文節どうしには関係がある
文の中で となり合う文節 は、ばらばらに置かれているわけではありません。次のような関係で結びついています。
中1で覚える文節の関係
- 主語・述語の関係 ── 「だれが/どうした」
- 修飾・被修飾の関係 ── くわしくする側/される側
- 並立(へいりつ)の関係 ── 同じはたらきが並ぶ
- 補助の関係 ── 主の文節に意味を添える
①②は前の単元で扱いました。ここでは③と④を中心に見ます。
並立の関係 ── 対等に並ぶ
並立の関係とは、2つ以上の文節が 同じ資格 で並ぶ関係です。順序を入れかえても文の意味が変わらないのが特徴。
①父と母が来る。── 「父」「母」が並立。「母と父」でも意味は同じ。
②赤い 大きな 風船。── 「赤い」「大きな」が並立で「風船」を修飾。
③本を 読んだり 書いたり する。── 「読んだり」「書いたり」が並立。
補助の関係 ── 後ろが意味を添える
補助の関係は、後ろの文節が「補助動詞・補助形容詞」として、前の文節に 意味を添える 関係。前の文節がメインで、後ろは「進行」「依頼」「願望」などの色をつける役。
①走って いる。── 「いる」は「〜ている(進行)」を添える補助動詞。
②書いて みる。── 「みる」は「試しに〜する」を添える。
③食べて しまう。── 「しまう」は「完了・残念」を添える。
④うれしく ない。── 「ない」は「打消し」を添える補助形容詞。
- 「金が ない。」 ── これは 形容詞「ない」(存在しない、の意味)。補助ではない。
- 「うれしく ない。」 ── これは 補助形容詞「ない」(前を打ち消す)。
- 判定:「は」を入れて自然なら補助。「うれしくはない」○/「金がはない」×。
主述・修飾被修飾との見分け
4つの関係を比べる練習をします。
①白い ── 花が(連体修飾の関係)
②花が ── 咲いて(主語・述語の関係。文の骨)
③美しく ── 咲いて(連用修飾の関係)
④咲いて ── いる(補助の関係)
独立語(参考)
中2以降で詳しく扱いますが、文の中で 他とつながらず独立して使われる文節 もあります。これを 独立語といいます。
- 「はい、わかりました。」── 応答の「はい」
- 「ああ、きれいだ。」── 感動の「ああ」
- 「春、それは新しい始まりだ。」── 提示の「春」
独立語は他の文節と関係をもちません。これを 独立の関係と呼びます。
5つの関係を表で整理
| 関係 | 特徴 | 例 |
|---|---|---|
| 主・述 | 何が/どうした | 花が/咲く |
| 修飾・被修飾 | くわしくする/される | 白い/花 |
| 並立 | 対等に並ぶ(入替可) | 父と/母 |
| 補助 | 後ろが意味を添える | 走って/いる |
| 独立 | 他とつながらない | はい、わかりました |
連文節 ── 2つ以上の文節が1つの成分になる
並立や補助の関係で結ばれた文節は、2つ以上まとまって 1つの文の成分(主部・述部・修飾部など)としてはたらくことがあります。これを 連文節といいます。
白い 花が/美しく咲いた。── 「白い」「花が」の2文節(連体修飾の関係)がまとまって主部。
父と母が/出かけて しまった。── 「出かけて」「しまった」の2文節(補助の関係)がまとまって述部。
教科書で確認した関係の見分け
- 文節どうしの関係は、主述・修飾・接続・独立・並立・補助の順に確認すると迷いにくい。
- 並立は同じ働きの文節が対等に並ぶ関係。片方だけではなく、まとまりで一つの成分になる。
- 補助は「走っている」「読んでみる」のように、後ろが前の意味を補う関係。
- 「鳥が飛んでいる」の「いる」は進行を添える補助。
- 「公園にいる」の「いる」は存在を表す中心の述語。
この章でつまずきやすいところ
「走っている」「赤くて大きい」のような並立・補助の関係は、文を読んでいる途中に「これは修飾?それとも別物?」と手が止まりやすい場面です。ここでは本文の例に沿って、迷いやすい4つの具体場面とその抜け道を整理します。
「~て」「~たり」で結ばれた二文節を修飾の関係と思い込んでしまう
- つまずく場面:本文の「赤くて 大きい 風船」を読んだとき、「赤くて」が「大きい」を修飾しているのか、それとも「赤くて」と「大きい」が対等に並んで一緒に「風船」へかかるのかで迷い、線を結ぶ相手を決められず止まってしまう場面。
- 克服のコツ:見分け方として、対象を「~て」「~たり」「~や」「~と」で結ばれた二文節に限定したうえで、入れかえても意味が変わらないかを試す。入れかえて自然なら同じ資格で並ぶ並立、入れかえて不自然なら片方がもう片方を詳しくする修飾。並立はまとまりで一つの成分として後ろの文節へかかる、と意識する。
- ミニ例:「赤くて 大きい 風船」は「大きくて 赤い 風船」と入れかえても自然で、「赤くて」と「大きい」が同じ資格で「風船」にかかるので並立。一方「とても 速く 走る」は「とても」が「速く」を修飾しており、「速く とても 走る」と入れかえると不自然になるので修飾の関係。
補助の「いる」を独立した述語と読み取ってしまう
- つまずく場面:本文の「鳥が 飛んで いる」を読んでいる途中、「いる」を見て『そこに存在している』という意味で受け取り、「飛んで」と「いる」を別々の述語のように扱ってしまう場面。
- 克服のコツ:位置関係を確認する。直前に「て」が付いていれば、後ろの文節は前の動作に意味を添える補助動詞である可能性が高い。「て+いる/ある/みる/しまう/おく」の形を見たら、まとまりで一つの述語と捉える。
- ミニ例:「公園に いる」は「て」がないので存在を表す独立動詞。「走って いる」は「て」が付いているので進行を添える補助動詞で、「走って/いる」全体が一つの述語のはたらき。
「書いて いない」のような補助の関係を二つの述語と読み取ってしまう
- つまずく場面:本文の「まだ 書いて いない」を読んでいる途中、「書いて」と「いない」を別々の述語のように扱い、「いない」を独立した動詞として受け取って文節相互の関係を見失う場面。
- 克服のコツ:位置関係を確認する。前の文節が「~て」「~で」の形で終わり、後ろが「いる/ある/みる/しまう/おく」やその打消し形(「いない」「ない」など)であれば、二文節は補助の関係でひとまとまりの述語として働く。品詞の細かな区別(補助形容詞か助動詞かなど)は別の章にゆだね、ここでは「補助の関係かどうか」だけを判定する。
- ミニ例:「書いて いない」は「書いて」のあとに補助動詞「いる」の打消し形が続いており、二文節で一つの述語のはたらきをする補助の関係。一方「金が ない」は前に「て/で」がなく、「ない」が単独で存在しないことを表す述語なので補助の関係ではない。
線で結ばれた文節をすぐ隣の文節へ係らせてしまう
- つまずく場面:「白い 花が 美しく 咲いて いる」で「美しく」の係り先を聞かれたとき、すぐ隣の「咲いて」ではなく「花が」に引っぱられて、近い方を反射的に答えそうになる場面。
- 克服のコツ:見分け方として、修飾語は必ず直後の文節に係るとは限らないことを思い出し、まず述語を探してからそこへ自然につながる文節を逆にたどる。「美しく」が説明しているのは「どんな様子で?」なのか「どんな花?」なのかを意味で確かめる。
- ミニ例:「白い 花が 美しく 咲いて いる」では、述語は「咲いて いる」。「美しく」は「咲いて」に係る連用修飾で、「白い」は「花が」に係る連体修飾と整理できる。
練習問題
- 赤い 花が 咲く。(「花が」と「咲く」)
- 父と 母が 出かける。(「父と」と「母が」)
- 本を 読んで いる。(「読んで」と「いる」)
- 春の 風が ふく。(「春の」と「風が」)
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(1) 主語・述語の関係
(2) 並立の関係(「父と母」が一体で主語)
(3) 補助の関係(「いる」が進行の意味を添える)
(4) 修飾・被修飾の関係(「春の」が「風が」を連体修飾)
- 太郎は 速く 強く 走る。
- とても 速く 走る。
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(1) 並立。「速く」「強く」を入れかえても意味が同じ。両方が「走る」を修飾。
(2) 修飾。「とても」が「速く」をくわしくしている(修飾語が修飾語にかかる二段重ね)。入れかえると不自然。
- 机の上に本が ある。
- 窓は開けて ある。
- 弟が公園に いる。
- 弟は走って いる。
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(1) 独立動詞(存在の「ある」)
(2) 補助動詞(「〜てある」状態の意味を添える)
(3) 独立動詞(存在の「いる」)
(4) 補助動詞(「〜ている」進行の意味を添える)
判定のコツ:直前に「て」が付いていれば補助の可能性が高い。
まとめ
- 文節どうしの関係は 主述/修飾被修飾/並立/補助/独立 の5つ。
- 並立の関係:対等に並ぶ。順序を入れかえても意味が変わらない。
- 補助の関係:「〜ている」「〜てある」「〜てみる」など、後ろが意味を添える。
- 「ない」「いる」「ある」が補助か独立かは、前に「て」があるかで見分ける。
もっと知る ── 発展・実生活(出典つき)
※ 教科書の内容に、信頼できる出典をもとにした発展・実生活・時事の話題を補足しています(教科書そのものではありません)。
補助の文節は役所の文書でも「かな書き」が原則実生活
国の文書づくりの方針「公用文作成の考え方」は、「~て見る→てみる」「~て行く→ていく」のように補助的な働きの動詞は仮名で書くと定めています。授業で習う補助の関係(前を助ける文節)は、漢字と仮名を書き分ける実際のルールにそのままつながっています。
分かりやすい公用文は「係り先」をはっきりさせる実生活
同じ「公用文作成の考え方」は、文を書くときの注意点として「主語と述語の関係が分かるようにする」「係る語とそれを受ける語は近くに置く」ことをあげています。授業で学ぶ「述語からたどって係り先を確かめる」読み方は、伝わる文章を書く力に直結します。
コンピューターも「文節の係り受け」で文を理解する発展
日本語の文の意味を機械に理解させるには、文節どうしの依存関係(係り受け)を特定することが最も必要になります。研究では、文の組み立てを表す情報として「文節間の係り受け構造」を採用し、機械翻訳や要約などに利用してきました。授業の「係り先さがし」は、コンピューターも行う作業なのです。
AIに言葉を教えるには「文の組み立て」が欠かせない発展
国立国語研究所は、文の構造を理解する作業は人の頭の中では無意識に行われるが、コンピューターにさせるのは難しいと説明します。そこで文節の係り受けなど文法情報をつけた「統語コーパス」をつくり、自動翻訳やAIの開発に役立てています。文の骨組みをつかむ学習は、最先端技術の土台でもあります。
長い修飾は「分ける」のが伝わる文のコツ実生活
「公用文作成の考え方」は、複数の修飾節が一つの述部に掛かるときは長いものから示すか、できれば文を分けるとよいとしています。修飾・被修飾の関係を意識して係り先を整理すると、読み手が迷わない文章になります。一文を短くする工夫とあわせて使える実用の技です。
