単語は2グループに分けられる
日本語の単語は、まず大きく2つに分けられます。
- 自立語(じりつご) ── それだけで意味がわかる単語。1つで文節を作れる。
- 付属語(ふぞくご) ── 単独では使えず、自立語にくっついて文節の一部になる単語。
大事なルールは 「1文節に自立語は1つだけ。付属語は0個以上」。これさえ覚えれば、文節の構造はほとんど見えます。
自立語 ── それだけで意味がわかる
①犬(名詞) ── これだけで「犬」とわかる。
②走る(動詞) ── 「走る」だけで動作がわかる。
③美しい(形容詞) ── 「美しい」だけで性質がわかる。
④ゆっくり(副詞) ── 「ゆっくり」で動作のようすを表す。
辞書を引いたら見つかるのは、ほぼ 自立語です。
付属語 ── くっついて意味を補う
①は・を・に・へ・の・と ── 助詞(関係を示す)
②た・れる・られる・ない・ます・う ── 助動詞(意味を添える)
「は」だけ言われても何のことかわかりません。「学校+は」「行き+ます」 のように、自立語に付くことで初めて働きます。
文節の組み立て ── 自立語1+付属語0以上
文節の中での順番には決まったルールがあります。
文節1「私は」 = 私(自立語・名詞) + は(付属語・助詞)
文節2「学校へ」 = 学校(自立語・名詞) + へ(付属語・助詞)
文節3「行きました」 = 行き(自立語・動詞「行く」の活用形) + まし(付属語・助動詞「ます」の活用形) + た(付属語・助動詞)
1つの文節に自立語が2つ出てくることはありません。これが 文節の見分けの根拠です。
活用するか/しないかの違い
自立語にも付属語にも、それぞれ 活用するもの と 活用しないもの があります。活用とは、後ろに何がつくかで 語尾が変わる ことです(「行く/行き/行か/行け」など)。
| 自立語/付属語 | 活用する | 活用しない |
|---|---|---|
| 自立語 | 動詞・形容詞・形容動詞(用言) | 名詞・副詞・連体詞・接続詞・感動詞 |
| 付属語 | 助動詞 | 助詞 |
この表が、次の単元で扱う 10品詞の見取り図 の骨格になります。
見分けのコツ ──「○○は」で言えるか
自立語か付属語かを見分けるとき、もっとも簡単な方法は 「単独で言って意味がわかるか」。
①「学校」と言ってわかる → 自立語
②「へ」と言ってもわからない → 付属語
③「美しい」と言ってわかる → 自立語
④「ました」と言ってもわからない → 付属語
教科書で確認した単語分類の軸
- 一文節には、原則として自立語が一つ入る。付属語はその後ろに複数続くことがある。
- 自立語は単独で文節を作れる語、付属語は単独では文節を作れない語。
- 付属語は助詞と助動詞だけなので、迷ったら「活用するか」で助動詞を見分ける。
- 「読まない」は動詞に付く助動詞。
- 「本がない」は存在を表す形容詞。前の語とのつながりで判定する。
この章でつまずきやすいところ
「私は学校へ行く。」を単語に分けている途中で、「は」「へ」をどう扱うかで手が止まる中1は多いはずです。ここでは本文の例に沿って、自立語と付属語の見分けを途中で迷う4つの具体場面と、その抜け道を整理します。
辞書に載っていない「は」「へ」を単語として数え忘れてしまう
- つまずく場面:本文の「私は学校へ行く。」を5つの単語に区切る途中、辞書を引ける「私」「学校」「行く」の3つだけが頭に浮かび、「は」「へ」を数に入れるべきか迷って手が止まる場面。
- 克服のコツ:見分け方として、辞書に項目があるかどうかは自立語か付属語かの目印であって、単語として数えるかどうかの基準ではないと押さえる。文節を作れなくても、自立語にくっついて働く語は付属語という独立した単語として数える。
- ミニ例:「私/は/学校/へ/行く」は単語5つ。辞書に載るのは「私」「学校」「行く」の自立語3つで、「は」「へ」は付属語の助詞として残り2つに数える。
1文節に自立語が2つあると思い込んでしまう
- つまずく場面:本文の「父は静かに新聞を読んでいる。」を文節ごとに分解している途中、「読んで」と「いる」がどちらも動詞に見えてしまい、1文節の中に自立語が2つ入っているように感じて区切り方に迷う場面。
- 克服のコツ:位置関係として、文節の先頭は必ず自立語1つだけというルールに立ち戻る。後ろの「いる」が前の動作に意味を添える補助動詞のときは、教科書では「読んで/いる」を別々の文節として数え、それぞれが独立した1文節を作っていると整理する。
- ミニ例:「父は/静かに/新聞を/読んで/いる。」と区切れば、各文節の自立語は「父」「静かに」「新聞」「読んで」(動詞「読む」の連用形+接続助詞「て」)「いる」(補助動詞)。補助動詞「いる」は独立した文節を作るため、1文節に自立語は1個+付属語0個以上のルールは保たれる。
「ない」を見るたびに形容詞だと決めつけてしまう
- つまずく場面:問題の単語リストで「読まない」の「ない」を見たとき、本文で習った「本がない」の「ない」と同じ形に見えてしまい、自立語の形容詞なのか付属語の助動詞なのかを判断できずに手が止まる場面。
- 克服のコツ:見分け方として、「ない」の直前にある語に注目する。直前が動詞の未然形(「読ま」「行か」など)なら付属語の助動詞、直前が体言+助詞(「本がない」など)や形容詞の連用形(「美しくない」など)なら自立語の形容詞(補助形容詞を含む)と整理する。
- ミニ例:「本がない」は直前が体言+助詞「が」なので存在を表す自立語の形容詞。「読まない」は直前が動詞の未然形「読ま」なので付属語の助動詞として区別する。
「行きました」のような末尾を一語のかたまりで読んでしまう
- つまずく場面:本文の「行きました」を自立語と付属語に分ける途中、見た目が一つの動詞のように感じられ、どこまでが自立語「行く」で、どこからが付属語なのか切れ目をうまく入れられずに止まる場面。
- 克服のコツ:時系列として、まず自立語にあたる動詞・形容詞などを終止形で先に押さえる(「行きました」なら動詞「行く」)。残りの「まし」「た」のように単独では言い切れない語が連なっていれば、それらは助動詞の連続だと考えてよい。
- ミニ例:「行きました」は行く(自立語・動詞、ここでは連用形「行き」)+ます(付属語・助動詞、ここでは連用形「まし」)+た(付属語・助動詞)の3単語に分かれ、自立語は最初の1つだけになる。
練習問題
- 本
- を
- 読む
- ない
- とても
- そして
答えを見る
(1) 自立語(名詞)
(2) 付属語(助詞)
(3) 自立語(動詞)
(4) 付属語(助動詞)── 補助形容詞の「ない」もあるが、「読まない」の「ない」のように直前に動詞があれば助動詞。
(5) 自立語(副詞)
(6) 自立語(接続詞)
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文節1「弟は」 = 弟(自立語・名詞) + は(付属語・助詞)
文節2「本を」 = 本(自立語・名詞) + を(付属語・助詞)
文節3「読まなかった」 = 読ま(自立語・動詞) + なかっ(付属語・助動詞「ない」の活用形) + た(付属語・助動詞)
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5つ
父(名詞)/静かに(形容動詞)/新聞(名詞)/読んで(動詞)/いる(補助動詞)
※「いる」は補助動詞だが、品詞はあくまで動詞であり自立語に数える。
まとめ
- 単語は 自立語 と 付属語 に大別される。
- 自立語はそれだけで意味がわかり、1つで文節を作れる。
- 付属語は単独では使えず、自立語の後ろにくっつく。助詞・助動詞 の2品詞のみ。
- 1文節のルール:自立語1個+付属語0個以上。文節の先頭は必ず自立語。
- 自立語・付属語のそれぞれに 活用するもの/しないもの がある。これが10品詞の見取り図につながる。
もっと知る ── 発展・実生活(出典つき)
※ 教科書の内容に、信頼できる出典をもとにした発展・実生活・時事の話題を補足しています(教科書そのものではありません)。
AIが文を読むとき、まず「単語に区切る」── 形態素解析発展
コンピュータが日本語を扱うときは、まず文を単語に区切り、それぞれに品詞や読みの情報をつけます。これを形態素解析といい、英語と違って分かち書きしない日本語では「私/は/勤め/て/います」のように助詞や助動詞まで切り分けることが難しい課題です。自立語と付属語を正しく見分ける力は、検索エンジンや文章解析の技術にもそのまま使われています。
助動詞「れる・られる」の変化 ── 「見れた」が「見られた」を上回った実生活
「見られた」の「ら」を省く“ら抜き言葉”は、可能を表す助動詞「られる」が形を変えてきた例です。文化庁の平成27年度「国語に関する世論調査」では、「見れた」(48.4%)が初めて「見られた」(44.6%)を上回り、16〜19歳では「見れた」が76.2%に達しました。たった一語の付属語が、世代によって使われ方を変えていることがわかります。
敬語の「れる・られる」は付属語が意味を添える例発展
「先生が来られる」「社長が話される」のように、尊敬の気持ちを表すのも助動詞「れる・られる」の働きです。文化庁の「敬語の指針」では敬語を尊敬語・謙譲語I・謙譲語II・丁寧語・美化語の5種類に整理し、「れる」を尊敬語の一つとして説明しています。自立語(動詞)に付く付属語が、相手への敬意という意味まで担っているのです。
国の調査が毎年「言葉の使い方」を記録している実生活
文化庁は平成7年度(1995年)から毎年「国語に関する世論調査」を行い、全国16歳以上の人を対象に言葉づかいや慣用句の使い方を調べています。助詞・助動詞をふくむ言い方が時代とともに変わる様子が、こうして公的なデータとして残されています。自分が使う一語一語が、日本語全体の記録の一部になっていると考えると面白いですね。
