変数(へんすう)── 変わる量
例:時速60kmで走る車について、走った時間 x 時間と進んだ距離 y kmを考える。x も y も値が変わるので、どちらも変数。
関数(かんすう)── 一方が決まると他方も決まる関係
関数になる例・ならない例
関数の例:
・ 1 個 80 円のリンゴ x 個の代金 y 円 → y = 80x(x が決まれば y が決まる)
・ 半径 x cmの円の面積 y cm² → y = π x²
・ 時速60 km の車が x 時間で進む距離 y km → y = 60x
関数でない例:
・ ある人の年齢 x と身長 y → 同い年の人でも身長は人それぞれ。x から y は1つに決まらない。
変域(へんいき)── 変数のとる値の範囲
例:「リンゴを最大10個まで買う」なら x の変域は 0 ≦ x ≦ 10。
現実の問題では、変数の値に制限があることが多い。リンゴの個数が −5 や 3.5 になったらおかしい。「変域」を意識すると、解の意味を確認しやすくなります。
例:1個 80円のリンゴを最大10個までしか売っていないお店
x の変域:0 ≦ x ≦ 10(個数なので0以上、最大10個)
y の変域:0 ≦ y ≦ 800(代金は0円から800円まで)
これからの章で学ぶこと
4章では、関数の中でも特に大事な 「比例」 と 「反比例」 を扱います。
- 比例 y = ax:x が2倍、3倍になると、y も2倍、3倍になる関係
- 反比例 y = a/x:x が2倍、3倍になると、y は1/2倍、1/3倍になる関係
そして、これらをグラフで描く方法(座標平面)も学びます。
関数かどうかの判定
- xの値を1つ決めたとき、対応するyの値がただ1つに決まるなら、yはxの関数。
- 式で表せる関係だけが関数ではない。表、グラフ、文章の関係でも判定できる。
- 1つのxに対してyが2つ以上出る関係は、yがxの関数とはいえない。
- 「xを決める→yが決まる」の向きで考える。逆向きが成り立つとは限らない。
1個80円の品物をx個買う代金yは y=80x なので関数。
身長xcmの人の体重ykgは、同じ身長でも体重がいろいろあるため、このままでは関数といえない。
この章でつまずきやすいところ
「関数」は中1で初めて出会う考え方なので、本文を読みながら「これは関数?それとも違う?」と判断に迷いやすいところです。読み進める途中で生まれる典型的な迷いを4つ取り上げ、見分け方を整理しておきます。
「式で表せる関係=関数」と思い込んでしまう
- つまずく場面:本文で「y=80x は関数」「y=60x は関数」と式の例が続くので、式で書ければ関数、書けなければ関数ではない、と早合点しがちです。表や文章での関係を見たときに「式がないから判定できない」と止まってしまいます。
- 克服のコツ:見分け方は「xを1つ決めたとき、yが1つに決まるか」だけです。式・表・グラフ・文章のどの形でも、この一点で判定できます。式の有無は関係なく、「決め方の向き」と「対応の数」を確認しましょう。
- ミニ例:「1日の日中x時間と夜y時間(合計24時間)」は本文では言葉だけですが、xを決めればy=24−xで1つに決まるので関数です。式が書かれていなくても判定できます。
「xとyが両方変わる関係=関数」と思い込んでしまう
- つまずく場面:本文で「変数は変わる量」と習った直後に関数の話に進むので、「xもyも変わっていれば関数だ」と勘違いしやすいです。身長xと体重yの例を読んだとき、両方変わるのにどうして関数でないのか、と引っかかります。
- 克服のコツ:ポイントは「xを1つに決めたあと、yがただ1つに決まるか」です。xを止めてみたときyが複数あり得るなら関数ではありません。「両方変わるか」ではなく「xを止めたときyが1つか」という向きと一意性で見ます。
- ミニ例:身長x=160cmと決めても、体重yは人によって50kg・55kg・60kgなどさまざま。xを止めてもyが1つに決まらないので、身長と体重は(このままでは)関数とはいえません。
変域を「数学のきまりだけ」で決めようとしてしまう
- つまずく場面:y=60xのような式を見ると、xにはどんな数でも入る気がして、変域を考えるときに式だけを眺めてしまいます。「リンゴ最大10個」のような場面の制約を式から読み取れず、変域を式から計算しようとして手が止まります。
- 克服のコツ:変域は式ではなく問題文の条件から決まります。位置関係としては「式 → 数学のルール」「問題文 → 現実の制約」が別の層にあるイメージです。まず問題文の言葉から最小値と最大値を拾い、その後に式へ入れてyの変域を求めます。
- ミニ例:時速60kmの車が走った時間xの変域が0≦x≦5なら、x=0でy=0、x=5でy=300。式y=60xから自動で決まるのではなく、xの範囲が先に決まり、それを式に通してyの変域が出ます。
「yからxも1つに決まる」と逆向きまで成り立つと思い込んでしまう
- つまずく場面:本文で「xを決めるとyが1つに決まる」と何度も読むうちに、その逆「yを決めればxも1つに決まる」も当然成り立つと感じてしまいます。あとで反比例や2乗の関係に進んだとき、「yから戻れない」場面で混乱します。
- 克服のコツ:判定は必ず「xを入力、yを出力」の向きだけで行います。因果としては「x(決める)→ y(決まる)」の一方通行で、逆向きが成り立つかどうかは別問題。「xを止めたときyはいくつか?」と自分に問う癖をつけましょう。
- ミニ例:y=x²では、x=2のときy=4、x=−2のときもy=4。xを決めればyは1つに決まるので関数ですが、y=4からxを1つに戻すことはできません。向きを混ぜないことが大切です。
練習問題
- 正方形の1辺 x cm と面積 y cm²
- ある中学校の生徒の身長 x cm と体重 y kg
- 1日の日中の時間 x 時間と夜の時間 y 時間(合計24時間)
答えを見る
(1) と (3) が関数。
(1) y = x²、x が決まれば y は1つに決まる。
(2) 同じ身長でも体重は人それぞれ → 1つに決まらないので関数でない。
(3) y = 24 − x、x が決まれば y は1つに決まる。
- y を x の式で表しなさい。
- y の変域を求めなさい。
答えを見る
(1) y = 60x
(2) x = 0 のとき y = 0、x = 5 のとき y = 300。
変域は 0 ≦ y ≦ 300
答えを見る
解答例:2つの変数 x、y があって、x の値を1つ決めると、それに対応して y の値が必ず1つに決まるとき、「y は x の関数」という。たとえば1個80円のリンゴを x 個買うとき代金 y 円は y=80x で表され、x が決まれば y も決まるので、y は x の関数。
まとめ
- 変数=いろいろな値をとる文字。関数=x が決まると y が1つに決まる関係。
- 「y は x の関数」と言うとき、x がいわば「入力」、y が「出力」。
- 変域=変数のとる値の範囲。現実の問題では制限があることが多い。
- 4章では特に 比例 y=ax と 反比例 y=a/x を学ぶ。
もっと知る ── 発展・実生活(出典つき)
※ 教科書の内容に、信頼できる出典をもとにした発展・実生活・時事の話題を補足しています(教科書そのものではありません)。
「関数」ということばの由来発展
「関数」という考え方の用語は17世紀にライプニッツが導入し、yをxの式で表すf(x)という書き方は18世紀の数学者オイラーが用い始めました。日本ではもともと「函数」と書かれていましたが、「函」が当用漢字に入らなかったため1950年代以降に「関数」へと書きかえられました。
標高が決まれば気温が決まる実生活
気象台の説明では、対流圏では標高が100m上がるごとに気温はおよそ0.6℃下がるとされています。つまり標高xを1つ決めると、ふもととの気温差yがほぼ1つに決まるので、これも立派な関数の関係といえます。
水道の使用量と料金の関係実生活
東京都水道局の料金は「基本料金+従量料金」で、従量料金は使った水の量によって決まります。使う量xが決まれば料金yが決まる関数ですが、量が増えるほど1立方メートルあたりの単価が上がる段階制なので、比例(y=ax)ではない関数の例になっています。
電気を使うほど料金が決まる仕組み実生活
家庭向けの従量電灯では、電気料金が使った電力量にもとづいて決まり、使用量が増えると1kWhあたりの単価が段階的に上がる三段階料金が採用されています。使用量xから料金yが1つに決まる関数で、変域(実際に使える量の範囲)も現実の場面で意味を持ちます。
「逆向き」が成り立たない関数発展
関数は「xを決めるとyが1つに決まる」関係ですが、その逆が成り立つとは限りません。たとえば気温差yが0℃でも、標高が同じふもとなら標高は1つに決まりますが、別々の地点で同じ気温になることもあるように、yからxが必ず1つに決まるわけではない点が大切です。
