敬語の基本分類
尊敬語:相手や話題の人の動作を 高める表現
謙譲語:自分側の動作を へりくだって述べ、行為の向かう先への敬意を表す表現
丁寧語:聞き手に対して 丁寧な言い方(「です・ます」)
尊敬語の作り方
- お・ご + ~になる:お読みになる、ご利用になる
- ~れる・られる:行かれる、来られる
- 特別な尊敬動詞:いらっしゃる(来る・行く・いる)、おっしゃる(言う)、なさる(する)、召し上がる(食べる・飲む)、ご覧になる(見る)
謙譲語の作り方
- お・ご + ~する/いたす:お持ちする、ご案内いたす
- 特別な謙譲動詞:参る(行く・来る)、申す/申し上げる(言う)、いたす(する)、いただく(食べる・飲む・もらう)、拝見する(見る)
主な動詞の3敬語
| 普通 | 尊敬 | 謙譲 |
|---|---|---|
| 言う | おっしゃる | 申す/申し上げる |
| する | なさる | いたす |
| 食べる | 召し上がる | いただく |
| 見る | ご覧になる | 拝見する |
| 行く | いらっしゃる | 参る/伺う |
| 来る | いらっしゃる | 参る |
| いる | いらっしゃる | おる |
| 聞く | お聞きになる | うかがう |
| もらう | お受けになる | いただく |
| あげる | — | 差し上げる |
丁寧語
行きます/食べます/です
→ 相手に対する丁寧さを表す。
尊敬・謙譲とは別の系統。
使い分けのコツ
主語が 相手・目上 → 尊敬語
主語が 自分・身内 → 謙譲語
例:「先生がおっしゃった」(先生→尊敬)/「私が申し上げた」(私→謙譲)
二重敬語に注意
× 「おっしゃられる」(おっしゃる + れる の二重)
○ 「おっしゃる」
× 「召し上がられる」
○ 「召し上がる」
→ 敬語は1つで十分、重ねすぎない
身内には謙譲
外部の人に話すときは、家族や会社内の人は 身内扱い
× 「父がおっしゃいました」(自分の父に尊敬は不適切)
○ 「父が申しました」(謙譲を使う)
× 「社長は会議中でいらっしゃいます」(社外への電話)
○ 「社長は会議中でございます」
- × 「先生が 参る」(先生に謙譲語を使っている)
- ○ 「先生が いらっしゃる」
- × 「私が おっしゃった」(自分に尊敬語を使っている)
- ○ 「私が 申し上げた」
- 主語が誰かを必ず確認
- 敬語を重ねすぎない
- × 「おっしゃられる」「召し上がられる」
- ○ 「おっしゃる」「召し上がる」
- 丁寧語(です・ます)は 誰にでも使える基本
- 尊敬・謙譲は動作の 主語で使い分ける
- 3つを組み合わせて使うこともある
- 「先生がおっしゃいました」(尊敬+丁寧)
教科書で確認した場面別敬語
- 敬語は、相手や場への配慮を示す方法。ただし親しい相手にはかえって不自然なこともある。
- 尊敬語・謙譲語・丁寧語に加え、丁重語・美化語も働きとして確認する。
- 同じ内容でも、「明日」「あす」、「すぐ」「直ちに」のように語の選び方で改まり方が変わる。
- 場面に対して重すぎる敬語は、距離を作りすぎることがある。
- 逆に、面接・電話・発表では、相手に合わせた改まった表現が必要になる。
この章でつまずきやすいところ
敬語の問題を解いていると、文の意味は分かるのに「どの敬語に直すか」で手が止まりやすいです。主語の取りちがえ、敬語の重ね、身内と外部の関係などで迷う場面を、よくある例にそって整理します。
「参る」を先生にも使えると思い込んでしまう
- つまずく場面:教科書の表で「行く=参る/伺う」とあるのを見て、「先生がここに参った」と直そうとして手が止まる場面。動詞の意味だけで対応表を引いてしまい、主語が誰かを確かめずに謙譲語をあててしまう。
- 克服のコツ:動作主→敬語の種類の順で見分けるとぶれません。主語が相手・目上なら尊敬語、主語が自分・身内なら謙譲語です。「先生が」なら尊敬、「私が」なら謙譲と、主語で切り替えるのが基本です。
- ミニ例:例えば「先生がここに来た」は、主語が先生なので「先生がいらっしゃった」。同じ「来る」でも、自分が動くなら「私が参ります」に変わります。
「おっしゃられる」を丁寧で正しい言い方だと思ってしまう
- つまずく場面:問題文で「先生が言った」を直すとき、「おっしゃる」だけでは敬意が足りない気がして「おっしゃられる」と書きたくなる場面。丁寧にしようとして、知っている尊敬の形を二つ重ねてしまう。
- 克服のコツ:同じ種類の敬語を二つ重ねないと覚えると安全です。「おっしゃる」は既に尊敬語、「召し上がる」も既に尊敬語なので、そこに「れる・られる」を足すと二重敬語になります。教科書では一般に、二重敬語を避けるよう示されています。
- ミニ例:例えば×「おっしゃられる」「召し上がられる」はどちらも重ね過ぎ。○「おっしゃる」「召し上がる」のまま使えば、敬意の向きはきちんと伝わります。
外部の人に話すとき、自分の家族にも尊敬語を使ってしまう
- つまずく場面:電話やよその人との会話を題材にした例文で、「父が言いました」「社長は会議中です」を敬語に直す場面。家にいる父や同じ会社の社長を高めたくなり、「父がおっしゃいました」と書いてつまずく。
- 克服のコツ:聞き手が外部の人かどうかで身内かを判断します。外部の人に話すときは、家族や同じ会社の人は身内扱いになるので、尊敬語は使わず、呼び方や敬語を低めるのが原則です。社内では「社長」と呼んでも、社外には姓だけで呼ぶ、というように、相手によって扱いを変えます。
- ミニ例:例えば、外部の人に対しては×「父がおっしゃいました」→○「父が申しました」と直します。社外への電話では×「社長は会議中でいらっしゃいます」→○「(弊社の)田中は会議中です/会議中でございます」のように、自社の社長は姓だけで呼び、尊敬語を外します。
「丁寧に話せば敬語として十分」と思い込んでしまう
- つまずく場面:面接の練習問題で「すぐ行きます」を改まった言い方に直す場面。「ます」が付いているからもう敬語として完成しているはずだと感じ、これ以上どこを直せばよいか分からなくなる。
- 克服のコツ:丁寧語(です・ます)は聞き手向け、尊敬・謙譲は動作主向けと役割を分けて考えます。さらに、「参る」「申す」など、聞き手に改まりを示すために使う謙譲語(丁重語=謙譲語Ⅱ)もあります。改まった場面では「ます」をつけるだけでなく、語の選び方そのものも変えると整います。
- ミニ例:例えば、「すぐ行きます」を面接向けに「直ちに参ります」と直します。「参る」は聞き手への改まりを示す丁重語にあたり、「すぐ→直ちに」「行く→参る」と、改まりに合わせて語を選び直しています。
練習問題
次は尊敬・謙譲・丁寧のどれか。
- おっしゃる
- 申す
- です
- 召し上がる
- 拝見する
答えを見る
(1) 尊敬 (2) 謙譲 (3) 丁寧 (4) 尊敬 (5) 謙譲
次の文を適切な敬語に直せ。
- 先生がここに来た。
- 私が先生にそう言った。
- お客様が料理を食べた。
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(1) 先生がここにいらっしゃった。
(2) 私が先生にそう申し上げた。
(3) お客様が料理を召し上がった。
面接で「すぐ行きます」をより改まった言い方に直しなさい。
答えを見る
例:直ちに参ります。相手や場に合わせて、語の改まり方も調整する。
まとめ
- 敬語 = 尊敬語(相手)・謙譲語(自分)・丁寧語(です・ます)の3種。
- 尊敬・謙譲は 主語が誰かで決まる。
- 特別な動詞は1つずつ覚える。
- 身内・自分には謙譲、相手・目上には尊敬。
もっと知る ── 発展・実生活(出典つき)
※ 教科書の内容に、信頼できる出典をもとにした発展・実生活・時事の話題を補足しています(教科書そのものではありません)。
国の指針では敬語は「5種類」に分けられる発展
教科書の尊敬語・謙譲語・丁寧語の3分類に対し、文化庁の文化審議会答申「敬語の指針」(2007年)は敬語を5種類に整理している。謙譲語を「謙譲語I」と「謙譲語II」に、丁寧語を「丁寧語」と「美化語」に細かく分けた考え方だ。3分類を土台にしつつ、より精密に使い分けるための公式の枠組みとして示されている。
「丁重語(謙譲語II)」は相手を立てなくても使える発展
「参る」「申す」などは、行為の向かう先(相手や話題の人物)を高めなくても、聞き手に対して自分側を丁重に述べる働きを持つ。文化庁はこれを謙譲語IIと呼び、丁重語ともいう。「明日から海外へ参ります」のように、誰かを敬う相手がいない場面でも改まった気持ちを表せる点が、ふつうの謙譲語(謙譲語I)との違いだ。
「お酒」「お料理」は敬語の一種「美化語」実生活
「お酒」「お料理」のように物事を上品に述べる言い方を、文化庁は「美化語」と呼び、敬語の一種として位置づけている。これは誰かを高める尊敬語や謙譲語とは違い、話す人の言葉づかいを整える働きだ。ふだん何気なく付けている「お」「ご」も、敬語の仕組みの一部だと意識すると、改まった場で言葉を選びやすくなる。
接客の「マニュアル敬語」に注意実生活
店などで聞く「お会計のほう」「千円からお預かりします」「カレーになります」といった言い方は、マニュアル敬語(バイト敬語)と呼ばれ、本来の敬語からずれている場合がある。文化庁は、こうした言い方を絶対視せず、場面に合うかを使う人自身が考えて磨いていくことが大切だと述べている。面接やアルバイトでも役立つ視点だ。
敬語は「相手や場への配慮」を表す言葉づかい発展
文化庁の「敬語の指針」は、敬語を、相手や周囲の人、その場の状況への配慮を表現するものとして位置づけている。単なる上下関係の表示ではなく、互いを尊重し合うための言葉づかいだという考え方だ。だからこそ、相手との関係や場面に応じて、重すぎず軽すぎない適切な敬語を選ぶことが求められる。
毎年の全国調査で言葉の使い方が調べられている実生活
文化庁は1995年(平成7年)度から毎年「国語に関する世論調査」を行い、敬語や言葉づかいに対する人々の意識を全国規模で調べている。令和5年度の調査では、国語に関心がある人が約8割で、関心がある点として「日常の言葉遣いや話し方」が最も多く挙がった。敬語の使い方が今も社会で意識されていることがわかる。
