言葉には「大きさ」の段階がある
1冊の本も、たどっていけば最後は ひと文字ひと文字 に分かれます。文法では、その間にある 5つの段階を区別します。
言葉の単位(大きい→小さい)
- 文章(ぶんしょう)── ひとまとまりの内容を伝える全体。本・作文・手紙など。
- 段落(だんらく)── 改行と一字下げで区切られた、文章の中のひと区切り。
- 文(ぶん)── 「。」(句点)で区切られた、意味のひとまとまり。
- 文節(ぶんせつ)── 文を、不自然にならずに区切れる最小の単位。
- 単語(たんご)── 文節をさらに分けた、意味を持つ最小の単位。
大きい順に 「文章 > 段落 > 文 > 文節 > 単語」。テストで聞かれるのは主に 文節と単語 です。
文 ── 「。」で区切る
文の見分けは簡単です。句点(。) で区切られたひとまとまりが1つの文です。
文1今日は朝から雨だった。
文2傘を持って学校へ向かった。
文3校門の前で友だちに会った。
「?」「!」で終わる場合も1文です。会話文(かぎかっこ)の中の「。」は数えず、地の文の「。」で1文と数えます。
文節 ── 「ネ」で区切れる最小単位
文をさらに細かく区切ったのが 文節です。「文節とは何か」を一文で言うと ── 「不自然にならない範囲で、できるだけ短く区切ったもの」。これだけでは抽象的なので、便利な方法があります。
試す今日は(ね)/朝から(ね)/雨だった(ね)。
結果今日は / 朝から / 雨だった ── 3文節
- 「今日/は」「朝/から」のように 助詞だけを切り離さない。「今日は(ね)」「朝から(ね)」は自然だが、「今日(ね)は」は不自然。
- 文節は 「ね」が自然に入る最小単位。これより細かいのは単語の話。
単語 ── 文節をさらに分ける
文節は 「自立語+付属語」 の組み合わせでできています。これをさらに分けたのが 単語です(自立語・付属語は次の単元でくわしく扱います)。
文節今日は / 朝から / 雨だった
単語今日 / は / 朝 / から / 雨 / だっ / た
「だっ」「た」は別単語。「雨だった」は 雨(名詞)+だっ(助動詞「だ」の活用形)+た(助動詞) の3単語に分かれる。
単語の分け方は活用や品詞の知識が必要になるので、まずは 文節の分け方 をマスターしましょう。
段落と文章
残る2つは大きい単位です。
- 段落:改行+一字下げで始まる、文章中のひと区切り。説明文では「話題」、物語では「場面」が変わるところで切れる。
- 文章:段落の集まり。1編の作文・1篇の小説・1通の手紙など、内容としてひとまとまりのもの。
テストで「この文章のテーマは?」と聞かれたら、文章全体を見て答えます。「第3段落の役割は?」と聞かれたら、その段落だけを見ます。単位を意識すると、設問の範囲が見えてきます。
5段階を1枚で整理
| 単位 | 何で区切る | 例(「今日は朝から雨だった。」) |
|---|---|---|
| 文章 | 内容のまとまり | 作文全体 |
| 段落 | 改行+一字下げ | 第1段落(など) |
| 文 | 句点「。」 | 「今日は朝から雨だった。」 |
| 文節 | 「ね」が入る最小 | 今日は/朝から/雨だった(3文節) |
| 単語 | 意味を持つ最小 | 今日/は/朝/から/雨/だっ/た(7単語) |
教科書で確認した判定手順
- 文は句点で終わるまとまり。会話文(かぎかっこ)の中の句点は数えず、地の文の句点で1文と数える。
- 文節は「ネ」「サ」を入れても不自然でない切れ目で考える。付属語だけを独立させない。
- 単語は文節をさらに細かく分けた単位。助詞・助動詞も一語として数える。
- 「読みました」は一文節だが、「読み/まし/た」の三語に分けられる。
- 単語数を数えるときは、文節ごとに「中心の自立語」と「後ろの付属語」を分解する。
この章でつまずきやすいところ
文節分けや単語分けの問題を解いている途中、「ここで切っていいのかな」と手が止まる瞬間があります。ここでは本文や設問を読んでいる途中に起きやすい4つの迷いと、その場で立ち止まるためのコツを整理します。
助詞だけを切り離して文節にしてしまう
- つまずく場面:「今日は朝から雨だった。」を文節に分ける問題で、「今日/は/朝/から/雨だった」と書きそうになる。助詞の「は」「から」が目立つので、ここで切れるはずだと感じてしまい、手が止まる場面。
- 克服のコツ:見分け方は「ネ・サ・ヨ法」。区切りたい場所に「ね」を入れて自然か確かめる。「今日(ね)は」は不自然だが、「今日は(ね)」は自然。付属語だけを単独で立てないのが文節の条件で、自立語にくっついて初めて一文節になる。
- ミニ例:「父は毎朝コーヒーを飲む。」を試すと、父は/毎朝/コーヒーを/飲むの4文節。「父/は」と切ると付属語の「は」だけが単独で文節になってしまう。ネ法で確かめると「父はネ/毎朝」は自然だが、「父ネ/は」は「は」が宙に浮いて不自然。だから助詞の「は」は前の自立語にくっつける。
「読んでいる」のような複合表現を一文節と思い込む
- つまずく場面:「白い犬が公園を走っている。」を文節に分けている途中、「走っている」がひとかたまりに見えて「白い/犬が/公園を/走っている」の4文節で止めてしまう。本文中の「吹いている」「読んでいる」でも同じ迷いが起きる。
- 克服のコツ:見分け方は動詞+「いる・ある・くる・みる」などの補助動詞の位置を疑うこと。「走って(ね)/いる(ね)」のように、それぞれの間に「ね」が自然に入るなら2文節に分ける。補助動詞は前の動詞と意味的に近いが、文節としては別扱いになる。
- ミニ例:「春の風が心地よく吹いている。」は春の/風が/心地よく/吹いて/いるの5文節。「吹いて(ね)/いる(ね)」と両方に「ね」が入るので、ここで切るのが正しい。
句点だけで切れば文節になると勘違いする
- つまずく場面:問題文に「文節に分けなさい」とあるのに、「。」で区切って「今日は朝から雨だった。」をまるごと1つの文節と答えそうになる。文と文節の単位がごちゃまぜになり、何を聞かれているのか迷う場面。
- 克服のコツ:見分け方は単位の大きさを先に確認すること。文章>段落>文>文節>単語の順で小さくなる。「。」で切るのは文の単位、「ね」で切るのは文節の単位、と役割が違う。設問の言葉に「文」「文節」「単語」のどれが書いてあるかを最初にチェックする。
- ミニ例:「朝起きると、雨が降っていた。」は文としては1つだが、文節に分けると朝/起きると/雨が/降って/いたの5文節。聞かれている単位で答え方が変わる。
「読みました」のような一文節を一単語と数える
- つまずく場面:「私は本を読みました。」の単語数を数える途中、「読みました」がまとまった動作に見えて「私/は/本/を/読みました」の5単語と書いてしまう。文節と単語の境目が分からなくなる場面。
- 克服のコツ:見分け方は文節と単語は別ものと意識すること。文節は「ね」で区切る読みの単位、単語は意味と働きの最小単位。一文節の中に自立語1つ+付属語が複数入ることが多く、助詞・助動詞も一語ずつ数える。迷ったら、まず文節に分けてから各文節を細かく割る。
- ミニ例:「読みました」は一文節だが、単語では読み/まし/たの3語。「私は本を読みました。」全体では私/は/本/を/読み/まし/たの7単語になる。
練習問題
「朝起きると、雨が降っていた。母は『傘を持っていきなさい。』と言った。私は黄色い長靴をはいて、玄関を出た。」
答えを見る
3つ
- ① 朝起きると、雨が降っていた。
- ② 母は『傘を持っていきなさい。』と言った。
- ③ 私は黄色い長靴をはいて、玄関を出た。
会話文の中の「。」は数えず、最後の地の文の「。」で1文と数える。
- 父は毎朝コーヒーを飲む。
- 白い犬が公園を走っている。
- 私は妹と図書館へ行った。
答えを見る
(1) 父は/毎朝/コーヒーを/飲む。── 4文節
(2) 白い/犬が/公園を/走って/いる。── 5文節
「走っている」は「走って(ね)/いる(ね)」と「ね」が入るので2文節。
(3) 私は/妹と/図書館へ/行った。── 4文節
答えを見る
私 / は / 本 / を / 読む ── 5単語
「は」「を」は助詞で、それぞれ別の単語。「読む」は1単語(動詞の終止形)。
答えを見る
「吹いている」が正しくは2文節。「吹いて/いる」と区切れる(「吹いて(ね)」「いる(ね)」が自然)。
正解:春の/風が/心地よく/吹いて/いる。── 5文節
まとめ
- 言葉の単位は大きい順に 文章 > 段落 > 文 > 文節 > 単語。
- 文は「。」で区切る。会話文の中の「。」は数えない。
- 文節は 「ネ・サ・ヨ」法 で見つける。区切れそうな場所に「ね」を入れて自然なら、そこが文節の切れ目。
- 文節は 細かく分けすぎない。助詞だけを切り離してはいけない。
- 単語は文節をさらに分けた、意味を持つ最小の単位。助詞・助動詞も別単語。
もっと知る ── 発展・実生活(出典つき)
※ 教科書の内容に、信頼できる出典をもとにした発展・実生活・時事の話題を補足しています(教科書そのものではありません)。
コンピュータも「単語に区切る」── 形態素解析発展
文を意味のある最小の単位(形態素=ほぼ単語)に区切り、品詞などの情報を付ける技術を「形態素解析」といいます。日本語は英語と違って語と語の間に空白を入れない(分かち書きしない)ため、どこが1単語かが機械にはわかりにくく、検索や翻訳のためにこの技術が研究されています。授業で学ぶ「単語に分ける」作業を、コンピュータも行っているのです。
言語研究の現場でも使う「短単位」と「長単位」発展
国立国語研究所が作った大規模な日本語データ(現代日本語書き言葉均衡コーパス)では、言葉を「短単位」と「長単位」の2種類に区切って分析します。短単位は意味を持つ最小の単位を文節の範囲内でまとめたもの、長単位は文節を自立語の部分と付属語の部分に分けたもので、授業で習う単語・文節・自立語・付属語の考え方がそのまま研究の土台になっています。
災害時に命を守る「やさしい日本語」実生活
1995年の阪神・淡路大震災では、日本語も英語も十分に理解できず必要な情報を受け取れなかった外国人が多く被害を受けました。これをきっかけに、日本語が不慣れな人にも情報を素早く正確に伝えるために考案されたのが「やさしい日本語」です。文を短く区切り、わかりやすい言葉で伝える工夫は、文や文節という言葉の単位を意識することと深くつながっています。
ニュースをやさしい言葉で ── NHK NEWS WEB EASY実生活
NHKは、日本に住む外国人や子どもに向けて、できるだけやさしい日本語でニュースを伝える「NEWS WEB EASY(やさしいことばニュース)」を公開しています。難しい内容を短く区切ってわかりやすく伝えるには、一文の長さや言葉の単位を意識することが欠かせません。言葉の単位の学習は、自分の文章を読みやすく整える力にもつながります。
