準備:自然数とは?
新しい用語を1つだけ。
0や負の数(−1など)は自然数ではありません。小数や分数も含みません。
「自然な数」というだけあって、ものを数えるとき自然に使う数(リンゴが3個、人が5人…)が自然数です。
素数 ── これ以上分けられない数
すべての自然数は、かけ算のかたちに分解できることがあります。
- 6 = 2 × 3
- 12 = 2 × 2 × 3 = 4 × 3 = 6 × 2
- 15 = 3 × 5
では、これ以上分解できない数はどうでしょう。
- 2 = ? ── 1 × 2 しか書けない
- 3 = ? ── 1 × 3 しか書けない
- 5 = ? ── 1 × 5 しか書けない
- 7 = ? ── 1 × 7 しか書けない
こういう「1とその数自身でしかかけ算で表せない自然数」を 素数 といいます。
例:2, 3, 5, 7, 11, 13, 17, 19, 23, …
1は素数ではない(重要なルール)。
- 1も「1とその数自身でしか表せない」と言いたくなりますが、1は例外的に素数から外されます。
- 理由:もし1を素数に含めると、後で出てくる「素因数分解は1通りに決まる」というルールが崩れてしまうから。
例:6 = 2×3 = 1×2×3 = 1×1×2×3 … と無限に書けてしまう。 - 素数は 2から始まると覚えましょう。
20までの素数を見つけてみる
1から20までの数で、素数はどれでしょうか。1つずつ見ていきます。
2の倍数(4, 6, 8…)は2で割れるから素数ではない。3の倍数(6, 9, 12…)も同様。こうやって 「割り切れるか」 をチェックしていけば、素数を見つけられます。
素因数分解 ── 素数のかけ算で表す
自然数を 素数だけのかけ算のかたち に分解することを、素因数分解といいます。
例:12 = 2 × 2 × 3、 24 = 2 × 2 × 2 × 3、 30 = 2 × 3 × 5
やり方:小さい素数で順に割る
素因数分解には決まった手順があります。
①2で割れるか試す → 24 ÷ 2 = 12
②12も2で割れるか → 12 ÷ 2 = 6
③6も2で割れるか → 6 ÷ 2 = 3
④3は素数なのでここで終了
結果:24 = 2 × 2 × 2 × 3
実際に書くときは、教科書のように 「すだれ算」 という縦の書き方を使うと整理しやすいです:
2 ) 24
2 ) 12
2 ) 6
3
→ 左の素数たちと、最後の3を、すべてかけ算する
24 = 2 × 2 × 2 × 3
同じ自然数を素因数分解すると、どんな順序で分けても結果は同じになる(順番の違いはある)。これは数学の基本ルールで、「素因数分解の一意性」と呼ばれます。
累乗の書き方
同じ素数が何度もかけられるとき、長くなって書きづらいので 右上に小さい数 を書く方法があります。
- 2 × 2 = 22 (読み:「2の2乗」)
- 2 × 2 × 2 = 23 (読み:「2の3乗」)
- 3 × 3 × 3 × 3 = 34 (読み:「3の4乗」)
これを使うと、素因数分解はもっとコンパクトに書けます:
- 24 = 2 × 2 × 2 × 3 = 23 × 3
- 72 = 2 × 2 × 2 × 3 × 3 = 23 × 32
- 100 = 2 × 2 × 5 × 5 = 22 × 52
何の役に立つの?
素因数分解はパッと見ると暗記用の練習に見えますが、実はこんな場面で使います:
- 約数を全部見つける:12 = 22×3 から、12の約数は1, 2, 3, 4, 6, 12 と簡単に列挙できる。
- 最大公約数・最小公倍数を求める:2つの数を素因数分解して比較すれば一発。
- 分数の約分・通分:分子・分母を素因数分解すれば共通因子が見える。
- 暗号やセキュリティ:実は現代の通信暗号(RSA暗号)は、巨大な数の素因数分解の難しさを利用している。
この章でつまずきやすいところ
素数と素因数分解は、本文を読みながら「これも素数?」「もう分解は終わり?」と迷いが起きやすい単元です。ここでは、本文や問題を見ている最中に立ち止まりやすい4つの場面と、その克服のコツを整理します。
1を素数に入れてしまいそうになる
- つまずく場面:本文で「1とその数自身でしか表せない数が素数」と読んだ瞬間、1も同じ形に当てはまる気がして、素数の一覧に1を入れてよいか迷う場面。
- 克服のコツ:見分け方の手がかりは定義の「1より大きい自然数」という条件です。1はこの条件で最初から外されており、教科書では素数は2から始まると整理します。理由として、1を入れると素因数分解が1通りに決まらなくなる、と本文に書かれている因果関係まで合わせて押さえると迷いません。
- ミニ例:本文の例:6 = 2 × 3 は1通りに決まるが、1を素数に含めると 6 = 1 × 2 × 3 = 1 × 1 × 2 × 3 …と無限に書けてしまうため、1は素数から外す。
偶数だから素数ではないと思い込んでしまう
- つまずく場面:1〜20の数を見て素数を選ぶ場面で、「偶数は2で割れるから素数ではない」と覚えた直後、2自身まで素数から外してしまいそうになる迷いの場面。
- 克服のコツ:見分け方は「1と自分以外に約数があるか」という素数の定義に戻ることです。2の約数は1と2だけなので、2は偶数で唯一の素数になります。4, 6, 8, …は2のほかに2でも割れるので素数ではない、という違いを本文に沿って確認しましょう。
- ミニ例:本文の素数一覧:2, 3, 5, 7, 11, 13, 17, 19。先頭の2だけは偶数だが素数として数える。
12 = 3 × 4 で分解が終わったと思い込んでしまう
- つまずく場面:素因数分解の練習で12を分解しているとき、3×4まで書けた時点で「もう因数の積になった」と感じ、ここで止めてよいのか迷う場面。
- 克服のコツ:見分け方は「最後の因数がすべて素数になっているか」を確認することです。4はまだ素数ではなく 4 = 2 × 2 に分けられます。本文の手順どおり、最小の素数で割り、商が1になるまで続ける、という時系列で進めると止めどころを間違えません。
- ミニ例:12を最後まで分解する流れ:12 = 3 × 4 = 3 × 2 × 2 = 2² × 3。4が残っている間は途中。
2 × 2 × 2 を 2³ と書くべきところを 2 × 3 と勘違いしてしまう
- つまずく場面:本文の累乗の説明を読みながら、2を3回かけた式と「2の3乗」の区別があいまいになり、24を素因数分解した最後で 2 × 3 × 3 と書いてよいか迷う場面。
- 克服のコツ:見分け方は右肩の小さい数が「同じ数を何回かけたか」を表すという位置関係です。2³ は 2 × 2 × 2(2を3回)であり、2 × 3 は別の数です。本文のとおり、同じ素数だけをまとめて累乗にし、違う素数は ×(かける)でつなぐ、と分けて考えると混乱しません。
- ミニ例:本文の例:24 = 2 × 2 × 2 × 3 = 2³ × 3。2が3個だから2³、最後の3は1個だけなのでそのまま。
練習問題
1, 2, 9, 11, 15, 17, 21, 23, 27, 29
答えを見る
2, 11, 17, 23, 29
※ 1は素数ではない(除外)。9 = 3×3、15 = 3×5、21 = 3×7、27 = 3×3×3 はそれぞれ素数の積で表せるので素数ではない。
- 36
- 48
- 180
答えを見る
(1) 36 = 2 × 2 × 3 × 3 = 22 × 32
(2) 48 = 2 × 2 × 2 × 2 × 3 = 24 × 3
(3) 180 = 2 × 2 × 3 × 3 × 5 = 22 × 32 × 5
答えを見る
72 = 23 × 32 / 108 = 22 × 33
共通する素数の積を、それぞれ 少ない方の指数 で取る:22 × 32 = 4 × 9 = 36
※ 最小公倍数なら多い方の指数:23 × 33 = 8 × 27 = 216。
まとめ
- 自然数=1以上の整数。0や負の数は含まない。
- 素数=1とその数自身のほかに約数がない、1より大きい自然数。1は素数ではない。
- 素因数分解=自然数を素数だけの積に分解すること。答えは1通りに決まる。
- 同じ素数を繰り返しかけるときは 累乗(23のような書き方)でコンパクトに。
- 素因数分解は約数・最大公約数・最小公倍数を求める基礎ツール。
もっと知る ── 発展・実生活(出典つき)
※ 教科書の内容に、信頼できる出典をもとにした発展・実生活・時事の話題を補足しています(教科書そのものではありません)。
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