比例の定義
y = a x
a は 比例定数。教科書では「定数」、つまり決まった数として扱う。
x が2倍、3倍になると、y も2倍、3倍になる ── これを式にしたのが y = ax。
比例定数 a を見つける
比例関係なら、a の値はいくつでしょう。式 y = ax を変形すると、x ≠ 0 のとき a = y/x。つまり、対応する1組の x と y がわかれば a が出ます。
x = 1 時間 → y = 60 km
x = 2 時間 → y = 120 km
x = 3 時間 → y = 180 km
a = y/x = 60/1 = 60
式:y = 60x (比例定数 60)
比例の3つの特徴
比例の例
- 1個 80円のリンゴ x 個の代金 y 円 → y = 80x(a = 80)
- 1辺 x cm の正方形の周の長さ y cm → y = 4x(a = 4)
- 時速 60 km の車の x 時間後の距離 y km → y = 60x
- 1リットル 150円のジュース x リットルの代金 y 円 → y = 150x
比例定数 a の符号
比例定数 a は 負の数 でもOKです。
y = −2x のとき:
x = 1 → y = −2、 x = 2 → y = −4、 x = 3 → y = −6
→ x が増えると y は 減る(a が負だから)
a の符号で関係の方向が変わる:
- a > 0(正):x が増えると y も増える
- a < 0(負):x が増えると y は減る
- 「x が増えれば y も増える」関係はたくさんあるが、必ず y/x が一定(または x:y が常に同じ比)でないと比例とは呼ばない。
- 例:身長と体重 ── 身長が増えると体重も増える傾向だが、比例ではない(比が一定ではない)。
この章でつまずきやすいところ
「比例」は中1で式 y=ax として整理されますが、本文を読み進める途中で「増えていればすべて比例」「a は y+x」と思い込んでしまう迷いが起きやすい単元です。読みながら止まりがちな4つの場面を取り上げます。
増えていればすべて比例だと思い込んでしまう
- つまずく場面:「x が増えれば y も増える」という説明を読んでいる途中で、増えるならぜんぶ比例だと早合点してしまう。身長と体重の例まで読み進めず、「比が一定」という条件を読み飛ばしてしまう場面。
- 克服のコツ:見分け方で整理します。増えるかどうかではなく、各組の y/x が同じ値になるかを必ず確かめる。x が2倍になったときに y も2倍になっていれば比例、そうでなければ「ただ増えるだけ」の関係であり、比例とは呼べません。
- ミニ例:x=1,2,3 に対し y=60,120,180 なら y/x は 60,60,60 で一定なので比例。一方、y=60,130,180 だと y/x が 60,65,60 とずれるので比例ではありません。
比例定数 a を y+x や y−x で求めようとしてしまう
- つまずく場面:y=ax の式を変形する場面で、「a を出すんだから x をどける」と感覚で考えて、つい a=y+x や a=y−x と書いてしまう。a=y/x という形が記憶に残らず、足し算・引き算でつなげてしまう迷い。
- 克服のコツ:因果関係で整理します。式は y=ax、つまり「x に a をかけると y になる」。だから a を取り出すには、両辺を x で割る必要があります。かけ算で結ばれているなら、戻すのは割り算──この対応をいつも先に確認すること。
- ミニ例:x=3 のとき y=12 なら、a=y/x=12/3=4。y+x=15 や y−x=9 を a としないこと。式は y=4x となり、x=7 のとき y=28 と求まります。
原点を通らない直線まで比例だと思ってしまう
- つまずく場面:「比例のグラフは直線」と読んだ瞬間に、直線ならすべて比例だと結びつけてしまう場面。問題で表やグラフを見ながら、原点を通っているかどうかを確認しないまま「比例です」と判断してしまう迷い。
- 克服のコツ:位置関係で整理します。比例の式 y=ax に x=0 を代入すると y=0 なので、グラフは必ず原点 (0,0) を通る直線になります。直線でも、原点を外れていれば比例ではないと教科書では整理されます。
- ミニ例:y=3x は x=0 のとき y=0 で原点を通るので比例。一方、x=0 のとき y=2 となるような直線は、原点を通らないため比例とは呼びません。
a が負のとき y も増えると思い込んでしまう
- つまずく場面:「比例は x が増えると y も増える」というイメージで本文の前半を読んでいたところに、a=−2 のような負の比例定数が出てきて、x=1,2,3 に対する y の値がどう動くのか頭の中で止まってしまう場面。
- 克服のコツ:因果関係で整理します。y=ax で a が正なら x の増加に合わせて y も増える、a が負なら x が増えるほど y は減る。「同じ倍率で変わる」が比例の本質で、増減の向きは a の符号で決まる、と分けて覚えると迷いません。
- ミニ例:y=−2x のとき、x=1→y=−2、x=2→y=−4、x=3→y=−6。x が増えるほど y は小さくなりますが、y/x はすべて −2 で一定なので、これも立派な比例です。
練習問題
- 1冊 200円のノート x 冊の代金 y 円
- 時速 4 km で歩くとき、x 時間で進む距離 y km
- 1辺 x cm の正三角形の周の長さ y cm
答えを見る
(1) y = 200x、比例定数 200
(2) y = 4x、比例定数 4
(3) y = 3x、比例定数 3
- 比例定数 a を求めなさい。
- y を x の式で表しなさい。
- x = 7 のときの y を求めなさい。
答えを見る
(1) a = y/x = 12/3 = 4
(2) y = 4x
(3) y = 4×7 = 28
- 比例定数を求めなさい。
- y を x の式で表しなさい。
- x = −3 のときの y を求めなさい。
答えを見る
(1) a = −10/2 = −5
(2) y = −5x
(3) y = −5 × (−3) = +15
まとめ
- 比例:x が2倍、3倍…になると y も同じ倍率で変わる関係。
- 式は y = ax。a は比例定数(決まった数)。
- 3つの特徴:① 倍数関係 ② y/x が一定 ③ x=0 で y=0。
- a が負の数なら、x が増えると y は減る。
- 1組の対応する値(x, y)から、x ≠ 0 のとき a = y/x で比例定数が求められる。
もっと知る ── 発展・実生活(出典つき)
※ 教科書の内容に、信頼できる出典をもとにした発展・実生活・時事の話題を補足しています(教科書そのものではありません)。
ばねの伸びは引っぱる力に比例する(フックの法則)発展
ばねを引っぱると、その伸び x と加えた力 F のあいだには F = kx という関係が成り立ちます。比例定数 k は「ばね定数」と呼ばれ、ばねのかたさを表す決まった数で、これは中学数学の y = ax と同じ形の比例の式です。
電流は電圧に比例する(オームの法則)発展
同じ抵抗のとき、流れる電流は加えた電圧に比例して大きくなり、これをオームの法則といいます。電圧を y、電流を x と見れば y = ax の形になり、比例定数にあたるのが抵抗の値です。
外国のお金との両替も比例の式で計算できる実生活
為替レートは、円とドルなど異なる通貨を交換するときの交換比率です。たとえば1ドル=150円のとき、円 y はドル x に対して y = 150x となり、比例定数150がそのときのレートにあたります。
地図の縮尺は地図上の長さと実際の距離の比例関係実生活
縮尺は「地図上の長さ」と「実際の距離」の比で、両者は比例の関係にあります。2万5千分の1の地形図では地図上の4cmが実際の1km(1000m)にあたり、地図上の長さを2倍にすれば実際の距離も2倍になります。
同じ物質では質量は体積に比例する(密度)発展
1cm³あたりの質量を密度といい、同じ物質なら密度は一定の値になります。そのため体積 x が2倍、3倍になると質量 y も2倍、3倍になり、y = ax の形で表せて、比例定数にあたるのが密度です。
