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同じ3Ωと6Ωでも、つなぎ方しだいで合成抵抗は9Ω(直列)と2Ω(並列)まで変わります。「直列は電流が共通、並列は電圧が共通」から読み始めるのが計算のコツです。
まず押さえる:直列と並列の違い
| 直列回路 | 並列回路 | |
|---|---|---|
| つなぎ方 | 電流の道すじが1本 | 途中で枝分かれする |
| 電流 | どこも同じ | 枝分かれ前 = 枝の電流の和 |
| 電圧 | 各部分の電圧の和 = 全体 | 各枝に同じ電圧がかかる |
| 豆電球を外すと | 回路が切れ、全部消える | 別の枝はついたまま |
教科書の実験では、直列回路の各点を流れる電流は同じ大きさになり、並列回路では枝分かれする前の電流が、枝に分かれた電流の和になることを確かめます。合成抵抗の公式は、この電流・電圧の関係とオームの法則から出てきます。
直列:1本の川を同じ水量が流れる → 電流はどこも同じ
並列:川が枝分かれする → 分かれる前の水量 = 枝の水量の和
電流は途中で消費されるものではない。豆電球を通っても、入る電流と出る電流は同じ。
直列回路の合成抵抗
各抵抗の和。
3Ω と 5Ω を直列 → 3 + 5 = 8Ω
直列では電流の道すじが1本なので、抵抗を増やすほど電流は流れにくくなります。だから全体の抵抗は、各抵抗の和になります。
直列では電流 I はどこも同じ。
抵抗 R₁ の電圧は V₁ = IR₁、抵抗 R₂ の電圧は V₂ = IR₂。
全体の電圧 V = V₁ + V₂ = IR₁ + IR₂ = I(R₁ + R₂)。
したがって、全体の抵抗は R₁ + R₂。
並列回路の合成抵抗
3Ω と 6Ω を並列 → 1/R = 1/3 + 1/6 = 2/6 + 1/6 = 3/6
→ R = 6/3 = 2Ω
→ 個々の抵抗より 小さくなる
並列では、電流が流れる道すじが増えます。道すじが増えるほど全体としては流れやすくなるため、合成抵抗はそれぞれの抵抗より小さくなります。
並列では、各枝にかかる電圧 V は同じ。
抵抗 R₁ を流れる電流は I₁ = V/R₁、抵抗 R₂ を流れる電流は I₂ = V/R₂。
全体の電流 I = I₁ + I₂ = V/R₁ + V/R₂。
全体を1つの抵抗 R と見ると I = V/R。
だから 1/R = 1/R₁ + 1/R₂。
2本だけのときの簡単な式
R = (R₁ × R₂) / (R₁ + R₂)
例:3Ω と 6Ω → (3×6)/(3+6) = 18/9 = 2Ω(同じ結果)
電流と電圧の分配
| 直列 | 並列 | |
|---|---|---|
| 電流 | どこも同じ | 各枝に分かれる |
| 電圧 | 各部分の和 | 各枝で同じ |
| 合成抵抗 | R₁ + R₂(大きく) | R₁R₂/(R₁+R₂)(小さく) |
直列・並列の計算手順
- 直列:まず合成抵抗を足し算で求める → 全体の電流を求める → 各抵抗の電圧を求める
- 並列:各枝に同じ電圧がかかる → 各枝の電流を求める → 全体の電流は枝の和
- 迷ったら「直列は電流同じ」「並列は電圧同じ」から始める
3Ω と 6Ω を直列につなぎ、9V をかける。
合成抵抗 R = 3 + 6 = 9Ω
全体の電流 I = V/R = 9/9 = 1A
3Ω の電圧は 1×3 = 3V、6Ω の電圧は 1×6 = 6V。合計 9V。
3Ω と 6Ω を並列につなぎ、6V をかける。
3Ω の枝:I = 6/3 = 2A
6Ω の枝:I = 6/6 = 1A
全体の電流は 2 + 1 = 3A。合成抵抗は R = 6/3 = 2Ω。
- 並列の合成抵抗は 抵抗の和ではない。
- 1/R = 1/R₁ + 1/R₂ で、最後に逆数を取る。
- 並列の合成抵抗は 個々より小さくなる。
- 並列の合成抵抗が、どれか1つの抵抗より大きくなったら計算ミスを疑う。
この章でつまずきやすいところ
合成抵抗の単元は、本文を読み進めるうちに「直列と並列のどちらの規則を使うのか」「電流と電圧のどちらが同じになるのか」が頭の中で入れ替わりやすい場面が続きます。読みながら迷いがちな具体場面を整理します。
並列の合成抵抗を「足し算」で求めてしまう
- つまずく場面:本文で「直列は R = R₁ + R₂」と読んだ直後に並列の式が出てくると、頭が足し算モードのままになり、3Ωと6Ωの並列を読んでいる途中で思わず「9Ω」とノートに書いてしまう場面があります。
- 克服のコツ:因果関係で押さえます。並列は電流の道すじが増えるから流れやすくなり、合成抵抗は個々の抵抗より小さくなります。計算の答えが「どれか1つの抵抗より大きい」と出たら、その時点で並列の式を取り違えたサインと判断できます。
- ミニ例:3Ωと6Ωの並列で「9Ω」と書いた瞬間に、3Ωより大きいのでおかしいと気づける。正しくは 1/R = 1/3 + 1/6 で R = 2Ω。
直列なのに「電圧はどこも同じ」と思い込む
- つまずく場面:並列回路の「各枝に同じ電圧がかかる」という説明を読んだ直後、直列回路の問題に移ったときに、勢いで「電圧もどこも同じ」と読み替えてしまい、各抵抗の電圧を全部9Vにしてしまう場面が起こります。
- 克服のコツ:見分け方として「直列は電流が同じ/並列は電圧が同じ」を一対で覚えます。直列は道すじが1本なので電流が共通、並列は同じ2点間につながるので電圧が共通、とつなぎ方から理由づけて区別します。
- ミニ例:3Ωと6Ωを直列にして9Vをかけると、電流は共通で1A。電圧は3Vと6Vに分かれて合計が9Vになる。
並列の式で逆数を取り忘れる
- つまずく場面:並列の計算を進めて 1/R = 1/3 + 1/6 = 3/6 まで出した段階で、本文の式の形に引っ張られて「だから R = 3/6Ω」と書き、本来の答えである2Ωにたどり着けない場面が起こります。
- 克服のコツ:時系列で整理します。並列の手順は (1) 各 1/R を足す → (2) 出てきた値は 1/R であって R ではない → (3) 最後に逆数を取って R に戻す。この3ステップ目を抜かしていないかを式の右端で確認します。
- ミニ例:3Ωと6Ωの並列で 1/R = 3/6 まで出たら、最後に逆数を取り R = 6/3 = 2Ω。2本だけなら R = (R₁×R₂)/(R₁+R₂) でも同じ2Ωになる。
電流が抵抗を通ると「減って出てくる」と感じてしまう
- つまずく場面:豆電球をつないだ図を見ているうちに「光った分だけ電流が減るのでは」と感じ、直列回路で豆電球の前後の電流の値を別々に書こうとして、本文の「直列はどこも同じ電流」と矛盾してしまう場面があります。
- 克服のコツ:因果関係で押さえます。電流は途中で消費されるものではないので、抵抗を通っても入る電流と出る電流は同じです。減るのは電圧(エネルギーの分配)であって、電流ではないと役割を分けて理解します。
- ミニ例:3Ωと6Ωを直列にして1Aを流すと、両方の抵抗とも流れる電流は1Aのまま。3Ωで3V、6Ωで6Vと、電圧のほうが分け合われる。
練習問題
4Ω と 6Ω を直列につないだ合成抵抗。
答えを見る
10Ω
2Ω と 3Ω を並列につないだ合成抵抗。
答えを見る
(2×3)/(2+3) = 6/5 = 1.2Ω
2Ω と 4Ω を直列につなぎ、12V の電圧をかけた。
- 合成抵抗は何Ωか。
- 回路全体の電流は何Aか。
- 2Ω と 4Ω の抵抗にかかる電圧はそれぞれ何Vか。
答えを見る
(1) 6Ω (2) 12/6 = 2A (3) 2Ωには4V、4Ωには8V
4Ω と 12Ω を並列につなぎ、12V の電圧をかけた。
- 4Ω の枝を流れる電流は何Aか。
- 12Ω の枝を流れる電流は何Aか。
- 回路全体の電流は何Aか。
- 合成抵抗は何Ωか。
答えを見る
(1) 3A (2) 1A (3) 4A (4) R = 12/4 = 3Ω
まとめ
- 直列:R = R₁ + R₂(大きくなる)。
- 並列:1/R = 1/R₁ + 1/R₂(個々より小さくなる)。
- 直列では電流一定・電圧分配。並列では電圧一定・電流分配。
- 合成抵抗の計算は、オームの法則と電流・電圧の関係から考える。
もっと知る ── 発展・実生活(出典つき)
※ 教科書の内容に、信頼できる出典をもとにした発展・実生活・時事の話題を補足しています(教科書そのものではありません)。
家庭のコンセントは「並列」でつながれている実生活
家の中の照明やテレビ、エアコンなどは、それぞれが並列につながれています。並列では各機器に同じ電圧(日本では100V)がかかり、1つの機器を切ったり故障したりしても他の機器は使い続けられるからです。直列だったら、1つ電源を切ると家中の電気が全部消えてしまいます。
タコ足配線が危険なのは「電流が足し算」になるから実生活
並列につないだ機器の電流は枝分かれした電流の和になるので、1つのコンセントにたくさんの機器をつなぐと流れる電流が定格(多くは15A)を超えてしまいます。電流が大きくなると配線やプラグが発熱し、火災の原因になります。これは並列回路で電流が枝の和になるという性質そのものが関わっています。
抵抗の値は温度で変わる(中学では一定とみなす)発展
中学では抵抗を一定の値として計算しますが、実際の金属の抵抗は温度が上がると大きくなります。温度が高くなると金属内部の原子の振動が激しくなり、流れる電子がじゃまされて通りにくくなるためです。電流を流して熱くなった豆電球の抵抗は、冷えているときより少し大きくなっています。
電池のつなぎ方でも直列・並列で結果が変わる発展
抵抗だけでなく電池のつなぎ方でも直列と並列で違いが出ます。電池を直列にすると電圧が足し合わさって豆電球は明るくなりますが、並列にすると電圧は1個分のままなので明るさは変わりません。検流計(電流計)を使うと、つなぎ方による電流の違いを確かめられます。
コンセントの電気は向きが変わる「交流」発展
回路の計算では電流の向きを一定として扱いますが、家庭のコンセントに来ている電気は向きと大きさが周期的に変わる交流です。発電所で磁石とコイルを使って電気を起こすしくみと相性がよく、変圧器で電圧を変えやすいため、長い距離を送る電気には交流が使われています。乾電池の直流とは性質が違う点に注意が必要です。
