動詞とは ── 動作・存在を表す用言
動詞は 述語になれます。「彼は走る。」「鳥がいる。」── どちらも述語が動詞です。
動詞は活用する ── 後ろの言葉で語尾が変わる
活用とは、後ろにつく言葉によって 語尾 が規則的に変わることです。
①書か(ない) ── ア段
②書き(ます) ── イ段
③書く(。) ── ウ段(言い切り)
④書く(とき) ── ウ段
⑤書け(ば) ── エ段
⑥書け(!) ── エ段(命令)
変わらない部分(「書」)を 語幹(ごかん)、変わる部分(「か・き・く・け」)を 活用語尾といいます。
6つの活用形
後ろにつく言葉ごとに、活用形には名前がついています。
| 活用形 | 主な後続 | 「書く」 |
|---|---|---|
| 未然形 | ない・う・よう | 書か(ない) |
| 連用形 | ます・た・て | 書き(ます) |
| 終止形 | 言い切り(。) | 書く(。) |
| 連体形 | 体言(とき・人など) | 書く(とき) |
| 仮定形 | ば | 書け(ば) |
| 命令形 | 命令で言い切り | 書け(!) |
「ない・ます・とき・ば」をつけてみれば、活用形が見分けられます。これが 活用形判定の基本テクニックです。
5つの活用の種類
動詞は活用のしかたで 5種類に分けられます。
- 五段活用 ── 語尾がア・イ・ウ・エ・オの5段で変わる。例「書く・話す・読む」
- 上一段活用 ── 語尾が「イ段」中心。例「見る・起きる・着る」
- 下一段活用 ── 語尾が「エ段」中心。例「食べる・寝る・受ける」
- カ行変格活用(カ変) ── 「来る」のみ。例外的な活用。
- サ行変格活用(サ変) ── 「する」と「〜する」の複合動詞。例「勉強する」
活用の種類を見分ける ──「ない」をつける
動詞に 「ない」をつけて、その直前の音を見るのが見分けの王道です。
- ア段 → 五段活用(書かない)
- イ段 → 上一段活用(見ない=「み」はイ段)
- エ段 → 下一段活用(食べない=「べ」はエ段)
①「歩く」 ── 歩かない(ア段) → 五段
②「起きる」 ── 起きない(イ段) → 上一段
③「受ける」 ── 受けない(エ段) → 下一段
④「来る」 ── 来ない(「来」を「こ」と読む) → カ変
⑤「勉強する」 ── 勉強しない → サ変
五段活用の全活用
もっとも代表的な五段活用「書く」を例に、6つの活用形をすべて並べます。
未然:書か(ない)・書こ(う)
連用:書き(ます)・書い(た) ※「い」は音便
終止:書く(。)
連体:書く(とき)
仮定:書け(ば)
命令:書け(!)
- 「書き+て」 → 「書いて」(イ音便)
- 「読み+て」 → 「読んで」(撥音便)
- 「立ち+て」 → 「立って」(促音便)
- これらも連用形の一種。形は変わっても活用形は連用形のままです。
上一段・下一段の特徴
上一段は 「い」段、下一段は 「え」段 の音が中心。両者とも、語幹と語尾の切れ目が ル の前で起きます。
見る → 見(ない)/見(ます)/見る(。)/見る(とき)/見れ(ば)/見ろ(!)
食べる → 食べ(ない)/食べ(ます)/食べる(。)/食べる(とき)/食べれ(ば)/食べろ(!)
語尾の音が「イ段」だけ/「エ段」だけで動くのが特徴。
カ変・サ変は丸暗記
「来る」と「する」は完全に特殊なので、活用表を覚えるのが早道です。
未然:こ(ない) 連用:き(ます) 終止:くる 連体:くる 仮定:くれ 命令:こい
読み方が「こ・き・く・く・くれ・こい」と変わるのが特徴。漢字「来」の読みも変わる。
未然:し(ない)・せ(ぬ)・さ(れる) 連用:し(ます) 終止:する 連体:する 仮定:すれ 命令:しろ・せよ
未然形が3種類(し・せ・さ)あるのが要注意。
自動詞と他動詞
動詞は、「〜を」という対象(目的語)を必要とするかどうかでも分類できます。
①「〜を+動詞」の形が自然に作れるか確かめる。作れれば他動詞。
②「〜が+動詞」の形で、動作主の働きかけなしに起こる変化を表せば自動詞。
| 自動詞(〜が) | 他動詞(〜を) |
|---|---|
| 開く(ドアが開く) | 開ける(ドアを開ける) |
| 閉まる(窓が閉まる) | 閉める(窓を閉める) |
| 落ちる(本が落ちる) | 落とす(本を落とす) |
| 上がる(値段が上がる) | 上げる(値段を上げる) |
| 決まる(予定が決まる) | 決める(予定を決める) |
- 「歩く」「笑う」のように、自動詞しか存在しない動詞も多い。
- 「食べる」「読む」のように、他動詞しか存在しない動詞も多い。
- ペアがある動詞は活用の種類(五段・下一段など)が異なることが多いので、まとめて覚えておくと便利。
教科書で確認した動詞判定の軸
- 動詞は動作・作用・存在を表し、言い切りがウ段の音で終わる。
- 活用の種類は「ない」を付けた形で見る。五段はア段、上一段はイ段、下一段はエ段に変わる。
- 「来る」「する」は数が少ないので、カ変・サ変としてそのまま覚える。
- 未然形・連用形などは後ろに続く言葉で決まる形。
- 五段・上一段などは、その動詞そのものの変わり方の種類。
この章でつまずきやすいところ
動詞の単元は、活用表を読んでいる途中で「いまどの話だっけ?」と迷いがちです。活用形と活用の種類を取り違えたり、「る」で終わる動詞をまとめて一段だと思い込んだり。読み進める途中で起きる典型的な迷いを、見分け方の手順で整理します。
活用形と活用の種類を同じものと思い込んでしまう
- つまずく場面:活用表を眺めている途中で、「未然形」と「五段活用」が同じ層の言葉に見えてしまい、選択肢に「連用形」と「上一段活用」が並ぶと、どちらを答える問題かわからなくなる場面。
- 克服のコツ:切り口の違いで整理します。活用形は後ろに続く語で決まる形(ない・ます・とき・ば…)、活用の種類は動詞そのものの変わり方の型(五段・上一段・下一段・カ変・サ変)。問題文の「形」か「種類」かを先に確認してから答える順序にします。
- ミニ例:「歩きます」の活用形は連用形(「ます」が続く)。一方「歩く」の活用の種類は五段活用(「歩かない」のア段で判定)。同じ動詞でも問われている層が違います。
「る」で終わる動詞をすべて一段活用と決めつけてしまう
- つまずく場面:本文中で「走る」「見る」「食べる」が並んでいるのを読んでいる途中で、語尾がそろって「る」なので、つい全部まとめて上一段か下一段だろうと判断して読み進めてしまう場面。
- 克服のコツ:「ない」テストの直前の音で見分けます。手順は ①「ない」を付ける ②直前の音の段を見る ③ア段=五段/イ段=上一段/エ段=下一段。「る」で終わるかどうかではなく、必ず「ない」を付けてから判断する順序を固定します。
- ミニ例:「走る」→走らない(ア段)で五段活用。「見る」→見ない(イ段)で上一段。「食べる」→食べない(エ段)で下一段。語尾「る」だけでは決まりません。
終止形と連体形を同じ形だから同じ働きと思い込んでしまう
- つまずく場面:「書く。」と「書くとき」を読み比べている途中で、どちらも「書く」で形がまったく同じなので、活用形の問題でも同じ答えでよいと思って解いてしまう場面。
- 克服のコツ:後ろの位置関係で見分けます。形が同じでも、後ろに句点(。)や言い切りが来れば終止形、後ろに「とき・人・こと」などの体言が来れば連体形。答える前に、下線部のすぐ後ろに何が続いているかを確認する手順にします。
- ミニ例:「鳥が飛ぶ。」は後ろが句点で終止形。「飛ぶ鳥を見る。」は後ろが体言「鳥」で連体形。同じ「飛ぶ」でも働きが違います。
「来る」「する」を一般の動詞と同じ手順で見分けようとしてしまう
- つまずく場面:「ない」テストを練習している途中で、「来る」に「ない」を付けて「こない」と読んだ瞬間、直前の音が「こ」(オ段)になり、五段・一段のどの欄にも当てはまらず手が止まってしまう場面。
- 克服のコツ:例外を先に切り出す順序にします。①まず動詞が「来る」か「する/〜する」かを確認 ②該当すればカ変・サ変として活用表で処理 ③それ以外だけ「ない」テストへ。教科書では「来る」「する」は数が少ないので活用表ごと覚えると整理します。
- ミニ例:「来る」はこ・き・くる・くる・くれ・こいと読みが変わるカ変。「勉強する」は「勉強しない」でサ変。「ない」の直前の段では判定しません。
練習問題
- 泳ぐ
- 起きる
- 受ける
- 来る
- 勉強する
答えを見る
(1) 泳が(ない)=ア段 → 五段活用
(2) 起き(ない)=イ段 → 上一段活用
(3) 受け(ない)=エ段 → 下一段活用
(4) カ行変格活用
(5) サ行変格活用
- 本を読みます。
- 明日来れば会える。
- 早く歩け!
- 笑うときに手が動く。 ── 「笑う」の活用形
答えを見る
(1) 「ます」が続く → 連用形
(2) 「ば」が続く → 仮定形
(3) 命令で言い切り → 命令形
(4) 体言「とき」を修飾 → 連体形
答えを見る
未然:歩か(ない)/歩こ(う)
連用:歩き(ます)/歩い(た)
終止:歩く(。)
連体:歩く(とき)
仮定:歩け(ば)
命令:歩け(!)
まとめ
- 動詞は 言い切りがウ段 で終わる、活用する自立語。
- 活用形は 未然・連用・終止・連体・仮定・命令 の6つ。後ろにつく「ない・ます・とき・ば」で見分ける。
- 活用の種類は 五段・上一段・下一段・カ変・サ変 の5種類。
- 見分けは 「ない」テスト。直前の音がア段=五段、イ段=上一段、エ段=下一段。
- 「来る」「する」は変則。活用表を丸暗記する。
- 自動詞は「〜を」を必要としない動詞、他動詞は「〜を」を必要とする動詞。「開く/開ける」のような対応ペアが多い。
もっと知る ── 発展・実生活(出典つき)
※ 教科書の内容に、信頼できる出典をもとにした発展・実生活・時事の話題を補足しています(教科書そのものではありません)。
「見れる・食べれる」は文法のどこから生まれる?実生活
「見られる」を「見れる」と言う言い方は「ら抜き言葉」と呼ばれます。これは『られる』を付けて可能を表す上一段・下一段・カ変の動詞で起こり、五段活用が作る可能動詞(乗る→乗れる)に形をそろえようとして生まれた変化だと説明されています。つまり活用の種類のちがいが、日常のことば遣いの「ゆれ」に直接つながっています。
ら抜き言葉は10代で「多数派」になっている発展
文化庁の平成27年度「国語に関する世論調査」では、「見れた」(48.4%)が「見られた」(44.6%)を、「出れる」(45.1%)が「出られる」(44.3%)を初めて上回りました。年代差は大きく、10代では「見れた」を使う人が76.2%にのぼります。動詞の活用は固定したものではなく、世代とともに変わっていくことがデータでわかります。
「ら抜き」が起こる動詞・起こらない動詞発展
ら抜き言葉が現れるのは「見る・食べる・着る」のような上一段・下一段動詞と、カ変の「来る」です(来られる→来れる)。一方、五段活用の「走る・読む」や、サ変の「する」では起こりません。これは『ない』テストで判定する活用の種類のちがいと、ぴったり対応しています。
国の機関は「ら抜き」をどう見ているか発展
国立国語研究所は、五段動詞が「帰る→帰れる」と言えるなら「食べれる」と考えるのも無理はなく、形のうえでは合理化の動きだと認めています。同時に、書き言葉や改まった場面では避けた方がよいと示しています。「規則的だから正しい」とは限らない点が、ことばのおもしろいところです。
高校で学ぶ古文では動詞の活用は9種類に増える発展
中1で学ぶ口語(現代語)の動詞活用は五段・上一段・下一段・カ変・サ変の5種類ですが、文語(古文)ではこれが四段・上一段・上二段・下一段・下二段・カ変・サ変・ナ変・ラ変の9種類になります。今学ぶ「活用の種類を見分ける」考え方は、高校の古文文法へそのままつながっていきます。
