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比例のグラフ ── 原点を通る直線

比例 y = ax をグラフに描くと、必ず 原点(0, 0)を通る直線になります。a の値(比例定数)でその直線の 傾き具合が決まる ── これが見えれば、グラフを見ただけで式が読み取れるようになります。

比例のグラフを描いてみる

y = 2x をグラフに描くには、対応する点をいくつかプロットして、それらを直線で結ぶだけ。

y = 2x の対応表

x: −2, −1, 0, 1, 2, 3

y: −4, −2, 0, 2, 4, 6

→ 点 (−2, −4)、(−1, −2)、(0, 0)、(1, 2)、(2, 4)、(3, 6) を打つ

→ これらをすべて結ぶと、原点を通る直線が描ける

x y y = 2x
図1:y = 2x のグラフ(原点を通る直線)

比例のグラフの3つの特徴

y = ax のグラフ
3つの特徴
  1. 原点を必ず通る ── x = 0 のとき y = 0 だから
  2. 1本の直線 ── 対応する点はすべて同じ傾き
  3. a の符号で傾く方向が決まる ── a>0 なら右上がり、a<0 なら右下がり

比例定数 a と傾きの関係

a の値でグラフの傾きが変わる y=2x(急) y=x y=(1/2)x y=−x O
図2:a の値でグラフの傾きが変わる(赤は a<0 の例)
  • a が大きいほど、グラフは 急な右上がりに
  • a が小さいほど(0に近い正の数)、グラフは 緩やかな右上がりに
  • a が負の数のときは右下がり

グラフの描き方:2点だけでOK

直線は 2点が決まれば1本に決まる。実用的には:

  1. 原点 (0, 0) を1点目とする(必ず通る)
  2. 適当な x(できれば計算しやすい値)に対応する y を求めて、もう1点プロット
  3. 2点を直線で結ぶ
例:y = 3x のグラフを描く

1点目:原点 (0, 0)

2点目:x = 1 のとき y = 3 → (1, 3)

この2点を直線で結ぶ → 完成

つまずきポイント
  • 分数の比例定数:y = (1/2)x のとき、x = 2 で y = 1。 整数になる x を選ぶと描きやすい。
  • 変域に注意:x ≧ 0 など制限があれば、グラフは その範囲だけ引く。
  • 方眼の単位:x軸と y軸で1目盛りの単位が違うと、傾きの見え方が変わる。テストでは指定通りに。

比例のグラフは「原点」と「もう1点」で決まる

比例の式 y = ax では、x = 0 のとき必ず y = 0 です。だから比例のグラフは必ず原点を通ります。あとは x = 1 や x = 2 など、計算しやすい値を1つ入れて点を取れば、直線を引けます。表を全部作らなくても、原点ともう1点で直線が決まるのです。

  • y = 2x:x = 1 のとき y = 2。原点と (1, 2) を結ぶ。
  • y = -3x:x = 1 のとき y = −3。原点と (1, −3) を結ぶ。
  • y = 1/2 x:x = 2 のとき y = 1。原点と (2, 1) を結ぶ。

a の符号でグラフの向きが変わる

比例定数 a が正なら、グラフは右上がりになります。x が増えるほど y も増えるからです。a が負なら、グラフは右下がりになります。x が増えるほど y は小さくなります。a の絶対値が大きいほど、同じ x の変化に対して y が大きく変わるので、グラフは急になります。

グラフから式を読むとき
  • まず原点を通っているかを確認する。通っていなければ比例ではない。
  • グラフ上の読みやすい点を1つ選び、a = y ÷ x で比例定数を求める。
  • 右上がりなら a は正、右下がりなら a は負。

この章でつまずきやすいところ

比例のグラフは「原点を通る直線」と一行で言えるのに、いざ y = ax を方眼に描く途中でつまずく場面が多くあります。ここでは、本文や問題を読んでいるその場で起きやすい迷いを取り上げ、止まらず描き切るためのコツを整理します。

(x, y) の順番を逆にして点を打ってしまう

  • つまずく場面:対応表を見て点をプロットする途中、x の値と y の値のどちらを横軸に取るか一瞬迷い、(2, 4) のつもりが (4, 2) の位置に印をつけてしまう場面。表の上段と下段を取り違えると、本来一直線になるはずの点がガタガタにずれて並びます。
  • 克服のコツ:位置関係で覚えるのがコツ。座標は必ず「(横, 縦) = (x, y)」の順で書く、と方眼の前で口に出す。表の上段が x、下段が y というルールも合わせて確認し、点を打つ前に「これは横にいくつ、縦にいくつ」と言葉に直してから印をつけると、順番の取り違えが消える。
  • ミニ例:y = 2x の表で x = 3、y = 6 のとき、打つ点は (3, 6)。横に3、縦に6の位置で、(6, 3) ではない。

原点を通らない直線を比例のグラフと思い込んでしまう

  • つまずく場面:問題のグラフを見て「直線だから比例だ」と決めつけてしまう場面。y軸を切片で横切る直線でも、まっすぐであれば比例と読み違え、a = y ÷ x で勝手に比例定数を出そうとして式が合わなくなります。
  • 克服のコツ:見分け方を一段階に整理する。まず原点 (0, 0) を通っているかを必ず確認し、通っていれば比例、通っていなければ比例ではない、と判定する。理由は y = ax に x = 0 を入れると必ず y = 0 になるから。直線かどうかより先に「原点を通るか」を見るクセをつける。
  • ミニ例:y = 2x は x = 0 のとき y = 0 で原点を通る。一方、原点を通らない直線は比例 y = ax の形では書けない。

a の符号と傾きの向きの対応を取り違えてしまう

  • つまずく場面:y = -3x のグラフを描こうとする途中、対応表を作らずに勢いで線を引くと、a が負なのに右上がりに描いてしまう場面。あるいは a が正の式を見て、なんとなく右下がりに描き出してしまうこともあります。
  • 克服のコツ:因果関係でつかむ。a の符号がそのまま傾きの向きを決める。a > 0 なら x が増えると y も増えるから右上がり、a < 0 なら x が増えると y は減るから右下がり。式を見た瞬間に「a は正か負か」を口に出し、向きを先に決めてから線を引く。
  • ミニ例:y = -3x は a = -3 で負。x = 1 のとき y = -3 で、原点と (1, -3) を結ぶ右下がりの直線になる。

a の絶対値が大きいほどグラフが寝ると思い込んでしまう

  • つまずく場面:y = 4x と y = (1/3)x のどちらが急かを問われた途中、「a が大きいと数が増えるから直線も横に長く広がる」と感覚で考え、寝た線を急だと答えてしまう場面。傾きの「急・緩やか」のイメージが日常語とずれて迷います。
  • 克服のコツ:因果関係で押さえる。a の絶対値が大きいほど、x が1増えたときの y の増え方が大きいので、線は y軸に近い急な直線になる。逆に絶対値が小さいほど x軸に近い緩やかな直線になる。式を比べるときは a の絶対値だけを取り出して大小を比べる。
  • ミニ例:y = 4x は x = 1 で y = 4、y = (1/3)x は x = 1 で y = 1/3。絶対値が大きい y = 4x のほうが急。

練習問題

問題1(点をプロット)
y = 3x の対応表を埋めなさい。

x: −2, −1, 0, 1, 2

y: ?

答えを見る

x: −2, −1, 0, 1, 2

y: −6, −3, 0, 3, 6

これらの点を打って結ぶと、原点を通る直線(右上がり、急な傾き)。

問題2(傾きの比較)
次の3つの式のうち、グラフの傾きが最も急なものはどれか。
  1. y = x
  2. y = 4x
  3. y = (1/3)x
答えを見る

傾き=比例定数 a。 a の絶対値が大きいほど傾きが急。

(1) a=1、(2) a=4、(3) a=1/3。

最も急なのは (2) y = 4x。

問題3(記述)
y = 2x のグラフが必ず原点を通る理由を、自分のことばで答えなさい。
答えを見る

解答例:y = 2x の式に x = 0 を代入すると y = 2×0 = 0 になる。つまり点 (0, 0) =原点 がこの関係を満たす。比例 y = ax の式は、a が何であっても x = 0 のとき y = 0 になるので、グラフは必ず原点を通る。

まとめ

  • 比例 y = ax のグラフは 原点を通る直線。
  • a の絶対値が大きいほど傾きが 急、小さいほど 緩やか。
  • a > 0 なら 右上がり、a < 0 なら 右下がり。
  • グラフの描き方:原点 + もう1点を直線で結ぶだけ。

もっと知る ── 発展・実生活(出典つき)

※ 教科書の内容に、信頼できる出典をもとにした発展・実生活・時事の話題を補足しています(教科書そのものではありません)。

ばねの伸びは力に比例する(フックの法則)実生活

ばねにおもりをつるすと、伸びは加える力の大きさに比例して大きくなります。これをフックの法則といい、力を横軸・伸びを縦軸にとると原点を通る直線(y=ax型)になります。キッチンスケールやばねばかりは、この比例の関係を使って重さをはかっています。

出典:コトバンク(ブリタニカ国際大百科事典・日本大百科全書)「フックの法則」

電流は電圧に比例する(オームの法則)実生活

抵抗が一定のとき、流れる電流は加える電圧に比例します。これをオームの法則といい、横軸に電圧・縦軸に電流をとると原点を通る直線のグラフになります。直線の傾きが大きいほど同じ電圧で多くの電流が流れ、これは抵抗が小さいことを意味します。

出典:NHK for School「オームの法則-中学」

光の速さは一定だから、距離は時間に比例する(光年)発展

光の速さはおよそ秒速30万kmで一定なので、光が進む距離は進む時間に比例します。この比例の関係を使い、光が1年で進む距離を「1光年」として宇宙の遠さを表します。たとえば光が120億年かかって届いた天体までの距離を「120億光年」と呼びます。

出典:国立天文台(NAOJ)「宇宙の果てはどうなっているの?」

電気の使用量とCO2排出量も比例の関係実生活

電気を使うと出る二酸化炭素(CO2)の量は、使った電力量(kWh)に「排出係数」をかけて求めます。排出係数が一定なら、CO2排出量は使用量に比例し、グラフは原点を通る直線になります。この比例定数(排出係数)は環境省が電力会社ごとに公表しています。

出典:環境省「温室効果ガス排出量 算定・報告・公表制度(算定方法・排出係数一覧)」

比例は一次関数の特別な場合発展

中2で学ぶ一次関数y=ax+bで、切片bが0になった特別な場合が比例y=axです。だから比例のグラフだけが原点を通り、bがあると直線は原点からずれます。比例定数aは、一次関数では「傾き」と呼ばれる量と同じものです。

出典:文部科学省『中学校学習指導要領(平成29年告示)解説 数学編』