南へ」「南東の風=南東から北西へ」と、出発点→到着点の順に矢印を頭の中で引き直すと取り違えが止まる。矢羽根がついている側が「来た方角」と覚える。
- ミニ例:本文の「北西の風、風力3」を読むときは、北西から中心へ向かう線を引き、矢羽根を3本付ける。風が向かう先は南東側になる。
「高気圧=気圧が高い数値」だと決めつけてしまう
- つまずく場面:本文で「標高が高くなると気圧は低くなる」と読んだ直後に、別のページで「高気圧は晴れ」と出てきて、平地の1013 hPaより山頂の値が低いから山は低気圧、と取り違えてしまう場面。
- 克服のコツ:比べる基準で見分ける。高気圧・低気圧は同じ高度のまわりと比べて高い・低いを判断する用語で、絶対的な数値ではない。標高による気圧低下は別の話。本文を読むときは「まわりより」の一言があるかを必ず確認する。
- ミニ例:山頂で気圧が900 hPaでも、それは標高のせいであって「低気圧の中心」ではない。同じ高さの天気図上で周囲よりへこんでいる場所が低気圧。
湿度の数字だけ見て「ジメジメ度」を比べてしまう
- つまずく場面:本文で「気温30℃で湿度60% → 18g/m³」「気温10℃で湿度60% → 5.6g/m³」と並んでいるのを読み、同じ60%なのに数値が違う理由が一瞬わからなくなり、湿度=水蒸気量と思い込んでいたことに気づく場面。
- 克服のコツ:因果関係で整理する。湿度は「実際の水蒸気量 ÷ 飽和水蒸気量 × 100」で、分母は気温で変わる。気温が高いほど飽和水蒸気量が大きいから、同じ%でも含む水蒸気量は別物。%は割合、g/m³は量、と役割を分けて読む。
- ミニ例:気温20℃の飽和水蒸気量は約17.3 g/m³。湿度50%なら実際の水蒸気量は約8.7 g/m³。気温が下がれば同じ8.7 g/m³でも湿度は跳ね上がる。
等圧線の間隔の意味を「間隔が広い=風が強い」と覚え違える
- つまずく場面:天気図の説明で「等圧線は4 hPaごとに引く」と読んだあと、問題で間隔のせまい地域の風を答える場面になり、せまい・広いと強い・弱いの対応を一瞬で取り違えてしまう場面。
- 克服のコツ:因果関係でつなぐ。等圧線の間隔がせまい=短い距離で気圧が大きく変わる=空気が急に押される=風が強い。逆に間隔が広い=気圧の変化がゆるい=風がおだやか。「せまい=急こう配=強い」と坂道のイメージに置き換えると逆転しにくい。
- ミニ例:本文の「等圧線の間隔がせまい:気圧の変化が大きい → 風が強い」を、地図上の坂の急さとして読み直す。等高線がつまっている山が急なのと同じ向きで覚える。
練習問題
- 地表での標準大気圧は何 hPa か。
- 高気圧と低気圧、晴れになりやすいのはどちらか。
- 標高が高くなると気圧はどうなるか。
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(1) 約 1013 hPa (2) 高気圧(下降気流で雲ができにくい) (3) 低くなる(空気の柱が短くなる)
気温 25℃の空気 1m³ 中に水蒸気が 15g 含まれている。25℃の飽和水蒸気量を 23.1 g/m³ として、湿度を求めよ。
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湿度 = 15 / 23.1 × 100 ≒ 64.9 %
「南東の風」とは、風が どの方角から吹いてきてどこへ向かう風か。
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南東から吹いて、北西へ向かう風。
等圧線の間隔がせまい地域では、風はどうなるか。
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気圧の変化が大きいので、強い風が吹く。
まとめ
- 気象要素:気温・湿度・気圧・風(+雲量・降水量)。
- 気圧:標準 1013 hPa。高気圧=下降気流=晴れ/低気圧=上昇気流=雨。
- 湿度 = (実際の水蒸気量 ÷ 飽和水蒸気量) × 100。
- 飽和水蒸気量は気温が高いほど大きい。
- 風向は「吹いてくる方向」。北風は北から南へ。
- 等圧線がせまい → 風が強い。高気圧 H、低気圧 L。
もっと知る ── 発展・実生活(出典つき)
※ 教科書の内容に、信頼できる出典をもとにした発展・実生活・時事の話題を補足しています(教科書そのものではありません)。
全国を見張る「アメダス」発展
気象庁は「アメダス(地域気象観測システム)」とよばれるしくみで、全国およそ1300か所(約17kmの間隔)で降水量を自動で観測しています。そのうち約840か所(約21kmの間隔)では、降水量に加えて気温・風向風速・湿度も観測しています。こうして教科書で学ぶ気象要素を日本全体できめ細かく監視し、災害の防止に役立てています。
気温は「通風筒」で正しく測る発展
教科書では百葉箱を使い直射日光を避けて気温を測ると学びますが、現在の気象庁の観測では、温度計をすき間のある筒(通風筒)に入れ、ファンで常に外の空気を取り込みながら測っています。これは日光で温度計があたためられるのを防ぎ、地上1.5mの空気の本当の温度を正確に測るためのくふうです。
上空の天気は気球で観測する発展
天気の変化を予報するには地上だけでなく上空の状態も必要なため、気象庁は「ラジオゾンデ」という小さな観測器をゴム気球につるして飛ばしています。上空の気圧・気温・湿度・風を測りながら高度約30kmまで上がり、その値を電波で地上へ送ります。全国16地点で毎日決まった時刻に観測されています。
気温と湿度で決まる「暑さ指数」実生活
熱中症の危険度を表す「暑さ指数(WBGT)」は、気温だけでなく湿度や日ざしの強さを組み合わせて計算します。とくに湿度の影響が大きく、同じ気温でも湿度が高いと汗が蒸発しにくく体温を下げにくいため危険度が上がります。気温と湿度を合わせて見る単元の考え方が、命を守る判断に直結しています。
気温と湿度から出される「熱中症警戒アラート」実生活
気象庁と環境省は、暑さ指数(WBGT)が危険なレベルに達すると予測されるとき、共同で「熱中症警戒アラート」を発表します。これは観測した気温や湿度などをもとに前日や当日の朝に出され、運動や外出を控える判断に使われます。教科書で測る気象要素が、身近な健康を守る情報になっている例です。
局地的な大雨「線状降水帯」実生活
次々と発生した積乱雲が線のように連なり、数時間ほぼ同じ場所にとどまって大雨を降らせる現象を「線状降水帯」とよびます。低気圧や前線によって暖かく湿った空気が流れ込むと発生しやすく、気象庁は発生情報や事前の予測を発表しています。広い範囲の気圧配置と局地の現象を結びつけて読む、単元の考え方が生かされています。
