文には「だれが/どうした」の骨組みがある
どんなに長い文も、骨を抜き出すと 「だれが/どうした」 の2つに行き着きます。この2つを 主語と述語といいます。
①犬が / 走る。 ── 主語:犬が/述語:走る
②空が / 青い。 ── 主語:空が/述語:青い
③父は / 教師だ。 ── 主語:父は/述語:教師だ
④机の上に / 本が / ある。 ── 主語:本が/述語:ある
述語は文末にある(日本語の特徴)
日本語の述語は、ほぼ 文の最後にあります。これは英語など他の言語と大きく違うところです。
- 日本語:主語 → ・・・ → 述語(最後)
- 英語:主語 → 述語 → ・・・(2番目)
「私は昨日 公園で 弟と サッカーを した。」── 述語の「した」は最後にきます。日本語の文を読むときは、まず 文末の述語を確認するのがコツです。
述語の4タイプ
述語の形は4種類あります。「何が/だ」「何が/する」など、文の意味の核を決めます。
①どうする(動作) ── 鳥が 飛ぶ。
②どんなだ(性質) ── 空が 青い。
③何だ(同じである) ── 父は 教師だ。
④ある/いる(存在) ── 庭に 犬が いる。
主語は省略されることがある
日本語では、わかる場合 主語を省略することがよくあります。
①「明日も来ます。」 ── 主語「私が」が省略されている。
②会話で「行こうか?」 ── 主語「あなた・私たちが」が省略されている。
- 「主語をぬき出しなさい」と言われたら、文中にある場合のみそのまま答える。
- 「主語を補いなさい」と言われたら、文脈から「私が」「彼が」など補って答える。
修飾語 ── 言葉をくわしくする働き
主語と述語だけでは骨だけです。「いつ」「どこで」「どのように」「どんな」といった内容を加えるのが 修飾語です。
文白い 鳥が 空を 高く 飛ぶ。
①「白い」 → 「鳥が」をくわしくする(どんな鳥?)
②「空を」 → 「飛ぶ」をくわしくする(どこを?)
③「高く」 → 「飛ぶ」をくわしくする(どう?)
修飾語には2種類ある
修飾の 受け手 によって、修飾語は2タイプに分かれます。
- 連体修飾語(れんたいしゅうしょくご):名詞(体言) をくわしくする。「白い/鳥」「美しい/花」
- 連用修飾語(れんようしゅうしょくご):動詞・形容詞・形容動詞(用言) をくわしくする。「ゆっくり/走る」「とても/速い」
「体言」は名詞のこと、「用言」は動詞・形容詞・形容動詞のこと。これは品詞の単元でくわしくやります。
修飾語の「かかり方」を矢印で確認
修飾語がどこにかかるかを、文の中で 矢印で示す問題がよく出ます。
①赤い → 帽子を(連体修飾)
②帽子を → かぶった(連用修飾)
③かぶった → 少女が(連体修飾)
④公園で → 遊ぶ(連用修飾)
骨主語:少女が/述語:遊ぶ
- 「白い 大きな 鳥が 飛ぶ。」── 「白い」「大きな」はどちらも「鳥が」にかかる。「飛ぶ」ではない。
- 判定のコツ:意味が通じる方にかかると考える。「白い飛ぶ」は意味が通じない。
文の種類 ── 単文・重文・複文
文は、主語・述語の数と関係によって3つの種類に分けられます。
①文の中の主語・述語の組がいくつあるか数える。1組だけなら単文。
②2組以上あるとき、それぞれが対等に並んでいれば重文。
③2組以上あるとき、一方がもう一方を修飾する関係(節)になっていれば複文。
教科書で確認した読解へのつなげ方
- 主語・述語は、文の意味の骨組みをつかむための道具。まず述語を見つけてから主語を探す。
- 修飾語は「どの言葉をくわしくしているか」を矢印で結ぶと、読み違いを防げる。
- 日本語では主語が省略されることが多いので、前後の文脈から補って読む。
- 修飾語は直後の語だけでなく、少し離れた述語にかかることがある。
- 「何が・どうした」「何を・どうした」の組に戻すと、文の中心が見えやすい。
この章でつまずきやすいところ
主語・述語・修飾語は、ぱっと読むと簡単そうですが、本文を読み進めるうちに「これってどこにかかってる?」と止まってしまう瞬間が必ず出てきます。ここでは、読んでいる途中に起きやすい迷いを4場面に分けて整理します。
文頭の言葉を必ず主語と思い込んでしまう
- つまずく場面:「机の上に本がある。」を読んでいて、最初に出てきた「机の上に」をそのまま主語だと考えてしまう場面。日本語は文末から戻って主語を決めるのに、文の先頭から順に「これが主語かな」と当てにいって迷子になる。
- 克服のコツ:見分け方は時系列で固定する。①先に文末の述語を確定する→②その述語に対して「何が・誰が」と問い直す→③答えに当たる文節だけを主語にする、という順番を守る。文頭にあるかどうかは関係なく、述語との対応で主語が決まる。
- ミニ例:「机の上に/本が/ある。」では、まず述語「ある」を押さえる。次に「何がある?」と問えば「本が」と返ってくるので、主語は「本が」。「机の上に」は修飾語にまわる。
「白い」がどこにかかるか途中で分からなくなる
- つまずく場面:「白い鳥が高く飛ぶ。」を読み進めるとき、「白い」が「鳥が」にかかるのか、それとも「飛ぶ」にかかるのか迷う場面。形容詞だから動詞「飛ぶ」につながるのでは、と引っぱられて手が止まる。
- 克服のコツ:見分け方は意味が通るかで判定する。連体修飾語は名詞(体言)をくわしくし、連用修飾語は動詞・形容詞・形容動詞(用言)をくわしくする。「白い飛ぶ」は意味が通らず、「白い鳥」は通る。意味が通る組み合わせの方が、その修飾語のかかり先になる。
- ミニ例:「白い/鳥が/空を/高く/飛ぶ。」では、「白い」→「鳥が」(連体修飾)、「空を」「高く」→「飛ぶ」(連用修飾)。「白く飛ぶ」とは言えないので、「白い」は「飛ぶ」にはかからない。
主語が見つからない文を「間違い」と決めつけてしまう
- つまずく場面:「昨日、本屋で立ち読みをした。」を読んで、文中に「私が」や「彼が」が出てこないことに気づき、「主語が抜けているから不完全な文だ」と判断してしまう場面。テストでも空欄に何を書けばよいか分からず止まる。
- 克服のコツ:因果関係で整理する。日本語は会話や文脈で分かる主語をしばしば省略するため、文中に主語がない=間違い、ではない。設問に「ぬき出しなさい」とあれば文中にある場合のみ答え、「補いなさい」とあれば前後の文脈から「私が」「弟が」などを足して答える、と対応を分ける。
- ミニ例:「昨日、本屋で立ち読みをした。」だけなら、動作主が文中にないので「私が」と補う。直前に「弟は学校から帰ると」とあれば、それに合わせて「弟が」を補う。
修飾語が「すぐ隣の語」にかかると思い込んでしまう
- つまずく場面:「赤い帽子をかぶった少女が公園で遊ぶ。」を読みながら、「公園で」を直後の「遊ぶ」ではなく、近い「少女が」にかけて読んでしまう場面。修飾語は隣の語に必ずかかると思っていると、骨組み(少女が/遊ぶ)が見えなくなる。
- 克服のコツ:位置関係ではなく、意味のかかり先で判断する。修飾語は直後の語だけでなく、少し離れた述語にかかることもある。判定の手順は、①その文節を外しても文の骨が残るかを確認→②「何が・どうした」「何を・どうした」の組に戻す→③意味が通る相手を選ぶ、の3ステップ。
- ミニ例:「赤い/帽子を/かぶった/少女が/公園で/遊ぶ。」では、骨は主語「少女が」・述語「遊ぶ」。「公園で」は隣の「少女が」ではなく、離れた「遊ぶ」にかかる(連用修飾)。
練習問題
- 桜の花が満開だ。
- 弟は元気な子どもだ。
- 図書館にたくさんの本がある。
答えを見る
(1) 主語:花が 述語:満開だ
(2) 主語:弟は 述語:子どもだ
(3) 主語:本が 述語:ある(「図書館に」は修飾語)
- 太郎は学生だ。
- 風がそよぐ。
- この本はおもしろい。
- 机の上に時計がある。
答えを見る
(1) 何だ(同じである)
(2) どうする(動作)
(3) どんなだ(性質)
(4) ある/いる(存在)
答えを見る
「小さな」 → 子どもが(連体修飾)
「大声で」 → 泣く(連用修飾)
骨:主語=子どもが 述語=泣く
「昨日、本屋で立ち読みをした。」
答えを見る
私が(または「私は」)
この文の動作主は文中に出ていないので「私」と補う。文脈に「彼は」「弟は」などの主体が示されていれば、それに合わせる。
まとめ
- 文の骨組みは 主語(何が)+述語(どうした)。
- 日本語の 述語は文末にくる。文を読むときは、まず文末を確認する。
- 述語のタイプは どうする/どんなだ/何だ/ある・いる の4種類。
- 主語は 省略されることがある。「補いなさい」と聞かれたら文脈から補う。
- 修飾語は 連体修飾(名詞をくわしくする)と 連用修飾(用言をくわしくする)の2種類。
- 文は主語・述語の数と関係で 単文(1組)・重文(対等な2組以上)・複文(修飾する節を含む)の3種類に分かれる。
もっと知る ── 発展・実生活(出典つき)
※ 教科書の内容に、信頼できる出典をもとにした発展・実生活・時事の話題を補足しています(教科書そのものではありません)。
「述語が文末」は世界では多数派発展
日本語のように述語(動詞)が文末に来る語順をSOV型といいます。国立国語研究所の調査紹介によると、世界の言語ではSOV型が約48.5%で最も多く、英語のようなSVO型(約38.7%)より優勢です。「述語が最後」は日本語だけの変わった特徴ではなく、世界では主流の組み立て方なのです。
主語・述語をはっきりさせる「やさしい日本語」実生活
出入国在留管理庁と文化庁は、日本に住む外国の人へ情報を伝えるための「やさしい日本語ガイドライン」を作っています。そのコツの一つが、一文を短くし、主語と述語の関係を分かりやすくすることです。文の骨組みを意識する力は、外国の人にも伝わる文章を書くときにそのまま役立ちます。
省略は日本語の個性発展
日本語は、前後の文脈で分かることなら主語・目的語・述語さえも省略して通じ合える言語だと、通訳の専門家団体も指摘しています。だから「主語がない文」は間違いではなく、日本語らしさの一つなのです。読むときは、省略された主語を文脈から補って考える習慣が大切になります。
略語は効率よく伝えるための工夫実生活
国立国語研究所のことば研究館は、「ケータイ」のような略語について、本来の言い方の一部を省略した言葉で、同じ内容をより短い語形で言い表せるため効率的に情報を伝えるのに好都合だと説明しています。ただし、これは一つ一つの語を短くする工夫であって、文から主語が省かれることとは別の話です。文を組み立てるときは、語の省略と主語・述語の省略を分けて考えましょう。
文末まで聞かないと意味が決まらない発展
日本語は述語が文末に来るため、最後まで聞かないと「した」のか「しない」のかが確定しません。英語は主語の次に動詞が来るので、日英の同時通訳ではこの語順の違いが大きな壁になります。文を読むときまず文末の述語を確認するコツは、プロの通訳が情報を整理するときの考え方にも通じています。
