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オームの法則 ── V = IR

電流・電圧・抵抗の関係を表す オームの法則。ただ公式を覚えるだけではなく、「電圧を2倍にすると電流も2倍になる」という 比例関係を実験とグラフで理解することが大切です。

図でつかむ

V=IR ── 電流は電圧に比例する(原点を通る直線) 電流〔A〕 電圧〔V〕 1 2 3 4 5 6 0.2 0.4 0.6 0 2Vで0.20A 10Ωの抵抗器 20Ωの抵抗器 実験結果(10Ωの抵抗器) 1Vで0.10A、2Vで0.20A… 電圧を2倍にすると電流も2倍 V÷I はいつも10Ωで一定 → この比例定数が抵抗R 計算の前に mA を A に直す 1000mA=1A(300mA=0.3A) 例:20Ωに300mA → V=0.3×20=6V
オームの法則のグラフ ── 10Ωと20Ωの抵抗器で電圧を変えて電流を測った結果

グラフが原点を通る直線になる=電流は電圧に比例する、というのがオームの法則です。縦軸が電流のこのグラフでは、傾きが急な10Ωの直線のほうが「抵抗が小さい」ことも読み取れます。

オームの法則

公式
オームの法則
V = I × R
電圧 [V] = 電流 [A] × 抵抗 [Ω]

オームの法則は、金属線や電熱線などの抵抗器にかかる電圧と、そこを流れる電流の関係を表します。抵抗が一定なら、電圧を大きくするほど電流も大きくなります。

  • 電圧 V:電流を流そうとするはたらき。単位は V(ボルト)
  • 電流 I:回路を流れる電気の量。単位は A(アンペア)
  • 抵抗 R:電流の流れにくさ。単位は Ω(オーム)

抵抗とは

用語
抵抗
電流の 流れにくさ。単位 Ω(オーム)。

同じ電圧をかけても、抵抗が大きいほど流れる電流は小さくなります。たとえば 6V をかけたとき、3Ω なら 2A 流れますが、12Ω なら 0.5A しか流れません。

つまずきポイント:抵抗は「電流の大きさ」ではない
  • 抵抗は、電流そのものではなく 流れにくさ。
  • 抵抗が大きいほど、同じ電圧で流れる電流は小さくなる。
  • 「抵抗が大きいから電流も大きい」と考えない。

単位変換 ── mA を A に直す

オームの法則で計算するとき、電流の単位は A にそろえます。教科書や実験では mA(ミリアンペア)で出ることが多いので、変換を必ず確認します。

  • 1000mA = 1A
  • 500mA = 0.5A
  • 200mA = 0.2A
  • 50mA = 0.05A
mA が混じる例

抵抗 20Ω に 300mA 流れた。

300mA = 0.3A なので、V = IR = 0.3 × 20 = 6V

3つの公式

  • 電圧を求める:V = I × R
  • 電流を求める:I = V / R
  • 抵抗を求める:R = V / I
例

抵抗 10Ω に 0.5A 流れている → 電圧 = 10 × 0.5 = 5V

12V の電源に 4Ω の抵抗 → 電流 = 12/4 = 3A

100V で 2A 流れる → 抵抗 = 100/2 = 50Ω

実験では何を調べているか

オームの法則の実験では、抵抗器にかける電圧を少しずつ変え、そのたびに流れる電流を測定します。結果を表やグラフにすると、電圧と電流の関係が見えてきます。

  • 電圧を 1V、2V、3V ... と変える
  • そのときの電流を電流計で測る
  • 電圧と電流が比例していれば、グラフは原点を通る直線になる
  • 同じ抵抗器なら、V/I の値はほぼ一定になる
結果の読み取り

観察事実:1Vで0.10A、2Vで0.20A、3Vで0.30Aのように、電圧を2倍・3倍にすると電流も2倍・3倍になる。

考察:V/I を計算すると 10Ω で一定になる。これは抵抗器の流れにくさが変わっていないことを表す。

結論:抵抗が一定なら、電流は電圧に比例する。比例定数として抵抗 R が現れる。

実験の注意
  • 電流計は回路に 直列につなぐ。
  • 電圧計は調べたい部分に 並列につなぐ。
  • 電熱線が熱くなることがあるので、長時間大きな電流を流し続けない。

抵抗のグラフ

グラフの軸に注意

電圧と電流は 比例(一次関数)

縦軸を電圧 V、横軸を電流 I にすると、傾きは 抵抗 R(V=RI)

縦軸を電流 I、横軸を電圧 V にすると、傾きは 1/R

中学理科では、横軸を電圧、縦軸を電流にしたグラフもよく出ます。このときは、直線が急なほど「同じ電圧でたくさん電流が流れる」ので、抵抗は小さいと判断します。

  • 縦軸 V・横軸 I:傾きが大きいほど抵抗が大きい
  • 縦軸 I・横軸 V:傾きが大きいほど抵抗が小さい
  • どちらのグラフでも、抵抗は R = V/I で確かめる
つまずきポイント:公式の覚え方
  • 「V エ・ア・イ(VAI)」の順で覚える人もいる
  • または三角形に V を上、I と R を下に並べて、求めたい記号を隠して計算

この章でつまずきやすいところ

オームの法則は公式の形だけならすぐ覚えられますが、本文や問題を読み進めるうちに「電流と抵抗の関係」や「単位の扱い」「グラフの軸」で迷いがちです。読みながら詰まる場面を取り上げ、考え直すコツをつかみましょう。

抵抗が大きいほど電流も大きいと思い込んでしまう

  • つまずく場面:本文の「電圧を大きくすると電流も大きくなる」を読んだ直後に、抵抗の説明が続くと、つい「抵抗も大きいほど電流が大きい」と同じ向きで覚えてしまう場面。6Vで3Ωと12Ωを比べる例文で混乱する。
  • 克服のコツ:因果関係で整理すると、電圧は電流を流そうとするはたらき、抵抗は電流の流れにくさ。電圧と電流は同じ向き(比例)、抵抗と電流は逆の向き。「抵抗=じゃま」とイメージし、じゃまが大きいほど通れる量は減る、と読み替える。
  • ミニ例:本文の例で確かめる。6Vをかけたとき、3Ωなら2A流れるが、12Ωなら0.5Aしか流れない。抵抗が4倍になると電流は4分の1。

mAのままV=IRに代入してしまう

  • つまずく場面:「抵抗20Ωに300mA流れた」のような問題を読んでいる途中、単位の確認をせずに V = 300 × 20 と計算してしまい、6000Vのような大きすぎる答えが出てとまどう場面。
  • 克服のコツ:見分け方は単位の確認。オームの法則は A・V・Ωでそろえて計算するのがルール。問題文に「mA」が出てきたら、式に入れる前に 1000mA = 1A でAに直す。答えが極端に大きい・小さいときも単位ミスを疑う。
  • ミニ例:抵抗20Ωに300mA流れた → まず300mA = 0.3Aに直してから、V = IR = 0.3 × 20 = 6V。

比例関係が「いつでも」成り立つと読んでしまう

  • つまずく場面:「電圧を2倍にすると電流も2倍」という説明を読み、どんな場合も電圧と電流は比例すると考えてしまう場面。実験の説明で「同じ抵抗器で」という条件を読み飛ばすと、グラフが直線にならない例に出会ったとき答えに迷う。
  • 克服のコツ:条件と結果の因果で整理する。比例関係が成り立つのは 抵抗が一定のとき という前提付き。本文や問題で「同じ抵抗器」「抵抗を変えずに」という言葉が出ているかを先に確認する習慣をつける。
  • ミニ例:1Vで0.10A、2Vで0.20A、3Vで0.30Aのように比例するのは、同じ10Ωの抵抗器で測ったから。途中で別の抵抗器に替えれば、グラフは1本の直線にはならない。

グラフの傾きと抵抗の関係を取り違える

  • つまずく場面:問題でグラフが出てきたとき、「傾きが大きい=抵抗が大きい」とひとくくりに覚えてしまい、横軸が電圧・縦軸が電流のグラフで答えを逆にしてしまう場面。軸の見落としで答えが食い違う。
  • 克服のコツ:見分け方は軸の確認。縦軸V・横軸Iなら傾き=R(傾きが大きいほど抵抗が大きい)、縦軸I・横軸Vなら傾き=1/R(傾きが大きいほど抵抗が小さい)。迷ったら、グラフから1点を読み取り R = V ÷ I で計算して確かめる。
  • ミニ例:縦軸I・横軸Vのグラフで、2Vのとき0.4A読めたら R = 2 ÷ 0.4 = 5Ω。同じグラフで別の抵抗器が急な直線なら、その抵抗器は5Ωより小さいと判断する。

練習問題

問題1(基本)
  1. 5Ω に 2A 流れたときの電圧
  2. 12V で 6Ω の抵抗を流れる電流
  3. 20V で 4A 流れる抵抗
  4. 抵抗 30Ω に 200mA 流れたときの電圧
  5. 6V をかけたとき 0.3A 流れる抵抗
答えを見る

(1) 10V (2) 2A (3) 5Ω (4) 200mA = 0.2A より 6V (5) 20Ω

問題2(グラフの読み取り)

ある抵抗器で、電圧を 2V にすると 0.4A、4V にすると 0.8A 流れた。

  1. 電圧と電流は比例しているといえるか。
  2. この抵抗器の抵抗は何Ωか。
  3. この抵抗器に 6V をかけると、何A 流れるか。
答えを見る

(1) いえる。電圧が2倍になると電流も2倍になっている。

(2) R = V/I = 2/0.4 = 5Ω

(3) I = V/R = 6/5 = 1.2A

問題3(実験結果の考察)

ある抵抗器で、電圧と電流が次のようになった。抵抗を求め、オームの法則が成り立つか説明せよ。

1V:0.05A、2V:0.10A、4V:0.20A

答えを見る

R = V/I より、1/0.05 = 20Ω、2/0.10 = 20Ω、4/0.20 = 20Ω。抵抗が一定で、電圧を2倍・4倍にすると電流も2倍・4倍になるので、オームの法則が成り立つ。

まとめ

  • オームの法則:V = I × R。
  • 抵抗:電流の流れにくさ(Ω)。
  • 3つの公式:V=IR、I=V/R、R=V/I。
  • 計算では mA を A に直す。1000mA = 1A。
  • 電圧と電流が比例する抵抗器では、グラフは原点を通る直線になる。

もっと知る ── 発展・実生活(出典つき)

※ 教科書の内容に、信頼できる出典をもとにした発展・実生活・時事の話題を補足しています(教科書そのものではありません)。

「オーム」は人の名前から生まれた単位発展

抵抗の単位 Ω(オーム)は、ドイツの物理学者ゲオルク・ジーモン・オーム(1789〜1854)の名前にちなんでいます。オームは1827年の著書で、抵抗を流れる電流と電圧が比例することを示しましたが、当時の母国ではその重要性がなかなか認められませんでした。今では V=IR が「オームの法則」と呼ばれ、彼の名は世界中で使われています。

出典:コトバンク(日本大百科全書ほか)「オーム(Georg Simon Ohm)」

金属の抵抗は温度が上がると大きくなる発展

オームの法則で「抵抗が一定」と考えるのは、温度がほぼ変わらないときの話です。金属では温度が上がると原子の振動が大きくなり、動いている自由電子とぶつかる回数が増えるため、電流が流れにくくなって抵抗が大きくなります。電熱線に大きな電流を流し続けると熱くなって抵抗が変化するのは、このためです。

出典:コトバンク(日本大百科全書)「電気抵抗」

抵抗がゼロになる「超伝導」発展

ある種の物質をとても低い温度まで冷やすと、電気抵抗が完全にゼロになる「超伝導」という現象が起きます。抵抗がゼロだと電流を流してもエネルギーを失わないため、送電線の電力ロスをなくす研究が進められています。病院のMRIや超伝導リニアモーターカーは、すでにこの性質を利用した強力な電磁石を使っています。

出典:NIMS(物質・材料研究機構)「材料のチカラ 超伝導のピン止め効果」

ぬれた手が感電で危険なのはオームの法則のため実生活

人の体にも電気抵抗があり、皮膚が乾いているときは抵抗が大きいので電流は流れにくいです。しかし手や体がぬれていると皮膚の抵抗が大きく下がり、同じ電圧でも I=V/R より流れる電流が大きくなって危険が増します。コンセントや電気製品をぬれた手で触ってはいけないのは、この理由です。

出典:厚生労働省 職場のあんぜんサイト「感電」

豆電球や測定器にも生きるオームの法則実生活

オームの法則は、同じ電圧でも抵抗が大きいほど電流が小さくなることを示します。回路に抵抗を入れて電流を必要な大きさにおさえる工夫は、電子部品を守る回路などで広く使われています。電圧計を回路に並列、電流計を直列につなぐ理由も、それぞれの抵抗の大きさと電流・電圧の関係から説明できます。

出典:コトバンク(日本大百科全書ほか)「オームの法則」