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0章 算数から数学へ ── 50問問題集

素数・素因数分解・最大公約数・最小公倍数の50問。基本20・標準20・応用10の3段階で、計算力と概念理解を同時に鍛えます。各問題は 「答えを見る」で開閉できます。

この章でつまずきやすいところ

素数・素因数分解・最大公約数・最小公倍数の50問を解く途中で、中学生がつい立ち止まってしまう場面があります。問題文を見たその瞬間に「これはGCDなのかLCMなのか」「1は素数だっけ」と迷う具体例を、克服のコツとセットで整理します。

1を素数に入れていいか迷ってしまう

  • つまずく場面:「素数をすべて選びなさい」と読んだ瞬間、選択肢に1があると「1も1×1で素数っぽい」と感じて手が止まる場面。1が選択肢にあるとさらに迷ってしまう。
  • 克服のコツ:見分け方は「約数がちょうど2個ある自然数か」で判定すること。1の約数は1だけで1個しかないので素数の定義に合わない。素数判定の前に必ず「約数を数える」一手間を入れると、1を機械的に外せる。
  • ミニ例:4の約数は1,2,4で3個、1の約数は1で1個、2の約数は1,2でちょうど2個。10より小さい素数は2,3,5,7の4個になる。

「偶数は素数ではない」と覚えてしまい2を見落とす

  • つまずく場面:問題48「素数は2以外すべて奇数である」を読んだとき、「じゃあ偶数は素数じゃないんだ」と短絡的に覚えてしまい、選択肢に2が出てきたときに2を素数から外しそうになる場面。
  • 克服のコツ:因果関係で押さえること。偶数が素数になれない理由は「2を約数に持つから」。だが2自身の約数は1と2だけで2個、つまり2は唯一の偶数の素数。「2以外の偶数」が素数になれないのであって、2は例外として必ず含める。
  • ミニ例:選択肢の中に偶数2と偶数4があったとき、2は素数、4=2×2は素数ではない。偶数だから即除外ではなく、約数の個数で判定する。

最大公約数か最小公倍数か、どちらを使うか取り違える

  • つまずく場面:問題43「長方形を敷き詰めて正方形を作る」、問題44「長方形をできるだけ大きい正方形に分ける」、問題45「バスが同時に発車する」を読みながら、どれがGCDでどれがLCMか頭の中で入れ替わってしまう場面。
  • 克服のコツ:位置関係で覚えること。「大きい→外へ広げる=最小公倍数(敷き詰め・同時発車)」「小さく→中で分ける=最大公約数(できるだけ大きく分割)」。問題文に「敷き詰める/同時にそろう」が出たらLCM、「分ける/同じ大きさに切る」が出たらGCD。
  • ミニ例:問題43は縦12cm横18cmの長方形を敷き詰めて最小の正方形を作るので、縦も横も同じ長さになる最小値=12と18のLCM=36cm。問題44は縦24cm横36cmの長方形を、できるだけ大きい同じ大きさの正方形に分けるので1辺はGCD=12cm。

素因数分解で共通因数を取るときに指数を取り違える

  • つまずく場面:問題27や問題31で12=2²×3、18=2×3²と分解できたあと、共通部分を集める段階で「2の指数は2と1のどっち?」「3²をそのまま使う?」と迷い、GCDとLCMで同じ指数を使ってしまう場面。
  • 克服のコツ:見分け方は指数の少ない方/多い方で固定すること。GCDは「両方を割り切れる最大の数」だから指数の小さい方を取る。LCMは「両方が割り切る最小の数」なので、各素因数を多い方の個数だけ含める必要がある。素因数分解を縦に並べて、列ごとに小さい/大きいを選ぶと混乱しない。
  • ミニ例:12=2²×3¹、18=2¹×3²を縦に並べる。GCDは小さい指数で2¹×3¹=6、LCMは大きい指数で2²×3²=36。同じ素因数分解から両方が出る。
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基本(20問)

問題1
次の数のうち、素数をすべて選びなさい。
2, 4, 9, 11, 15, 17, 21, 23
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2, 11, 17, 23。 4=2×2、9=3×3、15=3×5、21=3×7 は素数ではない。
問題2
10より小さい素数をすべて答えなさい。
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2, 3, 5, 7(4個)。1は素数ではない。
問題3
次のうち素数はどれか。
(1) 1 (2) 2 (3) 9 (4) 13
答えを見る
(2) と (4)。 1は素数ではない、9 = 3×3。
問題4
12 を素因数分解しなさい。
答えを見る
12 = 2 × 2 × 3 = 2² × 3
問題5
18 を素因数分解しなさい。
答えを見る
18 = 2 × 3 × 3 = 2 × 3²
問題6
24 を素因数分解しなさい。
答えを見る
24 = 2 × 2 × 2 × 3 = 2³ × 3
問題7
36 を素因数分解しなさい。
答えを見る
36 = 2² × 3² = 2² × 3²
問題8
45 を素因数分解しなさい。
答えを見る
45 = 3² × 5 = 3² × 5
問題9
50 を素因数分解しなさい。
答えを見る
50 = 2 × 5 × 5 = 2 × 5²
問題10
60 を素因数分解しなさい。
答えを見る
60 = 2² × 3 × 5 = 2² × 3 × 5
問題11
2³ の値を求めなさい。
答えを見る
2 × 2 × 2 = 8
問題12
3² の値を求めなさい。
答えを見る
3 × 3 = 9
問題13
5² の値を求めなさい。
答えを見る
5 × 5 = 25
問題14
2⁴ の値を求めなさい。
答えを見る
2 × 2 × 2 × 2 = 16
問題15
2² × 3 の値を求めなさい。
答えを見る
4 × 3 = 12
問題16
12 の約数をすべて答えなさい。
答えを見る
1, 2, 3, 4, 6, 12(6個)
問題17
18 の約数をすべて答えなさい。
答えを見る
1, 2, 3, 6, 9, 18(6個)
問題18
24 の約数をすべて答えなさい。
答えを見る
1, 2, 3, 4, 6, 8, 12, 24(8個)
問題19
7 と 21 の最大公約数を求めなさい。
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21 = 3 × 7 なので、共通因数は 7。 最大公約数 = 7
問題20
4 と 6 の最小公倍数を求めなさい。
答えを見る
4 = 2²、 6 = 2 × 3。 最小公倍数 = 2² × 3 = 12

標準(20問)

問題21
72 を素因数分解しなさい。
答えを見る
72 = 2 × 36 = 2 × 2 × 18 = 2 × 2 × 2 × 9 = 2³ × 3²
問題22
84 を素因数分解しなさい。
答えを見る
84 = 2² × 21 = 2² × 3 × 7
問題23
100 を素因数分解しなさい。
答えを見る
100 = 4 × 25 = 2² × 5²
問題24
144 を素因数分解しなさい。
答えを見る
144 = 12 × 12 = (2² × 3)² = 2⁴ × 3²
問題25
180 を素因数分解しなさい。
答えを見る
180 = 2² × 45 = 2² × 3² × 5 = 2² × 3² × 5
問題26
200 を素因数分解しなさい。
答えを見る
200 = 2³ × 25 = 2³ × 5²
問題27
12 と 18 の最大公約数を求めなさい。
答えを見る
12 = 2²×3、 18 = 2×3²。 共通:2×3 = 6
問題28
24 と 36 の最大公約数を求めなさい。
答えを見る
24 = 2³×3、 36 = 2²×3²。 共通:2²×3 = 12
問題29
30 と 45 の最大公約数を求めなさい。
答えを見る
30 = 2×3×5、 45 = 3²×5。 共通:3×5 = 15
問題30
42 と 56 の最大公約数を求めなさい。
答えを見る
42 = 2×3×7、 56 = 2³×7。 共通:2×7 = 14
問題31
12 と 18 の最小公倍数を求めなさい。
答えを見る
12 = 2²×3、 18 = 2×3²。 LCM = 2²×3² = 36
問題32
8 と 12 の最小公倍数を求めなさい。
答えを見る
8 = 2³、 12 = 2²×3。 LCM = 2³×3 = 24
問題33
15 と 20 の最小公倍数を求めなさい。
答えを見る
15 = 3×5、 20 = 2²×5。 LCM = 2²×3×5 = 60
問題34
36 と 48 の最小公倍数を求めなさい。
答えを見る
36 = 2²×3²、 48 = 2⁴×3。 LCM = 2⁴×3² = 144
問題35
20、30、45 の最大公約数を求めなさい。
答えを見る
20=2²×5、 30=2×3×5、 45=3²×5。 共通:5 = 5
問題36
36 の約数の個数を求めなさい。
答えを見る
36 = 2²×3²。 約数の個数 = (2+1)(2+1) = 9個
問題37
72 の約数の個数を求めなさい。
答えを見る
72 = 2³×3²。 (3+1)(2+1) = 12個
問題38
2² × 3 × 5 の値を求めなさい。
答えを見る
4 × 3 × 5 = 60
問題39
2³ × 5² の値を求めなさい。
答えを見る
8 × 25 = 200
問題40
2 × 3² × 7 の値を求めなさい。
答えを見る
2 × 9 × 7 = 126

応用(10問)

問題41
96 = 2ⁿ × 3 のとき、n を求めなさい。
答えを見る
96 = 2⁵ × 3 なので n = 5
問題42
120 と 180 の最大公約数と最小公倍数を求めなさい。
答えを見る
120 = 2³×3×5、 180 = 2²×3²×5。 GCD = 2²×3×5 = 60、 LCM = 2³×3²×5 = 360
問題43
縦 12cm、横 18cm の長方形の紙を、すき間なく敷き詰めて正方形を作るとき、最も小さい正方形の1辺は何 cm か。
答えを見る
12 と 18 の最小公倍数 = 36。 1辺 36cm
問題44
縦 24cm、横 36cm の長方形を、できるだけ大きい正方形に分けるとき、1辺は何 cm か。
答えを見る
24 と 36 の最大公約数 = 12。 1辺 12cm
問題45
バス A は 12 分ごと、バス B は 15 分ごとに発車する。同時に発車したあと、次に同時に発車するのは何分後か。
答えを見る
12 と 15 の最小公倍数 = 60。 60分後
問題46
96 の約数をすべて答えなさい。
答えを見る
96 = 2⁵×3。 約数:1, 2, 3, 4, 6, 8, 12, 16, 24, 32, 48, 96(12個)
問題47
12 と n の最大公約数が 4、最小公倍数が 60 のとき、n を求めなさい。
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GCD × LCM = 12 × n より、 4 × 60 = 12n。 240 = 12n → n = 20
問題48
「素数は2以外すべて奇数である」のはなぜか、自分のことばで説明しなさい。
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解答例:偶数は2で割れる(2を約数に持つ)ので、2以外の偶数は素数の定義(1とその数自身以外に約数を持たない)に反する。よって素数は2以外すべて奇数になる。
問題49
2025 を素因数分解しなさい。
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2025 ÷ 5 = 405、 405 ÷ 5 = 81、 81 = 3⁴。 よって 2025 = 3⁴ × 5²
問題50
3つの自然数 12、18、a の最大公約数が 6 になるような a の例を、3つ以上挙げなさい。
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解答例:6, 24, 30, 42 など。共通条件:a が 6 の倍数であり、かつ a と 12, 18 の共通因数が 6 を超えないこと。例えば 24 = 2³×3 → GCD(12, 18, 24) = 2×3 = 6 ✓。

もっと知る ── 発展・実生活(出典つき)

※ 教科書の内容に、信頼できる出典をもとにした発展・実生活・時事の話題を補足しています(教科書そのものではありません)。

インターネットの暗号は素因数分解の難しさで守られている実生活

ネット通販やオンライン銀行で広く使われるRSA暗号は、2つの大きな素数をかけ合わせた数を公開し、その数を元の素数にもどす(素因数分解する)のがとても難しいことを安全のよりどころにしています。かけ算は簡単でも逆の素因数分解は計算に膨大な時間がかかるため、第三者は秘密を解けません。1977年にリベスト・シャミア・アドルマンの3人が発明し、頭文字をとってRSAと呼ばれます。

出典:Wikipedia「RSA暗号」

13年・17年で大発生する「素数ゼミ」実生活

北アメリカには、地中で13年または17年という決まった年数を過ごしてから一斉に羽化する「周期ゼミ(素数ゼミ)」がいます。13や17が素数だと、周期のちがう群れと同時に出会う年(最小公倍数)が大きくなり、なかま以外と交雑しにくくなると考えられています。静岡大学の吉村仁教授がこの謎を解明し「素数ゼミ」と名づけました。

出典:日本気象協会 tenki.jp(吉村仁教授の研究紹介)

今も「いちばん大きい素数」が更新され続けている発展

素数は無限にありますが、確実に素数とわかっている最大の数は、コンピュータを使って今も更新されています。2024年に見つかった現在知られている最大の素数は2の136279841乗から1を引いた数で、十進法で書くと約4100万桁にもなります。このように「2のべき乗より1小さい素数」をメルセンヌ素数といいます。

出典:科学技術振興機構(JST)Science Portal Oceania

歯車の歯数を「互いに素」にして長持ちさせる実生活

機械の歯車では、かみ合う2つの歯数の最大公約数が1になる(互いに素な)組み合わせを選ぶことがあります。最大公約数が1だと特定の歯どうしばかりが当たらず、同じ歯の組み合わせがもどってくる周期(最小公倍数)が長くなるため、摩耗が一部に集中せず歯車が長持ちします。約数・公約数の考えがものづくりの設計に生きている例です。

出典:アールティ 移動型ロボットブログ(ギア比と互いに素の解説)

RSA暗号が安全なのは「鍵が617桁」だから発展

RSA暗号で現在すすめられている鍵の大きさは2048ビット以上で、十進法になおすと約617桁(2048×log10(2)≒617)の合成数を使います。これくらい大きな合成数になると、高性能なコンピュータでも素因数分解にとてつもない時間がかかるため、暗号が破られにくくなります。素因数分解の「難しさ」が、桁数を増やすほど安全さに直結するのです。

出典:CRYPTREC「暗号強度要件(アルゴリズム及び鍵長選択)に関する設定基準」